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ビフテキ・ピタの名店レフテリス、待望の2号店がシンタグマ広場近くに登場!
世界で成功しているアメリカ資本のファストフード店が流行らず苦戦するギリシャ。それもそのはず、ギリシャには独自の美味しいファストフードがいっぱいあるのです。
旅行者もみんなはまってしまうのが、ふんわりと厚めのピタパンで作られたラップサンドでしょう。焼き鳥のような串焼き肉をピタで巻いたスブラキ・ピタ、大きな串に重ねて刺した肉を回転させながら焼いて薄く削ぎ切りにしたギロスを挟んだギロピタがよく知られます。
「それってケバブでしょう?」と日本の方は思うかもしれませんが、ギリシャ人やギリシャ在住者からすれば似て非なるものなんですよ。ぜひ現地で食べてみてください。
今回ご紹介するビフテキ・ピタは、スブラキやギロスとはまた少し違ったピタサンド。まずはビフテキとは何かという説明から、アテネビフテキ・ピタを食べるならここ!という名店の新店舗についての情報をお届けします。
目次
ギリシャの「ビフテキ」とは
ビフテキというと日本ではビーフステーキの略称ですが、ギリシャ料理ではハンバーグのようなものを指します。ギリシャのビフテキの特徴はハーブや香辛料が効果的に使われていること。厚さや形状はさまざまですが、いずれもしっかりとした味つけで風味豊か。レストランではシンプルなビフテキ以外に、チーズを詰めたタイプもよく見かけます。
今回ご紹介するビフテキのピタサンドは、スブラキ屋(串焼肉のスブラキなど、さまざまな焼肉料理を出すファストフード店)の定番のひとつ。ピタで巻きやすいように細長い形に作られている場合が多いです。
似たものにケバブがあってややこしいのですが、基本的にケバブは羊肉と牛肉のミックスを使い、プリッとした食感に仕上げてあります。ビフテキは牛肉で作られることが多く、肉感があるとか肉肉しいという感じでしょうか。もしギリシャへ来られる機会があれば、食べ比べてみると面白いかもしれません。
アテネの有名店レフテリスの歴史
アテネでビフテキ・ピタの有名店は?と聞くと多分ほとんどの人が名前を挙げるのが、オモニア広場近くにある「レフテリス・オ・ポリティス」。店名にあるポリティスというのはコンスタンティノープル人のことで、ギリシャ・トルコ間の住民交換でコンスタンティノープル(現イスタンブル)から引き揚げてきた家族により1951年に創業された店です。
最初は屋台でラムの串焼きを売っていたそうなのですが、その後はコンスタンティノープル風のビフテキを売るようになり、オモニアに間口1mほどのとても小さな店を開店。創業者の息子レフテリスの代になって、現存するサトヴリアンドゥ通り店に移転しました。
当時のオモニア広場はアテネの街の中心として栄えたエリア。その後アテネ随一の繁華街がシンタグマ広場周辺に移るとともにオモニアは寂れていき、ガイドブックなどでは治安が悪いエリアとして紹介されています。近年は広場が綺麗に整えられたり改善していて、ノスタルジーを感じさせる街並みも残っているのですが、確かにちょっと危険なイメージは否めません。
オモニアの治安が悪くなっても、レフテリスのカルト的人気は衰えなかったものの、オモニアを訪れることがなくなった人達や新しい世代にも味わってもらおうと、創業者の孫によって新たに生み出されたのがシンタグマ店。ロケーションは賑やかな目抜き通りから少し外れた静かな通りで、昔からの店も多く残る下町の雰囲気がレフテリスのイメージにもぴったりだと思います。
去年の夏頃だったか、街をぶらぶらしててレフテリスのシンタグマ店を偶然見かけた時の1枚(左上に写っている看板がそうです)。この時点で店舗はほぼできているようでしたが、満を持してオープンしたのは12月の終わり頃でした。
オモニア店よりも少し広く開放的なシンタグマ店は、レトロな雰囲気を残しつつ、観光客にも入りやすいイメージ。外でメニューをチェックしたりしてたら、店員の方が笑顔で迎えて下さいました。
こだわりが感じられるシンプルなメニュー
メニューは外のテーブルにも置かれていて、写真付きでわかりやすいです。これはギリシャ語ですが英語のもありました。
と言っても、レフテリスのメニューはビフテキとピタだけ。スタンダードなビフテキ・ピタと、そのスパイシー版のスジュキ・ピタ(辛いもの好きにおすすめ!)、そしてピタで巻いてない1人前の盛り合わせです。いずれもビフテキの数を増やしたりカスタマイズはできますが、基本的にとてもシンプル。
この時は娘と行って、ビフテキ・ピタとスジュキ・ピタをひとつずつ頼みました。右のが辛い方ですが、見た目はほぼ変わりませんね。お肉の他にはパセリを混ぜたオニオンスライス、トマト、ホットパプリカが入っています。野菜などは全部入れがおすすめですが、こちらも苦手なものがあったりすれば抜いたり減らしたりのカスタマイズができますよ。
レフテリスのこだわりポイントのひとつが、ピタの焼き方。グリルの上で肉汁を吸わせながら焼いてあるので、ふんわりとして旨みもたっぷりです。
オモニア店と同じ、昔ながらのレトロな包み紙も嬉しい。オモニア店と違うのは、ペーパーナプキンを提供していることだそうです。
店舗情報
ΛΕΥΤΕΡΗΣ Ο ΠΟΛΙΤΗΣ(レフテリス・オ・ポリティス)
- 住所:18 Romvis Street, Athens
- 電話番号:(210)331 0030
- 営業時間:月~金 0:00~21:00、土 0:00~18:00、日曜定休
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まとめ
旅行者にも人気のギリシャのピタサンド。たっぷりお肉や野菜にソース、フライドポテトも入ったボリューミーなタイプがよく知られますが、レフテリスのように「正統派」としてカルト的ファンが多いお店ではフライドポテトはサイドディッシュとしてすら出さず、シンプルなメニューで勝負というのが特徴です。
レフテリスのビフテキ・ピタは、余計なものを省き完成されたおいしさ。アテネでピタサンドを食べるなら、ぜひ行ってみてほしい名店のひとつです。
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アナグノストゥ直子
- アテネ在住。主婦業の傍ら、ライター、リサーチャー、コーディネーターとしても活動する。ブログ「ギリシャのごはん」にてギリシャ料理レシピやおいしい話題を発信中。