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観光客が戻ってきたウィーン旧市街の今
2022年6月から大幅に規制が緩和されたオーストリア。2020年春以来、ロックダウンと規制措置を続けてきたウィーンに、観光客が戻ってきています。
この2年のウィーンは、観光客の姿が街から消え、お土産屋さんやレストランもガラガラでした。人通りが絶えた町を歩くのは、住民と近隣のオフィスで働くスーツ姿の人だけ。観光客がいないと、ここまでガランとするのだと驚きでした。
そんなウィーンも5月に入って、中心部シュテファン広場は以前のような混雑が見られ、団体さんがガイドさんについて歩く姿や、観光バスなどの乗り物に乗り降りする人の姿が目立つようになりました。
6月からさらに規制が緩和され、オーストリアでは医療機関以外でのマスク着用義務がなくなっていますが、首都ウィーン市では例外的に、公共の交通機関、郵便局や薬局でのFFP2マスク着用義務が残っています。それでも、接種証明や陰性証明が必要だったころと比べて、かなり行動の自由度が増しています。
今回は、そんな観光客が戻ってきたウィーン旧市街の様子をお伝えします。
<2022年5月中頃のウィーン、シュテファン大聖堂>
目次
シュテファン大聖堂周辺の様子
静まり返っていた町の中心シュテファン広場も、現在は賑わいを取り戻しています。暖かい日は道のベンチや、カフェのテラスに座る人の姿も目立ち、人気のカフェは満員です。
見渡すと、ガイドツアーの団体も5,6組はいて、まっすぐ歩けないほどです。この2年見かけていなかった、街並みを背景に自撮りする人々の姿が新鮮です。大聖堂の中も地元の人が祈りの場やミサの席に着くのと対照的に、写真を撮ったり周りを眺めたりする観光客の姿が多く見られます。コロナ期に大聖堂内で行われていたワクチン接種や臨時礼拝室は終了し、地元民と観光客の棲み分けが元の体制に戻りました。
<シュテファン大聖堂内部。奥はミサを受ける住民、手前は観光客の姿。柵のところには、ウクライナへのメッセージが付箋で貼られています>
コロナ期には検査施設やマスク屋となっていたお土産屋さんも、店内を広々と改装して再開し、お客さんも結構入っています。
<お土産屋さんから見下ろしたシュテファン広場の観光馬車待合エリア>
グラーベン通りやコールマルクト通りなど歩行者天国になっている大通りも、写真を撮っている人や、地図を見ている人が立ち止まり、この2年は足早に通り過ぎる人しかいなかったのとは対照的です。
<グラーベン通りの雑踏。暑い日には、アイス片手に歩く人の姿も>
なにより、ウィーン名物モーツァルトの衣装を着たコンサートの呼び込みの人がどんどん声をかけてくるのが久しぶりです。この方たちはこの2年何をしていたのかとても気になると同時に、オーストリア訛りのドイツ語で返事をする私に、「2年間この町で生き残った同士」のような笑顔をくれました。
<シュテファン大聖堂からホーフブルク(王宮)に向かうコールマルクト通り>
<シュテファン広場から見たケルントナー通り>
ホーフブルク(王宮)周辺
ハプスブルク家の皇帝たちが暮らしたホーフブルク(王宮)前は、観光馬車フィアカーの待合場所になっています。ここでは、客待ちをしている馬車が少なく、お客さんを乗せて走っている馬車が多くなったことに驚きました。馬には運動が必要なため、この年2間馬たちは、来ないお客さんをひたすら待ちつづけ、空の馬車を引き、待合所には5,6台の馬車が常に停まっていました。
この期間に馬車に乗っていたのは、窮状をメディアで知った地元の家族連れなどで、フィアカーの姿が街から消えないよう、地元民で支えていました。それが今は、街角のあちらこちらにカメラを構え、色々な言語を話す人たちを乗せた馬車が、楽しそうに石畳を闊歩しています。その姿に思わず笑みがこぼれました。
<ウィーンの街並みを観光客を乗せて走るフィアカー>
<ホーフブルク、ミヒャエル広場前向かって右には、馬車の待合場所がある>
王宮の敷地内も、周りを見てゆっくり歩く観光客の姿が増えています。王宮の一部は、現在修復工事中の国会議事堂が仮入居していて、コロナ期間中はスーツ姿で足早に歩く国会議員や公務員の姿しか見られなかったので、こうやってラフな服装でのんびり歩く人々が戻ってきて、雰囲気も大きく変わりました。
<ホーフブルク新宮前にも、普段着の観光客の姿があります>
以前は写真を撮っても全く通行人が写り込まなかったのが、今はどのアングルで撮っても必ず人が入ってしまうのにはまだ慣れません。
国立オペラ座周辺
国立オペラ座の裏にあり、現在ムンクの特別展を開催中のアルベルティ―ナ美術館の前には、若者の姿も多く見られました。近くにあるザッハトルテで有名なカフェ・ザッハは、まだ行列が始まる時間ではありませんでしたが、お客さんは比較的たくさん入っていました。
<アルベルティ―ナ美術館前は、テラスカフェで談笑を楽しむ人々の姿も>
<国立オペラ座の前、カールスプラッツ駅前の二階建て観光バス乗り場。コンサートの呼び込みの人の姿も>
国立オペラ座前のホップオン・ホップオフの停留所の間では、多くの人たちが乗車を待っています。以前は日常だったこの風景が2年間もなかったこと、ロックダウンが突然始まり、オペラ座が休演になったあの日のことを思い出すと、感慨深い気持ちになりました。
まとめ
観光客の姿が戻ってきたウィーン。まだ航空業界の乱れから、アジアから訪れる人の姿は以前ほどではありませんが、欧州からのお客さんは目に見えて戻ってきています。
地元民だけで支え続けたこの2年間の静かなウィーンにも愛着はありますが、観光客が戻ってきて賑やかになり、観光業界全体が生き返っている様子を見ると、観光都市ウィーンの復活に春の訪れを感じます。
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ひょろ
- オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。