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チリの街角アート グラフィティ
チリの街角を歩いているとグラフィティと呼ばれるいろいろな壁画に出会います。グラフィティにもいくつか種類があって、ただの落書きから、時間をかけて描かれた芸術的なもの、政治的主張が強いもの、プロジェクト型のものなどです。
目次
グラフィティはただの落書き?
ただ、壁にスプレー塗料で落書きされたようなものが、特に治安があまりよくない地域で良く見られます。落書きの意味は一部の若者たちの間でしかわからないようですが、落書きの域を超えて見入ってしまうような絵に、街を歩いているとよく出会います。
こんなに完成されたものは、もちろん建物のオーナーの許可を得ているのでしょう。マンションに書かれたグラフィティも発見しました。
これを描くのは、さぞ大変だったでしょうね。
政治的主張の強いグラフィティ
街を歩いていると、同じようなグラフィティを目にします。まるで同じ人が描いた作品のように見えますが、それはグラフィティの一つのスタイルで、歴史は古く1960年代までさかのぼります。
当時ラモナパラ団(Ramona Parra brigadas)と呼ばれる、左派の政治的イデオロギーのメッセージを、壁など公共空間に描くグループがあり、そのスタイルである、カラフルな図面で黒い淵があり、人や鳥や木などがデフォルメした感じで書かれていたものが今も引き継がれています。
チリで大きな社会問題になっている先住民族マプチェ族の文化を描き、その復権を呼びかけるものが多くあります。
ラモナパラ団のスタイル以外にも、数年前に殺されたマプチェ族の青年リーダーを描いたグラフィティ。
2019年の10月18日に起こった大規模市民運動を祝ったものもあります。
これらのグラフィティは特にBarrio Yungay で多く見られますが、チリのあらゆる街に絶対一つはあります。グラフィティを通して社会にメッセージを送るという手法は1960年代から続いているわけですね。ここで語られているチリの社会問題についてはまた別の機会にお伝えしたいと思います。
▼Barrio Yungay
大きいアート作品としてのグラフィティ
泥棒市場として有名なbiobio市場周辺には、巨大なグラフィティがたくさんあります。Biobio市場は大きな倉庫群の中にあるので、その倉庫の壁がグラフィティのキャンパスになっているわけです。
週末の外出規制で市場自体が閉まっていたおかげで、普段はグラフィティが何も見えないくらい人であふれていますが、今回はがらがらで、一人グラフィティを堪能することができました。
これはレストランに描かれていたグラフィティ。レストランのオーナーがアーチストを雇って描いてもらったものでしょう。
チリではグラフィティはアートとして認められ、プロジェクトとして地方公共団体に申請され、アーチストは給料をもらって絵を描くこともあります。私が住んでいる街バルディビアの中心部の電気配線?消火栓?の箱には、街の風景が描かれ、空間に彩りを与えてくれています。
最後に
チリ以外にも南米の国々ではグラフィティはとても人気があり、カラフルな街並みを作り出してくれています。
それらはその土地の歴史や自然、政治的イデオロギーや若者の感覚を伝えてくれ、お金を払って美術館や博物館に行かなくても、街をぶらぶらしているだけで、その土地の何かを理解することができるので、グラフィティ鑑賞、とってもおすすめですよ。
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IZUKAWAUSO
- 日本青年海外協力隊員。チリ南部の田舎暮らしも8年半になります。趣味は旅行(特に屋台めぐりと温泉)と料理。地元の週末フリーマーケットでおにぎりと味噌汁売ってます。