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【台湾】客家文化体験も!客家集落「美濃」の必訪スポット&必食グルメ
<トップ画像:美濃民俗村で販売されている「客家花布」で作られたミニ傘220元>
台湾南部の高雄市郊外に位置する客家人集落「美濃」。高雄市内からバスで約1時間でアクセスでき、「油紙傘」や「擂茶」の手作り体験ができる場所もあります。
今回は、定番観光スポットから穴場スポットまで、美濃を満喫できるスポットをご紹介します。さらに、美濃でのみ味わえる、ミシュランに選出された原住民料理やおすすめグルメもご紹介します。
目次
- 「美濃」について
- 定番の観光スポット「美濃民俗村」
- 特別な原住民料理が味わえる「阿香的廚房ibu Kitchen」
- レトロな空間で「擂茶」体験ができる「美濃擂茶」
- 日本時代の史跡がカフェになった「美濃文創中心」
- 美濃の名物が味わえる「粄條街(ライスヌードルストリート)」
- まとめ その他の美濃の見どころやグルメ
「美濃」について
<美濃民俗村の入り口>
客家委員會(はっかいいんかい/中華民国行政院管轄の委員会)の2021年の資料によると、台湾の客家人口は約466.9万人で、全台湾総人口の19.8%を占めています。そのうち、高雄市の客家人口は、40.7万人で、美濃、杉林、六龜、甲仙地域に三分の一以上が居住しています。
<美濃バスターミナル>
中でも「美濃」は客家人集落として人気の観光スポットで、郊外に位置していますが、高雄市内からのアクセスも便利で、日帰り旅行も可能です。また、自然豊かな環境にあります。
定番の観光スポット「美濃民俗村」
<休日は多くの人でにぎわいます>
バスツアーなどで必ず訪れる美濃の定番スポットが「美濃民俗村」です。
<それほど広くないので、1時間程度あれば見てまわれます>
美濃民俗村の建築は、葉タバコを乾燥・保存する小屋「菸樓」と中庭のある邸宅である「合院」の建築を結合させた特徴的なもので、レストランや売店などが入っています。油紙傘や陶芸、擂茶などの手作り体験ができる場所もあります。
<手作り体験ができるところにはこのように看板が出ていますので、チェックしてみてください>
一番奥の建物には、「客家花布」で作られたミニ傘やカバン、チャイナシューズなどがたくさん売られています。
<「客家花布」で作られた小さなポーチなどは50元からあるので、お土産探しにもおすすめです>
客家のお茶「擂茶」や「菜脯(干し大根)」や漬け物など、高雄市内ではなかなか買えないものもあります。特徴的な建物や展示物のある客家文化の雰囲気の中で写真を撮ったり、お土産を探したりするのにもいい場所です。
<名産の「粄條(ライスヌードル)なども売られています>
美濃民俗村
- 住所:高雄市美濃區中山路二段421巷80號
- 電話:+886-7-681-7508
- 営業時間:土日祝祭日8:30~17:00、平日8:30~17:30
- アクセス:台湾鉄道・高雄駅近くの高雄客運建國站(建國三路79號)からバスE25「六龜」行き(高旗六龜快線)に乗り、「舊茶亭」で降りて徒歩約1分 ※美濃行きのバスは停まりません。美濃行きで終点のバスターミナルに到着した場合はタクシー等で向かってください
- 公式サイト:美濃民俗村
特別な原住民料理が味わえる「阿香的廚房ibu Kitchen」
<緑いっぱいのレストランです>
美濃文化村を訪れたら、すぐ隣にあるレストラン「阿香的廚房ibu Kitchen」での食事がおすすめです。阿香的廚房ibu Kitchenは、事前に予約をしないと入れないほど人気なので、出発前に先に予約しておいてくださいね。
<レストラン内の様子>
ブヌン族のシェフが、もともと藤枝山の山の上で民宿とレストランを経営していましたが、2009年の台風による八八水害で被害を受け、現在の美濃に移転しました。
レストランの名前の「阿香」はシェフの名前です。こちらではシェフの故郷の藤枝茶や藤枝の食材を取り入れた原住民料理がいただけます。2023年4月にはミシュランセレクションに、そして2023年8月にはビブグルマンに選ばれました。
<写真は5人のコースの一部です>
平日は単品でオーダーができますが、土日祝祭日は予約できるコース料理のみで、2人790元、3人1,090元、4人1,590元、と人数によって値段が決まっています。
2人の場合は開胃小菜(前菜)、櫻花蝦小米粽(アワのミニちまき)、白斬土雞(ゆで地鶏)、蔗筍東坡肉(角煮)、水果佐野菜沙拉(フルーツ野菜サラダ)、養生猴頭菇湯(ヤマブシタケスープ)、ライスです。
看板メニューは櫻花蝦小米粽(アワのミニちまき)。小さな海苔巻きのような形ですが、肉やサクラエビなどの素材の味としっかりちまきの味がするのに驚かされます。
もう一品、ぜひ味わいたいのが「梅汁豆腐」。揚げ豆腐のような食感で、上にのっている甘ずっぱい梅のソースといただくと特別なおいしさです。焼き物などには、「馬告」という台湾の原生植物で、原住民の生活に深く根付いているスパイスが使われています。
<看板メニューの「櫻花蝦小米粽(アワのミニちまき)」>
公式予約サイト、Facebookから予約ができます。電話での予約・変更は受け付けていませんので、レストランへの連絡は、台湾のショートメッセージを送るかFacebookからになります。公式予約サイトで希望人数の席がいっぱいの場合は、Facebookから問い合わせてみてくださいね。
阿香的廚房ibu Kitchen
- 住所:高雄市美濃區中山路二段635號
- 電話:+886-7-681-7212、+886-911-332467
- 営業時間:11:00~14:00、17:20~19:30 ·
- 定休日:火曜日
- アクセス:台湾鉄道・高雄駅近くの高雄客運建國站(建國三路79號)からバスE25「六龜」行き(高旗六龜快線)に乗り、「舊茶亭」で降りると、徒歩約1分で美濃民俗村に到着します。阿香的廚房ibu Kitchenは、美濃民俗村のすぐ隣です ※美濃行きのバスは停まりません。美濃行きで終点のバスターミナルに到着した場合はタクシー等で向かってください
- Facebook:阿香的廚房 ibu Kitchen
- 公式予約サイト:阿香的廚房
レトロな空間で「擂茶」体験ができる「美濃擂茶」
<店内の様子>
客家のお茶「擂茶(らいちゃ)」作りを体験ができるのが「美濃擂茶」です。一見、草木に囲まれた古めかしい普通の家のような外観で、「営業中」と書いてあっても入っていいのか迷いますが、20年以上営業しているお店なので安心してドアを開けてください。竹のドアを開けると目の前にレトロな空間が広がります。
<入り口で人数を告げて、好きな席に座ります>
「擂茶(らいちゃ)」とは、客家の人がお客さんをもてなす時に出すお茶です。別名を「三生湯」といい、言い伝えによれば三国時代に張飛が武陵へ進攻し、兵士が疫病にかかった際に献上された、生姜や米、お茶などを糊状にしたもので、疫病を鎮めたと言われています。体によいお茶で、胃腸を休め、栄養のバランスをとる等の効果があります。
<擂茶の手作りセット。中央奥の小さなコップに入っているものがキンモクセイのお茶「桂花茶」>
擂茶は、1人150元で、最初に甘いキンモクセイのお茶「桂花茶」も出してもらえるので、こちらをいただきながら作業を始めます。
机には材料、すり鉢、すり棒が置かれているので、玄米、ピーナッツ、ゴマ等をすり鉢の中に入れ、油が出てくるまで、はけで粉を中央に集めながら、よく磨り込みます。
磨り終わったものをお店の方に見てもらい、甘納豆を入れて磨り込み、OKとなったら、お茶の粉を入れます。このお茶の粉にはカシュウやハトムギなどの漢方が含まれています。
できあがった粉をお碗に取って、お湯を注ぎ、最後に米香(ポン菓子)を入れて、できあがりです。
<出来上がった粉です。写真左下が「客家麻糬」>
擂茶は、抹茶のような色で、味も抹茶のような苦味が少し感じられます。どろっとしていて、飲むというより食べているようなスイーツ的なお茶です。冷たいお茶にしたければ、氷を持ってきてもらえます。氷を入れていただくとまた違った味わいのお茶になります。
<お湯を注いでいただきます>
また、お店で数量限定で売られている客家麻糬(1個20元、3個50元)をお茶と一緒にいただくのがおすすめ。柔らかくつきたてのお餅のような食感です。
こちらではお茶を体験すると、置いてある衣装を自由に着て写真を撮ることができます。特別な思い出になりますよ。擂茶を飲んで、写真を撮って、美濃の旅の思い出にしてくださいね!
美濃擂茶
- 住所:高雄市美濃區合和里成功路142號
- 電話:+886-7-681-8475
- 営業時間:11:00~18:00(土日は10:00~)
- アクセス:台湾鉄道・高雄駅近くの高雄客運建國站(建國三路79號)からバスE25「六龜」行き(高旗六龜快線)に乗り、「成功路」で下車し、徒歩2分ほど
- 公式サイト:美濃擂茶
日本時代の史跡がカフェになった「美濃文創中心」
<この建物が「美濃文創中心」です>
美濃バスターミナルから徒歩で行くことができる「美濃文創中心」は、もと警察分駐所(美濃旧派出所)で、1902年に建てられ、日本時代には政治経済の中心だった場所です。
<講演会などのイベントが行われるときはカフェの席が少なくなることがあります>
この警察分駐所は、2015年から美濃文創中心として、ツーリストサービスセンターとして使われているほか、2018年から「搖籃咖啡x惠如小屋」というカフェとして営業しています。ここでは、台湾の作家をテーマにした展示や講演会なども行われています。
<カフェには台湾の作家の本や写真などが展示されています>
カフェでは手作りのケーキやドリンクなどが味わえます。席数が少なく、休日は座れないこともあるので、時間に余裕がある時に立ち寄ってみてください。
<手作りのレモンケーキ「檸檬蛋糕」120元。ドリンクメニューはチョコレートミルク、台湾茶、コーヒーなど100元~>
美濃文創中心
- 住所:高雄市美濃區永安路212號
- 電話:+886-7-681-9265
- 営業時間:12:00~17:00(土日は09:00~)
- アクセス:台湾鉄道・高雄」近くの高雄客運建國站(建國三路79號)からバスE28「高旗美濃快線路公車」に乗り、終点「美濃」下車、徒歩約5分。中正路一段を南に進み、永安路を左へ曲がるとすぐです
- Facebook:美濃文創中心
美濃の名物が味わえる「粄條街(ライスヌードルストリート)」
<「粄條」と書かれた看板が並んでいます>
美濃の食べ物で有名なものと言えば、米を原料とした麺「粄條」です。美濃には、この粄條のお店が集まっている「粄條街(ライスヌードルストリート)」と呼ばれている通りがあります。こちらも美濃バスターミナルから歩ける範囲です。
粄條街(ライスヌードルストリート)は中山路一段辺りです。小道にもお店があるので、歩きながらチェックしてみてください。
この中の一つ、1945年創業の老舗「美光粄條店」は、まるで一般の民家のようなお店です。いつも人でいっぱいで、かなり待つか相席でないと座れないこともあります。
<「美光粄條店」のメニュー>
粄條は、「湯(スープ入り)」も「乾(スープなし)」も50元。炒めた粄條(小)は60元で味がしっかり付いています。多くの人が並んでいるだけあって、手打ちの自家製麺はつるつるでのど越しがよくおいしいので、ぜひ味わってみてください。
<炒粄條(小)」60元>
このほか、小皿料理や炒めもの、スープなどもあるので、いろいろオーダーしてみてくださいね。
美光粄條店
- 住所:高雄市美濃區中山路一段87號
- 電話:+886-916-216-314
- 営業時間:10:00~18:00、土日9:00~19:00
- アクセス:台湾鉄道・高雄駅近くの高雄客運建國站(建國三路79號)からバスE28「高旗美濃快線路公車」に乗り、終点「美濃」下車、徒歩約6分。中山路一段をまっすぐ西に進むと「粄條」の看板がたくさん見えてきます。美光粄條店も中山路一段にあります
- Facebook:美光粄條店
美濃まとめ その他の見どころ・グルメ
<灌漑用水路「美濃水圳」>
歴史的建造物としては、灌漑用水路「美濃水圳」があります。
こちらの灌漑用水路は、普段は子どもたちの水遊び場になっているほか、イベントが行われることもあります。毎年秋には「美濃水圳漫旅藝術節(美濃キャナルトリップアートフェイスティバル)」が行われています。
美濃水圳に架かる橋「美濃水橋」は、1909(明治42)年に造られた木の橋でしたが腐朽してしまったため、1926(昭和元)年にコンクリートの橋に再建されました。この橋は、日本人の水利技師・岡田安久次郎氏の設計によるものです。
<フェイスティバル時の様子>
また、「美濃邱添貴派下夥房」のように、客家の家が指定古跡になって一般公開されている場所もあります。
美濃邱添貴派下夥房の「夥房」とは"客家の人が住んでいる家"の意味で、ここは1920年代に建てられた邱家の家です。高雄市の指定古跡になっています。
2020年に修復が終わり、現在一般公開されていて、Facebookで事前予約をすれば、木、金、土、日の9:00~17:00まで無料で入ることができます。
<美濃邱添貴派下夥房。見学には予約が必要です>
美濃を代表するグルメで粄條のほかに挙げられるのが「草仔粿(客家の草もち)」。外側はヨモギの味でほんのり甘く、中に干し大根や豚のひき肉などが入っているものと甘い餡のものがあります。特別な味なので、見かけたらぜひ食べてみてください!
左營駅から約1時間で到着する美濃、日帰りでも徒歩でも十分楽しめます。高雄観光の一つに加えてみてくださいね。
美濃へのアクセス
美濃へは台湾新幹線・左營駅、または台湾鉄道・高雄駅近くの高雄客運建國站(建國三路79號)からバス(E28またはE01Bで)でアクセスできます。途中バスは「旗山」のバスターミナルに寄り、約1時間で美濃バスターミナルに到着します。
台湾新幹線・左營駅からのバスは、高雄駅発着・美濃行きよりは本数が多いですが、それでも1時間に1本程度なので、事前に時間をチェックしてください
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千里
- 静岡県出身、台湾の高雄在住。現在、日本語・中国語教室を開きながら、ガイド、特約翻訳、通訳、ライター等に従事しています。