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歴史と自然が豊富な大和五條、6つの魅力大公開!
奈良県の南西部にあり、大阪から近いのに意外に知られていない大和五條。金剛山地の裏側、紀伊山地の入口、吉野川沿いに開けた町は古くから紀州街道が通じており、交通の要衝でした。奈良時代創建の寺院や江戸時代初期にできた町並みの雰囲気が残っており、明治維新の先駆けとなった場所や幻の鉄道の足跡など歴史的な見どころが豊富です。
大阪や奈良、和歌山方面から日帰りで十分楽しめる大和五條をGWに散策してきました。複数ある大和五條の魅力を紹介します。
目次
- 大和五條へのアクセス
- 大和五條の魅力1:重要伝統的建造物群保存地区・五條新町通り
- 大和五條の魅力2:藤原南家ゆかりの栄山寺
- 大和五條の魅力3:花の寺として庭園の美しい金剛寺
- 大和五條の魅力4:維新の先駆け天誅組の足跡
- 大和五條の魅力5:幻の五新鉄道と貨物線跡
- 大和五條の魅力6:大ムクや吉野川などまだまだある見どころ
- 大和五條の魅力のグルメ:創業明治の老舗山直
- 大和五條の魅力のショッピング:chocobanashi(チョコバナシ)
- 自然と歴史が豊富な大和五條はもっと多くの人に知られてほしい穴場観光地
大和五條へのアクセス
大和五條への最寄り駅は、JR五条駅です。奈良の王寺駅と和歌山駅を結ぶ和歌山線上に駅があります。また大阪からは南海高野線で橋本駅から乗り換えると4駅で五条駅にに到着します。
五條の中心部であれば徒歩圏内。少し頑張れば五条駅から東2kmのところにある栄山寺までも十分歩けます。
車の場合は、京奈和自動車道の五条インターチェンジが便利です。大阪方面からは国道310号が最も近いですが、急カーブの地点が多く、371号線バイパスから橋本インターを経由した方が走りやすい道になっています。
大和五條の魅力1:重要伝統的建造物群保存地区・五條新町通り
五條でぜひ行っておきたいのが、五條新町通りです。五条駅から西にあり、商店街が並ぶ商栄会通りを経由すると迷うことなく到着できます。
五條新町は大和の戦国大名・筒井氏の家臣だった松倉重政が関ケ原の戦いで功績をあげたとして、大和五条藩を立藩し、二見城に入りました。このとき城のある二見と中世末からすでに栄えていた五條の間の紀州街道沿いに発展したのが五條新町です。
新町通りの東端には、建築年代がわかる民家では日本最古とされる江戸初期に建てられた栗山家住宅があります。ただし現在も個人が住んでいるため内部は非公開。通りの中には資料館として内部を公開している建物があり、五條市新町まちや館(木村篤太郎生家・旧辻家住宅)と、まちなみ伝承館が無料公開されています。
そのまま新町通りを歩いていくと、カフェや食堂、フランス料理、旅館など様々なお店が続いています。西の端は坂を上った交差点。そこから左側に向かえば二見城址があり、現在は吉野川沿いに城があったことを示す説明版だけがあります。
大和五條の魅力2:藤原南家ゆかりの栄山寺
五条駅の2km東側には、奈良時代に建てられた藤原南家ゆかりの栄山寺があります。町の中心から少し離れていますが、時間があればぜひ立ち寄ってみましょう。ここは藤原鎌足の孫、武智麻呂が719年に建立した真言宗の仏教寺院です。
訪問した時は非常に運が良く、普段非公開になっているものが、年に一度の御開帳の時と重なっていました。国宝に指定されている栄山寺八角堂は国宝に指定されており、普段は内部は立ち入れませんでしたが、このときは運よく内部を見学できました。
栄山寺の本堂も普段は非公開ですが、重要文化財に指定されている本尊・木造薬師如来坐像と左右に六体ずつ並んでいる木造十二神将立像の姿が見られました。
本尊と十二神将像は室町時代の作とのこと。また境内にある鎌倉時代の石燈篭及び平安時代後期に作られた石塔婆も重要文化財に指定されています。また南北朝時代の一時期、境内に南朝の行宮所が置かれたことがありました。
栄山寺のもうひとつの国宝は梵鐘(ぼんしょう)です。名分が残っており、917(延喜17)年に作られたもの。神護寺、平等院とともに「平安三絶の鐘」として知られています。
大和五條の魅力3:花の寺として庭園の美しい金剛寺
栄山寺から吉野川を渡り、川沿いに南西方向に歩いていくと、金剛寺があります。真言宗の仏教寺院として、入口には空海の像が立っています。関西花の寺二十五霊場23番に指定されています。境内に入るとちょうどツツジの最盛期で、綺麗な赤紫の花を咲かせていました。
しかし、金剛寺の花はここではなく、境内の裏手にある花園にあります。花園にはいろんな種類の花が咲いていました。GWのこのときは、寺の花でもあるぼたん祭りが行われていました。またボタン以外にもポピーやクレマチス、紅花マロニエ、西洋シャクナゲなど、多種多様の花があり訪れる者の目を潤ませてくれます。
金剛寺は1173年に平重盛により創建された寺院です。江戸時代は寺のある野原にあった大和野原城主の畠山義春の菩提寺として、また宇智の大野に流されてきた光仁天皇の皇后、井上内親王(いがみないしんのう)とその子他戸親王(おさべしんのう)の怨霊を祀る宮寺でもありました。
さらに江戸末期から明治にかけて、奈良唐招提寺の長老の隠居寺として、また京都仁和寺、直末の中本寺として栄えたという歴史を持ちます。
大和五條の魅力4:維新の先駆け天誅組の足跡
大和五條は幕末1863年に起こった事件の舞台でもありました。それは孝明天皇の侍従で、公卿の中山忠光を主将とした天誅組の乱が起こった場所です。孝明天皇の大和行幸のタイミングで中山と尊王攘夷の労使たちが決起、堺から河内を通過して山を越えて五條に入ると、五条代官所を襲撃し、五条御政府を立ち上げました。
しかし、京にいた長州藩らの尊王譲位派は失脚し、天皇の大和行幸も中止となります。天誅組は暴徒として幕府から追討される立場になってしまいました。
襲撃ののちに新たに建てられた五条代官所の跡地には五條史跡公園として整備されており、その中に五條代官所長屋門を復元し、中には天誅組に関する資料館になっています。天誅組の蜂起からの行動や幕府により追討されて各地を転々とする過程などが詳しく記されており、歴史ファンには必見の場所です。
また公園内には、明治維新発祥の地の碑や天誅組150年の碑が設置してあります。天誅組の乱は幕府により鎮圧されましたが、その5年後には明治維新となっており早すぎた決起だったことがうかがえます。
その他公園内にはSLが展示してあります。これは大正14年に制作された8620形蒸気機関車です。通称「ハチロク」と呼ばれる蒸気機関車の616輌目です。金剛山麓の路線で主に活躍したこともあり、「金剛・ハロー号」と呼ばれました。1972(昭和47)年に展示され、2003(平成15)年に塗り替えられました。
大和五條の魅力5:幻の五新鉄道と貨物線跡
五條新町通りを西の方に向かうと一本の高架線があります。これは五新線(ごしんせん)と呼ばれる計画線の建築跡です。吉野杉などの木材を輸送する目的として五条駅から紀伊半島を縦断し、新宮駅までを結ぶ予定でした。
しかし、戦時中に工事が中断後、現在の西吉野町城戸まで路盤ができたものの、結局バス専用道となり、鉄道工事は凍結し計画は中止。バス路線も2014(平成26)年をもって廃止となりました。
しかし、「旧国鉄五新線(未成線)鉄道構造物群」として2016(平成28)年に、土木学会選奨土木遺産に認定されました。五新線の跡地で残っているところをウォーキングするツアーも始まったとか。五条駅から五條新町を通って吉野川に向かっていることから、この部分が五條の観光スポットとして残されています。
五新線の計画があった通り、五条駅の隣大和二見から貨物線がでており川端駅がありました。山間から切り出される木材の搬送を目的として、1896(明治29)年に設置されました。紀伊山地を縦断する架空索道(貨物用ロープウェイ)とセットで物資の輸送に大きく貢献しましたが、終戦後に道路が紀伊山地に次々と開通したため廃止となりました。
五條新町から西の二見地域にくると、当時の貨物線の名残が一部残っています。五新線の跡地とともにセットで見ておきたいスポットです。
大和五條の魅力6:大ムクや吉野川などまだまだある見どころ
五條にはまだまだ見どころが多く、できるだけいろいろみておきたいところ、大和二見駅近くには巨大なムクの木があります。資料を調べると、樹齢1,000年で、幹の周囲が8.5m、樹高は30mあるとか。ただし旧家の敷地内にあるので、外から眺めるだけです。
五條には歴史上重要な人物が住んでいました。画像の場所新町通りの東端に邸宅跡があった森田節斎は、医師でありながら思想家で教育者だった人。
若者に尊王攘夷思想を教えた人物でもあり、天誅組が五條代官所を狙ったのも節斎が五條にいたので、相談できるからとか。松下村塾で後に明治時代に活躍する若者を教えた吉田松陰も自身が若い時に、節斎に会うために長州から五條に来ています。
できれば吉野川を眺めたいところ。五條の町の南側を東西に流れている吉野川の雄大な流れは、ただ眺めているだけで気持ちがほっこりします。少し先の和歌山県に入ると紀ノ川と名を変える大河はかつて木材の運搬に活躍しました。今ではラフティングなどのスポットとして利用されています。
大和五條の魅力のグルメ:創業明治の老舗山直
大和五條は新町通りを中心に食べるところは結構ありますが、基本的に高級店が多いです。その中でも明治時代創業の老舗山直は、大衆食堂としてリーズナブルなメニューが並んでいます。かけうどん、そばは350円からという驚きの安さ。
てんぷらうどん(700円)をいただきました。この日は五條の見学を優先したために食事の時間が午後4時ごろだったのですが、通し営業をしているので利用できたのもうれしいところ。肝心の味ですが、申し分なく美味しくいただきました。
山直
- 住所:奈良県五條市新町1-11-9
- TEL:0747-22-2158
- 営業時間:11:00~19:00
- 定休日:第2・第4日曜日
大和五條の魅力のショッピング:chocobanashi(チョコバナシ)
五條は柿の生産が日本一です。そのため柿を使った加工品や柿の葉寿司の本場。しかしそれとは一味違うお店が五條新町の中にあります。それはchocobanashiという人気店。GWにもかかわらずそれほど多くの人がいないのでゆったりと街歩きができる五條の中でもここだけは黒山の人だかり。
「餅商一ツ橋」の建物をリノベーションして作られた店では一風変わったチョコレートを販売しています。ガーナ・ベトナム・インド・ベリーズの4つの国からカカオ豆を仕入れるこだわりぶり。カカオ豆から作られるオリジナルチョコレートにはさまざまなフレーバーがあり、スタッフに質問すると的確に教えてもらえます。
チョコレートでつながった人々が描いたデザインのパッケージや紙袋も大人気。五條の新名物としてますます人気を集めそうです。
chocobanashi 一ツ橋チョコスタンド店
- 住所:奈良県五條市五條 1‐3‐1
- TEL:050-1443-0553
- 営業時間:11:00〜17:00
- 定休日:月~木
自然と歴史が豊富な大和五條はもっと多くの人に知られてほしい穴場観光地
自然と歴史が豊富な五條の町はそれほど大きくなく、1日でほとんど回れます。GWの真っ最中なので、ちょうど吉野川では鯉のぼりが泳いでいました。今年は3年ぶりに規制が無くなったため、各地で多くの観光客が来たというニュースがでていました。
しかし、大和五條に関しては観光客はそれほど多く無く、ゆったりとしたひと時を過ごせました。まさに穴場観光地と言える場所。京阪神からもそれほど遠くないので、ぜひ訪れてほしい町です。
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万代正平
- 旅行が好きな旅人。日本国内は、北海道の網走、道東周辺から沖縄の八重山諸島・与那国島まで47都道府県すべて行ったことがあります。2020年2月までは毎年東南アジアに渡航しており、東南アジア10か国すべて訪問しました。海外では他にヨーロッパ(英国、ベルギー、アイルランド)アメリカ、中国、香港、マカオ、台湾、韓国への渡航経験があります。2020年春以降は、主に国内の旅行を中心に活動しています。