名曲「百万本のバラ」のモデルを、ジョージアの美術館に見に行く

昭和に歌われた名曲「百万本のバラ」。貧しい画家が愛する女性のために、街中にあったバラを買ってプレゼントをする...。そのエピソードを切ないメロディーにのせた名曲ですが、この女性を描いた絵画がジョージアにある美術館にあります。描いた画家は天才ピカソも激賞し、ジョージアを代表する画家として人々から愛されています。

ジョージアの美術館で、果たして「百万本のバラ」のモデルに会えたのでしょうか?

目次

ジョージアって、知っていますか?まずはジョージアのご紹介から

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<マルコポーロも美しいとたたえたトビリシ市内>

カスピ海と黒海に挟まれ、旧ソ連(懐かしいですね)の構成国でもあったコーカサス三ヶ国。その三ヶ国のうちの一ヶ国がジョージアです。ジョージア出身力士が大相撲で活躍していることもあり、国名を耳にする機会が増えています。「ジョージア」と言っても、同名の缶コーヒーではなく、国名としては日本でも広く呼ばれていた「グルジア」の方が、まだ馴染みがあるかも知れません。

近年はユネスコの世界無形遺産にも登録された「グヴェヴリ」と呼ばれる壺を使った独自の製法のワインを始めとして、「ワイン発祥の地」とも伝えられるジョージアですが、名曲「百万本のバラ」のエピソードが知られる画家「ニコ・ピロスマニ」が短い生涯を終えた国です。

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「百万本のバラ」のニコ・ピスロマニって誰?

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<ナショナル・ギャラリー収蔵のピロスマニ作品>

ニコ・ピロスマニと言っても、ご存じの方は少ないかも知れません。

かの天才パブロ・ピカソ(1881~1973)に「ジョージアに私の作品はいらない。なぜならピスロマニがいるからだ」と言わしめ、19世紀末から20世紀初頭に活躍したピスロマニ。日本では彼の作品よりは、彼のエピソードをもとにしたと言われる歌「百万本のバラ」の方が、よく知られています。

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<ジョージアの人びとにワインは欠かせません>

またピロスマニを主人公にした映画もあり、私はこちらから彼の生涯を知ることになりました。(ジョージアに対する「使命感(?)」から映画を見ましたが、少々難解な映画ではありました...)。

ジョージアと係わりあってから十年来、気になっていたピロスマニの作品を収蔵する、ジョージアの首都トビリシにある「ナショナル・ギャラリー」に行って来ました。

天才ピカソも激賞した、ニコ・ピスロマニの生涯

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<トビリシのナショナル・ギャリーの入口>

ここでニコ・ピロスマニの略歴に、簡単にふれておきます。

ニコ・ピロスマニ(本名:ニコロズ・ピロスマナシヴィリ)は1862年にジョージア東部に生まれました。首都トビリシに出てきてからは様々な仕事に就きますが、身体が弱く、人付き合いも苦手だったことから、独学で絵を習得します。19世紀末から20世紀初頭の大きく世界がうねる時代に、独特な筆使いで、当時のジョージアの人々や風景、動物などを描きます。その作風から当時の中央画壇からは「稚拙」と非難され、晩年は自らの作品を描いては売り歩く、日々の糧を得る生活となり、失意のなか1918年に世を去ります。

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<ナショナル・ギャラリー内部の展示室>

そのピロスマニが1894年、彼の地を訪れたフランス人女優マルゲリータを愛するあまり、彼女が泊まってホテル前の広場を花で埋め尽くしたエピソードが、後年になってモスクワで詩作され、訳詩が日本の歌謡曲のレバートリーになりました。そのエピソードの女優マルゲリータを描いた作品、その名もずばり「女優マルゲリータ」を一目見るために、トビリシの「ナショナル・ギャラリー」に向かいました。

トビリシにある「ナショナル・ギャラリー」へ

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<数多くのピロスマニの作品を展示>

ナショナル・ギャラリーには、もちろんピスロマニ以外のジョージア出身の画家の作品も収蔵、展示されているのですが、やはりメインはピスロマニです。

私は女優マルゲリータを含む数点しか作品を知らなかったのですが、素朴ながらも多くの作品に自然と心が魅かれます。一方的に「稚拙」と評された筆使いは、時代に取り残されたであろう人々や暮らしを描き、作品群にはきらびやかな派手さはありません。イタリア人の同行者に、ピスロマニの作品を見た感想を聞いたのですが、あまりピンとこなかったようです。ピスロマニの作風は、日本人の好みに合っているかもしれません。

お目当ての「百万本のバラ」の作品は...

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<大作もあって見応えもあるのですが...>

さてお目当ての「女優マルガリータ」を描いた作品を探したのですが、展示室内にはありません。2度、3度と同じ展示室を見回したのですが、やっぱりありません。大作と呼べる大きな号の作品はあるのですが...。

ギャラリーの方に伺うと詳細は不明ですが、「女優マルガリータ」は現在、展示をしていないとのことでした。

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展示室の階下にはショップがあり、ピロスマニの主要な収蔵作品を模した記念品を販売していました。今回振られてしまったマルガリータの代わりに、ミニマグネットを購入して今回は帰路に就いたのでした。

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<ショップで買った「女優マルガリータ」のマグネット>

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