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【岡山】桃太郎を祀り、鬼が眠る吉備津神社。国宝・本堂拝殿は全国唯一の様式
岡山県と言えば桃太郎伝説の発祥の地。空港名は「岡山桃太郎空港」でお土産は「きびだんご」が定番です。
実はこの桃太郎にはモデルがいて、それがここ吉備津神社の主神・大吉備津彦命なのです。国宝・本殿拝殿の二つ山の入母屋は全国で唯一の様式。360mも続く回廊を静かに歩けば、厳かな景観と深い歴史に包まれることができるでしょう。
岡山観光で真っ先に行きたい神社を、「桃太郎の鬼退治」のモデルであり、日本遺産にもなっている「吉備津彦の温羅退治」と共にご紹介いたします。
目次
- 岡山観光で真っ先に行きたい神社
- 国宝・必見の本殿拝殿は全国で唯一の様式
- 受験生へのメッセージが熱い一童社
- 360m続く見どころ満載の回廊
- 温羅の首で吉凶を占う鳴亀神事
- 日本遺産になっている温羅退治の物語
- まとめ
岡山観光で真っ先に行きたい神社
<北随神門への続く入口>
吉備津神社は電車でも車でも行きやすく、電車なら岡山駅からJR吉備線(桃太郎線)で15分の吉備津駅から徒歩10分。車なら岡山駅あたりから30分ほどで行ける立地です。
岡山で有名な観光地は他にも岡山城や岡山後楽園がありますが、岡山城が令和4年11月まで改修工事で休館ですので、今は真っ先に吉備津神社に行ってもいいでしょう。
国宝・必見の本殿拝殿は全国で唯一の様式
<心身を清める手水舎>
<白い提灯と木々に覆われた石段>
手水舎で心身を清め、石段から北随神門へ。
石段は一面の白い提灯と木々に覆われていて、神秘的な別世界への入口になっています。そこを上がると国指定重要文化財・北随神門が見え隠れしてきます。少しずつ雅楽が聞こえ出し、その先では神事を行っている様子が見えてきました。
<毎月13日に執り行う月次祭>
<静かに退堂する神職と巫女>
5人ほどの神職が厳かに神事を執り行っているのを見ていると、近くにいた親切な巫女さまが「これは毎月13日の月次祭(つきなみさい)ですよ」と教えてくれました。
神事を終えた神職さまと巫女さまが列をなして帰っていくのですが、雨の中を靴の音だけが小さく響き、それはとても神々しい姿でした。
<二つ山の入母屋は全国で唯一の様式>
国宝の本殿は横幅が約17m、奥行きが約14mという大規模なもので、日本を代表する島根県の出雲大社の2倍ほどの広さがあるというのですから、大変な規模であることが伺えます。
この本殿の屋根を入母屋(いりもや)と言うのですが、これが必見です。なんと、このように山が二つある建築は全国で唯一の様式なのです。建築学上では「比翼入母屋造(ひよくいりもやつくり)」と言い、別名として「吉備津造(きびつつくり)」とも呼ばれています。
受験生へのメッセージが熱い一童社
<丘の上で学芸を祈願する一童社>
<受験生への熱いメッセージ>
本殿の左奥にあるちょっとした丘の上にあるのが一堂社(いちどうしゃ)。学術と遊芸の神として江戸時代から信仰を集めています。近年は合格祈願の神様として受験生が後を絶ちません。この祈願トンネルには合格祈願の絵馬がびっしり。
そして神社からの熱いメッセージに心を打たれます。「このトンネルを抜けると陽光うららか春の園」。受験トンネルの先には春満開の楽しい高校・大学生活が待っているのでしょう。「あと少し!がんばるぞ!」という気持ちにさせてくれます。
360m続く見どころ満載の回廊
<360m延々と続く厳かな回廊>
<商売繁盛で賑わう吉備津えびす宮>
南随神門から回廊へ。この回廊が360mも続くのです。そして回廊からは見どころ満載の景観が広がります。
自然と一体になっている社は美しいものばかり。これはえびす様と大黒様が祀られている「吉備津えびす宮」。江戸時代から招福と商売繁盛の神として親しまれ、ご神体を祀る「えびす祭」も賑わっています。
<岡山市の体躯施設である弓道場>
正面には弓道場があり、これは岡山市の社会体育施設になっていて一般的に利用ができるようです。神社に隣接されている弓道場なんてとても雅な場所ですね。
<小さく佇む春日宮、大神宮、八幡宮>
なだらかな石段の先には小ぶりの社が三つ並んでいます。これは左から春日宮、中央が天照大神を祀る大神宮、右が八幡宮。この大きなの社が三つ並んでいるのも珍しい配置でした。
温羅の首で吉凶を占う鳴亀神事
<鳴釜神事が行われる御竃殿>
<希望者は御竃殿か社務所で申込み>
この先の右に鳴釜神事(なるかましんじ)が行われる御竃殿(おかまでん)があります。
鳴釜神事とは、祈願が成就するか否かを占う神事です。鬼の首が埋まっているという竈で湯を沸かし、そこで「ウォーン」と、うなるような音が鳴れば吉、ならなければ凶です。そしてその判断は神職ではなく本人が感じて判断するという心身の引き締まる神事。希望者は初穂料3千円からで受けることができます。貴重な経験になるでしょう。
日本遺産になっている温羅退治の物語
<温羅退治にやってきた吉備津彦>
この鳴釜神事に出てくる鬼というのが、この地に伝わる鬼退治の伝説になっているのです。この話は吉備津神社の公式サイトに詳しく紹介されていました。
その昔、吉備の国の人々は魚にも穀物にも恵まれ幸せに暮らしていました。そこに百済の国から「温羅(うら)」という人間離れした者がやってきました。温羅は身長が4mもあり、獣のような鋭い目、毛むくじゃらの体。その恐ろしい風貌で瀬戸内の船から荷物を奪い、女や子供を連れ去り、人々を釜ゆでにしてしまうという許せない乱暴者でした。
<温羅はキジや鯉に姿を変え応戦>
そこで朝廷からの命で温羅を退治にやってきたのが、今やこの吉備津神社の主神になっている吉備津彦。吉備津彦と温羅は弓矢で激しく戦った末についに温羅が逃げ出します。温羅はキジに化けて空へ、吉備津彦はタカに姿を変えて追います。今度は温羅は鯉になって川へ、吉備津彦は水鳥の鵜になって追い、ついに温羅を捕え、その首をはねたのです。
<温羅が住んでいたとされる鬼ノ城(総社市)>
この戦いに勝って人々を守った吉備津彦はこの神社の主神となり、永遠に人々を護っています。そして敗れた温羅も御竃殿の竈の下で、日々人々の吉凶を占っているのです。
この物語が誰でも知っている桃太郎の鬼退治となり、さらにこのお話は文化庁から「歴史的魅力で文化・伝統を語るストーリー」として日本遺産に認定されたのです。
<ご近所にある吉備津彦神社>
誰もが小さい頃に聞いた「桃太郎の鬼退治」にこんな実際のモデルがあったとは驚きです。「桃太郎の鬼退治」と「吉備津彦の温羅退治」を読んでから、ここを訪れたら感動も倍増することでしょう。
直ぐ近くにある吉備津彦神社や、温羅が住んでいたという総社市にある鬼ノ城(きのじょう)と共に拝観してはいかがでしょうか。
吉備津神社
- 住所:岡山県岡山市吉備津町931
- 参拝時間:5:00~18:00
- 公式サイト:吉備津神社
まとめ
桃太郎を主神とする岡山市にある吉備津神社。国宝になっている本殿拝殿は全国で唯一の様式です。受験生は合格祈願が後を絶たない一童社からの熱いメッセージに力をいただき、観光なら長い回廊からの美しい景観を存分に楽しめることでしょう。
そして鬼の首で吉凶を占うという鳴釜神事はとても貴重な体験になります。「桃太郎の鬼退治」のもとであり、日本遺産にもなっている「吉備津彦の温羅退治」の地にぜひお出かけ下さい。
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KOJI SAITO
- 東南アジアの子ども達を支援しているNGO代表。活動の合間に聖地を巡り、現地の人々との触れ合いから直接聞いた情報をお伝えしています。国内では会社を経営し、出張で47都道府県を制覇。