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【ペルー】死ぬまでに一度は食べたいパン!「エル・パン・デ・ラ・チョラ」
リマに4店舗を展開するEl Pan de la Chola(エル・パン・デ・ラ・チョラ/以下:PCH)は、ヨーロッパ風のシンプルなハード&リュスティック系を中心とした手作りパンの店。ペルー産の小麦粉と塩、水だけを使い、天然酵母でじっくりと発酵させたPHCのパンは、噛めば噛むほどにその美味しさが伝わってくる魅惑のパンです。
ペルーではまだリーンなハードブレッドが珍しかった2011年にオープンし、口コミであっという間に評判になりました。エンターテインメント型ポータルサイトBuzzfeedで、「死ぬまでに知っておきたい世界のパン屋さん25選」の1つにも選ばれた、リマで最も人気のパン屋さん。今回は、パン好きにはぜひ足をお運び頂きたいEl Pan de la Cholaをご紹介します。
目次
- "チョラ"ってどういう意味?誰が作っているの?
- 絶対行きたいミラフローレスのPCH Brunch y Pizza
- 2階席もおすすめ
- 始まりの地、PCH Pan y Caféは持ち帰り専用
- 大人な雰囲気のサン・イシドロ店PCH Dasso
"チョラ"ってどういう意味?誰が作っているの?
PCHのオーナーは、リマ大学出身の工業エンジニアであるペルー人のジョナサン・デイ。ロンドンに暮らしていた彼はヨーロッパのリュスティックなパンに魅了され、独学でパン作りを始めます。ペルー帰国後も友人知人に振舞っていたパンが好評で、「売ってほしい」と注文が殺到。2011年に記念すべき第一号店である、PCHをミラフローレス区にオープンしました。
ペルーにおいてchola(チョラ)とは一般的に、都会的な習慣や風習を取り入れた先住民女性をさします。リマなどの大都会に暮らし、携帯電話などの電子機器を日常的に使用しながらも、アンデス由来のポジェラ(裾の広がったスカート)やニットを身に着け、長い黒髪をおさげにしているような女性。そのため、初めてPCHの名前を聞いた人は「あぁ、アンデスの女性が作る手作りパンかな」と思ってしまいがちですが、実はジョナサンの学生時代のあだ名が「チョラ」だったため、そのまま「チョラのパン」としたのだそう。
店名から連想するイメージと商品とのギャップや意外性がおもしろいですね。この一度聞いたら忘れないネーミングも、PCHの成功につながったのではないでしょうか。
絶対行きたいミラフローレスのPCH Brunch y Pizza
ミラフローレス区のグルメストリート、Av. Mariscal La Mar(マリスカル・ラ・マル通り)にあるのが、El Pan de la Chola Brunch y Pizza (エル・パン・デ・ラ・チョラ - ブランチ・イ・ピッツァ/以下:PCH Brunch y Pizza)。まずは観光客がアクセスしやすいこの店舗からご紹介しましょう。
2018年オープンのPCH Brunch y Pizza。公道と店舗を隔てる青々としたツタの壁の内側にテラス席が設けられ、その奥にホールがあります。
無機質なコンクリート壁や手すりを飾るブラック系の鉄素材と、天井や床、厚みのある広々としたテーブルが生む木のぬくもりが、都会的で落ち着いたコントラストを演出する素敵な店内。天井が高いこともあって、とても開放的な空間になっています。各テーブルの間隔が広くゆったりしているので、つい長居してしまいたくなります。
まっすぐ伸びるカウンター、その奥には調理スペースがあります。オープンで清潔感のあるクッキングエリアできびきびと働くスタッフたち、そんな様子を眺めるのも楽しいですね。
彼が作っているのはピザ生地でしょうか?PCH Brunch y Pizzaではパンだけでなく、熱々のピザも人気です。
焼き立てパンが並ぶ食品ケース。フォカッチャやブリオッシュ、全粒粉100%のパンなどなど。どれも焼きたてで美味しそう!
こちらのケースにはスイーツ系のパンが並んでいました。クロワッサン生地のサクサクとしたパンは、噛むほどにバターの香りが口いっぱいに広がっていきます。
レジの横にはオーガニックワインが並んでいます。PCHが扱うワインはすべてオーガニックで、ボトルのほかグラスでもオーダーできます。
2階席もおすすめ
2階へ上がると、オーガニックワインがぎっしり並んだワインセラーが!アルゼンチンを始め、ラテン各国やイタリアなどから取り寄せたさまざまなワインたち。これに焼きたてのフォカッチャと薫り高いエキストラ・バージン・オリーブオイル、ミネラルたっぷりの天然塩があれば、もうそれだけで立派なご馳走ですね。
2階席から見下ろしたホールの様子。店内の食事はもとより、焼き立てパンやサンドイッチを買って帰るお客様がひっきりなしにやってきて、PCHの人気のほどをうかがい知ることができます。
本日のチョイスはカプチーノとporcheta(ポルチェタ)というサンドイッチ。もっちりふわふわのフォカッチャを使ったサンドイッチで、中にはナスとズッキーニのソテーとしっとり仕上げのベーコン、ルッコラが入っています。
野菜のソテーとまるでロースハムのように柔らかなベーコンが、弾力のあるフォカッチャにしっとりマッチ。特製ドレッシングで和えたルッコラもほんのり苦味が効いて、いい感じです。フォカッチャが食べ応えあるので、見た目以上のボリュームで大満足でした。
El Pan de la Chola Brunch y Pizza/エル・パン・デ・ラ・チョラ - ブランチ・イ・ピッツァ
- 住所:Av. Mariscal La Mar 1081, Miraflores Lima
- 公式サイト:El Pan de la Chola(全店共通)
始まりの地、PCH Pan y Caféは持ち帰り専用
先ほどご紹介したPCH Brunch y Pizzaの隣のブロックにはEl Pan de la Chola Pan y Café(エル・パン・デ・ラ・チョラ - パン・イ・カフェ/以下:PCH Pan y Café)があります。ここは12年前にジョナサンが初めて店を開いた記念すべき場所。以前はこの奥もカフェレストランになっていましたが、コロナ以降デリバリーやテイクアウトの需要が増えたこともあり、現在はパン工房兼テイクアウト専門店になっています。
PCHではペルー各地から取り寄せた小麦を自社で製粉。製粉機を使い一瞬で粉にするのではなく、花崗岩製の石臼で静かにゆっくりと製粉しているそう。余分な熱が加わっていない、香りと風味の生きた挽きたての小麦粉だからこそ、PCHのパンはこんなに美味しいんですね。
メニューはPCH Brunch y Pizzaより少なめですが、買うものが決まっている常連さんにとっては、逆に注文しやすいかもしれませんね。この日もサンドイッチと薫り高いコーヒーを手にし、バイクでさっと去っていく男性を見かけました。
私も自宅へのお土産にパウンドケーキを買って帰ることに。こちらは甘酸っぱいリンゴがたっぷり入ったケーキです。
こちらはバナナ入りのパウンドケーキです。どちらも生地はしっとりしていて甘さも控えめ、もちろん美味しく頂きました。
El Pan de la Chola Pan y Café/エル・パン・デ・ラ・チョラ - パン・イ・カフェ
- 住所:Av. Mariscal La Mar 918, Miraflores Lima
大人な雰囲気のサン・イシドロ店PCH Dasso
この日は知人との待ち合わせで、サン・イシドロ区のEl Pan de la Chola Dasso(エル・パン・デ・ラ・チョラ - ダッソ/以下:PCH Dasso)に行きました。2017年オープンで、レンガ造りの外壁と大理石の柱がエレガントな雰囲気を醸し出しています。
PCH Dassoの入り口のすぐ右手には、リマで一番人気のジェラート屋さんBLUが出店しています。ふわふわサクサクのパンとジェラート、これはもう禁断の組み合わせですね!
高い天井と打ちっぱなしのコンクリートというシンプルな内装。ミラフローレスのPCH Brunch y Pizzaと同じく、カウンターには焼き立てパンやスイーツが並んでいます。サン・イシドロ区はリマ随一のオフィス街のためか、客層はPCH Brunch y Pizzaよりちょっと高めのようです。
PCH Dassoには、ビアサーバーのタップ(注ぎ口)が並んだカウンター席もあります。場所柄、仕事帰りにさくっと1杯飲んで帰るお客さんも多いのでは?私も待ち人が来るまで1杯いただくことにしました。
Servusというラガービール。アルコール度は5%といくつか種類がある中では低めで、ホップの香りが効いた飲みやすいビールでした。
ふわふわのパンとカプレーゼのセット。まろやかなブラータチーズとトマトの酸味の相性は抜群。待ち人もやってきたので、オーガニックワインで改めて乾杯です。
El Pan de la Chola Dasso/エル・パン・デ・ラ・チョラ - ダッソ
- 住所:Calle Miguel Dasso 133, San Isidro Lima
そのほか、リマ市東部のラ・モリーナ区にはPCHの4店目であるEl Pan de la Chola La Molina/エル・パン・デ・ラ・チョラ - ラ・モリーナもあります。どの店も無駄な装飾を省き、シンプルさを追求する姿勢は同じ、いずれもその日に焼いた焼き立てパンにこだわっています。
「パンは我が肉、ワインは我が血なり」と宣言したとされるイエス・キリストではありませんが、美味しいパンとワインがあれば、もうそこはまさに天国。「死ぬまでに知っておきたい世界のパン屋さん25選」のひとつで、天国の味をぜひご堪能ください。
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。