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近鉄の観光特急「あをによし」2022年4月運行開始!
こんにちは!たびこふれライターの中尾です。
「近鉄電車」の愛称で親しまれている近畿日本鉄道(きんきにっぽんてつどう)は日本最大の路線網を持つ私鉄。路線は、大阪府、奈良県、京都府、三重県、愛知県への2府3県を結んでいて、都市間はもちろん吉野や伊勢志摩への特急列車ネットワークが充実しているのも特徴です。伊勢志摩へ結ぶ「しまかぜ」、吉野へ結ぶ「青の交響曲(シンフォニー)」、大阪と名古屋を結ぶ「ひのとり」など最高峰の列車が運行されています。そして2022年4月29日に観光特急「あをによし」が大阪・奈良・京都を結ぶ区間に運行を開始しました。一足先に試乗会にお招きいただいたので乗車レポートをお届けします。
目次
- 観光特急「あをによし」
- 観光特急「あをによし」の外装
- 観光特急「あをによし」1・3・4号車のツインシート
- 観光特急「あをによし」2号車のサロンシート
- 観光特急「あをによし」2号車の販売カウンター
- 観光特急「あをによし」4号車のライブラリー
- 観光特急「あをによし」の乗車レポート
- 観光特急「あをによし」景色を楽しむならどちらの座席?
- 観光特急「あをによし」の予約・購入方法
- 観光特急「あをによし」の運行料金について
- 観光特急「あをによし」の紹介そして近鉄の特急列車ラインアップ
観光特急「あをによし」
意味
「あをによし」とは、古都・奈良に掛かる枕詞。奈良の都の美しさをイメージして名付けられたそうです。さらに調べると万葉集(和歌)『青丹よし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとく 今さかりなり』があり、意味は『奈良の都は、咲いている花が美しく照り映えているように今真っ盛りである』になります。
主な特徴
- 古都・奈良をイメージさせる高級感のある内外装
- 2名用のツインシート(1列+1列で配置)と、3~4名用のサロンシートの座席
- 2号車に設置されている軽食や飲料などを提供する販売カウンター
- 朝夕の2便で利用できる乗り換え不要列車『大阪難波駅~近鉄奈良駅~京都駅間』
運行開始日
2022年4月29日
運行区間・時刻
- 大阪難波9:30頃発 ⇒(近鉄奈良を経由)⇒京都10:50頃着
- 京都11:20頃発 ⇒ 近鉄奈良11:55頃着
- 近鉄奈良12:10頃発 ⇒ 京都12:45頃着
- 京都13:20頃発 ⇒ 近鉄奈良13:55頃着
- 近鉄奈良14:10頃発 ⇒ 京都14:45頃着
- 京都15:20頃発 ⇒(近鉄奈良を経由)⇒大阪難波16:40頃着
運行日
週6日運行(週1回運休)
※春休み、夏休み、ゴールデンウイークなど運行する日もあります。
停車駅
大阪難波、大阪上本町、鶴橋、生駒、学園前、近鉄奈良、大和西大寺、近鉄丹波橋、京都
座席数
84席(全席座席指定)
改造車両
4両1編成(特急車両12200系を改造)
投資額
約3.3億円
観光特急「あをによし」の外装
外装は天平時代の高貴な色とされる紫色のメタリック塗装を施しています。「奈良の和」の美しさ、尊さを表現したデザインになっています。
エンブレムは「吉祥文様 花喰鳥(きっしょうもんよう はなくいどり)」。めでたいことが起こる前兆とされる鳥、瑞鳥(ずいちょう)が花枝などをくわえたあしらいで、正倉院御物や種々の工芸品にも縁起のよい文様として使われているそうです。
側面には天平文様があしらわれています。
車両もピカピカです。
観光特急「あをによし」1・3・4号車のツインシート
ツインシートは1号車(定員24名)、3号車(定員20名)、4号車(2名)に設置されています。
A・B席は対面型のシートになっています。
C・D席は"ハ"の字型に配置されていて、斜めに外側へ向いています。大きな窓が特徴です。
A・B・C・D席ともに向きが違うだけで座席の形状は同じです。
3号車部分は広めに車椅子スペースが取られています。
観光特急「あをによし」2号車のサロンシート
2号車にはサロンシートと販売カウンターがあります。サロンシートと販売カウンターはドアで仕切られていますので、サロンシートを利用する方にも静かな空間になっています。
サロンシートは3~4名のグループ専用席です。座席と通路はパーテーションで区切られ、半個室のような空間になっています。
サロンシートの内部です。大きなテーブルを囲んで4席設置されています。入口側には大きめの荷物スペースがあります。
広角レンズでも全体が入らないほど大きな空間になっています。なお、席は固定されていて、通路側の席が外に向いて斜めに設置されています。
カーテンは高級感あふれるものを使っています。
観光特急「あをによし」2号車の販売カウンター
3号車から2号車に入りますと販売カウンターがあります。
販売カウンターは、正倉院にも用いられる「校倉造り(あぜくらづくり)」をイメージしています。奈良県産品を使ったスイーツや車内限定のオリジナルグッズ、クラフトビール、おつまみを販売しています。
まだ試乗会なのでこのような陳列になっていますが、鉄道ファンならずとも欲しくなるオリジナルグッズが販売されています。
奈良の地ビールがビールサーバーでサービスされます。販売カウンターには専属のアテンダントが乗務しています。
冷蔵ケースにはスイーツが並ぶそうです。
実際、販売される予定のメニューです。今度は予約を取って乗りたいと思います。
観光特急「あをによし」4号車のライブラリー
4号車の運転席側にはライブラリーがあります。
ライブラリーには沿線に関する書籍があり、自由に閲覧できます。
片側にはこんなお洒落なソファーがあります。ここに座って静かに本を読むことができます。
観光特急「あをによし」の乗車レポート
今回乗車したのは試乗会。京都駅から近鉄奈良駅を経由して大阪難波駅までの区間。京都駅に入線した「あをによし」。
このエンブレム。めちゃくちゃ素敵です。
そして天平文様が素晴らしい。さぁ4号車に乗車します。
車内へと続く入口。この先、どのような車内になっているのか期待の一瞬です。
外装はシックなデザインだけに、車内に入ると「あれ?とても明るい」というのが第一印象です。緑色のシートは初めて見ました。
座席横には木材で作られた座席番号が付けられています。細部までこだわりが施されています。
座席のヘッドカバーには「あをによし」のエンブレムが添えられています。
シートの座り心地ですが、「座った人を包み込む」ような特別デザインです。家具メーカーによる特注デザインです。
天井は明るい天平文様がデザインされています。荷物棚が設置されているのですが、木材で作られていて、それでいて邪魔に感じさせない造りになっています。
天井の照明まで天平文様の宝物をモチーフとしたものです。
テーブルの下部にさりげなくコンセントがありました。
今の時代、コンセントはあると便利、なくてはならないものになりつつあるので、とても助かります。
特急列車のなごりか荷物置き場が多用されていました。
車内ではFree Wi-Fiが利用可能。当然、抗ウイルス加工、抗菌加工がされていますし、車内の空気も自動で入れ替えられています。
運転席からの景色を眺めに行きました。このような偏光ガラスになっていて、写真撮影するとレトロな出来上がりになりました。
2号車の販売カウンターには専属のアテンダントがいらっしゃり、オリジナルグッズの説明をしてくれました。
試乗会特別販売の販売リストです。車内でしか購入できないオリジナルグッズですが、とても良心的な価格設定でした(笑)。
ハイ、買ってしまいました。「あをによし」のフェイスタオル。1,000円(税込)
「あをによし」のキーホルダー。800円(税込)
裏面の"2022年4月29日運行開始"の刻印が将来的になくなるので、今のうちに購入しておきましょう!
「あをによし」の記念乗車証は販売カウンターでいただけます。こちらも必ずゲットしておきましょう!
2号車のサロンシートの通路です。通路にアーチを取り入れるのも珍しいですね。
3~4人の仲間が揃えばサロンシートがおすすめです。とても開放的な空間で列車の中とは思えません。サロンシートは定員12名(4人×3組)しかないので早めに、いくつかの候補を考えてから予約することをおすすめします。
乗車車両の位置にからくりがあります。大阪難波駅から近鉄奈良駅を経由して京都駅へ向かう便、そして京都駅から近鉄奈良駅を経由して大阪難波駅へ向かう便は、近鉄奈良駅で進行方向が逆になります。なので、難波・京都方面が左側に記載されているのです。
洗面台は陶器を使っています。中も明るく使いやすい構造になっています。
1号車のトイレ。最新のトイレに入れ替わっています。
3号車の多目的トイレの入口。大きなドアが特徴です。
トイレは誰でも使えるよう多目的になっています。
京都駅を出発してほとなくするとのどかな風景が続きます。
近鉄奈良駅到着前には平城宮跡を見ることができます。
大阪難波駅に到着。なんだなんだと注目の的になってしまいました(笑)。
観光特急「あをによし」景色を楽しむならどちらの座席?
僕個人的なおすすめですが、ツインシートだとC・D席をおすすめします。景色が良いから座席が外側を向いているのだと思います。その証拠にサロンシートはC・D側の方向に座席が向いています。大阪難波駅⇔京都駅間を通しで乗ると理由が分かりますよ!
観光特急「あをによし」の予約・購入方法
インターネット、近鉄駅窓口、近鉄を取り扱っている旅行会社(阪急交通社など)にて受け付けています。
- インターネット:近鉄電車インターネット予約・販売サービス(会員登録が必要です)
- 近鉄駅窓口:特急券発売駅一覧(発売時間にご注意ください)※特急券は乗車日の1か月前の10:30より購入が可能です
>>車両編成、運行情報(時刻表)、運行日カレンダー、運行料金、運行区間、予約・購入方法などはこちらから
>>観光列車「あをによし」を利用する阪急交通社のツアーはこちらから
観光特急「あをによし」の運行料金について
「あをによし」には3種の運賃・料金を合算したものが運行料金になります。
近畿日本鉄道の公式サイトに「あをによし」の運行料金表が載っています。この表の運行料金は、大人1人あたりのもので、ツインシートを2名、サロンシートを3名または4名で利用する場合の大人1名あたりの金額となります。
【運賃例】
1. 大阪難波駅⇒京都駅まで「あをによし」のツインシート(大人2名利用)またはサロンシート(大人3~4名利用)利用
普通運賃960円+特急料金790円+特別車両料金210円=大人1名1,960円 ※特急料金はインターネット・駅窓口・券売機で購入した際の割引適用後の金額です
2. 大阪難波駅⇒近鉄奈良駅まで「あをによし」のツインシート(大人2名利用)またはサロンシート(大人3~4名利用)利用
普通運賃570円+特急料金520円+特別車両料金210円=大人1名1,300円
3. 近鉄奈良駅⇒京都駅まで「あをによし」のツインシート(大人2名利用)またはサロンシート(大人3~4名利用)利用
普通運賃640円+特急料金520円+特別車両料金210円=大人1名1,370円
【1名利用の場合の運賃例】
1. 上記大阪難波駅⇒京都駅までツインシートを1名で利用する場合、普通運賃960円+特急料金790円+400円+特別車両料金210円+110円=大人1名2,470円
2. 上記大阪難波駅⇒近鉄奈良駅までツインシートを1名で利用する場合、普通運賃570円+特急料金520円+260円+特別車両料金210円+110円=大人1名1,670円
3. 上記近鉄奈良駅⇒京都駅までツインシートを1名で利用する場合、普通運賃640円+特急料金520円+260円+特別車両料金210円+110円=大人1名1,740円
【注意点】
- 大人は12歳(中学生)以上、こどもは6才~12才未満(小学生)が対象になります
- こどもの運賃・料金はおとなの半額です(端数は10円単位に切り上げます)
- 「あをによし」のサロンシートは1名または2名で利用することはできません。3名以上で1室を利用することができます
- 「あをによし」のツインシートを1名で利用する場合は、上記太字の大人1名分に加えて、こども分の特急券・特別車両券を追加購入する必要があります。この場合、1名で2席利用することができます
- 「あをによし」のツインシートをこども1名で利用する場合、こども普通運賃+こども特急料金2名分+こども特別車両の合計が運行運賃になります
観光特急「あをによし」の紹介そして近鉄の特急列車ラインアップ
- 近畿日本鉄道の公式サイト:近畿日本鉄道
- 観光特急「あをによし」の詳細:観光特急「あをによし」
近鉄の特急列車
日本一の路線網を誇る近鉄には「あをによし」以外にも多種多様な特急列車が走っています。
- 大阪難波・京都・近鉄名古屋から賢島への特急列車:しまかぜ
- 大阪阿部野橋から吉野への特急列車:青の交響曲(シンフォニー)
- 大阪難波から近鉄名古屋への特急列車:ひのとり
- 大阪難波から近鉄名古屋を中心に運行している特急列車:アーバンライナー・ネクスト&アーバンライナー・プラス
- 大阪難波・京都・近鉄名古屋から鳥羽・賢島を中心に運行している特急列車:伊勢志摩ライナー
- 南大阪線・吉野線を運行している特急列車:さくらライナー
- 近鉄特急のシンボルカーのひとつである特急列車:ビスタカー
※当記事は近畿日本鉄道株式会社の公式サイトやパンフレットから引用しています(許可取得済み)
※当記事は2022年4月の試乗会に乗車した時のものです。最新情報は公式サイトにてご確認ください
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中尾勝
- 旅が大好き!国内海外を問わず飛び回っていますが、海外へは2011年に渡航して以来、出国していません。今は原点に戻り国内を旅しながら日本の良さを体感中。