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【チリ】緑の街 地ビールの街 Valdivia(バルディビア)
南米チリでは夏が終わり、少しずつ寒くなって木の葉の紅葉もちらちら見受けられるようになりました。夏の間、私が住んでいる街では、人も車も増え、この街が観光地であることを実感したので、今回は私が10年住んでいる南部の街、「バルディビア」について紹介したいと思います。
目次
雨と緑の街
首都サンティアゴの人に「バルディビアに住んでいる」というと、すごく羨ましがられます。この街は、ほどほど都会だけど自然が多い街。海や大きい川があり、新鮮な魚介類が食べられて、日本と同じような緑が多く、日本人には住み心地が良いところだと思います。
バルディビアと言えば、雨の多さ。スペイン語で雨はlluvia(ジュビア)ですが、バルディビアとジュビアをかけて「バルディジュビア」と呼ばれることもあります。気候変動で降水量は20年前の2/3程になっていますが、それでも年間を通して結構降ります。特に雨が多い季節は冬にあたる5月末から9月初旬で、この時期の観光はおすすめできません。ここの雨は風と一緒に降るので、傘をさしてもすぐに壊れてしまうからで、地元の人は傘を使いません(笑)アウトドア系のレインジャケットが標準装備されています。
雨が降るので森が豊かです。このあたりは「バルディビアの森」と呼ばれる独特の生態系があります。
特徴はアマゾンのように暑くはないけど、南極やロシアのように凍ることはなく、シダ植物も多く一年中緑で生い茂り、まるでジャングルのようなことです。バルディビア市内にも大きな木が多い公園がいくつもあり、市民の憩いの場になっています。特にイスラ・テハ地域はサバル公園や、アウストラル大学キャンパス内の植物園があり、緑も酸素も濃い感じです。
大学のキャンパス内にあるので、お昼休みはお弁当を食べる学生でにぎわいます。
地ビールの街
お酒好きのチリ人にとって、バルディビアといえば、ビールの街。
一番大きく歴史も古いビールメーカーがクースマンです。
1850年に到着したあるドイツ人移民一家の奥さんが、夏の暑い日に「ビールが飲みたいわ。あなた、ビールを作ってよ」とダンナに言ったことがきっかけで生まれたこのメーカーは、21世紀の現代もドイツ式プレミアムビールを作り続けています。
ビール工場にはレストランが併設されており、様々な銘柄の飲み比べもできます。ハチミツのビールは甘くておすすめめ。
クースマンの成功以来、この街では様々な地ビールが作られるようになり、チリ国内においては、「地ビールの首都」と呼ばれるようになりました。市内のバー・レストランでは大抵、生の地ビールが飲めますし、年に何回かビール祭りも行われています。
レストラン・バーの中でも自社醸造のビールを提供しているところがあり市民や観光客に人気です。
Cuello Negroというメーカーは何度も国際的な賞をもらっていて、市内だけでなく南部の大きい街でもビールを買うことができます。
El Growlerというパブはビール付きのランチも提供しているので、昼間からにぎやかです。
Cerveza Bundorは市内では老舗に入るようなブリュワリーです。アルコール度は高いけど飲みやすいという危険な銘柄もあります。
>>>Cerveza Bundor - Valdivia - Chile
川のほとりにアシカ?
市民に人気なのは川沿いの歩道。中心街とバスターミナルを結ぶ約1kmの歩道は季節を問わず、晴れた日はとても気持ちがよいです。
川沿いには観光案内所やお土産やさんが並び、シーフードレストランもいくつかあります。川沿いの観光の目玉は市場(feria fluvial)とその周辺に住んでいるアシカの仲間lobo marino (日本語ではオタリア)でしょうか。
市場は朝9時くらいから午後3時くらいまで。鮭を始め新鮮な魚介類が売られています。日によっては殻に入ったままのウニや、小さい蟹が日本では考えられない激安価格、1つ100円以下で売られています。
魚屋の脇ではいつもアシカの仲間が、さばいた魚の頭など、「おこぼれ」をもらうのを待っています。
水族館でしか見られないような大きい野生動物がすぐ目の前にいるのは楽しいですが、あまり近づかないようにしましょう。彼らはおとなしく見えて素早く凶暴らしいです。
レストランのおすすめは魚介のエンパナーダ。揚げパンの中に貝類やエビ・カニなどが入っていて、ぺブレという少し辛いソースを付けて食べるのが美味しいです。ビールにもよく合いますよ。
今年になって川沿いに新しく現れたのが貸しボートやさん。スワンボートからカヤックまで、30分単位で借りることができるので旅の思い出にいかがでしょうか。またこの街はボートやカヤックの競技でも有名で、寒い日も練習に精を出している人が見られます。
それから観光船も出ています。お昼ご飯やおやつ付きの5時間コースや軽食付きの3時間コースがあり、川の支流を行くものと、海方面へ行くものとありますが、どちらものどかな風景や首の黒い白鳥などが見られてほっこりします。
最後に
チリに住んで10年とはいえ、パンデミック以前は、長期休みをとっては見どころの多いペルーやアルゼンチンに行っていて、正直、チリは観光するような国ではないと思っていました。
しかしパンデミックで国外に出るのが難しくなり、チリ国内に目を向けると、これがなかなか面白い。特に、じわじわと、チリ南部地域の美しさと、自然の価値がわかってきたので、この地域の森と国立公園などについては、また別の機会に紹介したいと思います。
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IZUKAWAUSO
- 日本青年海外協力隊員。チリ南部の田舎暮らしも8年半になります。趣味は旅行(特に屋台めぐりと温泉)と料理。地元の週末フリーマーケットでおにぎりと味噌汁売ってます。