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ロングアイランド鉄道の「グランドセントラル・マディソン駅」がオープン
ニューヨークのロングアイランドとマンハッタンを結ぶロングアイランド鉄道(LIRR)のマンハッタンの東のハブとなる「グランドセントラル・マディソン駅(GCM駅)」が、1月25日にミッドタウンのグランドセントラル・ターミナル(グラセン)の地下約46mにオープンしました。
同日、クイーンズのジャマイカ駅を出発した第1号の列車がGCM駅に到着。本当は昨年の12月に開業の予定でしたが、安全システムの検査が間に合わなかったため、約1カ月遅れてしまいました。これまでロングアイランド鉄道のマンハッタンの駅は、ウエストサイドにあるペンシルバニア駅(ペンステ)だけでした。そのため、マンハッタンのイーストサイドで働くロングアイランド在住者は、地下鉄S線やL線などで西に行き、1線に乗り継いでペンシルバニア駅まで行く、またはその逆が必要でした。
しかしこれからは、ウエストサイドまで行かなくてもマンハッタンのイーストサイドからロングアイランド鉄道に直接乗れるようになったのです。1月25日のオープンは限定的なもので、完全にオープンしたのは2月27日です。
目次
JFK空港とのアクセスがリーズナブルに
GCM駅開業の恩恵を受けるのは、イーストサイドで働くロングアイランド在住者だけではありません。GCM駅からエアトレインが発着するクイーンズのジャマイカ駅までの路線が開通したことで、マンハッタンのイーストサイドからジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)へ、あるいはその逆方向へのアクセスが便利でお手頃になりました。旅行者にとっても嬉しいニュースです。
GCM駅からジャマイカ駅までオフピークだと5ドル(ピーク時は10.75ドル)。そして、ジャマイカ駅と各ターミナルを結ぶエアトレインが8ドル(メトロカードがないと9ドル)。合計最低13ドルでマンハッタンのイーストサイドからJFK空港まで行けるようになりました。タクシーやウーバー、リフトなどを利用すると、50~70ドル+チップが必要なのでそれに比べるとだいぶお得です。ペンステしかなかった頃は、イーストサイドからペンステまでの地下鉄代やバス代が必要でスーツケースなどの荷物があって公共交通機関の利用が難しい場合は、ペンステまでタクシーやウーバーに乗らなければなりませんでした。
新しい駅はできたものの、本当に便利になったのか
新しい駅ができてログアイランドやJFK空港へのアクセスが良くなったと、喜んでばかりもいられません。実は、この駅はグランドセントラル・ターミナルやグランドセントラルの地下鉄駅から歩くと結構遠いのです。地下15階に相当する深い場所に作られた駅に行くには、3つのエスカレーターを使わなければたどり着けませんが、縦の移動だけでなく横の移動も結構あるのです。
ある調査によると、GCM駅のロウアーレベルのプラットフォームから地下鉄4、5,6線のグランドセントラル駅のプラットフォームまで混雑していない状態の中歩いて行くのに11分20秒かかりましたが、地下鉄4、5、6線のグランドセントラル駅からS線(シャトル)でタイムズスクエア駅に行き、そこから1線でペンステまで行くのにかかった時間は13分で、2分も変わりませんでした。おまけに、ペンステに行く場合はS線や1線に乗っている時間、すなわち座っているか立っているだけの時間が含まれますが、GCM駅からだとエスカレーターで立ち止まっている時間以外、ずっと歩き続けての11分20秒です。
新しいGCM駅を利用するのが良いのか、今まで通りペンステまで地下鉄で行くのが良いのか、選択が難しいこところです。
グランドセントラル・ターミナルからグランドセントラル・マディソン駅まで歩いてみた
GCM駅オープンの数日後、実際にグランドセントラル・ターミナルからGCM駅まで歩いてみることにしました。グラセンの地下のダイニングコンコースに降り、112番プラットフォームの入口あたりにあるエスカレーターでもう1階地下に降ります。
地下に降りるとグランドセントラル・マディソンと書いた扉があったので、「ああ、ここが駅か。思ったより近くて便利だな」と思ったのですが、それは大間違いでした。
ここから長い通路を歩きます。通路に沿って店舗が複数ありますが、まだ完全オープン前だったのでオープンしていませんでした。完全オープン後は同駅内で25店舗が営業するようです。
ようやく駅付近にたどり着きましたが、プラットフォームに行くにはこの長い深いエスカレーターを降りなければなりません。しかし、かかとの高い靴でここまで歩いて下まで降りる元気はなくなったので、ここで終了。こんな急で長いエスカレーター。お酒を飲んで酔っ払った人が転んだらどうなるのだろうと少し心配になってしまいました。
完全オープン前のせいか、チケット売り場とカスタマーサービスは誰もおらずガラガラでした。
ニューヨークにゆかりの深い日本を代表するアーティスト、草間彌生さんの色鮮やかなモザイク壁画が通路の壁を彩っています。草間さんのほか、アメリカ人アーティストのキキ・スミスさんも同駅の壁画を手がけています。
帰りは違うルートを通ってみましたが、グランドセントラル・ターミナルの地下にこんなにも長い秘密の廊下のような通路が張り巡らされていることを初めて知りました。
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ナツコ・H
- 世界で活躍するジャズ奏者の夫のマネージメント、CD収録曲の作曲を手がける。NYの日系新聞でニュース記事執筆中。法律翻訳家。93年よりNY在住。