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オーストリア最高峰「グロースグロックナー」の絶景を見に行こう!
アルプスの国オーストリア。その最高峰「グロースグロックナー」の標高は、富士山より22m高い、3,798mです。標高の高い他の山々に囲まれているため、近づくことは難しく、年間登頂者は約5,000人と、富士山の10分の1以下となっています。
このグロースグロックナーと、その足元に広がる氷河を眺めながら走ることのできる絶景コース「グロースグロックナー山岳道路」(現地名称「ホッホアルペンシュトラーセ」)は、オーストリアで最も標高の高い位置にある美しい山岳道路です。
車窓の景色は筆舌に尽くしがたく、まるでどこかの惑星に降り立ったよう。この素晴らしい山岳道路の春と夏の表情を写真で紹介しつつ、おすすめのルートをご案内していきましょう。
<雪の残る山岳道路をバイクで駆け抜ける>
目次
山岳道路の走り方
グロースグロックナー山岳道路(Hochalpenstraße)は、5月から10月末までの夏季のみ通行が可能です。天候や道路状況による通行止めだけでなく、スノータイヤやスノーチェーンが必要な場合も記載されていますので、必ず訪れる前に公式サイトを確認しましょう。
この山岳道路は、南北に走る有料道路で、北の入り口はザルツブルク州のフェアライテン(Ferleiten)、南はケルンテン州のハイリゲンブルート(Heiligenblut)にあります。どちら側から入ることもできますが、今回はフェアライテン側から南下するルートをご紹介していきます。入口の手前には、アルプスの動物を身近に観察できる動物公園やレストランもあります。
料金所でチケットと地図を入手し、いよいよ山岳道路に入ります。アルプスの山並みや美しい滝の絶景を楽しみながら、ぐんぐん坂道を上がっていきます。景色のいい場所にはベンチなどの休憩所が設けられているので、気軽に停まって景色を楽しんでみましょう。
<山岳道路の休憩所からの絶景>
次第に森林限界を迎え、低木と奇岩に覆われた別世界の景色が広がります。急カーブを幾度となく曲がるたびに、次から次へと新しい絶景が目の前に広がります。
グロースグロックナーの眺望
しばらく走ると、「グロースグロックナー」が一望できる「フッシャー・トゥァル(Fuscher Törl)展望台」が見えてきます。
<Fuscher Törlの展望台>
目の前に広がるアルプスの山々の名前が書かれた説明板を参考にしながら「グロースグロックナー」を探してみましょう。天気が良ければ、雪をかぶったオーストリア最高峰が顔をのぞかせてくれるはずです。
<Fuscher Törlから見たグロースグロックナー。手前ではなく、左奥の山です>
ここから少しルートを戻り、「エーデルワイスシュピッツェ」へ向かいます。想像を絶する急カーブの傾斜をぐんぐん登るこのパノラマ道路は、山岳道路全体の中でも最も緊張感のあるコースといえるでしょう。行き止まりの展望台からも、グロースグロックナーの山頂が見えます。この途中の道には何件かレストランもありますので、お時間がある方は寄ってみてください。
<エーデルワイスシュピッツェへの山岳道路>
夏でも雪!山岳道路最高峰地点を通過
また先ほどのフッシャー・トゥアルに戻り、先を続けます。ここからこの山岳道路の最高地点に当たる「ホッホトアー(Hochtor)」トンネルまでのルートが、この山岳道路最大の見どころです。むき出しの岩肌、地上とは全く異なる青く透き通った光。まるでどこかの惑星に降り立ったようです。
<「ホッホトアー」トンネル>
猛暑の9月に訪問した際は、最も標高の高いホッホトアーのトンネルの辺りに雪がまだ残っていました。真夏に雪遊びするという非現実的な体験もできますよ。
5月後半に車高よりはるかに高い2mほどの積雪があったのもこの辺りです。豪雪地帯で見るような雪の壁の中を、車だけでなくバイクや自転車が走り抜ける様子は、命知らずにも見えます。5月末には雪崩などのニュースもありますので、気を付けて走行してください。
<身長より高い雪の壁とサイクリングを楽しむ人々>
ここでも何か所か車を停めて休憩できる展望台があります。鉱石の展示など、触って学べる展示があるのも良いですね。360度のパノラマを楽しむためにも、適宜休憩を取りつつゆっくりドライブを楽しんでみてください。
<鉱石の展示>
後退する氷河
ここから少し進むと道が2つに分かれますので、メインルートから外れた「カイザー・フランツ・ヨーゼフス・へーへ(Kaiser-Franz-Josefs-Höhe)」の方へ向かってみましょう。しばらく走るとビジターセンターの建物が見えてきます。
<カイザー・フランツ・ヨーゼフス・ヘーヘ。右にビジターセンター、左に展望テラスがある>
展望テラスからは、グロースグロックナーが雄姿をを存分に眺めることができます。眼下には「パステルツェ」という名の大氷河が広がっていたのですが、現在は温暖化の影響で驚くほど後退しています。10年ごとの氷河を比較したパネルを見ると、その縮小具合には言葉も出ません。
<グロースグロックナーと後退したパステルツェ氷河>
ハイリゲンブルート
ここからメインのルートに戻って、山を下っていきましょう。出口の料金所から少し行ったところに、山岳道路の終着点、「ハイリゲンブルート」という小さな町があります。歴史的巡礼地で教会は独特のたたずまいをしています。
<ハイリゲンブルートの教会>
伝説によると、10世紀にこの地で雪崩に巻き込まれて行き倒れた男が発見されました。この男性は、コンスタンチノープルからデンマークへ「キリストの血」とされる聖遺物を持っていく途中の聖ブリッチウスだったとされています。村人はこの聖人の墓を作り、「血」を祀って教会を立て、「ハイリゲンブルート=聖なる血」と名付けました。血の歴史的正当性はともかく、現在でも教会の祭壇左側に収められ、多くの巡礼者が訪れる巡礼地となっています。
まとめ
オーストリア最高峰「グロースグロックナー」を臨む山岳道路、いかがだったでしょうか?ビジターセンターへ寄り道を含めると、1時間半から2時間ほどのドライブをご紹介しました。
百聞は一見に如かず。写真では表現できない、空気や光に包まれ、地球上にいるとは思えない絶景に囲まれながら、オーストリア最高峰の山を見に行ってみませんか?
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ひょろ
- オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。