公開日:
最終更新日:
京都鉄道博物館をご案内!~展示車両から運転士体験まで楽しみ方色々~
京都にある、鉄道好きや子どもたちなどに大人気のスポット「京都鉄道博物館」をご存じですか?
2016年にオープンした京都鉄道博物館は、京都駅から少し西にある梅小路公園のほど近くにあります。梅小路公園は広大な敷地に芝生の広場や日本庭園、さらには京都水族館もある京都市民の憩いの場になっています。
2019年の3月に開業したJR嵯峨野線の「梅小路京都西駅」にも近いので、交通も便利です。
そんなエリアにある京都鉄道博物館は、鉄道ファンはもちろんのこと、地元の家族連れやカップル、観光客でいつも賑わっています。今回は京都鉄道博物館の魅力をあますことなく紹介します。
目次
<6. 屋外展望デッキ「スカイテラス」で新幹線をウォッチ!>
<10. 京都鉄道博物館のグッズ・お土産はここで買おう! 旧二条駅舎>
1. 京都鉄道博物館の見どころは?
京都鉄道博物館の見どころは、なんといっても蒸気機関車をはじめとする昔活躍した車両が展示されているところです。また、車両によっては外から見るだけではなく中に入ることができたり、運転席に座れたりします。さらには、梅小路公園内を蒸気機関車が走っていたり、運転シミュレータを体験できたりと、鉄道そのものをあらゆる角度から体験できるのも、この京都鉄道博物館の人気の理由です。
京都鉄道博物館の中はとても広く、3つのエリアに分かれています。一つはプロムナードと呼ばれるエリアです。駅のプラットフォームをイメージしたという縦長の場所に0系新幹線電車をはじめとする様々な車両が展示されています。
もう一つは本館エリア。本館は3階建ての建物で、こちらは鉄道の歴史や鉄道が実際にどのようにして動くのか、また社会の中で鉄道はどんな役割を果たしているのかなどについてじっくりと学べる場になっています。他にも、鉄道ジオラマやスカイテラスという展望台、レストランがあり、様々な楽しみ方ができるのもこの本館の特徴です。
三つ目の屋外の展示スペースには、扇形車庫と旧二条駅舎があります。扇形車庫というのは、扇のような半円形の形になった蒸気機関車の車庫です。機関車トーマスの車庫をイメージしてもらえるといいかもしれません。
旧二条駅の駅舎は明治37年に建築された建物をこの場所に移築したもので、扇形車庫のすぐ隣にあります。旧二条駅舎にはミュージアムショップと蒸気機関車に関する資料館が併設されています。
このように、京都鉄道博物館は大きく分けて、3つの特徴あるエリアに分かれています。
2. 0系新幹線電車も! プロムナードの展示車両
チケットを購入し中に入ると、まず圧倒されるのがこの3両です。間近で見る鉄道車両は想像よりも大きく、テンションが上がります。ここはプロムナードと呼ばれている野外スペースで、右から、0系新幹線電車、80系電車、C62形蒸気機関車が並んでいます。鉄道の歴史の変遷を表しているのだそうです。
0系新幹線電車は1964年の東京オリンピックの開催に合わせて開業した東海道新幹線でデビューしました。1964年から44年間活躍し、全部で3216両製造されたのだそうです。プロムナードの主役ともいえるほどの存在感です。
こちらにトップナンバーのグリーン車も展示されています。昔の車両の座席には灰皿もあり、懐かしく感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、ビュフェ車両もあり、冷蔵庫や電子レンジもそのままに展示されています。
0系新幹線電車22形1号車の中は展示スペースとして活用されています。0系新幹線電車の鼻の部分を取ったら何が入っているかというと、車両と車両をつなげる連結器が入っているのですが、皆さんご存じでしたか?
こちらはパンタグラフと呼ばれるもので、架線から電気をとりこむ装置です。後ろの壁は設計図になっています。
どんどん進化していくシートの変遷などもわかります。
運転席に座ってみることもできます。ちょっと狭いですが、ぜひ体験してみてください。運転士の気分が味わえます。
「走るホテル」と称されたブルートレインの食堂車です。駅弁を買って中で食べられるのですが、2022年2月現在は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から使用を中止しています。
ただ、駅弁は販売されていますので、購入して、ベンチで車両を眺めながら食べることはできます。
プロムナードには他にも色々な電車がありますのでゆっくり見学してください。こちらは日本初の中型ディーゼル機関車だそうです。色も形もきれいで走っているところが見たくなる車両です。
3. 鉄道の歴史や車両のしくみが学べる! 本館1階
続いて、本館に移動して1階から見ていきましょう。
JR西日本を代表する車両がお出迎え
本館1階のエントランスを入るとまず目に飛び込んでくるのは3両の電車です。
左から500系新幹線電車、特急月光、特急雷鳥です。月光と雷鳥はすでに引退していますが、500系は山陽新幹線「こだま」として今なお西へ東へ活躍中です。
この先端のデザインが画期的でカワセミという鳥のくちばしをイメージしているそう。また営業運転として時速300kmの壁を初めて破った新幹線電車でもあります。
こちらは国鉄時代にも使われていた583系の特急電車「月光」です。新大阪―博多間を走っており、世界初の三段ベッドのある昼夜両用の特急電車。昼間は座席として使うことができ、夜はベッドになるという当時としては画期的なデザインでした。
こちらは489系のボンネットスタイルの特急電車「雷鳥」です。ベージュと赤のおなじみのツートンカラーが特徴です。ボンネットには発電機が載っています。おでこの部分についている銀色の印はアルファベットのTの文字で特急電車を表しているのだそうです。
ペリーが持ってきた?! 蒸気機関車の模型
こちらは幕末にペリーがアメリカからやってきた時に乗っていたサスケハナ号です。「でもどうして鉄道博物館にペリー?」って思いますよね?
実はペリーは来日した時、蒸気機関車の模型を持ってきていたのだそうです。「日本は蒸気機関車を走らせるべき」というのがペリーの思いだったとか。実際に蒸気機関車が日本に紹介されると「なんだ、これは!」と人々は驚きました。そして、数年後、日本で蒸気機関車が走るようになったのは周知の事実ですね。こうして蒸気機関車は文明開化の代名詞のような存在になりました。
歴史コーナーでは鉄道の歴史がじっくりと学べるので、興味のある方はご覧くださいね。お子さまの自由研究にもおすすめです。
「日本で最初の」車両がいっぱい!
こちらは日本初の量産型蒸気機関車です。日本で大量生産できるようになった初めての蒸気機関車で、明治36年に製造されました。歴史の重みを感じさせる佇まいで、この機関車の前に立つと敬意すら感じてしまいます。昭和34年まで使用されており、その後、2016年には国の重要文化財に指定されました。
こちらは蒸気機関車発祥の地イギリスから輸入された蒸気機関車です。明治14年にイギリスのキットソン社により製造されたものだそうです。
昔の駅はどんなだった?「昭和乃駅」
昭和30年代から40年代をイメージして作られた昭和乃駅です。懐かしい雰囲気が漂っています。手前にあるのは駄菓子屋さんです。タイムスリップしたような気分が味わえます。
踏切で非常ボタンを押してみる
「カンカンカンカン」という音が鳴り響くこちらの踏切は、実際に使用されている踏切と同じ仕様で、触ることもできます。作動ボタンを押すと実際にバーが上がり下がりします。
さらには非常ボタンを押してみることもできます。実際に押してみると、本当に非常警報がなり、ランプがつく仕組みです。踏切前はボタンを押したいお子さんでいっぱい。でも電車は来ないので、小さなお子様もじっくりと踏切について学ぶことができますね。
電車を下から見てみよう
皆さんは電車を下から見たことはありますか? なかなかそのような経験がある人は少ないと思いますが、こちらでは電車を下から見られる展示があります。
京都鉄道博物館の本館は平安時代に使われていた朱雀大路の上に位置しています。そのため、遺構を傷付けてしまう可能性があることから、深く掘れないという事情があります。そのため、電車を持ち上げた状態で、半地下から電車を見上げる展示手法を取ったそうです。
これは「かさ上げ展示」といい、京都鉄道博物館独自の展示方法だそうです。
この展示では「砂まき管」を見ることができます。砂まき管とは、急勾配や雨や雪で滑りそうな時、運転士が運転席から操作してこの管から砂を出すのだそうです。そうすると滑り止めになるのだとか。このような装置を実際に見られるのも京都鉄道博物館ならではですね。
ずらりと並んだトレインマーク
本館1階の「鉄道のあゆみ」コーナーでは、懐かしいトレインマークが掲げられています。トレインマークというのは、「はやぶさ」「ふじ」などのように列車の愛称とともにデザインされて、列車の先頭と最後尾につけられるマークのことです。自分が乗ったことのある列車のトレインマークをぜひ探してみてください。
4. 鉄道関連機器のしくみが学べる! 本館2階
では、本館の2階へ上ってみましょう。
券売機で切符購入体験
まずは、こちらの券売機でおとなの切符とこどもの切符の両方を買ってみましょう。
というのも自動改札に通した時に違いがわかるからです。
スケルトンの自動改札機
切符を自動改札に通してみましょう。なんと、スケルトンの自動改札が設置されています。これなら、どんなシステムになっているか一目瞭然ですね。子どもの切符を入れるとどうなるでしょうか。「ピヨピヨ」と音が出ました。これは実際に使われている自動改札と同じシステムとなっています。
いつまでも見ていたい! 鉄道ジオラマ
京都鉄道博物館の目玉の体験展示の一つである鉄道ジオラマ。小さいながらも精緻な造りでずっと見ていても全く飽きません。約15分のジオラマショーが行われており、模型の電車がただ走っているのでなく、様々な演出があるため15分があっという間に感じられます。
鉄道ジオラマとしてはなんと日本最大級の大きさで、幅約30m、奥行き約10m。線路を全てつなぎ合わせると1kmの長さになるのだとか。新幹線電車と特急電車はもちろんのこと、JRだけではなくて、私鉄の電車も見られます。
オペレーターさんはこちらの機械を操作しながら、解説もしてくれます。よく「これはどこかの駅をイメージしたものですか?」という質問をされるそうなのですが、実はこれは架空の駅なのだそうです。理由はたくさんの車両を見てもらうためなのだとか。もし京都駅だとしたら、「あれ? 京都駅にはこんな列車は走ってないけど?」となってしまわないように架空のジオラマ模型にしてあるのです。
模型は実物車両の80分の1、新幹線は87分の1、鉄橋やトンネルなどの鉄道構造物については150分の1のサイズになっているそうです。鉄道構造物と車両を同じスケールで作ってしまうと鉄道が見えなくなってしまうのだとか。鉄道を主役としてみてもらうために、考えぬいて造られた鉄道ジオラマなのです。
また、後ろに設置されたスクリーンでは、電車について詳しく知ることができる映像が上映されています。
切符の変遷がわかる
現在では、関東ではSUICA、関西ではICOCAといったICカードを使う人が多くなりましたが、ICカードが登場する前は切符でしたし、自動改札ができるまでは駅員さんが改札に立って切符に鋏を入れていました。こちらのコーナーでは、そんな歴史がわかるようになっています。大人にとっては懐かしく感じるかもしれません。
駅や車両の変遷もわかる
こちらは現代の自動改札と昔の改札です。どのように便利になっていったかがよくわかります。
運転士さんのベッド
運転士さんが仮眠をするベッドの展示です。起きる時間に布団の下にあるシートに空気が入って、否応無しに背中から起き上がる仕組みです。同室で他の駅員さんも寝ていることが多く、音が鳴る目覚まし時計を使うと睡眠妨害になるため、このような形になっているのだそうです。
5. 運転シミュレータで運転士体験!
こちらは目玉展示のひとつである運転シミュレータ。本館2階にあります。実際に運転士のトレーニングなどに使われているものではないのですが、近い仕様になっています。シミュレータは全部で8台あって、1~6番までは在来線、7番と8番は新幹線のシミュレータです。
とても人気があるそうで、現在は抽選制になっています(6/2~は事前販売制に変更)。まず入館券を持って、シミュレータの受付に行くと整理券をもらえます。時間になったら、公式サイトで当選者が発表されるというシステムです。運転シミュレータをやってみたいという方は、来館したらすぐにこちらで抽選の受付を済ませておくことをおすすめします。
さて、運転シミュレータにも挑戦させていただきました。
シミュレータにはおまかせモードとマニュアルモードがあるのでどちらかを選び、運転開始ボタンを押します。
電車にはブレーキハンドルとマスコンハンドル(マスターコントロールハンドル)と呼ばれるスピードを調節するハンドルがあるのでこの2つを動かしながら、スピードを調節してホームに止まるようにしなければなりません。プラスマイナス4mほどで合格です。
運転方法は逐一教えてくれますが、まず、ドアが閉まる音や踏切の音などがリアルで焦ってしまいます。そしてホームにぴったり止めるのはなかなか難しいということがわかりました。皆さんもぜひ挑戦してみてください。
6. 屋外展望デッキ「スカイテラス」で新幹線をウォッチ!
本館の3階には「スカイテラス」があり、ここは新幹線や在来線の線路が目の前にあり、行き来する列車をゆったりと眺められます。
在来線を走る電車や特急電車など京都駅を発着する電車を見下ろすことができます。
電車だけではなく、京都タワー、東山連峰等も見渡せます。京都の名所をバックに走る新幹線電車を眺められるのはここだけでしょう。ぜひこちらにも足を運んでくださいね。
7. 2代目京都駅の上家を再利用! トワイライトプラザ
本館のエントランスに入る手前にあるトワイライトプラザでは、2015年に引退した豪華寝台特急トワイライトエクスプレスと寝台特急のブルートレインを見ることができます。上家は大正3年に竣工した2代目京都駅のものを使っています。
8. 蒸気機関車がずらっと勢ぞろい! 扇形車庫
トワイライトプラザの横には、扇形車庫があります。扇形車庫というのは、転車台を中心として半円形に並んだ機関車の格納庫のことを言います。扇子の要部分に当たるのが転車台になっており、方向転換するのに、現在も活躍しています。
京都鉄道博物館にある扇形車庫は1914年に建てられました。現存する鉄筋コンクリート製の車庫としては日本最古のものです。ここでは1番から20番まで格納スペースがあり、20両を格納することができ、ずらりと並ぶ蒸気機関車は圧巻のひとことです。
1番車庫に入っているのは一番古い蒸気機関車で、明治時代にアメリカから輸入したものです。その名も「義経」号。漆黒のボディとこれぞ蒸気機関車といわんばかりの伝統的なデザインはずっと眺めていても飽きることはありません。実は火を入れたらまだ動くそうです。「義経」号だけではなく、なんと京都鉄道博物館にある蒸気機関車23両のうち8両はまだ動くのだとか。これも京都鉄道博物館で大切に保存されているからこそですね。
実は、蒸気機関車への体験乗車もできます(別料金)。梅小路公園の南口まで往復1km、約10分の蒸気機関車の旅を味わうことができます。ぜひ乗ってみてくださいね。
SL乗り場のすぐそばにあるSLひろばには、ドクターイエローの遊具があるため、お子様には大人気なのだとか。週末ともなると遊ぶお子さんと見守る両親でいっぱいになるそうです。ちなみに、ドクターイエローは新幹線のお医者さんといわれる修理と点検で活躍する車両で、普段あまり目にすることはありません。
9. 窓から線路が見える! 京都鉄道博物館のレストラン
本館2階にある、京都駅を発着する電車とその線路が眺められるレストランも人気です。窓側のテーブルは平日でも埋まってしまうほど。できれば、昼食や夕食の時間帯は避けて行かれることをおすすめします。
メニューは鉄道にちなんだものが目白押し。あれこれ目移りしてしまいます。
今回は「ドクターイエローのハヤシライス」を選びました。サフランライスをドクターイエローに見立てたもので、子どもたちにも大人気なのだとか。
スカイテラス同様、こちらのレストランからも新幹線や在来線を眺められます。新幹線を眺めながら、新幹線にちなんだメニューを食す。鉄道ファンにとっては至福の瞬間ではないでしょか。
10. 京都鉄道博物館のグッズ・お土産はここで買おう! 旧二条駅舎
博物館の出口付近にあるのは、明治37年に建てられたという旧二条駅舎です。嵯峨野線は、現在は高架になっていますが、高架化するために二条駅は移築されました。移築される前の姿をここで見ることができます。ノスタルジックな建物の中に入ると、ミュージアムショップや蒸気機関車に関する資料があります。ここでしか買えないお土産が所狭しと並んでいます。
定番はやはりクッキー缶。種類もたくさん揃っていますので、どれにしようか迷ってしまうほどです。
鉄道ファンに人気があるのは、なんといってもプラレール。プラレールファンは是非手に入れてくださいね。
鉄道に関する書籍もあり、鉄道の世界は奥が深いと感じられます。ミュージアムショップにいるだけで随分と時間が過ぎてしまうかもしれません。
京都鉄道博物館は鉄道のロマンと歴史のつまった夢のような博物館です。鉄道ファンでも、そうでなくてもきっと楽しめると思います。ぜひ一度訪れてみてください。
11. 京都鉄道博物館の基本情報
- 住所:〒600-8835 京都市下京区観喜寺町
- 電話:ナビダイヤル 0570-080-462(受付時間10:00-17:00)
- 開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 入館料金:一般1,200円/大学生・高校生1,000円/中学生・小学生500円/3歳以上200円
- 休館日:毎週水曜日 年末年始(12/30〜1/1)ほか ※祝日・春休み・夏休みなどは開館
- 車でのアクセス: 名神高速道路京都南ICから約10分
※ただし、駐車場がないので公共交通機関をご利用ください
- 電車のアクセス:・JR京都駅中央口より西へ徒歩約20分すぐ
・JR嵯峨野線梅小路京都西駅徒歩約2分
・阪急京都線西院駅より市バス205系統(西大路七条 京都駅行き)に「西大路四条」で乗車 「梅小路公園・JR京都梅小路京都西駅前」にて下車
・京阪電車七条駅より京阪バス「ステーションループ」で約17分 七条駅出口1近辺にあるバス停留所「七条京阪前」にて乗車「梅小路・ホテルエミオン前」にて下車
- 駐車場:車の駐車場はありませんのでご注意ください。
※近隣に有料の駐車場があります - 公式サイト:京都鉄道博物館
関連記事
Ranking京都記事ランキング
-
若林佐恵里
- 京都在住。歴史をみつけにいく旅行をこよなく愛しています。好きな歴史上の人物は土方歳三です。外国人に日本語を教える日本語教師もしています。双子の母。