<栃木県・外池酒造>陶芸で有名な益子町で、清らかな日本酒と出会う

昔の外池酒造店の写真

こんにちは! たびこふれ編集部のシンジーノです。

日本酒で有名な県といえば、新潟、京都(伏見)、兵庫(灘)などでしょう。

最近では、秋田、山形、福島、三重県なども日本酒の美味しい地域として全国区になってきたように思います。

では北関東は栃木県の日本酒というと、どんなイメージでしょうか?

ちなみに私は大の日本酒党で、美味しい日本酒と聞くと、いても立ってもいられなくなる口です。日々、行きつけの「日本酒バル 地酒屋「蔵」」で、全国の美味しい日本酒をあれやこれやと味わっています。

【関連記事】あなた好みの日本酒を見つけられるかも?日本酒バル・地酒屋「蔵」in 板橋大山

しかり栃木県の日本酒というと・・・これという銘柄が浮かびません。全国的には栃木県は、有名な日本酒処と認知されていないのではないでしょうか。

が、しかし!

今回、年間800石という小さな蔵で、昔ながらの手作りでレベルの高い日本酒を造っている外池(とのいけ)酒造店との出会いがありました。

この外池酒造店が、実はすごい酒蔵だったのです。


外池酒造店
<歴史を感じさせる外池酒造店の外観>

目次

外池酒造店とは

創業は1937年(昭和12年)。

  • 全国新酒鑑評会8回連続金賞
  • IWC(イギリス)
  • KURA MASTER(フランス)

など国内外のコンテストにて40以上ものタイトルを受賞し、2019年度の世界酒蔵ランキングで堂々4位を受賞している酒蔵です。

外池酒造店

外池酒造店

黒を基調とした、シックで落ち着いた硬派なイメージの酒蔵です。

外池茂樹社長
<外池酒造店 3代目蔵元 外池茂樹社長>

外池酒造店の酒造りのコンセプトは「和醸良酒」

その意味は「和の心は良い酒を醸し、良酒は和の心を醸す」

酒造りに携わる皆の心がひとつになり、良酒が造りだされる。良酒は米作り農家 酒販店 飲食店 飲んでくださる人々の縁を深め、人間関係を丸くして和を醸す。という意味が込められています。

燦爛
<外池酒造店の基幹銘柄「燦爛(さんらん)」>

燦爛とは「光り輝く」という意味で、ひとりひとりが豊かで生き生きと光り輝いていただきたいという思いから命名されました。

日本酒で一番大事なモノ

日本酒造りで大事なのは「水」と「米」です。栃木県は米どころで、日光連山の伏流水が豊富な土地で、良い水と米が揃っています。

日本酒造りの土壌としてはぴったりの土地なのです。

外池酒造には、敷地内に3か所も井戸があり、その井戸水を使って日本酒を醸しています。

杜氏の小野 誠さんは、以前他の酒蔵で働いていましたが、外池酒造店で働いて「こんなに水に恵まれた酒蔵でお酒造りができるなんて」と感動したそうです。

日本酒造りにおける米磨き競争

雑味のない日本酒を造るために、米を削って(磨いて)お酒を造るというやり方はどこの酒蔵でも一般的に行われています。

通常のお酒は精米歩合60%(米粒の40%を削っているということ)くらいで、日本酒の品評会に出すようなお酒は、なんと精米歩合30%(なんと米の70%も削る)という酒蔵もあります。

米を削るということは、削った米(粉)はお酒にはならないということです。その削った後の米粉はどうなるのでしょうか?

例えば日本酒処である新潟県は、せんべいやおかきを作る米菓製造が盛んなので、米菓会社に米粉を卸して無駄なく活かしています。

しかし米菓造りが盛んではない県の酒蔵では、削った米粉は使い道がなく、例えば家畜の餌として処分してしまったりしているそうです。

もちろん家畜の餌が悪いということではありませんが、米農家が手塩にかけて作ったお米がそういう使われ方をされている、と聞くとなにか悲しいですね。

外池酒造でも精米度の高いお酒も造っていますが、削り取った米粉は無駄にせず、焼酎を造っているそうです。(この焼酎「益子の炎」がまたさらりとして美味しいのです)

外池酒造店の日本酒の特徴

外池酒造店の日本酒をひとことで言い表すと「きれいなお酒」と感じました。

その他に実際に飲んでみた印象を書きだしてみると以下の通りです。

  • 柔らかい飲み口(日光連山の伏流水のおかげ)
  • 雑味がなく後味のキレがいい、清らかなお酒
  • 米の旨みをしっかり感じられる
  • 適度な酸味がある

全体的に主張しすぎず、料理のじゃまをしない、軽やかでさっぱりした印象のお酒です。

外池社長は仰います。

「うちは年間800石の小さな酒蔵です。酒造りのほとんどが昔ながらの手作りです。手間はかかりますが、しかし少量で作る良さもあるんですよ。日本酒は生き物です。同じように造っても品質は均等にはならない。大きなタンクで大量に造ると均一でない酒が混じりあって雑味が出ることもあります。うちは小さいタンクでひとつづつ手間をかけて作っているので雑味の少ない酒造りができるんです。」

外池酒造店の酒造りの姿勢

外池社長の言葉は続きます。

「うちはチームで酒を造っています。職人ひとりひとりがプライドを持って真摯に酒を造っている。例えば「タンクを洗っておけ」と言われて、どういう洗い方をするか。うちには言われたことだけをやる職人はいません。」

実際に酒蔵を見学させていただきましたが、職人さんたちはみな礼儀正しく、かといって厳しく管理されているような感じでもなく、酒蔵の雰囲気がとても良いと感じました。

酒蔵見学コース
<酒蔵見学コース>

昔の外池酒造店の写真
<昔の外池酒造店の写真>

イラスト

酒造りの流れがイラスト1枚で表現されており、スムーズに理解できました。

宮田店長

日本酒が大好きで外池酒造店に入社したという宮田店長が丁寧に酒蔵内を説明してくださいました。酒蔵見学は無料ですが、訪れる際には必ず事前に連絡を入れてください。

>>外池酒造店の公式サイトはこちら。スタッフのみなさんの笑顔がとっても素敵です。

外池酒造の日本酒試飲してみた!

では、いよいよ外池酒造店のお酒を試飲してみました。会場は築200年以上の日本家屋です。

日本家屋

こちらの母屋で試飲させていただきました。

母屋

「大吟醸 山田錦」「純米吟醸 無濾過生原酒 雪さんらん」「山廃純米」

今回試飲したのは、「大吟醸 山田錦」「純米吟醸 無濾過生原酒 雪さんらん」「山廃純米」の3種です。

外池社長の解説

外池社長の解説付きでおすすめのお酒をいただきます。

大吟醸「山田錦」

大吟醸

この3本の中で一番上等なお酒です。 3,575円(720ml)。風貌からもわかりますね。金色に輝いています。

さすが大吟醸!というお酒です。メロンのような上品で華やかな香り、濃醇で深みある味わい。吟醸酒なので甘めですが、かといって甘すぎず、キレがよくてすっきりした後味です。

他の蔵で大吟醸というと香りが強すぎるお酒もありますが、このお酒はとてもバランスが良い、まさに清らかなお酒です。ワイングラスで飲むのがおすすめ。

外池社長と初めてお会いした時、薦められたのが、この大吟醸にいちごを合わせる飲み方です。

これはお世辞でなく本当にベストマッチングでした。互いが引き立てあって得も言われぬマリアージュを生み出しています。私は正直香りが強めの大吟醸は得意ではなく、またフルーツと組み合わせると聞いて、ちょっとデザートっぽい甘い味を思い浮かべたのですが、バランスの良い大吟醸とジューシーで適度に酸味のあるいちごってこんなに合うんだ~と生まれて初めての味に感動しました。

いちご以外にもマリネなどのさっぱりした酸味ある料理ともぴったりだそうです。日本酒が苦手な人にもぜひ飲んでいただきたい上質のお酒です。

【大吟醸「山田錦」の受賞歴】

  • 2022年 internatonal wine challenge SILVER賞 受賞
  • 関東信越国税局酒類鑑評会 優秀賞 受賞
  • 栃木県清酒鑑評会県知事賞 受賞

純米吟醸 無濾過生原酒 雪さんらん

続いて2本目はこちら。この時期ならではの季節のお酒です。

雪さんらん

無濾過生原酒というと、どっしりと芳醇でアルコール度数も高く、日本酒が苦手な方にはハードルが高いお酒です。

しかしこの「雪さんらん」には無濾過生原酒にありがちな重たさを感じませんでした。

アルコール度も16度と高めなのですが、それを感じさせないフレッシュ&フルーティーなお酒でした。

少し発泡感もあり、まさに初しぼりならではのフレッシュさが際立ちます。さらに微かな苦みが味に奥行きを加え深みが増しています。

グラスにツツーッと張りつきながら流れる、ねっとりしたお酒の膜から生原酒らしい濃醇さが伝わります。このお酒もとっても気に入りました。

しかもお値段も1,760円(720ml))と純米吟醸 無濾過生原酒とは思えないリーズナブルさです。

山廃純米 

山廃純米

さて、最後は「山廃純米」です。

山廃造りとは、昔ながらの製法で造られたお酒です。作るのに手間と時間がかかり、一定の品質を保つのが難しいお酒。酒蔵の信念と姿勢が問われるお酒と言えるでしょう。

>>山廃造りとは?

山廃造りの日本酒の特徴は、

  • 複雑で奥深い味わい、
  • 酸味がある辛口でキレがよい

吟醸酒に比べ、香りは少なめですが、しっかりコクがあり、燗をつけても負けない、晩酌にぴったりの飲み飽きない食中酒です。

日本酒好きが好むお酒と言えるでしょう。1,450円(720ml)

【山廃純米の受賞歴】

  • 全日本酒歓評会金賞 受賞(2019年)
  • LONDON SAKE CHALLENGE SILVER賞 受賞

これら上質の日本酒に合わせるおつまみはいちご以外にこれらの逸品をご用意いただきました。

ごぼう、きゃらぶき、豆腐の燻製
<ごぼう、きゃらぶき、豆腐の燻製>

湯葉の佃煮、ピクルス
<湯葉の佃煮、ピクルス>

外池酒造店の売店、試飲コーナー

売店、試飲コーナー

外池酒造の売店に入ってすぐのところに、季節酒の純米吟醸 雪さんらん(試飲したお酒)がずらっと並んでいました。

売店、試飲コーナー

売店の奥には、立ち飲みスタイルの試飲コーナーがあります。無料試飲(2種類程度)もありますし、高いランクのお酒の試飲(有料)も出来ます。

メニュー

益子といえば、益子焼が有名です。

益子焼の歴史は今を遡ること150年。江戸時代末期から生活雑貨としての手軽な焼き物が愛されてきました。益子焼は作風も自由で厳格な縛りはないそうです。ですから備前焼や萩焼きなど、作品を見てすぐ「あ~これは●●焼きだ」と判別できる焼き物と違い、バリエーションが豊富です。作家は自分らしくオリジナリティ溢れる作品造りに専念できます。

メニュー

益子焼のぐい呑みで試飲することもできます。まさに焼き物の町、益子ならではの楽しみ方ですね。

益子焼

ぐい吞み

益子焼のぐい飲みを買うこともできます。

益子の人の気質とは

益子の人たちの気質を訊いてみたところ、外池社長は次のように仰いました。

  • 外からの人をオープンに受け入れる人が多い
  • 益子焼の作家は外から移り住んできた人も多い
  • 益子人の性格としてはおっとりしている
  • 新しいことをやろうとしている人にブレーキをかけない風土で閉鎖的でない
  • 芸術家が多く、サラリーマンっぽくない人も多い
  • そもそも益子は天領で豊かな土地だった


私も感じました、「益子は、町に漂っている空気感がいい」と。

3か条

最後に

コロナ禍に関わらず、日本酒業界は苦境が続いています。

日本酒の消費量は最盛期の1/3にまで激減しているそうです。酒蔵を運営するには大変な手間と時間と人手を要する為、廃業する酒蔵が日本中に後を絶ちません。

しかし、日本酒造りに情熱を燃やし、良い酒を造り継いでくれている方々がいるおかげで、今、日本酒の「お酒としての質(レベル)」は、日本酒史上最高ともいえる高さを体現しているそうです。それは日本で日本酒を飲む人が減っても、フランスやアメリカなど海外で日本酒が高く評価されていることからもわかるでしょう。

日本酒と言えば、悪酔いする、太る、おやじが飲む酒、といった前近代的な誤った認識が未だにまかり通っていますが、今回の大吟醸といちごなど、日本酒の常識を覆す組み合わせなどがもっと出てきたら、日本酒が見直されるのではないかと思います。

日本酒の原料は「米」と「水」です。変な添加物が入れられたお酒より遥かに体に良いのです(もちろん飲みすぎなければ、ですが)

いえ、体に良い悪いだけの話ではなく、日本酒と料理はお互いが引き立てあってお互いの味を高めあうという相乗効果こそが秀逸な点なのです。

酔うための飲み物ではなく、料理をさらに美味しくいただくための並走ランナーともいえるでしょう。

食事をさらに楽しむためのエッセンスとして日本酒の魅力をもっと知ってほしいと思いました。

益子は日本の原風景ともいえる里山が残っているとても穏やかで落ちつく町です。ぜひあなたも癒しの里「益子町」へ訪れてみてください。

そして外池酒造店で昔ながらの酒造りを造り続けている人たちに会ってみてください。飲んでみてください。

これまで知らなかった日本酒の世界への扉となるかもしれません。

→ご自宅で外池酒造店のお酒を味わってみたいという方はこちらをご覧ください。

>>限定飲み比べセット「日本酒5本(300ml)+益子焼ぐい呑み2個」・・・お試しにおすすめ

>>限定純米酒2本セット(山廃純米720ml+②辛口純米720ml+益子焼の徳利・ぐい呑み) 

>>燦爛(さんらん) 大吟醸「全国新酒鑑評会金賞受賞酒(令和4年)」8回連続金賞の逸品酒!                

>>外池酒造店の公式サイトはこちら

外池酒造店より耳より情報(利き酒体験プラン)

外池酒造店では、「益子・土のガストロノミー体験プログラム」として、酒蔵見学と世界の金賞受賞酒を益子焼ぐいのみで利き酒体験を企画しています。

益子・土のガストロノミーとは?

益子町の「土」から生まれる器や地産品を、食を中心に益子町の風土・歴史・文化・暮らしを学び体験。

日本遺産「かさましこ~兄弟産地が紡ぐ"焼き物語」ストーリーの理解につながる、益子町ならではのガストロノミーツーリズムです。

益子・土のガストロノミー

地酒蔵元の見学と益子の土から生まれる米でつくった地酒の利き酒体験

益子・土のガストロノミー

歴史を感じる展示物が並ぶ、情緒溢れる昔ながらの貯蔵蔵を改装した酒蔵資料館をスタッフがご案内。そして、築200年を超える蔵元の母屋の座敷で味わう利き酒体験。フランス、アメリカ、イギリス、イタリアの各国や国内で数々受賞の銘酒「燦爛」。希少な金賞受賞酒を益子焼のぐいのみで利き酒を楽しみます。お酒に合う地元産のおつまみとのペアリングは、その美味しさにびっくりします。

※下記内容・料金確認要

【体験プラグラム概要】

  • 要予約 :2日前までにお申し込みください。予約電話0285-72-0001
  • 料金:お一人様 3,000円~
  • 人数:1~10名様 11名様以上の場合はご相談ください。
  • 見学開始時間: 要相談。(所要時間:約30~90分)

※年中無休(年末年始など繁忙期は休止する場合が有ります)
※20歳未満のお客様には試飲は提供致しません。
※他のお客様との密集を避けるため、お時間の変更をお願いする場合が有ります。
※キャンセルの場合は事前に必ずご連絡ください。
※新型コロナウイルス感染防止対策へのご協力をお願いします。

【お客様へお願い】

・マスクを着用してのご参加をお願いいたします。
・ご参加時には、 手指のアルコール消毒をお願いいたします。
・検温へのご協力をお願いいたします。
・発熱や体調のすぐれない方のご参加はご遠慮願います。

店内

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シンジーノ

3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。

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