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2021年のラマダン(断食月)の様子
2021年のUAEのラマダンは、4月13日から5月13日までの30日間でした。昨年2020年のラマダンは、アブダビでは新型コロナウイルス対策のため基本外出が禁止されていましたので(もちろん断食しているイスラム教徒の方々は別ですが)、外国人として居住している身としては全くと言っていいほどラマダンの存在を感じることなく終わったという印象でした。
今年2021年はというと...?コロナ禍でのラマダンの様子をレポートさせていただきます!
目次
そもそもラマダンとは?
イスラム暦(ヒジュラ暦)で第9月にあたる月のことです。このラマダン月の間、日の出から日没まで飲食を絶ち、苦しい経験をすることにより飢えた人など苦境に置かれる人々の精神を理解し、平等に想いを馳せる事を主とすると言われています。
日中は飲食ができませんが、日没より翌日の日の出までは逆に盛大にパーティーをしたり、親戚で集まったり、彼らにとってはイスラムの修行であると同時にお祭りのような感覚もあるように思われます。
スーパーマーケットの様子
ラマダンより少し前から、街ではラマダンセールと称してセールを行う店があったり、スーパーマーケットでは日没後に食べる食事を作るための食材が大容量パックになって売られ始めますので、お祭り騒ぎのようになります。日没後、食事の前に口にするのがデーツとされているため、色々な種類のデーツがたくさん棚に並ぶのもラマダン期間の特徴です。
こちらは大型スーパーの入り口です。
あちらこちらに月や星のモチーフの看板や飾りがなされ、ラマダンの雰囲気を盛り上げます。カートいっぱいに食材を積んだ人々で、スーパーが非常に混雑します!今年もマスクをし、手袋をはめて買い出しを行う人で溢れていました。これに関して、コロナ前とコロナ後で変化は感じませんでした。
かなり大きく変わった飲食店の様子
筆者が1番変わったと感じたのが、日中の飲食店の様子です。
今までの筆者が経験したラマダンでは、日没までの間飲食店は営業をしない、テイクアウトのみ、デリバリーのみ、もしくは黒いカーテンや衝立などをして断食をしているイスラム教徒の目に入らないような工夫がなされての営業でした。見えないようにしての営業を行う店舗は、主に外国人相手にしているようなカフェなどがほとんどで、昔より数が増えているものの、テラス席はもちろんクローズしていましたし、アラビックフードのお店などは軒並み店を閉めていました。外食は選択肢が少なくなるのが当たり前、街は少しガランとした雰囲気になるので「ああ、ラマダンだなぁ」と感じるものでした。
ですが2021年、新型コロナウイルス感染対策で換気をよくするために、カーテンや衝立を禁止するとのお達しが出たこともあり、体感ではほぼ全てのお店が通常営業を行っていました。
もともとフードコートやモールでは、衝立をして営業していましたが、今年は完全にオープンエアーの状態になっていたので、イスラム教徒以外はいつもと変わらず丸見えの状態で食事をしていました。その状況に非常に違和感があったため、最初は本当に食事をしてよいのか少し不安になるくらいでした。
同じフードコートの中でも、アラビックフードの店舗は日中営業しているところがなかったように思います。
カフェやレストランなどは、一部日中閉まっている店舗がありましたが、ほとんどは普通営業を行っておりテラス席での飲食も可。そしてホテルのレストランなどはラマダン期間の日中でもアルコールをサーブする店舗が増え、ラマダンの雰囲気を感じることはほとんどなく、日中の飲食に全く困る事はなかったです。
ただ、やはりテイクアウトしたものなどを歩きながら食べたり飲んだりするのは、断食を行っている人への敬意から皆控えていましたし、控えるようにあちこちへ注意喚起もなされていました。
ラマダン限定メニュー
ファストフードやレストランでは、ラマダン限定のメニューを出すところがたくさんありますが、それは2021年も変わりない様子でした。
ラマダン中、マクドナルドは必ずラマダンセットメニューを出します。ラマダンセットメニューでは、ラマダン限定の飲み物と限定のデーツパイ(今年はチョコデーツパイ)をセットにすることができます。この時期しか食べられないので、機会があったらぜひ試していただきたいです。
ラマダン限定セットや限定メニューはお得なことが多いので、ラマダン中の旅行を考えるときはチェックしてみてくださいね。
イフタールの様子
ラマダン期間中、日没後の食事(イフタール)はイスラム教徒の人々にとって非常に重要なものです。例年、多くのホテルレストランなどがイフタールビュッフェと称してビュッフェ形式で豪華な食事を提供し、イスラム教徒以外の人々にとっても楽しみの1つでした。
今年は、新型コロナウイルス対策のためビュッフェ形式でのイフタールは少なく、代わりにコース料理やセットメニューで提供するレストランが多かったです。ビュッフェではないものの、食前にデーツとドライフルーツが提供され、イフタールの雰囲気は十分に感じられるものでした。
例年、ラマダン期間の風物詩として、あちらこちらに大型テントが設営され、その中で断食後のイフタール(ボックスに入ったミールセット)を無料で提供されていたのですが、そちらは去年に引き続き今年も禁止されていたので行われていませんでした。
ラマダン期間の飾り
ラマダン期間中は、あちらこちらで華やかな飾り付けがされますが、そちらは今年も例年より少し控えめに感じました。
アブダビモールでは、中央のアトリウムがきれいに飾り付けられていました。
月・星・アラビックランプのモチーフが一般的です。
写真撮影ができるように、大規模なセットが置かれているところもたくさんあります。
海岸沿いのコーニッシュ通りを始めとし、道路は電飾でキレイに飾り付けられるのもラマダンならではです。
電飾もよく見ると月と星をモチーフにしているものが多いです。
これからのラマダンはどう変わるか/まとめ
2021年のラマダンは、新型コロナウイルスの影響もあり特に日中の飲食の点で大きく変わったと感じました。
今までは、ラマダン期間中は日中閑散としていたり、飲食が不便だったりなど制約も多く、観光客の視点から見ると旅行には適していないように思っていました。しかし、新型コロナウイルス流行が収まったあとも、グローバル化や観光客誘致の観点から、2021年のような変化が続くようなら、ラマダン期間中でもほぼ差し支えなく旅行できるようになるかもしれません。(個人的には、この不便さと閑散からの日没後のギャップが面白く、それも含めてラマダンと思っていたので少し寂しいのですが...。)
お土産になりそうなお菓子などもラマダン限定のパッケージなどがたくさん出て、ショッピングモールや建物もきれいに飾り付けがされているので、あえてラマダン期間中に旅行に来るのも良い思い出になりそうです。
1日も早く世界的に新型コロナウイルスの流行が収まり、自由に旅行できる日が来ますように!
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misako
- 国際線キャビンクルーを経て、夫の海外赴任に伴い2017年12月よりアラブ首長国連邦アブダビ在住。3歳1歳の男子達と共に、バタバタと過ごす毎日。趣味は旅行と、美味しいおやつを食べること。