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都心から1時間で無人島へタイムスリップ! 横須賀猿島へ行ってきた
猿島は神奈川県横須賀市沖に浮かぶ無人島で、東京湾最大の自然島です。都心から電車に乗って1時間ほどでアプローチが出来るために年間約12万人[*1]が訪れる人気スポットです。
猿島への小旅行は三笠桟橋から約10分の船旅が上陸前からの気分を盛り上げてくれ、上陸後は幕末から第二次世界大戦終了まで使われていたレンガ積みのトンネルや砲台跡などの旧軍施設と、戦後80年近く経って成長した木々の枝や蔦等とが絡み合う非日常的な風景にタイムトリップしているような錯覚を覚えます。
そんな自然と遺構が混在する風景をレポートしたいと思います。最後までお付き合いよろしくお願いいたします。
[*1]神奈川県 令和3年入込観光客調査 より
目次
猿島への行き方
<三笠公園 東郷平八郎像>
猿島へは、京急横須賀中央駅から1kmほど歩いたところにある三笠公園に隣接する三笠桟橋から猿島航路を利用します。三笠桟橋から猿島までは片道10分ほどの船旅です。
猿島航路と猿島公園の入園料がセットになったチケットを桟橋手前の三笠ターミナル/猿島ビジターセンターで購入します。自家用車を利用して行く場合は周辺の有料駐車場を利用します。
<猿島航路の船>
<猿島を望む>
<横須賀の街並みと富士山(赤い矢印)>
猿島上陸から切通まで
猿島に上陸して桟橋を進むと無人島猿島で唯一のテイクアウトレストラン「Oceans Kichen」と海を眺められるウッドデッキがあります。この周辺のわかりやすい場所に帰りの船の時刻表が掲示されてますので、これを確認してから島内探検に出かけましょう。またこのエリア以外にはトイレがありませんから上陸後はすぐにお手洗いを済ませておくのがいいと思います。
では、島内探検に出発です。
少し急な坂を上って行くと石垣に不規則な傷が見えてきます。第二次世界大戦終戦後に連合軍のイギリスが接収のため猿島に上陸してきましたが、この時にイギリス兵が日本兵の潜伏を恐れて小銃で威嚇射撃した痕といわれています。
上り坂の先の曲がり角を曲がるとこんな風景が飛び込んできます。
ガイドさんが同行するツアーだと「下を向いたまま歩いてくださいね」なんて言われて、「はい、では上を向いてください」と言われると突然目の前に現れる風景です。これまでの日常の風景から突然の変わりように度肝を抜かれる思いです。
石垣は三浦半島対岸の房総半島鋸山から切り出された房州石だそうで、反対側は明治時代に積まれたレンガの壁に挟まれた切通を進みます。
いきなりタイムトリップ 静かに佇む遺構と対面
切通しに入ってすぐ右手に兵舎の入り口があります。明治17(1884)年に造られたそうです。
特別に許可[*2]をいただき中に入れてもらいました。兵舎は地下壕になっていて冬暖かく夏涼しいそうです。漆喰が厚く塗られています。白色は明るさの確保で、湿度をコントロールする役目もあったようです。
[*2]横須賀市の管理者の同行のもとで入室しました。また鍵を預かっている認定ガイドによるツアーでも内部に入ることができます。
こちらは弾薬庫です。この地下壕は正確には砲側弾薬庫と呼ばれ、壕の上方に据えてあったカノン砲と呼ばれる巨大な大砲の弾丸を一時保管する部屋だったそうです。
弾薬庫は小窓がありませんでした。電気の通じていない頃は火を持ち込めないために隣に細い通路のような部屋から窓越し(赤い矢印)に蝋燭で明かりを内部へ照らす仕組みになっていました。
空に向かって縦に煙突のような穴がありました。弾丸を砲台へあげるための装置があったようです。
切通の通路を挟んで反対側にトイレの跡がありました。現代のトイレとは異なる形ですね。
通称愛のトンネルと呼ばれるレンガ積みのトンネルです。
トンネルの内部に高低差があるために入り口から出口が見えないようになっていて、灯りがないと薄暗いために恋人たちは自然と手を握るようになるから愛のトンネルと言われるようになったそうです。
※現在は内部に照明が備え付けられていて暗闇ということはありません。
高角砲台跡です。
明治時代に造られた砲台は大正12(1923)年に発生した関東大震災で被災し敵艦船の東京湾侵入を防ぐ機能を失いましたが、昭和に入ってから対航防衛に移り8cm高角砲が設置されました。
この砲台が現役だったころはもっと眺めがよかったのでしょうね。鬱蒼とした自然林の中に砲台跡が静かに語りかけるように鎮座していました。時の流れを感じます。
<かつての少年少女は知っている!? ショッカーの基地>
猿島の最高部約39mの頂上にある展望広場にコンクリートの建物がありました。昭和時代の海軍防空指揮所です。
昭和46(1971)年に放映されたTV番組「仮面ライダー」で藤岡弘さんが出演した初代ライダーの敵であるショッカーの基地がこのコンクリートの建物だったのです。
リアルタイムで仮面ライダー1号の活躍を胸震わせ心躍らせ見ていた私は、「これがショッカーのアジトだったんですよ」と言われた瞬間、頭の中はあの鮮烈な主題歌のイントロが流れていました(笑)
短いタイムトリップの終わりは
さて、そんな時間旅行の終わりはショッカーの基地から後ろを振り返えると展望広場から見える本土側の景色で現実に戻ります。
目の前の海を隔てたところには、アメリカ海軍基地の風景が広がっていました。約236ha(県資料)の広さを持つ基地には約2万人の米軍人やその家族や関係者が居住しているそうです。236haは猿島のなんと約42倍の広さで、猿島は横浜スタジアムのグラウンド4面分の広さだそうです。
ここまで駆け足で回って1時間です。もうちょっとじっくり見たかったなあと後ろ髪をひかれつつ、再び猿島航路の船上の人となり帰路につきました。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
横須賀はこれまで何度かレポートしてきましたが、けっこう面白いところがたくさんあります。猿島はそのひとつにしかすぎませんが何度もリピートしてしまいそうな魅力があります。横須賀市内には歴史の教科書に出てくるような人物、地名や史跡がたくさんあります。幕末から明治維新にかけての歴史小説を読んでいると単なる遺構や〇〇跡が自分だけのVR映像として見えてくる気がするほどです。
そこを歩いて、何かに触れて、見て、聞いて、イメージを膨らませる旅って楽しいですね。また横須賀に行ってきます、そんな気分で気軽に行ける横須賀の旅でした。
ちなみに猿島では手ぶらで出かけてBBQが出来たり、横須賀地ビールが味わえますよ。皆さんも春になって暖かくなったらぜひ、猿島へお出かけください。
また、2023年1月10日(火)〜2月28日(火)は、三笠桟橋の集中工事に伴い猿島航路は運休となっております。ご注意ください。
猿島の基本情報
- 住所:神奈川県横須賀市猿島
- 公式サイト:無人島猿島
- 関連サイト:猿島公園専門ガイド協会
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えいた
- 旅の臨場感が届けばうれしいです