【福島市】観光キャッチフレーズ「ちょうどいい旅、ふくしまステイ」は本当だった!

展望デッキ

福島県福島市と聞いて、あなたはなにが浮かぶでしょうか?

最近では2020年前期のNHK朝ドラ「エール」の主人公、古関裕而さんで注目されましたね。

福島市の観光PRポスターでこんなのを見ました。

ちょうどいいtabi ポスター

突然、旅に行きたくなった。

早起きはしたくない。気ままで自由な旅にしたい。

大自然で遊ぶのもいい、地元の名物料理を食べるのもいい。

のんびりと温泉で癒されるのもいい。

どれも、「ちょうどいい旅、ふくしまステイ。」

東京から90分。都市と田舎のちょうどいい旅先。

(福島市観光ポスターより引用)

「こんな気持ちになりたいな」そう思い、実体験してきました。

福島市とはどんな街だったのでしょうか。。。

目次

福島市とは

福島市は福島県中通りに位置する都市で県庁所在地で人口は約27万8,000人。

全国有数の収穫量を誇る桃を始め、梨などの果樹栽培が盛んで果物王国と呼ばれている。

福島市のおすすめ観光スポット

私がこれまで知らなかった面白スポットに、今回たくさん出会えました。

浄土平

浄土平は、日本のアリゾナと呼ばれている磐梯吾妻スカイラインの中間に位置する標高1,600mのスポット。吾妻小富士や一切経山トレッキング、湿原ハイキングを楽しむことができます。浄土平は磐梯朝日国立公園内にあり、山形県米沢市と繋がっています。

浄土平

こちらが浄土平です。ビジターセンターやレストハウス(食事、お土産)が整っています。

浄土平

噴煙が立ちのぼる風景を見ていると、正に浄土へ向かう世界にいるようです。

吾妻小富士

浄土平から10分ほど階段を上がると吾妻小富士の火口にたどりつきます。

火口

「うわーっ!」思わず声を上げてしまうほど、すり鉢状の雄大な火口に圧倒されます。火口は歩いて約1時間で1周できます。

吾妻小富士の火口の様子を動画でご覧ください。

火口周り

私も歩いて1周しました。やや傾斜はありますが、基本的にはフラットな道で歩きにくくはありません。(写真は比較的急な道の部分です。)スニーカーであれば十分でしょう。

湿原

吾妻小富士を下ったら、今度は木道のある湿原を歩いてみます。

一切

右側に浄土平エリアで一番高い一切経山(いっさいきょうざん)が見えます。ここは噴煙が立ち上る活火山(標高1,949m)です。今回は登りませんでしたが、浄土平から約1時間半で登頂できるようです(標高差370m)

一切経山より吹き出る噴煙を動画でご覧ください。

「一切経山」とはなんとも変わった名前ですが、山名の由来は、安倍貞任が仏教経典の一切経典を山に埋めたという伝説から来ているようです。(埋めたのは他の弘法大師や他の僧との説もあり)

一切経山の山頂から見える五色沼は別名「魔女の瞳」と言われ、それはそれはきれいな沼なのだそうです。今度ぜひ拝んでみたいものです。

ガイドの佐野さん曰く、浄土平レストハウスで大人気なのが山塩ソフトなのだとか。山塩とは大塩温泉の湯を釜で茹でて煮だした塩のことで、それをソフトクリームに振りかけたのが山塩ソフトです。

山塩ソフトクリーム

こちらが山塩ソフトクリーム(400円)。ミネラルたっぷりの塩がしっかり効いていて甘じょっぱくて美味しかったです。

山塩ソフトクリーム専用レーン

なんと!ソフトクリームを買うために並ぶ専用レーンがありました。人気のほどが伺えますね。

浄土平、福島にこんなに自然豊かで雄大な風景を楽しめる場所があると初めて知りました。

>>浄土平の詳しい説明はこちらへ

四季の里 水林自然林

中世ヨーロッパをイメージした農村公園「四季の里」内にある水林自然林。ここはドラマ「エール」のオープニングを撮影した場所です。

朝ドラ撮影地

ありましたね~。このシーン。それと同じ風景が今もありました。

水林自然林

水林自然林

園内は広く、遊歩道も整備されているので、森林浴を楽しむにもうってつけの癒しのスポットでした。

>>水林自然林の詳しい説明はこちら(福島市HP)

浄楽園

あの京都の金閣寺を手掛けた庭師が、15年以上もかけて完成させた池泉廻遊式庭園です。面積約25,000平方メートルの広大な土地に赤松、五葉松、石を主体に造られています。

松

入園する前から見事な松がお出迎えしてくれます。

浄楽園

どことなく京都の金閣寺の雰囲気に似ていませんか。。。

浄楽園

この浄楽園のすごいところは、吾妻山連峰を背景に庭園が楽しめるところです。庭の後ろに一切経山と吾妻小富士を望みます。ここにしかない絶景です。

茶室

庭園の中央辺りにお茶会など催される茶室があります。

浄楽園

本当に京都にいるかのようです。人工の建物が一切見えません。こんな素敵な日本庭園が福島にあったとは。

>>東北有数の日本庭園 浄楽園の公式サイトはこちら

福島市民家園

敷地約110,000平方メートルの園内には、江戸時代中期から明治時代にかけての県北地方の民家、芝居小屋、商人宿、料亭などを移築復元し、庭や畑と共に当時の環境を再現しています。復元した建物の多くは国、県、市の文化財に指定されています。

旧広瀬座
<旧広瀬座>

大衆娯楽施設として明治20年頃に、町内の有志によって建てられた芝居小屋。舞台は回り舞台で奈落があり、花道などもある本格的な芝居小屋です。

旧広瀬座

今もイベントで使用されることがあるそうです。

旧筧家宿店
<旧筧家宿店>

旧会津街道と米沢街道の分岐に建っていて、二階の座敷を宿として利用されていたようです。時代劇に出てきそうな雰囲気です。

元客自軒
<元客自軒>

幕末から明治にかけて福島有数の割烹旅館でした。

福島市

この民家園のすごいところは、単に昔の建物が移築されただけでなく、周りも自然に溢れていて、そこに佇めば当時にタイムスリップしたかのように感じられるところです。半日~1日居ても楽しめる場所です。民家の縁側に座ってぼーっとしていたい、そんな場所でした。

>>福島市民家園の公式サイトはこちら

福島市のおすすめ温泉

福島市には、飯坂温泉、高湯温泉、土湯温泉があります。今回は、土湯温泉に行ってきました。

土湯温泉(つちゆおんせん)

1400年以上の歴史ある温泉で、三大こけし発祥の地。磐梯朝日国立公園内にあります。

土湯温泉

川沿いに旅館が立ち並ぶ温泉情緒たっぷりの土湯温泉街。豊富な湯量と複数の泉質を楽しめます。

山水荘

温泉街の奥にある山水荘。2段の滝を眺めながら浸かれる展望露天風呂が自慢の高級宿です。

>>山水荘の公式サイトはこちら

暖簾

こけし

三大こけし発祥の地らしく、かわいらしいこけしのお土産がたくさん売っていました。

メニュー

おららの酒BAR(さかば)では、自家製のどぶろくやシードルが売っていました。

シードル

シードルというと甘いジュースのようなイメージを持っていましたが、ちゃんとしたお酒です。おららの酒BARのシードルは瓶内発酵の本格派でアルコール7%の甘くないシードルでした。ちなみに「おらら」とは土湯地方の方言で「俺たちの」という意味だそうです。

>>おららの酒BARの公式サイトはこちら

エビ釣り

カフェ「おららのコミセ」ではエビ釣りができ、釣ったエビは焼いて食べることもできます。エビは意外にすばしっこくて釣るにはコツがいるのだとか。友達同士やカップルでやると、お祭り気分で盛り上がるそうですよ。

>>おららのコミセの情報はこちら

福島市の挑戦者たち

ぼんさいや「あべ」

福島市で90年以上に亘り、五葉松の盆栽作りを営む老舗の盆栽園です。

五葉松は高山に生える松の種類で、松の葉が5本一組なので五葉松と呼ばれています。銀色がかった葉が美しく成長が遅い上、木質が柔軟で、枝を曲げやすい、ねばりがあり折れにくいので盆栽に向いている品種だそうです。

吾妻は三大五葉松のひとつと言われており(その他は那須と四国)、中でも五葉松が見渡す限り生えているのは吾妻山だけだそうです。

盆栽

ぼんさいや「あべ」の盆栽棚に五葉松盆栽が並びます。

3代続いて盆栽業を営む阿部さんにはブレない信念があります。

盆栽は山に自生している松を掘って盆栽に育てるのが当たり前に行われていました。ぼんさいや「あべ」の初代である倉吉さんは「国立公園から勝手に木を採ってきて盆栽にすることはよくない。私は一粒の種から盆栽を育てる」と決め、そのやり方を通してきました。

今でこそ、阿部さんに賛同して種から盆栽を育てる盆栽業者も増えてきましたが、今だに生えている木を掘ってくる業者も多いそうです。種から育てるのは、口で言うのは簡単ですが、それは大変な作業です。時間と手間がかかります。1つの種が苗になり盆栽になるまでには少なくとも10年以上かかるそうです。それでも阿部さんは、堂々と恥ずかしくない盆栽作りをしたいとそのやり方を貫いてこられました。

盆栽

阿部家には「空間有美」という教えがあるそうです。これは、初代が提唱した言葉で、「空間には美しさがある」という意味です。

自然界に自生する木の幹や枝葉の空間が持つ美しさを、盆栽に表現することを大切にしてきました。

ぼんさいや「あべ」3代目

ぼんさいや「あべ」3代目の若き当主大樹さん。

大樹さんは、五葉松や盆栽の普及に力を入れています。積極的に教室やオンラインセミナーを開いたり、SNSで情報発信をしておられます。

「『盆栽に興味はあるんだけど・・・』という人に声をかけるとしたら?」と質問してみました。

「『盆栽はやってみたいんだけど枯らしたくない(失敗したくない)からなかなか始められない』という人がとても多いんです。そんな人には最初はまず盆栽に触れることから始めることをおすすめしたい。教室に参加してみるでもなんでもいい、まずは盆栽に触れる、水をやる、そうすると盆栽にだんだん愛着が湧いてきます。そうなってから始めててもいいんです。興味を持ったならぜひ動き出してほしいですね」

盆栽は人工的に観葉植物を作っていると思っていた私は、盆栽の奥深さ、空間有美の世界など、禅や茶の湯、侘び寂び、花鳥風月に通じる深淵な世界の一端に触れたような気がしました。

>>ぼんさいや「あべ」のFacebook
>>ぼんさいや「あべ」のTwitter

染織工房 おりをり

工房おりをりは福島で、自然素材の糸紡ぎ・草木染め・織物・羊毛クラフトなどの講習や作品販売を行っています。

代表の鈴木美佐子さんは、東日本大震災を経験し、これまでの価値観が根本から変わってしまいました。

福島の誇りとなる何かを探し求めて、たどり着いたのは、昔から脈々と受け継がれてきた「絹」でした。

福島は、江戸時代から全国に名の知れた養蚕の名産地だったのです。

染織工房 おりをり

染織工房 おりをり

素材からすべて手作りにこだわっています。

染織工房 おりをり

鈴木さんが開催される「手しごと展」への思いが書かれていました。ここに鈴木さんの思いがしっかり込められていましたので、そのままご紹介させてください。

手しごと展 

~ひとつひとつに手間暇かけて~

昔の人は自然に感謝し、自然の中から素材を見出し、手間と時間をかけて手織物や衣類を作り出してきました。ものに溢れた現代の環境の中、私たちはどのくらいその過程を、本物の良さを知っているのでしょうか。

本展は、天然素材に触れ、手織りの成り立ちや出来上がる過程を体験することで、本物を知る豊かさ、天然素材の素晴らしさ、自分で作り上げることの学び、そして心を静めてこつこつとものづくりに励む美しさが体験できる展覧会です。

自然に感謝しながら、手間と時間をかけてひとつひとつ心を込めてものを作り出していくという歴史は、日本の古くから受け継がれてきた良き文化であり、忘れることなく後世に語り、教え、伝承していきたいことです。

さらにスピード化の時代にあってゆっくりと原点をみつめながら先人の知恵を知り、ものを作り上げる喜びや豊かさを体感することは、人やものを大切にする心を育て、心の癒しにもつながっていくことでしょう。

「原点を知る」「手づくりの喜びを味わう」多くの人にそのような場所を提供したいと思い、今回「手しごと展」を開催するはこびとなりました。

ぜひ多くの方に見て、触って、体験していただき、手しごとの良さと素晴らしさを実感していただければ幸いです。

工房おりをり 鈴木美佐子

>>工房おりをりの公式サイトはこちら

吾妻山麓醸造所(ワイナリー)

2019年にオープンした福島市初となるワイナリー、それが吾妻山麓醸造所です。

横山社長と醸造家の牧野さん
<代表の横山社長(左)と醸造家の牧野さん(右)>

横山さんはもともと病院の事務の仕事をしておられ、ワイン造りの経験はまったくありませんでした。

職場で2つの病院の合併プロジェクトの責任者をしておられ、2011年3月12日に開業の予定でした。

そして開業の前日にあの東日本大震災が起こったのです。横山さんは「もうだめだ」と思ったそうです。

「あの時の思いが今に繋がっています。震災から10年を越え、ハード面は確かに復興してきたと言えるかもしれない。でも心の復興はまだまだ進んでいないと感じます。心がどこか満たされないのです。」

そんな中で、自分に何かできることはないかと考えた末、「人々の心の癒しになるような場所を作りたい」と、この地で醸造所を作ることを決めました。

福島にはワイン醸造所はありません。また横山さん自身も日本酒党でワインに詳しいわけでもなかったそうです。

「なぜ、ワインの醸造所を作りたいと思ったのですか?」と訊いてみました。

「昔、仕事の視察旅行でヨーロッパ(フランス、オーストリア、スイス)に旅行したことがあるんです。そして現地の人たちが日常的にワインを飲み、語りあい、人生を楽しんでいる姿を見た。そういう光景を見て『あぁいいな』と思った。ワインは人と人をつなぐんだな、そう感じたことがきっかけになったのかもしれません。」

横山さんは、ワイン醸造家の牧野さんを山梨県の勝沼から呼び寄せ、一からワイン造りを始めました。

牧野さんに訊いてみました。「福島では初のワイナリーだそうですが、この地はワイン造りには向いているんでしょうか?」

牧野さん曰く「ワイン醸造には朝晩の寒暖差がとても大切です。近年、地球の温暖化が進んでいます。これまでワイン醸造に適していると言われていた土地も温暖化により環境が変化しています。最近では北海道や東北などの寒い地方で良いワインができるという実績も出て来ています。その意味で福島も今後期待大ですね」

2019年からワイン造りを始め、葡萄もこの福島の地で育てることを目指し5,000本の木を植えています。まだそこで採れた葡萄をワインにする段階には来ていませんが、開業2年目にして品評会で銅賞を受賞されました。(欧州系品種シャルドネ白 銅賞)

受賞ワイン

こちらがその受賞ワインです。山形県寒河江市産のシャルドネを使用し、オーク樽で6か月熟成して作られたワインです(3,500円)。

飲んでみましたが、葡萄の味がしっかりして、花の香りがする柔らかくてすっきりした美味しい白ワインでした。

展望デッキ

山麓の畑ではワインを飲みながら福島市街を見渡せる展望デッキを整備中でした。ここでワインを飲んだら、ホント気持ち良さそうでした。

葡萄畑

畑では葡萄が着々と育っていました。来年には吾妻山麓産の葡萄を使ったワインが味わえるようになりそうですよ。楽しみですね。

福島市の魅力まとめ

いかがでしたか?

福島には知られざる名所がたくさんありました。

浄土平の大自然、東北随一の日本庭園、昔の民家や暮らしが体験できる民家園、そして、盆栽造りに情熱を燃やす若き3代目、震災を機に価値観が変わり、新たな人生へ挑戦し続ける熱い人たち。こころ揺さぶられる旅でした。

福島市には、バーンと目を引くような"いかにも観光地"というのは少ないかもしれません。

しかし、一度訪れるとファンになって何度でも来たくなる、そんな魅力ある素材が確かにありました。

「ちょっといい旅、ふくしまステイ」ありですよ。あなたも次の週末あたり、気軽に出かけてみませんか?

滞在中、何度も飛行機雲を見ました。福島は青空も澄んできれいでした。

飛行機雲

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シンジーノ

3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。

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