北の港の風物詩! ディエップのニシン・ホタテ祭り

ニシンを焼く人

こんにちは。フランスに在住している原田さゆりです。

晩秋から真冬にかけて、フランスの北の港町ではニシン漁が真っ盛り。この季節に大漁となるニシンは、栄養たっぷりで美味しいだけでなく、お値段的にも庶民の味方。でも、その歴史を紐解いてみると、数々の北の港町の歴史を作ってきた王様のような魚なのです。一方、年末年始の華やかな食卓のスターはホタテ貝!漁期が制限されているホタテは、レストランでも大人気。

そんな冬のグルメ食材、ニシンとホタテが主役となる、港町ディエップのお祭りをご案内します。

目次

北ヨーロッパの伝統食

ヨーロッパの歴史において、ニシンは、北の港町の歴史を作ったといっても過言ではない魚です。冷水域の大西洋沿岸では、ニシン漁によって、数々の港町が生まれ繁栄し、時には戦争が繰り広げられたりしたのです。

ニシン

ニシンをよく食する国といえば、北ヨーロッパ。ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、オランダ、ベルギーでは国民食で、私の住むフランス北部でも馴染深い魚。ニシン漁が始まる晩秋には、イギリス海峡海岸沿いのあちこちの港町でニシン祭りが開催されます。

ニシン祭り

今回ご紹介するディエップのニシン・ホタテ祭り(La Foire aux Harengs et à la coquille Saint-Jacques)は、2022年で52回目という伝統あるフェスティバル。毎年11月の第3週末に開催されるこの催しの素晴らしいところは、街ぐるみの大イベントであること。漁業関係者やレストランはもちろん、アニメーションや移動遊園地、マルシェや蚤の市も同時開催される楽しく活気のある2日間なのです。

それでは、もくもくと魚が焼ける煙が渦巻く会場を訪ねてみましょう!

会場を散策

港

ディエップは、パリのサンラザール駅から電車で約2時間半で到着する、比較的大きな港町。お祭り日は、街に到着すると、まずは魚が焼ける匂いがお出迎え。港を横目に見ながら会場へ向かう途中道にも、スタンドで新鮮な魚が売られています。

魚屋

魚市場に水揚げされたばかりの新鮮なニシンは、20匹10ユーロ。大量にとれるが傷みやすい破格値段のニシンを、地元民らしき人が大量購入中。 一般家庭で保存する場合は、冷凍か、油漬け、酢漬けが一般的です。

キッパー

北欧や英国でお馴染みのニシンの燻製キッパー、1枚3ユーロ。

ホタテ貝

ホタテ貝は、殻を外したもの1kg 36ユーロ。

前菜としてカルパッチョ、主菜はクリームソースが一般的。でも、想像力を駆使して、素敵な創作料理を作るのも、料理人の腕の見せどころの食材です。

広場

この小さな広場の先が、レストランが立ち並ぶメインストリート。通りと並行して、マルシェ風に衣類や雑貨、お酒やお菓子など、さまざまなお店も並びます。移動式遊園地は子供や若者に人気で、お祭り気分を盛り上げてくれます。

煙中のレストラン

レストラン通り

メインのレストラン通りでは、各レストランが軒並みグリルを設置して、焼きたてのニシンやホタテを提供しているのが、ディエップのお祭りの凄いところ。目にはゴーグル、手にはヘラ、これぞ港町料理人の心意気!よく観察すると、大胆な人、丁寧な人、焼き方にも個性が見えて面白い。

レストラン

こんなユニークなデコレーションで、注目を集めるお店も。

レストランメニュー

ニシンが主役の定番のレストランメニューをご紹介しましょう。

14,50ユーロのコースは、焼きニシン二匹、茹でジャガイモ、小葱入りクリームソース。チーズ又はりんごのタルトを選択。

22,50ユーロのコースは、上記にホタテ貝の串焼きが追加。

持ち帰り価格は、焼きニシン1匹1.5ユーロ、5匹6ユーロ。ニシンのマリネは、4匹6ユーロ。会場で味わう人も、自宅で食べる人も、また巡ってきた季節を感じ、海の恵みに感謝する幸福な食卓となることでしょう。

漁船の帰港

帰港

会場を後にした夕刻には、漁船の帰港に遭遇しました。美しい港町の日常風景。別の漁船では、ホタテ貝を陸に移す作業が行われていました。その様子は、こちらのビデオでご覧下さい。

ディエップの街とのお別れは海鳥の鳴声を聴きながら。港町って本当に素敵だな。冬場の太陽は瞬く間に沈んで、帰宅は真っ暗となりました。

さいごに〜魔女の宅急便のお話

都会育ちの私のニシンに関する記憶といえば、ジブリ映画「魔女の宅急便」のエピソード。

魔女の配達店を始めたばかりのキキが、老婦人に手作りのニシンパイを孫娘のパーティーに配達する依頼を受け悪天候の中苦労して届けたのだけれど 、孫娘は「これ嫌いなのよね」と渋々受け取るシーン。

港

モデルはスウェーデンの町だそうですが、現在の私はどちらの気持ちもリアルに分かるようになりましたよ。強い匂いと独特の味のニシンは大漁で腐りやすい。歴史を知るおばあちゃんには、工夫を重ねた自慢の料理なんだろうな。でも孫世代にとっては「またこれ?臭うじゃん!」って感じなんだろうな。

現在もきっと、あちこちの家庭で似たような風景が繰り広げられている。でも多分、歳を重ねる毎にだんだんニシンが恋しくなってゆくのだ、、、

海の幸をめぐる北の港町の旅、お楽しみいただけましたか?寒さの厳しい季節、皆さまも、栄養のある食事をお心がけくださいね。

ではまた、次の旅路でお会いできることを楽しみにしています。お元気で!

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原田さゆり

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