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拍子抜けのロックダウン in チリ
日本やヨーロッパでは第三波襲来か?と言われるコロナウイルス。夏を迎える地球の反対側、チリでは、最初は感染者が多かった首都サンティアゴや北部の街では感染が落ち着き、以前の市民生活が戻ってきていますが、南部では現在多くの街がロックダウン中。私が住む街も先週から初めてのロックダウン...。観光地に取材に行けないので、今回はロックダウンの様子をお伝えしたいと思います。
目次
チリのコロナ規制のレベル1~5
チリでは新型コロナウイルスの感染度合いによって、地方共同体ごとに段階が決められ、段階が変わる場合は週ごとに発表されます。要点を訳すとこんな感じ。
- 段階1:全面的に外出禁止。買い物・通院は週に2回、1回3時間まで警察への届け出によって許可される
- 段階2:月~金までは外出OK、週末は外出禁止。屋内は10人まで、屋外は20人までの集まりが許可される
- 段階3:外出はOk、段階1,2以外の都市への移動もOK、レストランはテラス席のみOK。屋内25人、屋外50人までの集まりが許可される
- 段階4:高齢者クラブ、バー、ディスコなどは閉鎖。映画館・劇場・レストランは定員の50%まで入店できる。学校の平常授業が衛生基準を守れば可能
- 段階5:レストランなどは定員の75%、バーやディスコは定員の50%までの入店が認められる。ソーシャルディスタンスやマスク着用などの衛生基準を守り社会活動を平常に行うことが可能
※段階2以上の街に住む人であっても、基本的に段階1にある街に入ることができません
※現在、チリは全土で緊急事態宣言が出され、24時から5時までの夜間は外出禁止です
私が住む街バルディビアは9月末までずっと段階4をキープしていましたが、10月の2週目に段階2にレベルダウン。そして先週、「県立病院が満床の為、段階1にレベルダウン」という発表がありました。10月からは週末のみ外出禁止でしたが、現在はそれが毎日になってしまいました...。せっかく長い冬が終わって良い季節になったのに。
許可証をもらって街へ行ってみた
ロックダウンが始まって4日目、バルディビアの街へ行ってみることにしました。
まずは、許可証の申請です。これはスマホで警察のページに入って取得できるので、ネットがつながっていればスマホで簡単に操作できます。でも主義でスマホを持たない友人や経済的にスマホを持てない人はパソコンで申請してプリントアウトをしなければならないので大変。申請するとすぐに許可証が来ました。
許可証を申請後15分経った後、有効期間はたった3時間しかないので、いざ出発。
私が住んでいるのは街外れで、街の中心部に近づく幹線道路で最初の検問がありました。
少し緊張しましたが、「許可証を見せて下さい」「外出の目的はなんですか」など警察とのやりとりはごく簡単なものでした。
それにしても...意外と車が走っている...この記事を書くために、人通りのない風景を期待して来たのに、おかしいな...。いつもは苦労する街の中心部での駐車も、今日は楽だな、と思って来たのに、いつものように駐車スペースが見つかりません。仕方ないので路駐禁止のところに一瞬止めて買い物に行き、3分もしないうちに戻ってきたら、車の前に警察が2人...。「外出許可証を見せなさい」「チリの身分証明書・運転免許書・車の登録書・車の税金納付証明書・車検証明書を見せなさい」
日本人が得意とする平謝りと、早急に不備のない書類を見せることで罰金の難を逃れましたが、危なかった!!外出規制をかけるべく街に多くの警察が動員されたために悲劇が起こるところでした。
気を取り直して、住宅街のフェリアへ。普段とほとんど変わらない人の入りに「ここにいる人たちは全員本当に許可証を取って買い物に来ているのだろうか?」という疑問が浮かびます。
スーパーもがらがらということは全くなく、なんだかいつもよりちょっと人が少ない程度...。
コロナ疲れ?国民性?
正直、「ロックダウンってこんなものなの?もっと厳戒態勢で人気がないゴーストタウンを期待したのに」と思ったので、オンラインで日本語を教えている学生たちにそれぞれの街の現状を聞いてみました。
「うちの街はロックダウンが始まって3か月経つけど、警察の取り締まりも緩くなったから街には人がたくさんいるよ」とか、「住宅地の広場とか警察が絶対来ないところでは皆いつも通り」とか、聞けば聞くほど「ロックダウンが意味を成していないのでは...?」というコメントばかり。
もう一つが幾度となく聞いた友人たちの気になるコメント。
チリでは毎日新規感染者が、症状がある人・ない人の内訳とともに発表されるのですが、うちの県では毎日半分~1/3が無症状の感染者なので、私は「無症状の人が多くてよかったよね」とコメントすると、チリ人の友人たちは口をそろえて、「良くないよ。無症状の人たちは元気だから、外出禁止を守らずに、出かけて余計感染が広がるだけ。それなら症状があって家で寝ててもらった方がマシ」と言うのです。
日本の田舎ではコロナに感染して村八分の目に合い、引っ越しせざるを得なかったという噂を聞きますが、国が変わればこんなに違う!もちろんチリにも規制をまじめに守って、最大限に用心をして暮らしている人たちがたくさんいます。でも一方で、PCR検査で陽性だったのに仕事に行ってしまう人や出歩いてしまう人が結構いるのも事実(警察にみつかったら重い罰則があるにも関わらず...)。働かないと食べていけない?自己の願望に忠実?基本ポジティブ思考で最悪の事態を想像する習慣がない?
チリに住んで10年になりますが、未だその国民性には驚かされるばかりです。
国境は開くのか
3月18日以降、国境閉鎖が続いているチリ。半年以上経った現在も、チリ人か、住民カードのある外国人しか入国が認められていません。コロナ前は、隣国アルゼンチンに住んでいる同居人の親友がチリに来たり、私たちが行ったりする交流が平均2か月に一度はあったのに、ずっと電話だけの寂しい毎日なので、同居人は、国境開放のニュースを待ちに待っている日々。数日前にようやく国境が開くというニュースが飛び込んできました。
しかし、それは「サンティアゴ国際空港に到着した外国人に限り」というものでした。というのも、12月14日にチリ南部では皆既日食が見られるのですが、世界中の科学者や旅行者など既に外国からたくさんの予約が入っていて、その経済効果は見逃せない、またチリ観光の目玉、南部パタゴニアが夏のベストシーズンを迎えるため、海外からの観光客にたくさんお金を落としてほしいという理由だと思われます。
私たちはまだ、陸路でアルゼンチンへ行けませんが、日本の皆さんはチリに皆既日食を見に来ることができるようになるので、天体観測ファンの方は検討されてはいかがでしょうか。(出発前にPCR検査陰性という証明書や、チリにいる間の健康チェックおよび報告が必要になるようなので事前の情報収集をお勧めします。)
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IZUKAWAUSO
- 日本青年海外協力隊員。チリ南部の田舎暮らしも8年半になります。趣味は旅行(特に屋台めぐりと温泉)と料理。地元の週末フリーマーケットでおにぎりと味噌汁売ってます。