お雛様のふるさと、埼玉の2つの町のひな祭りイベント

こんにちは。冠ゆきです。

季節はめぐり、今年もまた春が訪れようとしています。春の日の代表的な行事といえば桃の節句=雛祭りが挙げられます。雛人形を飾るのは江戸時代に生まれた日本独特の習慣ですが、この雛人形の主な産地はどこか、皆さんはご存じでしょうか?

その答えは埼玉県。実に、国内生産量の半分近くを占めます。あなたのおうちのお雛様のふるさとも埼玉県かもしれませんね。

埼玉県の中でも人形の町として有名なのは、さいたま市岩槻(いわつき)区と、鴻巣(こうのす)市です。実はどちらも20年ほど前から、桃の節句の時期には、町を挙げての雛人形イベントを催しています。

今日はこの2つの町のイベントをご紹介しましょう。

目次

イベント1:岩槻まちかど雛めぐり

雛の廣榮
<雛の廣榮 矢作人形店2022年のディスプレイ(2023年は不参加)©Kanmuri Yuki>

2023年、岩槻では第20回「人形のまち岩槻 まちかど雛めぐり」を開催します。今年の開催時期は2月23日(木)~3月12日(日)。イベント期間中は、岩槻区の商店や飲食店、博物館や神社、銀行までもがお雛様を展示し、無料で鑑賞させてくれます。岩槻区には人形の店が数多ありますが、そちらもそれぞれ自慢のお雛様を公開します。

イベント詳細とお雛様が飾られている場所を記した地図は、主な展示場所にも置いてありますが、できれば駅前のスタンドで手に入れておきましょう。

丹過長谷川家見世蔵
<国登録有形文化財、丹過長谷川家見世蔵にもお雛様 ©Kanmuri Yuki>

今年のオープニングにはお雛さまパレードも開催予定です。また、期間中には、木目込みストラップ製作や、おひな様絵付け製作、子供の人形衣装着付け、お琴演奏など、さまざまな体験メニューも用意されています。詳しくは公式サイトをチェックしてみてください。

岩槻まちかど雛めぐり

  • 期間:2月23日(木)~3月12日(日) ※基本的に朝10時ごろから展示始まり
  • 参加費:無料 ※イベントによっては予約や参加費が必要なものも
  • 公式サイト:岩槻まちかど雛めぐり

雛人形が似合う町並み

岩槻は、鎌倉と奥州を結ぶ奥大道(後の日光御成道)が元荒川を渡る地点にあり、ここには鎌倉時代から町場が形成されていたと見られています。その後、室町時代には岩槻城が築かれ、城を中心とする城下町になりました。岩槻城は明治に入って廃城となりましたが、今も岩槻城址公園に残るお堀南端の遺構に、その片鱗を偲ぶことができますし、黒門、裏門なども残っています。

時の鐘
<寛文11年(1671)から置かれた「時の鐘」(現在のものは享保5年(1720)改鋳されたもの ©Kanmuri Yuki>

町を歩けばすぐわかるように、「諏訪小路」「天神小路」「裏小路」「大工町通り」など歴史を感じさせる通り名や、建造物が少なくありません。こういう町の面々が、このイベント中こぞってお雛様を披露するのですから、その華やかさは推して知るべし。町全体に溢れる歓迎ムードも温かです。

お雛様の頭(かしら)は何でできている?

ところで、伝統的なお雛さまの頭(かしら)は何でできているかご存じですか?時代からして木材?はい、その通りです。とはいっても木彫りなわけではありません。桐の粉と生麩糊(しょうふのり)を練った桐塑(とうそ)というものを型に入れ固めて作っているのです。

注意書き
<裏小路公園は注意書きもお雛様 ©Kanmuri Yuki>

昔このあたりには桐が多く植生しており、桐箪笥の製作などが盛んでした。そのため、岩槻は桐のおがくずを手に入れるのに苦労のない土地だったのです。今はもう岩槻には見当たりませんが、実は、すぐ隣の春日部市は今でも桐箪笥を特産品としています。

一方17世紀には、日光東照宮の大規模な造営に江戸から多くの職人たちが足を運びました。日光御成道の宿場町だった岩槻にも多くの職人が足を留めたはずです。一説によれば、そうした職人らによって、桐塑をつかった雛人形の頭(かしら)作りが確立したといいます。実際、桃の節句にお雛様を飾るようになったのは、江戸時代以降のことです。

お雛様
<遷喬館に飾られた大正時代のお雛様 ©Kanmuri Yuki>

岩槻の人形生産の歴史や、人形作りの工程については、岩槻人形博物館に詳しい展示がされています。同博物館でも、まちかど雛めぐりに合わせた企画展やワークショップが開催されます。

岩槻人形博物館

  • 開館時間:9:00~17:00(最終入館は16:30)
  • 休館日:月曜日(休日の場合は開館)、年末年始
  • 入館料:一般300円、高校生・大学生・65歳以上150円、小・中学生100円(団体割引あり、特別展などにより変動)
  • 2023年1月28日(土)~3月19日(日)は、企画展「描かれた雛祭り」開催中。※この企画展中、着物で来館した人は入館料無料
  • 公式サイト:さいたま市岩槻人形博物館

雛人形だけでない岩槻のスポット3選

どのスポットも岩槻駅東口から徒歩で回れる距離にあるので、個人的には、地図を片手に気ままな散策が一番のおすすめです。ただ、それでは記事にならないので、敢えて雛人形以外にも見るもののあるスポットを3つ挙げておきましょう。

1. 岩槻藩遷喬館(せんきょうかん)

岩槻遷喬館
<岩槻遷喬館 ©Kanmuri Yuki>

遷喬館(せんきょうかん)は、岩槻藩に仕えていた儒者、児玉南柯(こだまなんか)が1799年に開いた私塾です。解体修理と復原工事を経てたたずむ建物は、それだけでも一見の価値がありますが、雛めぐりの時期には、こちらの座敷にもお雛様が飾られます。

  • 開館時間:9:00~16:30
  • 休館日:月曜日(休日を除く)、休日の翌日(土・日・祝を除く)、年末年始
  • 入館料:無料
  • 公式サイト:岩槻藩遷喬館

2. さいたま市岩槻郷土資料館

岩槻郷土資料館もまた、ユニークな建造物です。1930年(昭和5年)警察署として建てられたとあり、ほとんど装飾のないつくりですが、よく見れば、窓や庇、階段の手すりなどにアールデコの片鱗がうかがえます。こちらにも、雛めぐりの時期には古いお雛様が展示されます。トイレの男女イラスト表示がお雛様というのも人形の町ならではです。

さいたま市岩槻郷土資料館
<郷土資料館階段部にもお雛様 ©Kanmuri Yuki>

  • 開館時間:9:00~16:30
  • 休館日:月曜日(休日を除く)、休日の翌日(土・日・祝を除く)、年末年始
  • 入館料:無料
  • 公式サイト:さいたま市岩槻郷土資料館

3. 八雲神社

岩槻郷土資料館のすぐ近くにある八雲神社が、現在地に移築されたのは1884年(明治17年)のことです。元は、室町時代1560年ごろ、岩槻城太田氏の家臣である勝田氏が、市(いち)の守護神として建設したもので、素戔嗚尊(スサノオノミコト)を祀っています。お雛様からは離れますが、この八雲神社まで来たら、総ケヤキ造り御本殿の彫刻を必ず鑑賞しましょう。

壁面には、おどろおどろしい迫力のあるヤマタノオロチ、その退治に乗り出すスサノオノミコトの躍動感あふれる姿、長い髪と巻物のお経を強風にたなびかせる櫛名田姫命(クシナダヒメノミコト)などが、緻密に刻まれていて、息をのむほどの臨場感を放っています。お雛様は、この本殿横の自治会館にも飾られます。

八雲神社
<御本殿横の自治会館に飾られたお雛さま ©Kanmuri Yuki>

もうひとつの人形のふるさと、鴻巣(こうのす)

同じ埼玉県の岩槻よりも北西、中山道の宿場町であった鴻巣もまた、人形製作約380年の歴史を持つ町です。鴻巣に雛人形製作の技術がどこから来たのかには諸説ありますが、鴻巣がかつて桐製品の産地だったことと、おそらく無関係ではないでしょう。

鴻巣雛
<稀少な鴻巣雛 ©Kanmuri Yuki>

鴻巣市は、特に文化文政期(1804~1830年)のころ盛んに作られた「鴻巣雛」のふるさととして有名です。鴻巣雛は、さまざまな小道具を前に配したひとり立ちの人形が黒塗りの台に乗っているもので、現存する数は100点前後と見積もられる今では稀少な人形です。

イベント2: 鴻巣びっくりひな祭り

「鴻巣びっくりひな祭り」は、今年2023年が19回目となる開催で、一番のメインは、日本一高いピラミッドひな壇です。高さ7m31段あるひな壇に所狭しとお雛様が飾られた様子は、見るだけで気持ちを盛り立ててくれる艶やかさ。場所はJR鴻巣駅前のエルミこうのすショッピングモール1階です。

ピラミッドひな壇
<2022年のピラミッドひな壇には1,582体のお雛様が飾られました ©Kanmuri Yuki>

  • 場所:エルミこうのすショッピングモール 1階セントラルコート
  • 展示期間:2月17日(金)~3月4日(土)
  • 展示時間:10:00~21:00(最終日は15:30まで)
  • 観覧料:無料

マンホール
<マンホールにもお雛様 ©Kanmuri Yuki>

そのほか市内5か所に点在するサテライト会場でもお雛様の展示(9:00~17:00)を行います。詳しくは公式サイトをご覧ください。

>>鴻巣びっくりひな祭りの公式サイトはこちら

旧中山道沿いに建つ「ひなの里」

サテライト会場のうち、特に外せないのは、鴻巣市産業観光館「ひなの里」です。鴻巣駅から徒歩15分ほどで行ける距離です。

鴻巣市産業観光館
<鴻巣市産業観光館はトイレの表示もお雛様! ©Kanmuri Yuki>

こちらの産業観光館の展示室には、古いものから新しいものまでさまざまなひな人形が年表に沿って展示されており、さながらミニ博物館!

上述の稀少な鴻巣雛や、享保雛、古今雛、また同市の伝統玩具である赤物なども見ることができます。ちなみに、赤物もまた桐のおがくずを利用して作られており、その製作技術は、2011年に国の重要無形民俗文化財の指定を受けました。

蔵いっぱいのお雛様

「ひなの里」の蔵
<「ひなの里」の蔵 ©Kanmuri Yuki>

産業観光館の敷地には、明治期に建てられた蔵が残っています。「鴻巣びっくりひな祭り」の間は、この蔵にも多種多様なお雛様が飾られます。質素な裃雛(かみしもびな)から、吊り雛、押絵雛、などなど。私はここで初めて、新生児の大きさがある一番親王を見ました。ちなみに、雛人形のサイズは二番、三番と番号が大きくなるほど小さくなり、通常使われる大きさは九番以上だそうです。

「ひなの里」の蔵
<艶やかな蔵内展示一部 ©Kanmuri Yuki>

鴻巣市産業観光館「ひなの里」

なお、鴻巣市の旧中山道沿いには、歴史ある史跡や神社仏閣も豊富です。そちらも同時に回られたい方にはお車の利用をおすすめします。

さあ、今年の春はお雛様のふるさとである埼玉を訪れてみませんか?

関連記事

埼玉」に興味わいてきた?あなたにおすすめの『埼玉』旅行はこちら

※外部サイトに遷移します

Related postこの記事に関連する記事

Ranking埼玉記事ランキング

ランキングをもっと見る

この記事に関連するエリア

この記事に関連するタグ

プロフィール画像

冠ゆき

山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。

Pick upピックアップ特集

全国の動物園&水族館 徹底取材レポート特集!デートや家族のおでかけなど是非参考にしてみてください♪

特集をもっと見る

たびこふれメールマガジン「たびとどけ」
たびこふれサロン

たびこふれ公式アカウント
旬な情報を更新中!