ドイツ・シュヴァルツヴァルトの古都、フライブルクの街を歩いてみたら

フライブルク

旅行先として、世界からも、そして日本からも多くの人々が訪れるドイツ。首都ベルリンを始め、オクトーバーフェストで有名なミュンヘン、ロマンチック街道、そしてディズニーランドのお城のモデルになったと言われるフュッセンのノイシュバンシュタイン城など、有名な観光地や街が数多くあります。

そんなドイツには、日本ではまだあまり知られていない、おすすめの場所や街がたくさんあります!今回は、そんな知る人ぞ知る街の一つ、フライブルクをご紹介します。

目次

フライブルクってどこ?

シュヴァーベントール
<シュヴァーベントール(Das Schwabentor)から旧市街へ。この門は13世紀半ば頃、市民を守るために建設された>

フライブルクという街をご存知でしょうか。フランスやスイスの国境にほど近い、ドイツ南部のバーデン・ビュルテンベルク州(Baden-Württemberg)の南西部にある、シュヴァルツヴァルト(Schwarzwald/黒い森)地方の首都です。

ちなみに、隣りの国スイスにも同名の町が存在するため、初めてこの地域を訪れる人は多少混乱することも。そのため、ドイツのフライブルクの場合は「ドイツのフライブルク」とか「フライブルク・イム・ブライスガウ(Freiburg im Breisgau)」とフルネームで呼んだり、スイスのフライブルクの方を「フリブール(Fribourg) 」とスイスの主要言語であるフランス語読みで言ったり、シンプルに「スイスのフライブルク」と区別することが多いです。

900年の歴史を持つ古都フライブルクには、1457年に創設された、これまた歴史あるフライブルク大学 (Uni Freiburg) があります。そのため世界中から集まった学生たちも多く、ドイツの中世の町らしい落ち着いた雰囲気がありながら、同時に国際的な空気もびんびんと感じます。

もちろん、ここフライブルクでドイツ語や専門分野を学ぶ日本からの学生さんもいらっしゃいますよ!

散策?探検?あちらこちらに小径が

フライブルク 小さな通り
<パステル調の可愛らしい店が並ぶ小さな通り>

フライブルクの中世風の街並みの中を、ぶらぶらと散策するだけで楽しい!小さな石を細かくアートのように敷き詰めた石畳の道、道路の端の浅い溝を流れるきれいな清水などがあり、癒されます。

ブティックやカフェ、ギャラリー、パン屋や雑貨屋など、ウィンドーショッピングもしながら細い小道を歩いていると、「この横道はどこに続いているのかな?」なんて冒険心も出てきて、町角を曲がったりしているうち「あれ、今どこを歩いてるんだっけ?」となることも。

そんな時、町の中心地にあるフライブルク大聖堂(Das Freiburger Münster)の尖塔を探すと、スマホや現地の地図に頼らなくても、比較的容易に自分の現在地を確認できるかもしれません。

ドイツに限らず、ヨーロッパでは町の中心地や市街地に教会があることが多いので、迷った時は教会の尖塔を探すといいよ!と、以前現地の友人がアドバイスをしてくれたのを思い出しました。

フライブルク 石畳
<石畳の道の表面は、凝った模様などが小石で描かれ芸術的>

街のシンボル、フライブルク大聖堂

フライブルク大聖堂
<フライブルク大聖堂と、広場で開かれているマーケット>

フライブルクの街のシンボルでもある大聖堂は、ゴシック様式のカトリック教会で700年以上前に建てられましたが、完成するまで300年もかかったそう。もともとは、フライブルクの街の威厳を示すシンボルとして建築されたのだとか。

2006年から2018年までの12年間、改修工事のため塔の先まで足場が組まれ、長らくその雄姿を拝むことは叶いませんでしたが、現在は化粧直しでさらに美しくなったその姿を、すべて見ることができるようになりました。

フライブルク大聖堂のある広場(Der Münsterplatz /ミュンスタープラッツ)は、いつも多くの人でにぎわっています。朝7時半から午後1時半~2時頃まで、日曜日を除く毎日市場が開かれているので、この時間帯は特に人・人・人......。

ドイツでは、屋外でのマスク着用義務はないのですが、さすがにここではマスクの着用が義務になっていました。

大聖堂の内部も無料で入ることができます。

ヨーロッパには歴史ある立派な教会が多いですが、このフライブルク大聖堂も内部が広々として荘厳的。ステンドグラスが素敵だったので、1枚1枚丁寧に見ていきたかったのですが、そんなことをしているときりがないと思い、途中であきらめました(笑)。

キャンドル
<薄暗い大聖堂内で輝くキャンドル>

ドイツなのにドイツっぽくない場所。そして○○出没注意!?

クライン ヴェネーディッヒ
<クライン・ヴェネーディッヒ(Klein Venedig)の水路>

この町を散策していると、ちょっとドイツっぽくない場所も。

例えば水路が流れる「クライン・ヴェネーディッヒ(Klein Venedig/小さなベネチア)」には、小石を敷き詰めた小道やいくつもの小さな橋、カフェやギャラリー、壁を伝うバラのツルなどが、道に沿って続いていて、名前の通り、どことなくイタリアやフランスの町の路地のような雰囲気を醸し出しています。

フェンスごしに水路をのぞいてみると、何か水の中から顔を出しているモノが!近くでよく見ると......それは巨大なワ、ワニ?!

もちろんホンモノではなく、アートとして水路内に設置された作品だそうで、20年ほど前にベルリン出身の石工アーティストによって作られたもの。頭の部分の大きさは1メートルほど。花崗(かこう)岩でできているのだとか。

ワニ
<水路から何かが頭を出しているのが見えます>

今やこのワニくんは、フライブルクのもう一つのシンボルとなり、特に観光でこの町を訪れる人や、子どもたちに大人気。さらにワニがいる水路横のフェンスには、ご丁寧にも『Bitte nicht füttern(エサを与えないでください)』なんて書かれた看板まであって、実にユニーク。

ワニ
<おおっ!これがこの水路の主のワニ!>

フライブルクを訪れた際は、ぜひワニくんにも会いに行ってあげてくださいね!

ドイツビールと郷土料理で乾杯!『新型コロナ証明書』も忘れずに

ガンター
<フライブルク発の地ビール、ガンターは1865年創業の老舗ブルワリー>

ドイツの宿泊施設や飲食店、娯楽施設や博物館などに入る際、『新型コロナ証明書』の携帯が必須です。日本で言う『ワクチンパスポート』のようなものですが、異なるのはワクチン接種証明のみならず、コロナに感染して治癒済みの人やPCR検査等で陰性証明がある人も、この新型コロナ証明を利用することができること。

ただ、店や施設によっては陰性証明を認めないところもあるのだそう。私自身はワクチン接種済みなので、その辺りの心配は不要でしたが......。

郷土料理の中で印象が強かったのは、シュヴァインズハクセ(Schweinshaxe)という豚のすね肉をグリルしたものでしょうか。クヌーデル(Knödel)というジャガイモでできた団子と共にいただいたのですが、肉は中心部に太い骨があるとはいえ、巨大だったので驚きました。

当然ながら一人で完食できそうになかったので、同伴者とシェアをして何とか食べきりました。味はカリッとしてとても食べやすく美味しかったので、おすすめです。

シュヴァインズハクセ
<見た目に圧倒されますが、カリッとジューシー。辛いソースをつけていただきます>

まとめ

フライブルクのように、世界の観光客からの知名度がそんなに高くない街だと、自分のペースでゆっくり散策でき、ゆったりした時間の中で、まるで自分がこの地に暮らしているような気分になります。

現在は長引くコロナ禍の中、自由に海外旅行がしにくい状況が続いていますが、新型コロナが収束して、ワクチンパスポート提示やPCRテストなどが"過去の産物"になる日が、一日も早く来てほしいと願う日々です。

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小島瑞生

1998年~2009年まで暮らしたアイルランドから、2009年スイスへ移住。面白そうなコト・モノを求め、スイス国内や欧州の国々をウロウロしながら、雑誌やウェブサイト、ラジオ等のメディアに様々な情報を発信中。趣味は旅行とハープ&ピアノ演奏。

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