レトロ感漂う海辺のカバニャル地区とおすすめ老舗バル<スペイン>

バレンシア中心部から海岸までは車で15分ほど。海岸沿いには、昔は漁師達が住んでいたカバニャル(スペイン語:Cabañal、バレンシア語:Cabanyal)と呼ばれるエリアがあります。再開発を逃れた古い町並みを残し、ここ数年ではおしゃれなバルなどもポツポツと増えてきました。今回はそんなカバニャル地区と、創業19世紀の古いバルをご紹介します。

目次

昔の雰囲気を残す町並みが特徴

私がバレンシアに住み始めた20年近く前、この辺りは薬や春を売る人、あきらかにアウトローなにおいのする人が目立ち、昼間でも通りを選んで歩かないといけない雰囲気が漂っていました。2000年代初頭の再開発計画で廃墟、または廃墟のような建物が多かった一番海に近い通りが整備され、2006年には5つ星ホテルLas Arenasがオープン。徐々に怪しい空気は浄化されていきました。

El-Cabanyal-neighborhood-VV-15527_1024- Foto_Visit_Val鈩cia.jpg
<©TVCB, Valencia. Todos los derechos reservados. www.visitvalencia.com

バブル経済の崩壊で大掛かりな再開発計画が頓挫したお陰で、カバニャルには昔の雰囲気が残っています。東京の下町エリアのような感じでしょうか。低層(2~3階建て)の住居も多く、20世紀前半の凝った装飾がほどこされた建物を見て歩くのは一興です。それ以前の19世紀には、藁ぶきの三角屋根に白壁の"バラッカ"というバレンシア特有の家屋が並んでいたそうです。ちなみにバラッカは、近郊の畑や田んぼの中にポツポツと今でも残っています。

Barrio-El-Cabanyal-VV-00730_1024- Foto_Alex_Crespo.jpg
<©TVCB, Valencia. Todos los derechos reservados. www.visitvalencia.com

DSC_2798.JPG

バレンシアの聖週間といえばカバニャル地区

スペイン各地では毎春、カトリック教会の行事である聖週間(セマナ・サンタ)が盛大に祝われますが、バレンシアではこのカバニャル地区の聖週間が有名です。1週間の間に様々な宗教行事がおこなわれます。海沿いという立地から、砂浜でも行事があるのはカバニャルならでは。

VV-02177_1024- Foto_Estudio_Calpena.jpg
<©TVCB, Valencia. Todos los derechos reservados. www.visitvalencia.com

聖金曜日の夕暮れ時から延々と数時間続くおごそかな宗教行列や、復活の日曜日の昼間の明るいパレードには大勢の見物客が押し寄せます。先月の記事に書いたように、聖週間美術館もあるので、ご興味のある方はぜひ足をお運びください。なお、聖週間は移動祝日で毎年日付が変わります。2021年は3月28日(日)~4月4日(土)、2022年は4月10日(日)~4月17日(土)。復活の日曜日は聖週間が終わった翌日になります。

VV-02044_1024- Foto_Estudio_Calpena.jpg
<©TVCB, Valencia. Todos los derechos reservados. www.visitvalencia.com

◆聖週間美術館公式HP:http://www.semanasantamarinera.org/index.php/museo (スペイン語・英語・バレンシア語)

1936年創業のバルはカバニャル地区のシンボル

カバニャル地区には、私のお気に入りのバルがあります。1836年、今から164年も前にオープンしたCasa Montañaです。なんといっても、ここのメインホールの雰囲気がレトロで素敵なのです!! 黒くなった樽が並び、古い闘牛のポスターが飾られ、古き良きスペインの香りがします。残念なことに、こういうクラシックなバルはバレンシアにはほとんどないのです。

Barrio-El-Cabanyal-VV-00740_1024- Foto_Alex_Crespo.jpg
<©TVCB, Valencia. Todos los derechos reservados. www.visitvalencia.com

1.jpg
<写真提供:Casa Montaña>

このバルはワインの種類が豊富なことで知られていますが、メニューは昔ながらのものが多いとのこと。そら豆の煮込みや自家製アンチョビなどが有名です。私はパタタス・ブラバス(ピリ辛ソースで食べるポテトフライ)が好きです。バルのつくりは変わっていて、José Benlliure(ホセ・ベンリウレ)通りに面したモデルニスム様式の表玄関以外に裏にも入り口があり、中には隠し部屋のようなスペースがあり、それがまたここの魅力になっています。コロナ禍以前は、よくワインのテイスティングセミナーも開いていて、いつか行ってみたいと思っていました。

DSC_3252.JPG
<手前の料理はバル自慢のそら豆の煮込み>

CIMG6490.JPG
<パタタス・ブラバスは私のおすすめのひとつ>

REDONDA.jpg
<写真提供:Casa Montaña>

どこか外国の旅行ガイドブックに掲載されたのか、欧米の観光客の姿が目立ちますが、開店早々に行くと近所の年配の男性陣が昼食前の一杯を飲みに来ていていい感じです。実は、以前日本からいらした元宝塚女優さんをアテンドした時にここにお連れして、喜んで頂いたことがあります。

Casa Montaña

  • 住所:Calle José Benlliure 67, Valencia
  • 営業時間:13:30~16:00、19:30-23:30 (日曜日は昼間のみ)
  • HP:https://www.emilianobodega.com/

カバニャル地区へのアクセス

以前のような危険なイメージがなくなったカバニャル地区ではありますが、100%安全というわけではありません。スペイン全般に言えることですが、暗くなってから人のいない通りを歩くことは避け、常にスリや置き引きにはご注意くださいね。

カバニャル地区へのアクセスは、バレンシア中心部からは複数の市バス路線が通っていますが、闘牛場裏から19番に乗るのが便利です。また地下鉄だとMarítim - Serrería駅でトラムに乗り換えて2つめのGrau Canyamelar駅で降りることになります。

El-Saler-Beach-VV-20436_1024- Foto_David_Rota.jpg
<©TVCB, Valencia. Todos los derechos reservados. www.visitvalencia.com

日本とスペインを自由に行き来できる日が戻ってきたら、ぜひバレンシアにお越しになり、ビーチと日本風にいうと"昭和な"町並みが残るカバニャル地区に足を延ばしてみてくださいね。

スペイン」に興味わいてきた?あなたにおすすめの『スペイン』旅行はこちら

※外部サイトに遷移します

Related postこの記事に関連する記事

Rankingスペイン記事ランキング

ランキングをもっと見る

この記事に関連するエリア

この記事に関連するタグ

プロフィール画像

田川敬子(Keiko Tagawa)

1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。

Pick upピックアップ特集

全国の動物園&水族館 徹底取材レポート特集!デートや家族のおでかけなど是非参考にしてみてください♪

特集をもっと見る

たびこふれメールマガジン「たびとどけ」
たびこふれサロン

たびこふれ公式アカウント
旬な情報を更新中!