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【福井】なんだかいいことありそうな。。。懐かしさ溢れる小浜(おばま)町歩き、若狭ふぐを堪能!
こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。
福井県の西部に位置する嶺南エリアに小浜(おばま)市という町があることをご存知でしょうか?
アメリカでバラク・オバマ氏が大統領候補になって以来「オバマを勝手に応援する会」というユニークな応援団が発足したというニュースを覚えていらっしゃるかもしれません。
「小浜って、それ以外に何があるの?・・・」
小浜は観光地として全国的な知名度は高くないのですが、実際に訪れてみると、落ち着いていて、とても魅力に溢れた町でした。
小浜市を含む福井県嶺南地区のキャッチフレーズは「青々吉日(あおあおきちじつ)TSURUGA WAKASA」です(せいせいきちじつではない)。ぜひこの記事でお見知りおきを!
目次
小浜で町歩き
「小浜ではぜひ朝に、町歩きをしてみてください。おすすめです。」と聞いて実際に歩いてみました。
小浜市には町の規模に比して寺社仏閣がとても多いのだそうです。確かに歩いてみてたくさんの寺社仏閣を見かけました。
お寺が多いのは、その昔小浜が大陸からの日本の玄関口だったことも関係しているそうです(当時は仏教が政治に大きく関与していました)。
風情のある町並みも素敵なのですが、小浜ならではの特徴は、なんといってもこちらでしょう。
小浜は「鯖街道の起点」として歴史上重要な役割を果たしてきた土地でした。
平成27年「御食国若狭と鯖街道」として日本遺産第一号に認定されました。
鯖街道とは
小浜は京から最も近い港の1つとして、海産物などの豊かな食材を届け、天皇や貴族のいる京の食文化を支えていました。
運ばれたのは食だけでなく、さまざまな物資や人、文化を運んだ交流の道ですが、中世以降、多くの鯖が運ばれるようになったため、鯖街道と呼ばれるようになりました。鯖街道は、1本だけでなく複数あり、それぞれに街道名がありますが、総称して鯖街道と呼ばれています。
街道沿いには社寺、町並み、民俗文化財など様々な往来文化遺産群があり、鯖街道を辿ることによって、古代から現代へと続く往来の歴史と人々の営みを感じることができます。
ブラタモリでタモリさんも歩いていましたね。
鯖街道の起点は小浜市いづみ町で終点は京都出町。
小浜は京都の真北に位置し、現在も1時間半程度でたどり着くことができます。
昔、市場が立っていた場所に今も佇む神社。
道が歩きやすく整備されています。
<芝居小屋「旭座」>
明治時代の芝居小屋で県内唯一のもの。
特産品販売や観光案内など各イベントが開催されているそうです。
町中に鳥居が堂々と立っています。
懐かしい昭和の雰囲気があちこちに漂っています。
小浜町歩きのクライマックスは三丁町(さんちょうまち)です。
<三丁町の趣ある風景>
三丁町とは、かつての茶屋町で今も料亭、ベンガラ格子、出格子の家が軒を連ねています。
かつては、北前船の豪商や船員が英気を養う場所でもあったそうです。
落ちついた雰囲気の中に往時の面影を感じます。
京都や金沢などに比べ、町に人が少ないのがとても気持ちよくて静かにのんびり歩くことができました。写真も良い感じで撮ることができました。
時代劇に出てきそうな雰囲気です。
町のあちこちに化粧地蔵と呼ばれるお地蔵さんが立っていました。
カラフルでかわいいお地蔵さんが町のそこかしこに鎮座しておられました。
小浜の町は海も近いので、海、山、町の風景を手軽に楽しむことができます。内海のため、波穏やかで静かな海です。
また、小浜は湧き水が豊富な地域で、この浜の近くにも真水が湧いており、海水濃度が低いそうです。そのせいか海の近くで匂う「潮の香り」はあまり感じられませんでした。
せくみ屋で若狭ふぐを堪能
今回泊まったのが、小浜市の中心街にある「せくみ屋」さんです。
<せくみ屋の外観>
<せくみ屋のエントランス>
<せくみ屋のロビー>
<今回泊まったお部屋>
シングルルームですが、ベッドはセミダブルの大きさで体の大きい私もゆったり眠れました。
では、お待ちかねの夕食を!
夕食の場には、三丁町から芸妓さんが来られて、優雅な唄と踊りを披露してくださいました。
艶やかで雅な世界をプチ体験でき、心が豊かになりました。
夕食は、若狭ふぐづくし。
若狭では、20年ほど前からふぐを養殖しており、1年中安定して食べることができるそうです。若狭ふぐの特徴はその甘さで、大阪方面へ出荷もしているそうです。
<てっさ>
「てっさは薄切りなので、すぐ食べてください」と助言をいただいたので、すぐ食べました。
ぷりぷり肉厚。きゅっきゅっと身が歯に弾んで美味しかったです!
<ふぐの餡かけ>
ふぐはあっさり味なので、餡かけにするとコクが出て旨みが増します。
<ふぐの唐揚げ>
クセのないふぐは調理方法によって味が七変化します。こちらもしっかり旨味を主張していました。
<焼きふぐ>
ふぐが次々に登場します。
<茶碗蒸し>
出汁がじゅわ~っと口の中に溢れます。上等なお吸い物をいただいているかのようでした。
<ふぐちり鍋>
出たっ!たんぱくで品の良い繊細なふぐそのものの味を堪能するには、やはりちり鍋でしょうか。
<ふぐ雑炊>
う~ん、美味い。さっぱりしているのに、味わい深いふぐの出汁がしっかり出ています。
鍋の後の雑炊としては、ふぐが一等賞だと思います。
<デザート(マンゴープリン)>
最初から最後までふぐ、ふぐ、ふぐ。
生まれてこれまで、これほどふぐを食べたことはありません。
ふぐをたっぷり堪能しました。ごちそうさまでした。
明け方、ホテルの部屋から小浜の町の風景です。霧が立ち込めて幻想的な風景でした。
町歩きとふぐづくし。
「小浜、いいとこだなぁ」とすっかりファンになってしまいました。せくみ屋から鯖街道、3丁町、海沿いを歩いてちょうど1時間くらいの街歩きを楽しめます。
せくみ屋の詳しい情報は公式サイトをご覧ください。
若狭佳日(わかさかじつ)で朝食
小浜市の阿納(あの)地区に以前あった「いたや旅館」が全面リニューアルし、2023年8月に新たに「若狭佳日」としてオープンしました。
阿納は、小浜の中心地から車で約30分ほどの場所にある集落で14軒の民宿が営業しています。内海で穏やかで魚を養殖するにはぴったりの場所なのだとか。
若狭佳日のコンセプトは、若狭の自然、食、人が重なり合い、紡ぐ「佳き日」
<若狭佳日の玄関>
趣のあるどっしりとした和風建築の宿です。昔の宿場町にあったような雰囲気ですね。
のれんの緑色はこの地域の海がエメラルドグリーンであることから。
今回はオープンしたばかりのこちらの宿でこだわりの朝食を頂きました。
<若狭佳日の朝食>
夕食といってもおかしくないほどの品揃えです。
<手づくり惣菜盛り合わせ>
左上から角野さんのへしこ炙り、野菜のお浸し、小浜厚揚げの焼き浸し、辛子明太子、特製出汁巻き、ひじきの煮物。
ごはんのおかずにも、お酒のつまみにも合いそう。。。
<若狭がれい一汐、鯖の醤油干し>
若狭かれいは若狭を代表するブランド魚。ねっとりとした食感、芳醇な甘みが絶品でした。
干し魚は大体塩味ですが、鯖の醤油干しは小浜独特の食べ物です。
こちらもしょっぱすぎず、味が芳醇で、ごはんのお供にぴったりでした。
かれい、鯖とも朝食に出てくる魚とは思えない存在感でした。
若狭の一汐(わかさのひとしお)
若狭の魚はなぜ、こんなに上品で美味しいのか、訊いてみました。
ひとつは水が良いこと。この辺りは地下水が豊富な為、新鮮で上質な水環境で育った魚は美味しく育つのは当たりまえです。
もうひとつは京都に近いということ。
若狭は魚自体のレベルも高いのですが、魚の加工技術がすごいのだそうです。
魚本来の味を殺さないようにできる限り薄く塩をあてる。絶妙の塩加減で加工します。
ただ塩が少なければ、鮮度は時間と共に落ちていきます。若狭は一晩で京都に届けられる絶好の位置にありました。
京都に着くまでの間に塩がちょうど良い塩梅で魚を美味しくして、最良の状態で都に届けられました。
このちょうど良い塩加減が「若狭の一汐」なのです。
京では「若狭もの」と言われ珍重されていたそうです。
その他、越のルビーの贅沢トマトジュース(甘くて濃い)、小浜の名水の汲み上げ豆腐(クリーミー)、グリーンサラダ、特製ヨーグルト(まるでクリームチーズのようなねっとりした濃さ)、若狭わかめ(肉厚)の味噌汁。
土鍋で炊かれたごはんはもちもちつやつや。へしこと辛子明太子であっというまに「お代わり~」。
巷ではコシヒカリは新潟魚沼産というイメージが定着していますが、実はコシヒカリは福井県の試験場で生まれたそうです。
水が良いから米が美味い、酒が美味い、当然の方程式ですね。
朝食は、庭と海を見渡せるダイニングでいただきました。
<ダイニングのテラス>
波穏やかな浜を動画でご覧ください。
朝食の後、旅館内を案内していただきました。
事前予想を良い意味で裏切られる、とても素晴らしい宿でしたが、中でも一番度肝を抜かれたのがお風呂(大浴場)です。
それがこちら。
<湯処 内外海(うちとみ)>
ん?こんなお風呂見たことありますか?
若狭湾の景色を眺めながらお湯に浸かる外湯。
湯船に浸かりながら、まるで美術館で絵画を見ているかのような海景を楽しむことが出来るのです。
<宿泊者専用ラウンジ>
蔵をリノベーションして造られました。とてもリラックスできる癒しの空間です。
宿泊者はお酒、ソフトドリンク、おつまみが無料です。なんと素敵。。。
お部屋も単なる和風旅館ではなく、スタイリッシュなデザインに心奪われました。
和風旅館とは思えない洗練された内部。
スイートルーム棟の部屋のひとつ。この窪みは・・・なんだ?
以前はお風呂だったそうです。こちらのソファに腰を沈めて海を眺めるとインフィニティプールのような目線で海を眺められます。
以前の旅館の造りを活かしながら新しい価値を生み出しています。すごい!
阿納地区はとても静かな集落ですが、全18軒の内、14軒が民宿を営んでいるという今どき珍しい集落です。
冬にはここで料理を味わうことを楽しみにしているリピーター、ファン客が多く、シーズン中には予約が困難なほどだそうです。
京都から最も近い日本海の湊町、若狭小浜は、かつて朝廷に海の幸を献上する役割を担った「御食国(みつけくに)」であり、鯖街道を通じて京都の食文化を支えてきました。
その歴史が今も脈々と受け継がれていることを感じました。
まとめ
小浜の町は、朝歩きましたが、とっても気持ちよかったですね。
何より人が少ないのが良い(笑)。京都や金沢のように観光客でごった返していないのがこれほど心地良いものかと思いました。
ゆっくり自分のペースで歩き、「ん!」と感じたところで立ち止まってシャッターを切る、もの思いに耽る。
この贅沢さ。心が豊かになるのがわかりました。
若狭ふぐも美味しかった。ふぐは「白身魚の王様」と呼ばれ、中でもトラふぐは「ふぐの王様」と呼ばれておりますが、若狭はトラふぐの一大養殖地です。
こんなにふぐを食べたのは生まれて初めてでした。
静かな漁村の雰囲気漂う阿納集落に新たに生まれた「若狭佳日」。
これからの旅行の新しいスタイルの提案という印象を受けました。とてもスタイリッシュで洗練されてかっこいい宿です。
少子高齢化、限界集落、継承者不足。。。
日本、特に地方は元気の良い声がなかなか聞こえてきませんが、今回の若狭、小浜のように新しいうねりが動き始めているのを見て嬉しくなりました。
2024年春には北陸新幹線が敦賀まで延伸し、関東県から若狭エリアがぐんと近くなります。
ぜひ豊かな若狭へお出かけください。
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。