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「フランスの最も美しい村」 渓谷の修道院 べック・エルアン
深まる秋の景色を求めて、北西フランスの森林地帯にあるべック・エルアン村を訪ねました。ノルマンディー地方の首都ルーアンの南西約45kmに位置するこの村は、車でないとアクセスしにくい森林地域の渓谷にありますが、 「フランスの最も美しい村」に登録されている美しい場所。大自然の中にひっそりとたたずむ、静粛な修道院と可愛らしい木枠の民家が建ち並ぶ、小さな村をご紹介します。
目次
村の歴史
ベック・エルアン村の起源は、1035年。ブリオンヌ伯爵であった騎士エルアンが、ベック渓谷の中心に修道院を造ったことに始まります。このノートルダム修道院は、ほどなくキリスト教の聖地として名をはせ、モン・サン・ミッシェルを目指す巡礼者の通過地点となり、修道院を援助するように村が誕生したのです。
とはいえ、修道院は歴史に翻弄されました。中世から戦争時には破壊され、18世紀末のフランス革命後からは、建物は奇兵隊の兵舎として使用されていました。
現在は、国が所有する歴史的建造物となり、1948年から再び、修道士たちが戻って生活を営むという、修道院の本来の姿が再現されています。
伝統建築の民家
べック・エルアン村に辿り着くには、どこの方位からでも、森林地帯を車で通過することになります。私も愛車を走らせたのですが、途中から現れる秋深い森林風景の美しいこと!正に大自然の体内に入っていくという感覚になりました。
村に到着してまず目に入るのは、大通りに並ぶ木骨が見えたノルマンディー地方伝統建築の民家です。色とりどりで愛らしく、花壇も美しく整えられています。
村の教会を横目に、坂道を下る形で村に入っていくと、小さな広場の前の通りに、またまた絵になる家屋たちがいっぱい。こちらは、レストランやお店、観光局などで、夏場には観光客で賑わう通りです。広場を挟んだ正面が、修道院への入り口です。
ノートルダム修道院
外側から眺めたノートルダム修道院の正門です。傍にそびえ建つのは、修道院のシンボル聖ニコラの塔です。さあ、中に入ってみましょう。
修道院の中庭の一部は、一般に無料開放されています。私が訪れた時も、地元民らしき人達が沢山、家族で散歩する姿が見られました。
落ち葉が赤い絨毯を作っている美しい並木道。秋は物思いに耽ることも多い季節、こんな場所では、インスピレーションが湧いてきそうです。
中央の建物は教会で、かつては村の教会にあった創立者エルアンの棺が、現在はここに移されています。その後ろに広がる壮大な建物が、修道士たちの生活場所。
中庭と教会は一般開放されていますが、後者は立ち入り禁止で、修道士と顔をあわせることは稀です。
敷地を流れる清水のベック川には、野生のクレソンが生え、マスも生息しているそうです。清らかなこの地にふさわしいですね。
修道士の作品に出会える売店
浄化された心で帰路につく前に、素晴らしいと評判の売店を覗いてみました。ここでは、修道士たちが制作されている美しい陶器を鑑賞購入することが出来るのです。作品は、優しい色合いで描かれた植物を中心としたモチーフが多く、種類も色々あります。
陶器好きの私も、お気に入りの小さな絵皿を発見。自分用にお迎えして、暖かい気持ちでベック・エルアン村を後にして帰路につきました。
さいごに
自然の中に溶け込んでゆくような、ベック・エルアン村の散策、いかがでしたか?
さいごに、私がこの旅の記念に選んだ絵皿をご紹介しますね。
実は、これを見たとたん、「そういえば童話では、幸福の青い鳥はあちこち探したのに結局、自分の家の中にいたのだったな」と思い出したのでした。大切なことを忘れないように、家の片隅に飾ることにしました。
あなたの青い鳥は、もう見つかりましたか?
では、また次の旅路でお会いできることを楽しみにしています。
それまで、どうぞお元気で!
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原田さゆり
- 旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。