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湖上に浮かぶ天空の秘境駅「奥大井湖上駅」に行ってきた
皆さんこんにちは、たびこふれライターのえいたです。
今回絶景を求めて旅をしたのは、静岡県の大井川上流にある接岨湖の絶景を望む大川鉄道の奥大井湖上駅です。
この地域は機関車トーマスで有名な大井川鉄道、美人の湯として知られる寸又峡温泉やSNSで話題の吊り橋「夢のつり橋」などがありますが、日本で唯一のアプト式鉄道(※)の大井川鉄道井川線にある「奥大井湖上駅」はこの井川線に乗るか徒歩でしか行くことが出来ない秘境駅なのです。
今回はこの奥大井湖上駅の最寄りの駐車場まで車で行き、徒歩でこの秘境駅を訪れたレポートです。
※アプト式鉄道・・・2本のレールの真ん中に歯状レール(ラックレール)を敷き、それに機関車の床下に設けられた歯車(ピニオンギア)を噛み合わせ、急こう配の線路を登り降りする鉄道を「ラック式鉄道」といい、そのうち、複数のラックレールを設置するなどして噛み合わせの強度を高めた方式を、開発者の名前にちなんで「アプト式鉄道」といいます。(日本民営鉄道協会 鉄道用語辞典より引用)
目次
大井川鉄道とは
静岡県島田市の金谷駅から榛原郡川根本町の金谷駅まで39.5kmを運行する大井川本線と、千頭駅から静岡市葵区にある井川駅までの25.5kmを運行する井川線(愛称、南アルプスあぷとライン)を有する鉄道会社です。そして、大井川鉄道は蒸気機関車の動態保存を全国の鉄道に先駆けて行った鉄道会社ですが、近年では機関車トーマスを運行する鉄道として知られている観光に特化した鉄道会社です。
2022年9月の台風15号の影響で線路内に土砂流入が相次ぎ金谷・千頭間の全線が不通となり、3か月後の12月に金谷・家山間が復旧しましたが家山・千頭間は未だに不通のまま代行バスが運行しています。
奥大井湖上駅はどこにあるの?
奥大井湖上駅は静岡県のほぼ中央を流れる大井川の上流にあります。
長島ダムによって堰き止められ生まれたダム湖「接岨湖(せっそこ)」は、エメラルドグリーンに輝く美しい湖です。その接岨湖となっている大井川の「ひ」の形に蛇行する部分をショートカットするように掛かる真っ赤な鉄橋はレインボーブリッジと呼ばれています。そして、その鉄橋の真ん中に浮かぶように存在する奥大井湖上駅は映えスポットとして多くの観光客が訪れています。また、最近は恋人たちの聖地としても注目されています。
奥大井湖上駅への行き方
JR東海道線で大井川鉄道に乗り換えてアプト鉄道で行く
東海道新幹線の静岡駅又は掛川駅で、在来線の東海道線に乗り換えます。
JR東海道線の金谷駅で今度は大井川鉄道に乗り換えます。金谷から家山駅まで普通電車では約30分、家山駅からアプト鉄道の始発駅の千頭までは2022年の台風災害で鉄道が不通となっているために代行バスに乗車します。家山から千頭までの代行バスは約45分です。千頭駅から奥大井湖上駅までは約65分です。
マイカーで行く
- 静岡市内からは国道362号線で千頭駅に向かい県道77号線、388号線を利用して奥大井湖上駅駐車場まで約50km
- 新東名高速道路の島田金谷インターチェンジから国道473号線と県道77号線、388号線を利用して奥大井湖上駅駐車場まで約52km
- 東名高速道路の相良牧之原インターチェンジから国道473号線と県道77号線、388号線を利用して奥大井湖上駅駐車場まで約75km
奥大井湖上駅へのアプローチ
<大井川鉄道千頭駅構内(敷地外の駐車場から撮影)>
今回は静岡市内から国道362号線の山道を走り、大井川鉄道の千頭駅をまずは目指しました。
千頭からは県道77号線を北上し、奥泉交差点から388号線に入り奥大井湖上駅駐車場まで2時間弱のドライブでした。
長島ダムを通過してトンネルをいくつか抜けると奥大井湖上駅駐車場の看板が現れます。
千頭方面からやってくると入口はかなりの鋭角となります。大型車の侵入は不可能です。
看板入り口から侵入してくると、赤い矢印を通って黄色い囲みの駐車スペースに車を停めます。20台くらいのスペースがありました。駐車料金は不要です。(2023年7月現在)
駐車場には付近の散策マップがありました。
今回、私が歩いたのはマップ内〇で囲まれた部分で、駐車場~奥大井湖上駅~奥大井湖上駅展望所~駐車場です。
いよいよ奥大井湖上駅へ徒歩でアプローチ開始です。高低差23m、128段の階段を上り下りします。
坂道には手すりがありますが、成人の歩幅に合わせたとは思えない階段を上がります。
奥大井湖上駅へは小さな山を越える感じですが、下りの階段からは接岨湖と真っ赤な鉄橋が見えてきます。
階段を下りてくると真っ赤な鉄橋が近づいてきました!けっこうワクワクします!!
階段を降りた所は鉄道のトンネル出口になっていました。
高所恐怖症の方は上を向いて歩いたほうがいいかもしれません。私は高所恐怖症ではないので、この景色を満喫しました。
この日はとても暑い日でしたが、湖から吹き上げてくる風がとても心地よかったです。ちなみに、湖面から鉄橋までの高さは70mだそうで、鳥にでもなったような気分でした。
奥大井湖上駅はこんなところ
さて、奥大井湖上駅へたどり着きました!
駅舎はなく、駅名の看板とハートの形をしたベンチがありました。
なにやら「風の忘れもの」と書かれた鐘がありました。
「ハッピー2(ハッピー・ハッピー)ベル」と名付けられた鐘で妖精が忘れていった幸せを運ぶ宝物だそうです。元気がもらえる鐘だというので私も鳴らしてみました。
湖上に響き渡る鐘の音がとても爽やかでした。元気倍増です(笑)
奥大井湖上駅にはこんなものもありました。
タバコの自動販売機かと思いましたが、「chabacco」の文字が。静岡と言ったらお茶ですね
Chabaccoは「世の中を、"茶化"そう」そんなコンセプトで誕生した静岡県掛川発の"笑顔が生まれる"粉末茶スティック、だそうです。静岡県内を旅しているとたまに見かけます。
奥大井湖上駅は中部の駅100選にも選ばれています。
選定は1999年から2002年までの4年間に渡って運輸省、国土交通省の主催で実施され個性豊かな鉄道駅が選ばれたようです。
奥大井湖上駅の上のほうに何やら建物がありました
奥大井湖上駅と鉄橋とエメラルドグリーンの湖面を見下ろせるカフェがありましたが、残念ながら平日でしたのでお休みでした。
期間限定でオープンしているようですので、公式サイトをチェックしてからお出かけください。
展望台から湖上駅を見下ろす
アプト列車で奥大井湖上駅へやって来た場合は、私が先ほど渡ってきた列車が走る鉄橋の線路の脇に人間が通行できる通路があるので、ここを通って対岸に渡ります。私は同じ道を戻りました。
対岸へ渡ると結構急な角度の階段を登り、さらに木々の間を登ります。鬱蒼とした森の中を歩いてたどり着いた先には「ひ」の形に蛇行するエメラルド色に輝く大井川と真っ赤な鉄橋の絶景独り占めです。
接岨峡温泉駅へ立ち寄り
アプト鉄道の奥大井湖上駅の1つ先の駅で接岨峡温泉という名前の駅があります。
せっかく車で行ったのでどんなところだろうと尋ねてみましたが、秘境感たっぷりの駅舎がありました。一目見て民家と思われるような建物がポツンとありまして、当然無人駅です。1959(昭和34)年に川根長島駅として開業し、1990(平成2)年に接岨峡温泉駅に改称されたそうで、築60年以上のレトロな建物です。
駅前には日帰り入浴も出来る温泉宿「森林露天風呂」がありました。アプト鉄道に乗ってこの温泉に浸かって、元来たルートの列車で帰ってゆく旅人もチラホラいるとか。この温泉宿に隣接する畑で作業をされていた方がいらしたのですが、列車が到着する踏切の音が鳴るとすぐに農作業を中断して駅の業務もされていました。
<清掃の行き届いた接岨峡温泉駅待合室>
<森の中にポツンと佇む接岨峡温泉駅プラットホーム>
<接岨峡温泉駅に停車するアプトラインの列車>
千頭駅前で挽きたての蕎麦をいただきました
接岨峡温泉駅へ向かう前に、大井川鉄道本線と井川線の乗換駅である千頭駅前にある手打ち蕎麦 丹味で蕎麦をいただきました。営業時間は11:30~蕎麦がなくなるまでとのことでして、接岨峡温泉駅の取材を終えてお店の前を通りましたら暖簾がしまわれていたので最初に食べておいてよかったです。
今回いただいたのは天ざる蕎麦です。のどごしのいい手打ちそばで、天ぷらは海老のかき揚げでカリカリの衣にしっとりとした中身でした。
12時前に入店しましたがカウンター、座敷とも満席でした。気さくな店主と日常会話を交わすお客さんがチラホラ、リピーターが多い雰囲気でした。私が食事を終えてお店を出る時も数組のお客さんが待っていたので、早い時間での売り切れは必至のお店のようです。
お店の入り口です。
私が訪れた時のメニューです。静岡県の銘酒もありました。
【手打ち蕎麦 丹味】
- 住所:静岡県榛原郡川根本町千頭1216-19
- TEL:054-759-3929
- 営業時間:11:30~(お蕎麦が無くなり次第終了)
- 定休日:月曜日,第3月・火曜日
- 関連サイト:静岡県観光公式サイト
最後に
いかがでしたでしょうか、大井川上流の秘境駅。
今回私は車で訪れましたが、次回はトロッコ列車に乗って大井川の車窓を楽しみながら訪れてみたいと思いました。写真を見て気が付いた方もいらっしゃるかと思いますが、人工物が全くないので夜は漆黒の闇で星空がきれいなのだそうです!
私が訪れた日は平日でしたが、トロッコ列車で奥大井湖上駅を訪れて戻りの列車待ちの観光客や接岨峡温泉駅でも手ぶらの観光客数人を見かけました。こんな秘境に観光客が!!列車に乗ること自体が旅の目的なんて素晴らしいですね。車でやって来る人たちもそれ以上に見かけました。年配の観光客ももちろんいましたが、20代くらいの若いカップルやグループで来ている人の姿が多かったのが印象的でした。
それも、そのはず「ゆるキャン△」というテレビアニメにこの奥大井湖上駅や大井川鉄道周辺の地域が登場していたのです。いわゆる聖地巡礼ってやつですね。大井川鉄道とコラボレーションとのことですが、素晴らしい取り組みの結果かと思われました。
今回訪れた奥大井湖上駅以外にも、ユネスコ無形文化遺産登録の徳山の盆踊りといった地域文化も見逃せないコンテンツもあります。奥大井の大自然に皆さんもぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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えいた
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