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石狩鍋ってどんな鍋? 歴史や具材、作り方、北海道の有名店まで紹介
鍋料理と言えば、家庭でも定番で人気の高いメニューですが、「味がマンネリ化してしまう」とお悩みの人も多いかもしれません。
そんなときには、北海道の郷土料理の1つである石狩鍋はいかがでしょうか。サケをメインの具材に、味噌で仕立てる石狩鍋はいつもの鍋とはちょっと変わって新鮮!
この記事では、石狩鍋の由来や作り方、ご当地である石狩市にある専門店などを紹介していきます。
目次
1. 「石狩鍋」は北海道の郷土料理
石狩鍋の「石狩」とは北海道の道央部にある、石狩平野、石狩川、石狩市などを指します。この地方で主にサケ漁に従事していた漁師の間で広まったのがこの石狩鍋で、元々はサケのぶつ切りと野菜を煮込んだ、漁師たちのまかない飯だったとされています。
今では北海道を代表する郷土料理の1つとなりました。
2. 名前の由来は石狩市から! 発祥とされる店もある?
<出典元:写真AC>
海に面した石狩市に流れる石狩川の河口では、もともとサケ漁がとても盛んでした。サケが大漁となると、漁師たちは「ごほうび」として、獲れたての新鮮なサケをぶつ切りにし、鍋にして味わい、冷えた体を暖めたのだそうです。こうしてこの地方の名前がそのまま付けられた鍋料理が石狩鍋です。
ところで、石狩のサケ漁と言えば、ダイナミックな地引網漁で大量のサケが獲れることから、それ自体が見どころで、全国から観光客がやってくるほどの盛況でした。そこで、このサケ漁を見学に来た観光客に対しても、待ち時間に石狩鍋をふるまうようになったところ、これが大好評! 口コミで石狩鍋の美味しさが徐々に全国に知れ渡るようになってきました。
やがて、地元の石狩市の割烹料理店である「金大亭(きんだいてい)」によってアレンジされ、石狩鍋は単なる「漁師のまかない飯」から「北海道を代表する郷土料理の1つ」として発展していきました。そのため、現在ではこの金大亭は郷土料理としての石狩鍋発祥の店ともされています。
なお、毎年9月15日は石狩鍋記念日(日本記念日協会登録)とされています。ちょうど石狩地方でサケがよく獲れる時期ですし、9と15で「食いに行こう」「食いごろ」と語呂合わせにもなっているそうです。
3. 「石狩鍋」で定番の具材とは
サケ漁の漁師たちによって生み出された石狩鍋、その具材と言えばもちろんサケが外せません。新鮮な身はもちろん、ぜひアラも入れたいところ。最高にコクのあるだしが出ます。
他に入れたいものといえば、キャベツ、玉ねぎ、じゃがいも。これらはすべて北海道でよく採れる野菜で、味噌によく合います。たっぷり入れたいですね。他の野菜では、大根、きのこ、長ネギなどがよく使われるようです。ちょっと変わったところではかぼちゃやニンジン、春菊などもおすすめ。栄養価が高い上に、彩りも綺麗で食欲をそそります。また、隠し味には牛乳や酒粕、バターを加えてみましょう。まろやかさとコクがアップします。
サケだけだとちょっとボリュームが足りないかな? と思ったら、豚肉を入れるとおなかも満足。さらに、やはり北海道の名産であるホタテ貝なども相性は抜群です。
最後にもしあればイクラなどをちょっとトッピングすると、見た目にも豪華でおもてなし料理にもなる、ごちそう石狩鍋の完成です!
4. 「ちゃんちゃん焼き」も石狩が発祥?
<出典元:写真AC>
サケを使った北海道の料理で、石狩鍋以外に知られている料理と言えば、「ちゃんちゃん焼き」が挙げられます。ちゃんちゃん焼きは、フライパンに旬のサケや野菜を入れて、味噌ダレをかけたら蓋をして蒸し上げます。アルミホイルに1人前ずつ包めば取り分けしやすいメイン料理として出せますし、ホットプレートで豪快に作るとパーティー料理にぴったりです。ちゃんちゃん焼きも石狩地方の漁師町が発祥という説もありますが、このあたりは諸説があるようです。いずれにしても、漁師料理が始まりという点では、石狩鍋と共通していますね。
さらに、北海道ではサケを使った冬の定番料理として「三平汁」も挙げられます。三平汁もサケと野菜を煮込んだ汁物なので石狩鍋と似ている点がありますが、大きな違いは生のサケを使う石狩鍋に対して、三平汁は塩サケを使います。さらに、三平汁には味噌を入れず、だしと塩サケの塩味がベースになることも特徴です。
サケの本場である北海道には、こうしたサケを使った郷土料理がとても豊富ですね。
5. 「石狩鍋」の作り方~基本のレシピ~
それではここで、石狩鍋の基本となるレシピを紹介します。今やサケは1年中入手できる魚ですが、できれば秋から冬にかけて秋サケが生で手に入れられれば最高です。ぜひ旬の時期に作ってみてくださいね。
材料 4人分(野菜は適量をお好みで入れてください)
- サケの切り身やアラ 400g~600g程度
- キャベツ(白菜でも美味しく作れます)
- じゃがいも
- 玉ねぎ
- その他お好みの野菜(大根、きのこ、にんじんなど)
- 豆腐 1丁
- ホタテやいくら、豚肉などお好みの具材
スープ
- 水 800cc~1000cc(鍋の大きさによって調整)
- だし昆布 5cm角(和風顆粒だしでも代用できます)
- 味噌 50g~80g
- 酒 大さじ2~3
- みりん 大さじ2~3
- 塩、砂糖 少々
- バター、牛乳、酒粕、山椒、黒コショウなど お好みで
作り方
- 昆布でだしを取っておく
- サケはぶつ切りにして、酒(分量外)を振っておく
- 野菜はそれぞれ3cm~4cm幅の食べやすい大きさに切る
- だし汁を火にかけて、沸騰したらじゃがいも、にんじん、大根などから煮る
- サケや残りの具材、野菜を加えて火を通す
- 味噌、酒、みりんを加え、塩と砂糖で味を調える
- お好みでバター、牛乳、酒粕、山椒、黒コショウなどを加える
固いものから順番に煮ていき、全体に火が通ってから味噌などの味つけをしていくのがポイントです。最後に加えるバター、牛乳、酒粕などは、味をまろやかにして、魚や味噌の臭みを抑えてくれます。また山椒や黒コショウをかけると、全体の味がグッと引き締まりますよ! ぜひお試しください。
6. 「石狩鍋」がおいしい石狩市のお店
本場の北海道、特に石狩市に出かけたら、現地で新鮮な食材を使った石狩鍋を味わってみたいものですね。こちらでは代表的な石狩鍋のお店を紹介します。石狩市に出かけた際にはぜひ立ち寄ってみてください。
6.1 金大亭
石狩鍋発祥のお店とも言われる金大亭は、1880年に創業された、老舗のサケマス料理専門割烹です。その創業当時、明治のころに建てられたままのお店は、その建物だけでも一見の価値あり。古道具なども展示された博物館のような店内で頂くのは、石狩鍋を中心としたコース料理です。山椒をピリッと効かせるのが、金大亭流。その他、北海道の食材を使った美味珍味が7品~10品ついてきます(内容はコースの値段によって変わります)。
金大亭は完全予約制、客席はすべて個室なので、ゆったりできるのも嬉しいところ。石狩の歴史に想いをはせながら、趣きある和室でコース料理を頂きましょう。すべてのメニューで、石狩産のサケかマスを使用しており、春から秋にかけてはマスづくしのコースになりますのでご注意ください。
- 住所:石狩市新町1
- 関連サイト:金大亭(食べログ)
6.2 北の味いしかり亭
石狩市観光センターに隣接し、観光のついでに立ち寄るのに便利な「北の味 いしかり亭」。民宿も併設されていることもあって、料理は家庭的な安心するお味です。石狩鍋はもちろん、海鮮丼、北海道名物ザンギ定食、さらにちゃんぽんやカレーなど、幅広いメニューを扱っていますので、食べたいものを選ぶことができ、観光客にとってはとても使い勝手の良いお店です。
ここの石狩鍋は白味噌仕立てのオーソドックスな味わい。また、1人前から注文することもできるので、ひとりで行っても気軽に石狩鍋を楽しめるのが嬉しいところですね。
- 住所:石狩市親船町109
- 関連サイト:北の味いしかり亭(食べログ)
6.3 鮨爽醇鳥 ひだか
地元に根付いた小さなお寿司屋さん、それがひだかです。お店の売りは、「なまものが食べられなくても、楽しめるお店」。お寿司屋さんでありながら、石狩鍋や鶏料理、はたまたラーメンまで楽しめる懐の広さ。北海道に行ったらあれもこれも食べたい! という欲張りな人にとっては、うってつけのお店と言えるでしょう。
石狩鍋は、店主が毎朝市場で買い付ける北海道の地産地消の食材をたっぷり使い、特製の合わせ味噌でじっくり煮込んだ一品。利き酒師の資格を持つ店主が勧める日本酒と合わせて味わってみてはいかがでしょうか。
- 住所:石狩市花川南9条3丁目92−6 イースヴィレッヂ 1階
- 公式サイト:鮨爽醇鳥 ひだか
7. 石狩市以外で石狩鍋を食べるには
<出典元:写真AC>
本場で石狩鍋を食べたいけれど、なかなか行く機会がないという方のために、ご当地以外で石狩鍋を食べる方法を紹介します。
自分で作って食べる
石狩鍋は入手しづらい具材は使用されておらず、スーパーなどで全ての材料を簡単に揃えることができるので、自分で作りやすい鍋だといえます。前述した簡単なレシピをご参考に、「おうち石狩鍋」をやってみませんか。作る際にはぜひサケの切り身だけではなく、「アラ」を入れてみてください。味わいがぐんとアップするはずです。
通販で石狩鍋セットを買って食べる
もっと簡単にご自宅で石狩鍋を楽しむなら、通販のお取り寄せがおすすめ。サケやほたて、えび、いかなどの魚介類と味噌ダレがついた石狩鍋セットなら、お好みの野菜を用意するだけで本場の味を気軽に再現できます。各種ショッピングサイトから色々な種類の石狩鍋が販売されていますので、いくつか取り寄せて食べ比べてみるのも楽しいですね。
また、ふるさと納税制度を利用すれば、よりお得に石狩鍋セットが入手できます。北海道の石狩市や千歳市などが返礼品として石狩鍋を用意していますので、検討してみてください。
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美食の宝庫、北海道では歴史と文化に基づいた様々な郷土料理があります。中でも石狩鍋はとても親しみやすい料理です。石狩鍋の由来や作り方について知っていれば、より楽しく食べられることでしょう。石狩市に旅行した際には、ぜひ本場の味を堪能してみてください。
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