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コロナ禍ならでは?テンションを上げる空からの景色
今日は、私が最近経験した「思いがけない感動」を紹介したいと思います。
ここをお読みの方は、皆さんおそらく「旅好き」でしょう。とはいえ、旅の味わい方が十人十色であるように、移動時間の捉え方もさまざまなのではないでしょうか。なくてはならない前奏曲だと感じる人もいれば、できれば端折ってしまいたいステップだという向きまで、幅広い意見があると思います。私はどちらかといえば後者にあたり、これまでは旅における移動は単なる手段と思ってきたふしがあります。
実は、その認識を新たにしたのが今回の経験です。先月よんどころない事情で、東京発パリ便を利用したのですが、自分でも驚くほどに機窓からの眺めに魅了されてしまいました。
目次
機窓から見た日本の美しさ
百聞は一見に如かず。その時撮った写真をご覧ください。
まずは、羽田空港を飛び立った直後。東京湾に浮かぶ船がくっきりと見えます。空から見下ろす海の予想外の青さに、早くもドキドキしてきたあたりです。
千葉あたりでは、平野に密集する建物と紺色にうねる川、点々と雲が落とす影が眼下にひろがります。
さらに10分も北上すると、延々と続くかに見えた都市部は姿を消し、見えるのは濃い緑の山々ばかりとなります。栃木から福島にかけての尾根と、凸部分に鏡のように控える藍色の湖やダム。不思議と神聖な空間に見える景色です。このころにはすっかり機窓から目が離せなくなっていました。
機体はさらに北に進み、新潟の山がちな海岸線から日本海へと抜けていきます。
続いて姿を現すのが佐渡島。両津港に向かうフェリーの航跡など、まるで南の島のリゾート地のように見えました。
世界中で企画された「どこへも行かないフライト」
コロナ禍において縁遠くなってしまった空の旅。いつもと違う視点から見渡す風景は、それだけで気分を晴れやかにする効果があるようです。
良く知られるように、航空業界は、パンデミックの打撃を強く受けました。全世界の飛行機利用数は、2019年の45億人から2020年の18億人と、60%も減少しました。国際便に限れば減少率は74%とさらに大きいものでした。
旅客が戻らない中、世界では、「Flight to nowhere(どこへも行かないフライト)」を企画する例が次々に生まれました。「どこへも行かないフライト」とは、その名の通り、発着を同じ空港で行うツアーです。基本的に、景色や機内食を数時間楽しむことを目的としていて、例えばオーストラリアでは発売からたった10分で完売するほどの人気を見せました。
日本でもできる!遊覧飛行
この一種の遊覧飛行は、実は、日本でも不定期に企画されています。
例えばANAグループは、FLYING HONU(フライング・ホヌ)と命したエアバスA380機を活用して、さまざまなイベントを企画しており、その中には、遊覧飛行も含まれます。ハワイの言葉でウミガメを指す「ホヌ」は、東京=ホノルル便に用いられるエアバス機の愛称で、機体にはウミガメの優しい表情が描かれています。
<エアバスA380型機ANA FLYING HONU>
ANAグループでは2020年8月から一年間で20回以上遊覧飛行を行いました。基本的に成田発着ですが、関西空港、中部空港でも開催実績を持ちます。フライトルートは、その都度、天候状況によって異なりますが、例えば、2021年8月7日に実施した遊覧飛行のルートは「成田→新潟→函館→札幌→稚内→釧路→旭川→仙台→成田」でした。約3時間半のフライトでは、機内の食事が楽しめたり、ハワイに関するクイズ大会なども催されました。
<ビジネスクラス席食事イメージ>
現時点では11月以降の企画は未定ですが、決まり次第、ANAチャーターイベント特集サイトにお知らせが出ますので、興味のある方はチェックしてみてください。
また、株式会社ジャルパックも不定期にチャーターフライトを企画しています。基本的な発着空港は成田ですが、羽田空港や中部空港でも催されたことがあります。内容は、その都度異なるものの、例えば7月の成田発着ツアーでは、約3時間半の周遊フライト中に、JAL欧米線メニューをアレンジした機内食を提供したほか、夏休み企画ということで、機内でパイロットや整備士による航空教室も実施されました。
<JAL空たびポスター>
周遊チャーターフライトの航路は、当日のお楽しみとなります。というのも、その日の天候によって、ベストなものが選ばれるからです。幾通りかある航路の中には、下写真のようなハート型やリボン型のものも含まれます。
<JALハート型航路図とリボン型航路図>
11月以降も遊覧飛行の企画は続く予定です。決定次第、下記サイトに案内が出ますので、こちらのチェックもお忘れなく。
パンデミックが長引き、五里霧中な状況が続きますが、せめて空から地上を見渡して、心だけでもすっきり晴らしたいものです。
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冠ゆき
- 山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。