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【京都】丹後の日本酒との組み合わせで、食事をもっと楽しむ方法!
「日本酒を味わう」とはどういうことなのでしょうか?
飲んでみて、美味しいか、美味しくないか?
自分の好みとして、好きか嫌いか?(甘い、辛い、すっきり系、どっしり系など)
そのいずれも正しいと思います。しかし日本酒にはそれ以外にも楽しみ方があります。
それは、"日本酒と食事との組み合わせ"により、お互いの味を2倍3倍にも高める方法です。いわゆる相乗効果でもっとおいしくなるということです。
今回は、京都の丹後地方の地酒と日本海の魚介を使ったフレンチとの組み合わせを通して、更なる日本酒、お料理の楽しみ方の提案を教えていただきましたので、レポートします。
目次
日本酒ソムリエ 古田豊弘さんに聞く
今回日本酒とお料理の組み合わせによる楽しみ方を教えていただいたのは、日本酒ソムリエであり、海鮮アンバサダーであり、「天橋立 海鮮の宿 まるやす」のオーナーでもある古田豊弘さんです。
<日本酒ソムリエであり、海鮮アンバサダーでもある古田豊弘さんのHPより>
丹波と日本酒について
丹波という地名は田庭(タニワ)から来たとも言われており、2000年以上もの歴史があります。丹波は稲作文化が盛んで、神社が多いのも特徴です。神社とお酒は、御神酒や酒の奉納など、ゆかりが深いのがわかります。丹波エリア(福知山市から北方面)には、12もの酒蔵があります。ちなみに酒どころと言われている伏見は25蔵。大阪は14蔵ですから丹波エリアは酒蔵が多いところと言えます。 また丹波は伊勢神宮に酒を伝えた起源の地とも言われています。
丹波の酒の特徴
昔から「灘の男酒、伏見の女酒」と言われます。そのイメージから伏見の水は軟水と思われがちですが、実は中硬水だそうです。
余談ですが、伏見、灘に大きな酒蔵が出来たのは、硬水のおかげだと言われています。その理由は硬水は腐りにくいからです。江戸時代、江戸まで船で5日かけて送っても腐りにくかったことが、灘、伏見の酒が全国に広まった要因のひとつといえるようです。ちなみに日本で軟水の県は新潟県と静岡県だそうです。軟水は発酵しにくいため、辛口の酒ができる傾向があるそうです。丹後の水も中硬水です。12蔵は毎年「丹後天酒まつり」と銘うって酒蔵巡礼のイベントを開催しています。(2020年は中止)
>>>日本酒ソムリエ/海鮮アンバサダーの古田豊弘さんに関する詳しい情報はこちらから
日本酒とお料理の具体的組み合わせの提案
では、お待たせしました。古田さんおすすめの、料理と日本酒の組み合わせをご紹介しましょう。
この日、供されたフレンチメニューはこちらです。まずはオードブルから。
左後ろから、生ハムとモッツアレラチーズ、レバーペースト、前に鎮座しているのが、ハタハタのエスカベッシュです。(エスカベッシュとは南蛮漬けのことです。)
こちらのオードブルのレバーペーストに合わせるのが、このお酒。
<ハクレイスパークリング>
ハクレイスパークリングです。乾杯にぴったりの軽めで甘いお酒。日本酒が苦手な女性にも飲みやすい、アルコール度数も低めで、甘酒のような後味もしました。レバーペーストは濃厚でまろやかですが、レバー特有の臭みはありません。
続いて、生ハムとモッツアレラに合わせるお酒がこちら。
<玉川しぼりたて生原酒>
ピンボケでごめんなさい。決して酔っぱらっているわけではなく。。。生ハムと、濃いどっしりした生原酒が合います。(個人的には、この組み合わせがナンバー1でした。)
続いて、ハタハタのエスカベッシュに合わせるお酒がこちら。
<与謝娘 しぼりたて 特別純米 無濾過生原酒 1401>
すみません、こちらもピンボケです。無濾過生原酒ですが、しぼりたてというだけあってフレッシュで、エスカベッシュの酸味と甘みをうまく引き立てていました。
>>>与謝娘1401を醸す「与謝娘酒造」の公式サイトはこちら
続いて「間人(たいざ)産 コッペガニのサラダ」。
コッペガニとは丹後半島の間人(たいざ)で採れるズワイガニの雌のことです。こちらも先ほどの「与謝娘1401」と合わせます。これも美味しかったです。濃厚なカニの内子が特徴で、日本酒と旬のカニですから、合わないわけがありませんね。生ハム&玉川しぼりたて原酒と、コッペガニ&与謝娘1401の組み合わせ、どちらも甲乙つけがたく、私の好みとしては、今回の組み合わせの中では、ツートップでした。
続いて「大根とフォアグラのスープ」。
この、まさにフレンチ、というイメージのスープに合わせるのは、このお酒です。
<シラキク ブラックレーベル ヒトツビ>
ラベルが、まるでワインのように洒落ています。味もすっきりとコクのある白ワインのように透き通った味でした。濃厚なフォアグラと出汁のしみ込んだ大根が生み出す、深い味をしっかりと受け止めて包み込む、絶妙のマリアージュでした。
さあ、いよいよ今宵のメインディッシュがこちらです。
<伊根ぶりステーキレモンバターソース>
舟屋で有名な伊根は「日本のブリ3大漁場」です。この冬の魚の王様、脂ののったブリには、3種の酒を合わせます。
- 「池雪」純米吟醸 祝
- 「玉川」純米吟醸 祝 3年古酒
- 「シラキク」ブラックレーベル ヒトツビ
<池雲 純米吟醸 祝>
<玉川 純米吟醸 祝 3年古酒>
<シラキク ブラックレーベル ヒトツビ>
どのお酒も、脂が濃厚なぶりに負けないしっかりしたお酒でしたが、私の感想では、「玉川」が脂を洗い流し、かつ余韻を残す、ベストマッチングのように感じました。
お酒は個人の嗜好による部分が大きいので、どれが正解というのは人によって変わってくると思いますが、古田さんは「単なる好き嫌いでなく、酒と料理の相性を楽しむためには、コツがある」と仰いました。
酒と料理の相性がいいとは?を感じる3つのタイプ
「お酒と料理を合わせる時、この3つのタイプを知っておくと、更に楽しめますよ」と古田さんが教えてくださったことはこの3つです。
1.同調:バランスがいいもっとも無難な組み合わせ
例)似通ったもの同士、味の濃い料理と濃厚なお酒など
2.調和(ハーモニー、マリアージュ):インパクトがあり、記憶に残る組み合わせ
例)フォアグラと甘口ワイン、ブルーチーズとポートワイン、デザートと長期熟成日本酒など
3.洗い流す(リセット、ウオッシュ)
例)焼肉とビール、肉料理と赤ワイン、揚げ物とさっぱり系焼酎、煮物料理と淡麗辛口の日本酒など
まとめ
上記の3つの視点で捉えると、自分の好みでこれは美味しい、これは美味しくない、と判断するだけではなく、「これは同調の組み合わせだな」とか「これは意外なマリアージュだな」とか感じることができて、楽しみ方がぐっと広がるなと思いました。
ワインが料理との相性で選ばれるように、日本酒も料理との相性という観点で選び、味わうことができるようになると、食事というイベントをもっと楽しめるようになります。
みなさんもぜひ日本酒を飲む時、料理との相性を想像したり、3つの視点で感じてみたりしてみてください。
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。