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フランスは牡蠣天国!?現地の食べ方や人気ぶりを紹介
フランス旅行で一度は試したい食材のひとつ、牡蠣!美食の国フランスには、さまざまな絶品グルメがありますが、牡蠣もフランス名物として親しまれています。地域によっては、一年中牡蠣が楽しめるところも。レストランには生牡蠣をはじめとするシーフードが大皿プレートに盛られ、フランス人たちは白ワインと一緒に生牡蠣を楽しみます。
この記事では、フランス・パリで長期滞在を経験した筆者が、フランスにおける牡蠣の人気ぶりや現地でメジャーな食べ方について解説します。また、牡蠣で有名な街や、牡蠣にまつわるフランスと日本の意外な関係性も紹介していますので、ぜひご覧ください。
目次
1. フランスは生牡蠣好きにはたまらない国!?
<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)>
まずは、フランス人にとって生牡蠣はどれくらいメジャーな食べ物なのか、フランスで美味しく頂けるベストシーズンと合わせて解説します。
1.1 フランスのレストランで牡蠣は定番メニュー
牡蠣は、フランスのレストランにおける定番メニューです。日本には焼き牡蠣や牡蠣フライ、牡蠣グラタン、牡蠣のアヒージョなどさまざまなバリエーションがありますが、フランスは基本的に生牡蠣(huître crue / ユイートル クリュ)一択!生牡蠣をこれでもかとたくさん乗せた大きな丸いプレートを注文し、友人や家族など複数人でシェアしながら食べます。
また、生牡蠣をエビや貝類などと一緒に盛り、シーフードプレート(またはシーフードプラッター)として提供しているレストランやカフェも多く見られます。2段になったプレートで提供されることもあり、ボリューム満点のシーフードの盛り合わせをお腹いっぱい堪能できます。
1.2 フランスのスーパーなどでも牡蠣はメジャーな存在
フランスでは、牡蠣をレストランで食べるだけでなく、ホームパーティーなどでも振る舞います。そのため、スーパーマーケットの魚コーナーや、地元の魚屋さんなどでも気軽に購入できます。
フランスの牡蠣は、サイズによって1〜5までの番号が振られており(※)、数が小さいほど牡蠣のサイズ(殻のサイズ)が大きくなるシステム。フランス人は味が大雑把すぎず食べでもある3番を好む傾向にあり、なかでも産地直送の新鮮な牡蠣が安くておいしいといわれています。殻が閉じた生牡蠣がカゴにどっさり積まれた豪快な売り方が特徴で、購入の際は6の倍数でオーダーします。
日本の牡蠣は大ぶりでクリーミーな味わいのものが多いですが、フランスの牡蠣は比較的小ぶりであっさりした味のものが多い印象。そのためか、フランスでは牡蠣を1人1ダース(12個)はペロリと食べてしまいます。
※編集部註:牡蠣のサイズ番号は、フランスでメジャーなマガキに振られるものを採用しています。希少とされるヒラガキは000~6まで番号が振られています
1.3 フランスへ行くなら牡蠣のベストシーズンに!
フランスで牡蠣は1年中食べられますが、ベストシーズンは「R」が付く月とされ、Septembre(9月)から翌年のAvril(4月)までを指します。フランスで最も牡蠣の消費が増えるクリスマスに向けて養殖されるため、クリスマス前後の期間は牡蠣の身が大ぶりで味も良いとされています。また、mars(3月)の牡蠣も身が太っていておいしいシーズンなのだそう。フランス旅行で牡蠣をお目当てにしたい場合は、3月をはじめ「R」の付く時期がおすすめです。
2. フランスでメジャーな牡蠣の食べ方
<写真はイメージです。Photo by Louis Hansel @shotsoflouis on Unsplash>
続いての項目では、フランスでメジャーな生牡蠣の食べ方について解説します。シンプルな食べ方が基本ですが、ソースやトッピングに工夫を凝らす場合もありますよ。
2.1 フランスでは生牡蠣が一番!
先ほど紹介したように、フランスでは牡蠣を殻ごと売っていることがほとんど。自宅で牡蠣を食べる際には殻を開けるための専用器具(オイスターナイフ)が必要ですが、スーパーマーケットなどで気軽に手に入ります。
レストランで牡蠣を食べる際は、基本的に殻が開いた状態でテーブルまで運ばれます。レモンと一緒に提供されることが多く、牡蠣の身にレモン果汁をたっぷり絞っていただきましょう。またフランスでは、牡蠣を白ワインと一緒に味わうのが定番。白ワインは殺菌作用があるといわれているほか、さまざまなマリアージュ(ワインとの組み合わせ)を楽しめるメリットもあります。
2.2 フランスで生牡蠣を食べるのが心配なときは?
ただ、生牡蠣といえば、あたって体調を崩してしまうのが心配ですよね。ましてや海外にいるときは、移動のストレスや食べ物、水が合わずに体調を崩してしまう可能性もあります。
フランスで生牡蠣を食べる際は、体調が良いときに限定し、旅の疲れなどを感じる場合は避けると良いでしょう。また、牡蠣は殻付きで供されるため、事前に水洗いしても、付着する菌を完全に取り除くことはできません。そのため殻には口を付けず、牡蠣の身だけを食べるとより安全です。
そして、レストランの店頭や市場では牡蠣スタンドを見かけますが、日の当たる場所に設置されている場所は避けましょう。特に夏は、傷んでいる可能性があるため注意が必要です。
2.3 フランスでは生牡蠣以外で食べないの?
フランスでは、牡蠣に火を通して調理するという発想は一般的ではなく、やはり生で食べるのが主流です。確かに高級レストランなどでは、グラタンなどに加熱調理した牡蠣を提供する場合がありますが、それでも半生の状態にソースやトッピングをしたものも多く見られます。フランス人にとっては、生牡蠣にレモンを絞り、素材の味を感じながら食べるスタイルが好まれるようです。
ただし、自宅で食べる人向けのレシピを紹介すメディアでは、さまざまな薬味やソースと組合せて、生の状態でさまざまな味わいを楽しめるように趣向を凝らしたものも。レシピによっては自宅で再現できそうなものもありますので、もし日本で生牡蠣を手に入れたときはシンプルなレモンのみでいただくほか、アレンジレシピも試してみては。
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3. フランスで牡蠣が有名な街「カンカル」とは?
<写真はイメージです。Photo by Tommaso Cantelli on Unsplash>
これまでフランスにおける生牡蠣の人気ぶりについて解説しました。ここからは、フランス随一の牡蠣の生産地である、ブルターニュ地方・カンカル(Cancale)の街について解説します。
3.1 ブルターニュ地方は牡蠣の一大産地
フランス北西部のブルターニュ地方は、人気観光地のモンサンミッシェルがある地域です。そんなブルターニュ地方のモンサンミッシェルから海を隔てた港町カンカルこそ、フランスにおける牡蠣の一大生産地!
カンカルでは古代ローマ時代から牡蠣を食べていたとされており、古くから牡蠣が愛されていた土地となっています。カンカルの海沿いには、数々の牡蠣市場(Marché aux huîtres / マルシェ オウ ユイートル)が立ち並びます。カンカルの牡蠣市場は1年中開いており、ベストシーズンでなくても新鮮でおいしい牡蠣が食べられるとして有名です。市場で注文すれば、その場で牡蠣が食べられます。追加料金を払うとスタッフが牡蠣を開けてくれ、レモンも付けてくれることが多いです。
カンカルの牡蠣市場では、牡蠣を食べ終わるごとに殻を浜辺に捨てるのが定番!浜辺が牡蠣の殻で埋め尽くされる不思議な光景が見られるのも、カンカルならではの風物詩です。また天気がよければ、海を隔ててモンサンミッシェルが見えることも。浜辺に腰をおろし、海風を感じながら開放的な雰囲気のなかで牡蠣が楽しめます。
そしてカンカルには、養殖場から直送された牡蠣が食べられるレストランも豊富。新鮮な牡蠣をはじめとするシーフードが盛られた豪華なプレートを、家族や友人などとシェアし、白ワインのグラス片手に楽しめます。カンカルはエビや貝類など他のシーフードの産地としても有名なので、レストランでボリューム満点のシーフードプレートを注文するのもおすすめ。
なかでも人気のレストランが「L'Ormeau(ロルメア)」。ミシュランレストランですが、カンカルで朝獲れた新鮮なシーフードを中心としたフルコースが、ランチなら30ユーロほどで食べられます。海を眺めながら、豪華なフルコースをお手頃な値段で楽しめるおすすめのレストランです。
ロルメアの基本情報
- 名前:L'ormeau(ロルメア)
- 住所:Quai Admis en Chef Thomas, 35260 Cancale
- HP:公式HP
- Googleマップ:
3.2 パリからカンカルへはこう行く!
パリからカンカルは、電車とバスで計3時間30分ほどかかります(状況により、4時間以上かかる場合もあります)。まずは、パリ・モンパルナス駅(Gare Montparnasse)からTGVという高速鉄道を利用し、約3時間かけてサン・マロ駅(Saint-Malo)に向かいます。カンカルには最寄りの駅がないため、サン・マロからはバスに30分ほど乗り、CANCALE - EGLISE停留所で下車しましょう。
パリを早朝に出発すれば日帰りも可能ですが、余裕を持って過ごしたい場合や街中の観光も楽しみたい場合は、サン・マロかカンカルに宿泊することをおすすめします。
カンカル周辺のGoogleマップ
4. フランスと日本は牡蠣で繋がっている?
<写真はイメージです。Photo by Pixabay(CC 0)>
実はフランスと日本の間には、牡蠣にまつわる意外な関係があるのをご存知ですか?いまやフランスで大人気の牡蠣ですが、過去に牡蠣が絶滅しそうになり、日本の養殖業者が牡蠣の品種を寄付したことがあったのです。最後の項目では、そのエピソードについてご紹介しましょう。
4.1 フランスの牡蠣絶滅を救った日本の牡蠣業者
今からさかのぼること、1963年。この年は大寒波がブルターニュを襲い、海面が凍る事態になりました。その結果、フランスの牡蠣市場でほぼ100%のシェアだった「ヨーロッパヒラガキ」が疫病にかかり、1970年頃にかけて絶滅の危機に陥りました。そんなブルターニュ地方へ疫病への耐性があるマガキを寄付したのが、日本の三陸にある牡蠣養殖業者でした(広島の養殖業者が含まれる説もあります)。
その後も日本は三陸から食用および交配用の牡蠣を輸出し、フランスの牡蠣養殖復興を支援しました。現在フランスで広く流通している牡蠣の品種は、日本の牡蠣の由来種といわれています。このように、日本がフランスの牡蠣業界を支援した話は、いまもなお、フランスで牡蠣事業を営む人たちや生牡蠣を愛するフランス人の間では有名な話として語り継がれています。
4.2 東日本大震災ではフランスが日本の牡蠣業界を支援
40年以上に渡りフランスへ牡蠣を輸出していた日本ですが、2011年の東日本大震災による大規模な津波により、三陸のマガキが全て流されてしまい大きなダメージを受けました。
そこで、フランスはこれまでの牡蠣支援にお返しをしようと、「日本の牡蠣を救う」プロジェクトを発足させました。具体的には、10トンもの牡蠣養殖用の機材をはじめ、牡蠣販売センターを建設するための支援金などを日本に贈っています。このように日本とフランスの間には、牡蠣にまつわる歴史と深い繋がりが生まれているのです。
ここまで、フランスにおける牡蠣はどれほど人気か、主な食べ方や一大生産地のカンカルについてなど、一挙ご紹介しました。フランス旅行で牡蠣を堪能したい方は、ぜひベストシーズンの「R」の付く月に訪れましょう。その際は、ぜひ生牡蠣にレモンを搾り、成人されている方は白ワインとのマリアージュをお楽しみください。
そして日本とフランスの繋がりについても、カンカルの牡蠣市場など生産者と会う場面で話のきっかけにしてみると、さらに会話が弾むかもしれませんよ。
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natsumi@Paris
- パリ在住のフリーランスライター&ブロガー。WORK HARD, TRAVEL HARDERをモットーに、世界30カ国への旅やパリライフの経験をメディアで発信中。パリをはじめ、現地の生活に溶け込んで得たリアルな情報をお届けします!