【イギリス】ステイホームでアナログレコードの人気復活!?

レコードショップ

イングランドでは、2020年11月5日(木)より、再びロックダウンが'始まっています。今年春のロックダウンに比べると、学校や保育施設、大学は継続して開いているという大きな違いはありますが、「生活に必要不可欠」ではない店舗やレジャー施設などは休業となり、日常生活がかなり制限されていることには変わりありません。

コロナ禍のカフェの看板
<飲食店はテイクアウェイ(持ち帰り)のみで営業中>

世界中がコロナウィルスの影響を受けている中、面白いことに、イギリスではアナログレコードの売り上げが伸び続けています。英国で音楽メディアの売り上げを公式に発表しているオフィシャル・チャート・カンパニーによると、2020年9月までの時点で、レコード販売枚数は270万枚。昨年の同時期よりも3%高い数字を記録しています。再びロックダウンに突入し、街中のレコードショップは休業を余儀なくされていますが、それでも、年末に向けたクリスマス商戦や、ポール・マッカートニーの新作を含む話題作のリリースなどもあり、レコード人気が失速する要素は今のところは見当たりません。

目次

レコード人気の復活の理由は?
レコードが買えるのはどこ?
  1. レコードショップ
  2. オンラインショップ
  3. マーケット、チャリティショップ
おまけ

レコード人気の復活の理由は?

こちらでは、「ヴァイナル(Vinyl)」と呼ばれているレコード盤。このデジタル時代において、若者たちの間でも、ストリーミングに比べて音楽をより「リアル」に感じられる、との意見が、ガーディアン紙のデジタル版でも紹介されていました。他にも聞こえてくる声としては、次のようなものが挙げられます。

  • 自分の好きなアルバムを実際に自分の手で「モノ」として持てるのが嬉しい
  • レコードプレーヤーで聴くという作業の楽しさ
  • 音がいい
  • ジャケットの見栄えがいいので、プレゼントや装飾にも適している
  • レコードショップを訪れ、レコードをチェックしたり、店員と語り合うという体験が好き
  • 同じアルバムでもバージョン違いをとにかく集めたい、など。

レコード盤を世に送り出すアーティストの側からしても、レコードの利点は多いのだとか。友人のミュージシャンにコメントを求めると、次のように語ってくれました。

「単純に、レコードならデジタル音源よりもっと豊かで深い音が楽しめる。だから音楽ファンはこれからもますますレコードへと戻っていくだろう。我々としても、レコードコレクターも含めることで、オーディエンス層を広げられるのは有難い。音楽ダウンロード全盛の時代にあって、よりよい音質かつ、現物があるだけに処分のしにくいレコード盤というフォーマットで我々の音楽を所有してもらえるのは、光栄なこと」

チャーリー・ハート氏。故ロニー・レインの率いたバンド、スリム・チャンスで活躍していたことから、2019年にはレインの限定盤ボックスセット発売に際し選曲を担当。

レコード文化を盛り上げるべく、2008年より世界各国で開催されているイベント、「レコード・ストア・デイ(Record Store Day:RSD)」も功を奏しています。例年であれば、年に一度の開催されているRSDは、今年はコロナ禍で、8月、9月、10月に分けて各回の規模を小さくして開催。RSD限定盤のレコードを心待ちにしている音楽ファンも多いのです。

レコードが買えるのはどこ?

1. レコードショップ

レコードショップ

イギリスには、独立系レコードショップが今も数多く存在し、多くの音楽ファンたちが足しげく通っています。ロンドンでは、英国が誇るロックバンド、オアシスが1995年に発表したセカンドアルバム、『(What's The Story) Morning Glory?』のジャケット写真が撮影された場所として有名な、ベリック・ストリート(Berwick Street)とその周辺がレコードショップ街として知られています。

また、最盛時に比べれば数は減少したものの、HMVもショッピングセンター内などを中心に店舗展開を行っています。ロンドンのコヴェント・ガーデン地区に加え、他4都市にも店舗を構えているFopp(フォップ)も、HMV傘下の人気ショップです。

2. オンラインショップ

Amazon、HMVなどのオンラインショップでもアナログレコードは今や人気アイテムです。上記の独立系レコード店でも、各ショップのウェブサイトでオンライン販売が可能なところが多く、通販やクリック&コレクト(店舗受け取り)のシステムで売り上げを伸ばしています。

カタログ販売ショップArgosの店舗

こちらではよく知られた、Argosというカタログ販売小売業者のオンラインショップでも、人気タイトルは入手が可能です。こちらもクリック&コレクトのシステムが昨今では主流なのですが、ロックダウン中は店舗受け取りができる支店が限られてしまっています。

3. マーケット、チャリティショップ

チャリティショップ
<ロックダウンで休業中のチャリティショップ>

リヴァプール・ストリート駅近くのOld Spitalfields Marketでは、通常であれば毎月第1・3金曜日にレコードマーケットを開催。週末に市がたつグリニッジのClocktower Marketでも、レコードを扱っているストールがあります。また、カーブート・セールと呼ばれる持ち寄りのフリーマーケットや、チャリティショップ(売上金が慈善団体への寄付金となるリサイクルショップ)なら、中古の掘り出し物に出会える可能性も!

おまけ

アナログレコード

我が家の音楽オタクによると、マニアたちの間では、レコードのボックスセットの「開封動画」が人気なのだとか。ボックスセットは、パッケージが凝っていたり、シールにカード、CDやカセットなど、オマケ?付録?がたくさん入っているものも多く、その「unboxing」の時間を共有して楽しむそうです。

また、日本国内版レコードの人気は英国の音楽マニアの間でも高く、日本版のレコードについている「帯」は、「Obi-strip」として知られており、帯付きのレコードは英国のオークションサイトでも、結構な高額で取り引きされていることもあります。

なお、アナログレコードに加え、なんとカセットテープでのアルバムの売り上げも復活しているとのこと。前述のオフィシャル・チャート・カンパニーによると、今年は上半期だけで65,000本のカセットテープのセールスが記録されており、1年の総売り上げ数では、2003年以来初めて、10万本の大台に乗ることが期待されているそうです。

>>オフィシャル・チャート・カンパニーの公式サイトはこちら(英語)

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