ワーケーションとは? メリット・デメリットについて解説

ワーケーション

政府の働き方改革や感染症拡大の影響でテレワークが推進される中、ワーケーションという新しい働き方が注目を集めています。この記事では、ワーケーションという働き方が具体的にどのようなものなのか、それによるメリットやデメリットについて解説していきます。ぜひ働き方のひとつとして参考にしてください。

目次

<1. ワーケーションとは?>

<2. ワーケーションが注目されている背景>

<3. ワーケーションの種類>

<4. ワーケーションのメリット>

<5. ワーケーションの注意点>

<6. ワーケーションの場所の選び方>

<7. 総務省のワーケーションに関する取り組み「地域型テレワークトライアル」>

<8. 各ホテルのワーケーションに関する取り組み>

1. ワーケーションとは?

まずは、ワーケーションという言葉の意味を確認しておきましょう。ワーケーションとは、仕事を意味する「ワーク(work)」と、休暇を意味する「バケーション(vacation)」を組み合わせた造語です。一般的には「休暇を過ごす環境に滞在しながら仕事をする働き方全般」と定義されています。

つまり、リゾート地や観光地、帰省先などで休暇を取りながら、テレワークなどで仕事をする働き方がワーケーションです。仕事をしながら休暇もしっかり取れる新しい働き方として国も推奨し、注目されるようになりました。

ワーケーション発祥の地といわれているのは、アメリカです。休暇の取得率の低さ、休暇中にも仕事の連絡が来たりして休暇が休暇にならないといった課題を抱えており、それを解決する策として考え出されたとされています。

日本でも、有給休暇取得率の低さや長期休暇の取りにくさは、ずいぶん前から指摘されてきました。「休みを取ろう」という呼びかけはされてはきたものの、休みの取りやすい仕組みがなければ、具体的な解決には至りません。だからこそ、休暇と仕事を合体させるというワーケーションの取り組みは、課題解決のひとつの策として期待されているといって良いでしょう。

2. ワーケーションが注目されている背景

以前から、休暇を取りながら働くというスタイルを取り入れている人は存在していました。ただしそれは、自分の働き方を自分で決められる、ごく一部の人に限られた特権のようなものでもありました。

ところが、新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちは働き方そのものを変えなければいけなくなり、テレワークを導入する企業が急増し、出勤せずに働くスタイルが広がっていきました。そして、決してそのスタイルが不可能ではないことがわかってきたのです。

そういった状況の中、ワーケーションの市場規模が2025年には現在の5倍以上になると予想する声もあり、とりわけ宿泊サービスが大きく伸びるだろうとされています。たしかに、どんな場所にいようとも、インターネットの環境さえ整っていれば仕事を進められることが、コロナ禍で証明されることとなりました。そうであるならば、海辺のリゾート地のホテルに滞在しながら、午前中は仕事をして午後はマリンスポーツという過ごし方も可能ですし、そういった働き方をする人が増えていくことも十分に考えられるでしょう。

3. ワーケーションの種類

ワーケーションは、いくつかの種類に分けることができます。国土交通省の外局である観光庁が発行している企業向けのパンフレットに記載されている4種類は次の通りです。

3.1 福利厚生型

福利厚生型は、有給休暇を取得してリゾート地や観光地に出かけ、その場所でテレワークをする働き方をいいます。勤める企業の福利厚生を利用してのワーケーションで、観光庁は「休暇型」と位置付けています。

3.2 地域課題解決型

地域課題解決型は、その地域の関係者と交流をしながら、共に地域課題を解決していこうという働き方です。福利厚生型に比べると、休暇の色合いは若干薄くなり、観光庁の位置付けは「業務型」となっています。

3.3 合宿型

オフィスではない場所で、職場のメンバーたちとミーティングや議論をするスタイルが合宿型で、観光庁の位置付けは「業務型」です。例えば、まる1日レストランを借し切りにして、会議時間と飲食コミュニケーション時間に分けて過ごすというスタイルが該当します。また、実際に部活動の「合宿」のように、宿泊施設に泊まり込みで行う場合もあるようです。

3.4 サテライトオフィス型

これは、いわゆるテレワークに近いもので、サテライトオフィスやシェアオフィスで仕事をしながら、くつろぐ時間も持つというスタイルで、観光庁の位置付けは「業務型」になります。

同じサテライトオフィスで仕事をしても、テレワークの場合は、就業時間はその場にいなければなりませんが、ワーケーションのサテライトオフィス型の場合は、時間の制約がありません。また、その場にいるにしても、時間の一部を趣味の読書にあてられるといった点が、違いだといえます。

4. ワーケーションのメリット

では、実際にワーケーションにはどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

4.1 長期の旅行をしやすい

ヨーロッパでは1カ月ほどのバカンス休暇も当たり前とされていますが、日本の企業では1週間の休みすら取りにくいという現実があります。たとえ休めたとしても、仕事の電話がかかってきたり、仕事がスムーズに進んでいるかが気になったりして、おちおち休んでなどいられない......という事態に陥ることも。

しかし、場所を選ばずに仕事ができるようになれば、長期の休みを取って旅行をすることも問題なくできるでしょう。通信環境さえ整っていれば、世界中のどこにいても仕事ができますし、時差を考慮して設定すれば、会議や打ち合わせも可能です。空いた時間にはプライベートな観光を楽しめるわけですから、時間の有効活用ができます。長期の休みを取らなければ行けないような場所を訪れることができ、しかもそこで仕事もできるというのは、大きなメリットといって良いでしょう。

4.2 ストレスの軽減につながる

ワーケーションでは、リラックス、リフレッシュできる温泉地や自然豊かなリゾート地などに滞在することもできます。のびのびとした環境の中に身をおけば、狭いオフィスの中で仕事をするよりも、大いにストレスが軽減されるであろうことは想像に難くありません。仕事に疲れたなと感じたらすぐに温泉につかることができるというのは、最高の環境ではないでしょうか。ストレスが軽減されれば仕事もはかどりますし、温泉の中で良いアイデアがひらめくということもありそうです。

4.3 モチベーションの向上

ワーケーションを取り入れると、仕事に対するモチベーションも大きく向上するでしょう。自分が行きたい場所があっても「仕事があるから行けない」と諦めてしまう人も多いですが、ワーケーションなら仕事が足枷になることがありません。行ってみたかった場所に行けるとなれば、それだけで仕事に対する気持ちも変わってきます。

気分転換をしてモチベーションが向上できる点も見逃せません。「仕事があるから...」と我慢が続くと、気持ちはどんどん落ちていってしまいます。自宅とオフィスを往復するだけでは、気分転換どころではありません。しかしワーケーションで、温泉やアクティビティが備わった場所を選んで滞在すれば、仕事の合間に気分転換をすることができます。モチベーションが向上すると、仕事も効率よく進められるはずです。

4.4 生産性の向上

先ほどの「仕事効率」にもつながることですが、仕事効率が上がれば、当然ながら生産性も上がります。いやいや取り組んだ仕事は時間ばかりがかかって精度が落ちますが、集中して取り組んだ仕事はその分効率も上がり、成果にも結びついていきます。オンとオフのメリハリをつけ、リラックス、リフレッシュできることも、生産性の向上につながるといって良いでしょう。

4.5 新しい出会いが生まれる

人との出会い、人脈は財産ともいわれています。ワーケーションで、リゾート地や温泉地、観光地に何泊かすれば、まず宿泊先のスタッフと顔見知りになれるでしょう。同じように滞在している人がいれば、顔を覚えて挨拶をし、やがて言葉をかわすように......。オフィスにいては出会えない人との出会いがあります。

また、社会貢献活動などを目的として住んでいる地域とは別の地域に出向いた場合では、その地域でなければ得られない出会いや発見があるはず。実際、新しい出会いから新しいアイデアがひらめき、事業につながることも少なくありません。

4.6 自然に囲まれた環境での子育てが可能

「豊かな自然の中で、子育てしたい」と思っても、今の社会環境ではなかなか難しい面があります。仕事が忙しくて子どもをどこにも連れて行ってあげられない......という悩みを抱える親御さんも多いことでしょう。

しかし、そのどちらもワーケーションを取り入れることで解決につながります。国内に限らず、海外の自然豊かな地へ子連れで出向き、子育てをしながら仕事をするということも可能にしてくれるのが、ワーケーションのすごいところ。子連れでも場所や時間にしばられずに働けますし、子どもにとって良い環境を選ぶことができるのは、ワーケーションの大きなメリットといえるでしょう。

5. ワーケーションの注意点

ワーケーションには多くのメリットがありますが、一方では気をつけなければならないこともあります。注意点もしっかり押さえておきましょう。

5.1 通信環境を整える必要がある

ワーケーションを導入するには、休暇を取得する個人と企業の双方が通信環境を整える必要があります。別の言い方をすれば、通信環境が整っているからこそ、ワーケーションという働き方が可能だということです。

通信環境の整備には、セキュリティ対策も含まれます。どのようにデータのやり取りをするか、企業としての規定を作っておかないとデータの漏洩など、思わぬ事故を起こしかねません。プライベートで通信するのとは、事情が違うことをわきまえることが大切です。

5.2 テレワークに慣れる必要がある

オフィスで仕事をすれば、コピー機やFAX、プリンターなどの機器がすぐ身近にありますし、仕事に必要な資料も手の届くところに揃っています。しかし、テレワークでは、そういった面で不自由になると言わざるをえません。実際、テレワークをしてみて「通勤に時間がかからないのはいいけれど、資料を会社に忘れてきて仕事にならない」という経験をした人もいるのではないでしょうか。

どんなことも慣れるまでには、多少の時間が必要です。ワーケーションを取り入れるなら、まず、事前の段取りも含めてテレワークに慣れておくことが大前提になると考えておいたほうがいいかもしれません。

5.3 仕事と休暇・休憩時間のメリハリを自分でつける必要がある

オフィスでは、就業時間と休憩時間をある程度管理されながら過ごすことになりますが、ワーケーションでは、自分でメリハリをつけながら過ごす必要があります。遊びに夢中になりすぎて仕事がおろそかになってはいけませんし、仕事ばかりしていたのでは、ワーケーションの意味がありません。

毎日しっかりタイムスケジュールを組んで過ごす、ToDoリストを作りそれにそって仕事をするなど、仕事をする時間と余暇の時間をしっかり分けて自己管理することが求められます。

5.4 費用がかかる

滞在する場所にもよりますが、例えば1カ月をリゾート地や海外で過ごすことになれば、それなりの費用がかかることは、ワーケーションのデメリットといえるかもしれません。交通費、宿泊費、施設の利用料や入場料などのほか、仕事をするのに必要な機材などを揃えなければならないということもあるでしょう。

仕事をしながら休暇も取れるというのは一石二鳥のようですが、オフィス勤務では発生しない費用がかかる点は、注意したいところです。

6. ワーケーションの場所の選び方

ひと口にワーケーションといっても、スタイルは人それぞれです。どのように行き先を決めたらいいか、ポイントを開設します。

6.1 ホテルで選ぶ

Wi-Fiやデスクを整備し、ワーケーションに力を入れているホテルが全国にたくさんあります。おひとり様用、家族同伴用など、プランもさまざま。ビジネスホテル、シティホテルもあればリゾートホテルもあります。仕事環境が整っていることを主眼に置くなら、ホテルの設備で選んでみるのがおすすめです。

6.2 温泉で選ぶ

のんびりゆったりくつろぎながら、あいた時間で仕事を......というのなら、温泉で選ぶのも方法のひとつです。温泉につかって心身ともにリラックスすれば、きっと仕事もはかどるでしょう。

6.3 アクティビティで選ぶ

休暇を取らなければなかなかできないようなサーフィンやスキューバダイビングを思う存分楽しみたい、滞在型のキャンプ生活がしたいなど、アクティビティ優先で選ぶという方法もあります。これこそ、ワーケーションの本領発揮といえるかもしれません。

7. 総務省のワーケーションに関する取り組み「地域型テレワークトライアル」

国もテレワークやワーケーションを推進しています。その一環として、2020年11月に実施された「地域型テレワークトライアル」についてお伝えしておきましょう。

テレワーク推進フォーラム(総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省の呼びかけで設立されたテレワーク推進団体)は、2015年から毎年11月を「テレワーク月間」と定め、テレワークの普及促進に向けた広報活動などを実施しています。「地域型テレワークトライアル」は、そのひとつとして実施されたものです。

具体的には、ワーケーションに積極的に取り組む自治体と連携し、その地域のサテライトオフィスで省庁職員や民間企業の社員が勤務体験をし、有効性や課題を検証するというもの。国がワーケーション導入に力を入れていることが伝わってくる取り組みだといえるでしょう。

8. 各ホテルのワーケーションに関する取り組み

最後に、ワーケーションに力を入れているホテルをふたつピックアップし、簡単に概要や取り組みを紹介します。

8.1 星野リゾート

リゾートホテル、温泉旅館、シティホテルなど、さまざまなタイプの宿泊施設を運営している星野リゾート。それぞれのフィールドで、仕事に集中できる環境と、仕事を終えた後の時間を満喫できる環境を提供してくれます。

施設ごとに趣向をこらした快適なワークスペース、連泊のお得な割引プラン、リフレッシュできる食事やアクティビティなど、ワークもバケーションも楽しむのにうってつけ。利用者本位のサービスがそこにあります。

>>星野リゾート「パーフェクトワーケーションステイ」の案内はこちら

8.2 プリンスホテル

プリンスホテルでのワーケーションには、多彩なプランが用意されています。湖のほとりなど立地で選べるプランもあれば、連泊で選べるプラン、ロングステイに応じたプラン、部屋のタイプで選べるプランなど、自分の過ごし方や仕事スタイルに合わせて選べる点がポイントです。もちろん、その地域の魅力を感じながら仕事ができることは、言うまでもありません。

>>プリンスホテルの「リゾートワーケーション」の案内はこちら


ワーケーションは、仕事と休暇の時間を融合した注目の働き方です。テレワークの推進とともに、ワーケーションを実施する企業が増えていくことが予想されます。ぜひ、新しい働き方のスタイルを身につけ、仕事もプライベートも充実した時間を過ごしませんか? ワーケーションに注力するホテルや宿泊施設も多数あるので、ぜひ利用を検討してみてください。

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