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【フランス】コタンタン半島北端 シェルブールと周辺の絶景スポット
フランス北西部、イギリス海峡に突き出たコタンタン半島は、豊かな自然に恵まれた地域です。半島先端の中心街シェルブールは、名画「シェルブールの雨傘」でその名を世界に知られていますが、実際に訪ねられた方は少ないのではないでしょうか?今回は、名前は知っていても未知なる港町シェルブールと、その周辺に位置する魅力的なスポットを3ヶ所ご案内します。
さあ、半島先端の旅に出かけましょう!
目次
シェルブールの見どころ
美しいフランス語の響きを持つ街、シェルブール(Cherbourg)。現在の街の正式名称は、隣接町との統合を経て、シェルブール=オクトヴィルです。海峡の対岸に英国を臨むこの港町は、古くから軍港、貿易港として栄えてきました。今でも、漁業、海軍施設、造船所が街の経済の中心です。
街の名を世界的に知らしめたのは、1963年のジャック・ドゥミ監督の映画「シェルブールの雨傘(La parapluie de Cherbourg)」。古い映画とはいえ、若きカトリーヌ・ドヌーヴを一躍有名にし、近年アカデミー受賞作「ラ・ラ・ランド」にもインスピレーションを与えているミュージカル先駆け時代の偉大な映画。ドゥミ監督の映画世界に魅せられて、現地を訪れる人は今も少なくないのです。
映画でヒロインの母が営む雨傘店は、手芸洋品店として現在も健在。映画タイトルが描かれた小さな店舗の傍の壁には、映画写真と説明が添付されています。このような場所は街に何箇所かあるので、それを探して歩くのも楽しい。シェルブールで素敵な雨傘を買いたい方は、大通りに大きな高級傘屋さんがあります。
劇場前の大広場ではマルシェが開かれていました。人々は気さくで、魚介類が安くて美味しいのは、レストランで確認済み。街の観光スポットは多くないのですが、暮らしやすそうな港町です。
そして、絶対見逃して欲しくない場所が、シテ・ド・ラ・メール(La Cité de la Mer)、海の都市と名付けられた海洋博物館です。かつての船舶ターミナルの跡地に造られたこの施設を、「水族館」と勘違いしていた私は、ここで度肝を抜かれてしまいました。水族館的な展示に加えて、ここでしか体験できない展示会場が2つあります。
第1は、フランス最大級の原子力潜水艦の展示。かつて仏海軍の最前線として深海に活躍していたルドゥタブル号(Le Redoutable)に乗船して 、内部の隅々まで見学できるのです。ぎっしりとチューブや機械やパネルがひしめく底辺部、乗員の生活空間がわかる上部、更にはミサイルの配置位置まで、迷路のような艦内を体験できる唯一の場所です。
第2は、タイタニック号に関する展示。ジェームス・キャムロン監督が撮影した深海映像、乗船者の写真経歴、回収されたオフジェ。客船が氷山に衝突してから沈没まで発信し続けたSOS交信を通して、緊迫する現場を疑似体験するのは辛かった。
英国からニューヨークに向かったタイタニック号は、途中シェルブール港にも寄港。ターミナル跡地に作られたこの場所は、展示にふさわしい会場といえるでしょう。
フランスの最も美しい村 バルフルール
シェルブールから東に約30km車を走らせると、「フランスの最も美しい村」に登録されている港町バルフルール(Barfleur)に到着します。石造りの民家がひしめく小さな村は中世から、ノルマンディーと英国の歴史を目撃してきました。聖ニコラ教会の前の家には、20世紀はじめに新印象派画家ポール・シニャックが暮らし、バルフルール港の美しい風景を絵に残しています。
果て感たっぷり アーグ岬の灯台
シェルブールから西方向へ30km進むと、そこはコタンタン半島の最先端、アーグ岬(La cap de la Hague)。車を停めて、草原地帯を下り小石海岸に出ると、海中の波間にアーグ灯台が見えます。海風の音しか聴こえてこない静寂の中、小さな灯台が寄せ返す波に打たれている姿は、最果て感たっぷり!足元の岩場に咲き誇る野生植物もとても美しく、まるで絵葉書の世界でした。
フランス最小の港 ポー・ラシーヌ
アーグ灯台散策からの帰り道には、「フランス最小の港」と称されるラシーヌ港(Port Racine)に立ち寄りました。フランス語でracineとは 植物の根。オリジンの港、という感じの名前も粋ですね。
2つの石の桟橋で囲まれた港の面積は、わずか8エーカー。小さな舟たちが、ぶつからないように紐で繋がれ、ゆらゆらしている風景がとても情緒的。小さな村が大好きな私のハートを射止めたのは間違いありません(笑)。
桟橋の先端から陸に向かって撮ったラシーヌ港の風景をビデオでご覧下さい。
さいごに
コタンタン半島先端、シェルブールと周辺の村々を巡る旅、いかがでしたか?
9月初旬に訪れた半島は、お天気に恵まれ海風も暖かく、勝手に「寒くて暗くて寂れた北端旅行」を想像していた私の期待を裏切る(笑)穏やかな小旅行となりました。美しすぎて大感動した、岩場に咲き誇る野生植物クリスト・マリーヌ(criste marine)の写真を添えて、この旅もおしまい。
シェルブール駅は、パリ・サンラザール駅から電車で3時間です。
ではまた、次の旅路でお会いいたしましょう!それまで 、どうぞお元気で。
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原田さゆり
- 旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。