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ボンジョルノ!南国情緒たっぷりのスイス・イタリア語圏
スイスで観光、というとチューリッヒやハイジ村、グリンデルワルドなどのドイツ語圏、もしくは国際機関やレマン湖があるフランス語圏を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、スイスは九州ほどの小さな国でありながら、ドイツ語圏、フランス語圏、そしてイタリア語圏と主に3つの異なる言語・文化を持つユニークな国。
今回は、独語圏や仏語圏に比べてまだそれほど知られていない、スイス南部のイタリア語圏について、駆け足でご紹介します。
目次
- 国内なのに外国みたい?スイス人に人気のティチーノ州
- どの町を訪れるべき?
- 鷹狩りショー「ファルコネリア」
- マッジョーレ湖には、船で訪れることができる小島も
- スイス・イタリア国境にある「オリーブの小道」を歩く
- まとめ
国内なのに外国みたい?スイス人に人気のティチーノ州
<山や木々、湖、教会などフォトジェニックな風景が広がる>
同じ国にいながら、まるで外国へ来たような気分を味わえる、それがスイスのイタリア語圏ティチーノ州(Ticino)。
ティチーノ州は、他地域に住むスイスの人々の間で憧れの、そして人気もある州です。暖かくてリゾート感たっぷりのこの土地に、定年後移住するのが一種のステータスなのだとか。いわゆるスイスの"ハワイ"みたいな場所のよう。
チューリッヒからは列車でおよそ 2 時間半。駅を降りれば、すでにもうイタリアンな空気が流れています。雰囲気も建物も、そして人々もスイスではないみたい。人々も明るくフレンドリーな人が多いです。
どの町を訪れるべき?
<映画祭の会場として有名な、ロカルノのピアッツア・グランデ>
ティチーノ州といえば、ルガーノ(Lugano)やロカルノ(Locarno)、アスコーナ(Ascona)ど、観光客がよく訪れる町が多くあります。ティチーノ州が好きなリピーターは、それぞれお気に入りの町があるそうですが、一番観光客が訪れやすいのはルガーノとロカルノかな、と個人的に思います。
まずはティチーノ州で一番大きな町、ルガーノ(Lugano)。ブティックやレストラン、カフェなどが多くあり、多くの人々で賑わう町です。ショッピングや食べ歩き好きさんには嬉しいかも?!
また、ルガーノからはサン・サルヴァトーレなどの山へ行くことができます。サン・サルヴァトーレ山は標高1,000mに届かない山ですが、頂上からのスイスアルプス、湖、町といったパノラマビューが素晴らしいです。ケーブルカーで容易に訪れることができます。
<サン・サルヴァトーレ行きのケーブルカー駅>
サン・サルヴァトーレ(San Salvatore)ケーブルカー駅
- 住所:Via delle scuole 7, CH-6902 Lugano-Paradiso
- 電話:+41 91 985 28 28
- 運賃:大人 片道23スイスフラン・往復30スイスフラン、こども(6歳~13歳)片道10スイスフラン・往復13スイスフラン
<サン・サルヴァトーレの山頂からの眺望>
そして、ロカルノもルガーノと並ぶ人気の町です。
ロカルノといえば、カンヌ映画祭やベネチア映画祭と並び、有名な映画祭が夏に行われる町として有名。
ロカルノ映画祭の会場となるピアッツア・グランデ(Piazza Grande)では、普段市場も開かれています。さまざまなものが売られていて、見ているだけでも楽しいです。
毎週水・木曜日に上記広場かその周辺で開かれていることが多いのですが、時間や場所が変更になることがあるので、滞在ホテルやツーリスト・インフォメーションなどで確認しておくと安心かもしれません。
<路地を歩いて、その土地の建物や看板を見て歩くのも楽しい>
鷹狩りショー「ファルコネリア」
さて、ロカルノ映画祭の会場であるピアッツア・グランデから徒歩で15分ほどのところに、鷹狩りショーが見られる「ファルコネリア (Falconeria)」があります。
いわゆる「タカ狩り」で、その名の通り飼いならしたハヤブサやワシ、タカといった猛禽類を使って、小獣を捕らえさせる狩猟のことを言います。
昔から欧州のみならず、世界各地で行われていたそう。日本には朝鮮半島経由で伝わって、日本書紀の中に鷹甘部(たかかいべ=狩猟のための鷹と犬の飼育,調教および放鷹に従事する専門職)に関する記録が既にあり、鷹匠の埴輪も多く出土しているのだとか。
ショーでは、鳥たちが様々な技を披露。スタッフが声高にイタリア語で色々と説明してくれるのですが、何を言っているのか分かりませんでした(苦笑)。後に、英語のショーもあるということを知りましたが、説明がなくても、猛禽類たちの目にも止まらぬ素早い動きを見ているだけで、圧倒されます。
さらに、猛禽類たちが客席まで挨拶(?)をしに、頭上をひゅーんと突然飛んできたり、お客さんの頭から頭へ次々とジャンプしていったり、というパフォーマンスも見せてくれました。私の頭の上にも乗られましたが、帽子をかぶっていても鋭い鳥の爪の感覚が頭皮にぐいぐい感じられました。
ショーの最後には、スタッフの方たち、そしてワシやハゲタカの皆さんと一緒に撮影もさせてもらえました。それにしてもハゲタカの翼はあんなに大きいのですね!キッと 眼光鋭く、見た目はコワモテなハゲタカでしたが、スタッフのおネエさんからエサをもらう時、もうデレデレな様子で甘えていて、思わず笑ってしまったのでした。
<エキサイティングな鷹狩りショーの様子>
ファルコネリア(Falconeria Locarno)
- 住所: Via Delle Scuole 12, 6600 Locarno
- 電話:+41(0)91 751 95 86
- 開園時間:2022年は3月19日~10月30日の間、10時~17時まで営業
- ショー:火曜日から日曜日まで(7月と8月は毎日)/<午前の部>11時~ <午後の部>15時~
- 入園料: 大人(17~65歳)25スイスフラン、こども(3~16歳)18スイスフラン、シニア&学生 22スイスフラン
- 公式サイト:Falconeria Locarno(英語)
その他、州都で世界遺産にも指定されている3つの城がある町ベリンツォーナ(Bellinzona)、南欧一大きなアウトレット、フォックスタウン(Fox Town)があるメンドリージオ(Mendrisio)、アトリエなど芸術的なものが路地のあちこちにあるアスコーナ(Ascona)など訪れるべき町はたくさん!
さて、以下は今まで何度か訪れたティチーノ州への旅で、印象に残っている体験です。
マッジョーレ湖には、船で訪れることができる小島も
<前方にブリサーゴ島が見えてきた>
ティチーノは、イタリアとスイスの国境にまたがるマッジョーレ湖(Lago Maggiore/ラーゴ・マッジョーレ)のほとりにあるので、湖でクルーズを楽しむこともできます。
数年前、そんなマッジョーレ湖に浮かぶ島々のうちの一つ、ブリサーゴ島(Isole di Brissago)まで行ってみました。
乗り込んだ船はやや小さめでしたが、中に売店もありました。乗客は、それぞれ船からの景色を楽しんだり、物思いに耽ったり、風と太陽の光を浴びて癒されたりしつつ、船上でのひとときを過ごしていました。
船はロカルノ発で、アスコーナなど他の町にも寄港しながら、45分~1時間ほどでブリサーゴ島へ到着。島ごと植物園になっていて、2020年にはめでたく70歳を迎えました!
<コロナ禍前に島を訪れた時、邸宅エムデンハウスで結婚式が行われていました>
ブリサーゴ諸島は、1885 年にフレミング・セントレジャー(Fleming St. Leger)夫妻が島を買い、植物園を造ったのが始まりなのだそう。しかし、夫のリチャードが島と妻のアントワネットを置き去りにして、イタリアのナポリへ行ってしまいます。
妻のアントワネットも、第一次世界大戦後に抱えた多額の負債により、ブリサーゴ諸島をマックス・エムデン(Max Emden)に売却。彼自身植物園に関心はなかったそうですが、移住後エムデンが建てた屋敷が現在も残されており、結婚式などに使用されています。
島内には亜熱帯地方で育つような植物が元気に茂っていかと思えば、竹林が突然出現したりとバラエティに富むユニークな所でした。
ブリサーゴ島/植物園(Isole di Brissago/Parco Botanico)
- 住所:Dipartimento del territorio, Isole di Brissago,6614 Brissago
- 電話:+41 91 791 43 61
- 開園時間:2022年は4月~11月まで毎日営業
- 公式サイト:Isole di Brissago(英語)
スイス・イタリア国境にある「オリーブの小道」を歩く
今まで2回ほど、スイスとイタリア国境にあるガンドリア(Gandria)の町を歩いたことがあります。
<スイスではない、どこか遠くの国にある町へ迷い込んだかのよう>
ガンドリアはルガーノ湖沿いに位置し、色とりどりの可愛らしい家が湖岸にはりつくように建っています。
どことなくノスタルジックな雰囲気で、石造りの小路が迷路のようにどこまでも続くので、ここで散策を楽しむ人は、どこか昔の時代の、スイスではない未知の国に一瞬迷い込んだ気分に。
しかもイタリアがすぐ目と鼻の先、ということもあり、スイスの他地域より良い気候に恵まれています。ここは、カスタニョーラ(Castagnola)という地区まで2kmに渡って続く、「オリーブの小道(Sentiero dell'Olivo)」があることでも知られています。以前この辺りはオリーブ栽培が盛んだったそうで、現在も多くのオリーブの木々が育っています。私がガンドリアを訪れた夏、オリーブの葉とグリーンの実が爽やかな南国の空気を醸し出していました。
<オリーブの小道(Sentiero dell'Olivo)>
まとめ
スイスにいながら"イタリア"観光をした気分になれるティチーノ州ですが、本格的イタリアンフードも楽しめるのが良いところ。ピザやフォカッチャなどをほおばりつつ、その後はスタンドでジェラートも買ってーーと欲張って食べ歩いてしまいそうです。
典型的なスイスの旅ではなく、ちょっと違った観光をしたい方におすすめの地域ですヨ。
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小島瑞生
- 1998年~2009年まで暮らしたアイルランドから、2009年スイスへ移住。面白そうなコト・モノを求め、スイス国内や欧州の国々をウロウロしながら、雑誌やウェブサイト、ラジオ等のメディアに様々な情報を発信中。趣味は旅行とハープ&ピアノ演奏。