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18の山々に囲まれた街で、コートジボワールの「歯」に登ってみませんか?
目次
18の山々に囲まれた街、マン
コートジボワールの北西部に位置するマン(Man)は国内で8番目に大きな都市です。モンターニュ(Montagne=フランス語で山の意)地方に属し、その名の通り、平地が多いこの国では珍しい、18の山々を有します。登山観光でその名を馳せ、近年ではロッククライミマーたちにも人気の観光地です。ギニア、リベリアと国境が近く、アフリカのマンハッタンと呼ばれる首都アビジャンとは異なる雰囲気を持ちます。
また、ネスレなどの国際企業がコーヒーやカカオといった農作物の大規模農地を所有することでも有名です。マンには国際空港が無いため、日本からのアクセスは、パリまたはアジスアベバを経由して首都アビジャンから入国し、ナショナルフラッグ(Air Cote d'Ivoire)が毎週火曜日と木曜日に運行する国内線を利用します(運航日は2021年8月現在のもの。頻繁に変更があるため、公式サイトでの確認をおすすめめします)。首都アビジャンから車でアクセスすることも可能ですが、約450km、10時間近い長旅であることや、道路の舗装状況が良くないことを鑑みると、上級者向けでしょう。
熱帯雨林気候のマンでは、4月から10月にかけてスコールのような雨が降り、特に8〜9月の大雨季には激しい雨によって道路が冠水したり、渋滞がひどくなったりするため注意が必要です。気温は年間を通じて30度前後と温暖です。しかし、マラリアやデング熱といった、蚊が媒介する風土病が存在するため、夕方以降は長袖を着る、虫除けスプレーをこまめに使用するなどの対策が必要です。
流通通貨XOF(CFAフラン)は、1999年以降1ユーロ=655.957XOFで固定されています。外貨やカードが使えないホテルも多く、首都アビジャンで換金した方が良いでしょう。
コロナの影響もあり、一部の空港職員は防護服を着ていました。
マンの「歯」に登頂!?
マン観光で最も人気のアトラクションの一つは、「la Dent de Man =フランス語でマンの歯の意」と呼ばれる岩山への登頂。ホテルもしくは観光ガイドが手配する車で、近隣のZoguale村まで行き、そこから入山します。道中、マンゴー、パパイヤ、コーヒー、ヤシの実といったプランテーションを通り、山の麓まで歩いていきます。
「歯」の部分である岩山は手を使ってよじ登り、頂上に着くと、マン一帯を見渡せる絶景が広がります。頂上は標高881メートルと高山病の心配もなく、半日ほどの気軽なハイキングになります。
「歯」の部分となっている岩場は二つあり、それらにまつわる地元の伝説をご紹介します。
もともと小高い丘であった二つの岩は、それぞれ、より天に近くなるようにと成長を続けます。ひとつの丘がもう一方より高くなると、それを追い越すように、他方も更に高くなっていきました。そんな競争が行われていたある日、地震がおき、高かった方の岩山は崩れて低くなり、現在の高低で固定されたのです。現在では、マンの街を見守る天使として崇められています。
頂上からの眺めは絶景。
聖なる森と滝
マンの中心部から北西に向かうと、マンの人々が大切崇めている、べプロウ(Gbêpleu)と呼ばれるモンキーフォレストがあります。この森は、細いフェンスで外径を囲ってあるものの、人々の居住地に隣接し、猿と人々が共存する空間を作り出しています。森は神聖な場所であるため、入ることが禁じられていますが、フェンスの外から猿を見ることができます。
すぐそばには、人口の密集する街があります。
猿が姿を現さない時には、近くの村人に声をかけると、猿を呼ぶ笛吹きを呼んでくれます。また、バナナなど猿を呼び寄せる餌を購入することもでき、猿に手渡しで餌をやるという貴重な経験もできるのです。
マンを訪れる際に、ぜひ訪れて欲しいのは、近隣の山々から流れる水を通過させる壮大な滝「la cascade」です。雨季の直後(5月から11月にかけて)は、高低差が約20メートルもある滝を激しく水が流れ、暑さでうだる体をリフレッシュさせることができます。
近年では、気候変動の影響もあり、5月になっても滝が干上がっていることもあるようで、水が無い期間には閉鎖されてしまいます。滝の近くには青々しい竹林があり、色とりどりのトンボや蝶の住処となっています。
2021年5月中旬訪問の際には、3つある滝のうち2つが干上がっていました。
名産品、黒檀を使ったアフリカンアート
マンの名産品として有名なものは、前述の通り、コーヒー、カカオ、キャッサバといった農作物が中心です。農作物以外で国際的に有名なものに、黒檀(現地ではエボニーと呼ばれる)で作られたマスクや置物があります。黒檀は古代から高級家具や楽器などに用いられ、漆黒〜褐色の色をしており、マンではこれを用いて儀式に使うお面を作るのです。
毎年9月には、森の魂を崇めるお祭り「la fetes des masques (マスクの祭り)」がマンで行われます。このお祭りでは、村で一番ダンスがうまい人に選ばれた者が、村に代々継承されるマスクをつけて踊りを披露します。
この伝統的な儀式を見たい場合には、デウレ(Deoule)村の役場に問い合わせることで、訪問のアレンジもできるそう。目が閉じているお面は男性用、目が開いているお面は女性、という違いがあるお面は、このお祭りの時のみ使用されるとても神聖なものです。黒檀で作られたこのお面をモチーフにしたキーホルダーや、アフリカの動物たちを模した置物などが、マンでは手作りで生産され、首都アビジャンや周辺各国に向け輸出もされています。
まとめ
今回は、西アフリカ・コートジボワールのハイキング名所、マンをご紹介しました。大自然を崇め祭る人々の生活が垣間見えるマンは、アフリカの生活を真に感じられる観光地と言えるでしょう。
訪問時期やアクセスに注意が必要ですが、フランス人をはじめとした多くの観光客やネスレといった国際企業の職員が訪れるため、外国人向けホテルやレストランも揃っています。アフリカの自然と伝統芸能を一度に楽しむなら、ぜひマンを訪れてみてください。
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Saori K. Courtois
- 西アフリカ在住の国際公務員。アフリカの日常的観光スポットから~旅行に役立つ情報まで幅広くお届けします。