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【歴史散歩】大阪市内で今なお残る歴史的建造物
大阪市内を歩いているとノスタルジックな建物によく出会います。よく見ると建物に「重要文化財」や「登録有形文化財」とプレートが貼られています。調べてみると、大阪市内の歴史的な建造物は明治から昭和初期の建物が多いことに気がつきます。
僕自身、歴史的な建造物を見て歩くのも好きなので、一度、大阪市内の歴史的な建造物をじっくり回ってみたいと思い、何度かに分けて歩いてみました(時には自転車で)。まずはJR大阪環状線内の歴史的(国宝(無し)・重要文化財・登録有形文化財)な建造物を紹介します。今後も足を運ぶごとに、季節・時間帯・天気によって違った見え方になると思いますので、その都度、記事を追加していこうと思っています。街歩きの参考になれば幸いです。
目次
- 文化財とは
- 文化財の中の有形文化財とは
- 有形文化財の中の重要文化財と国宝とは
- 有形文化財の中の登録有形文化財(建造物)とは
- 大阪市北区の歴史的建造物
- 大阪市福島区の歴史的建造物
- 大阪市中央区の歴史的建造物
- 大阪市西区の歴史的建造物
- 大阪市天王寺区の歴史的建造物
- 大阪市浪速区の歴史的建造物
- まとめ
文化財とは
文化財は、我が国の長い歴史の中で生まれ、はぐくまれ、今日まで守り伝えられてきた貴重な国民的財産です。このため国は、文化財保護法に基づき重要なものを国宝、重要文化財、史跡、名勝、天然記念物等として指定、選定、登録し、現状変更や輸出などについて一定の制限を課す一方、保存修理や防災施設の設置、史跡等の公有化等に対し補助を行うことにより、文化財の保存を図っています。また、文化財の公開施設の整備に対し補助を行ったり、展覧会などによる文化財の鑑賞機会の拡大を図ったりするなど文化財の活用のための措置も講じています。さらに、我が国を代表する文化遺産の中から顕著な普遍的価値を有するものをユネスコに推薦し、世界文化遺産への登録を推進しています。【文化庁サイトより引用】
文化財の中の有形文化財とは
建造物、工芸品、彫刻、書跡、典籍、古文書、考古資料、歴史資料などの有形の文化的所産で、我が国にとって歴史上、芸術上、学術上価値の高いものを総称して「有形文化財」と呼んでいます。このうち、建造物について国が指定する国宝・重要文化財(建造物)と国が登録する登録有形文化財(建造物)を紹介します。【文化庁サイトより引用】
有形文化財の中の重要文化財と国宝とは
有形文化財のうち、重要なものを「重要文化財」に指定し、さらに世界文化の見地から特に価値の高いものを「国宝」に指定して保護を図っています。これらの国宝・重要文化財建造物を後世に継承していくためには、適切な時期に様々な保存修理が必要です。修理事業は所有者または管理団体が行いますが、多くの修理事業が国の補助事業として実施されています。我が国の歴史的建造物はほとんどが木で作られており、茅や檜皮のような植物性の屋根を有するものも多く、火災に対し極めて脆弱です。このため、防災設備の設置に補助を行うことなどによって保護を図っています。また、我が国の近代化の過程で生み出された貴重な文化遺産でありながら、社会の変化の中で急速に失われつつある近代の建造物について、所在の特定やその特徴を明らかにするための全国的な調査を行っています。最近では、こうした調査の成果に基づいて重要文化財に指定された近代の建造物も増えつつあります。【文化庁サイトより引用】
有形文化財の中の登録有形文化財(建造物)とは
平成8年10月1日に施行された文化財保護法の一部を改正する法律によって、保存及び活用についての措置が特に必要とされる文化財建造物を、文部科学大臣が文化財登録原簿に登録する「文化財登録制度」が導入されました。この登録制度は、近年の国土開発や都市計画の進展、生活様式の変化等により、社会的評価を受けるまもなく消滅の危機に晒されている多種多様かつ大量の近代等の文化財建造物を後世に幅広く継承していくために作られたものです。届出制と指導・助言等を基本とする緩やかな保護措置を講じるもので、従来の指定制度(重要なものを厳選し、許可制等の強い規制と手厚い保護を行うもの)を補完するものです。【文化庁サイトより引用】
大阪市北区の歴史的建造物
大阪市北区の歴史的建造物(国宝・重要文化財・登録有形文化財)を紹介します。
日本キリスト教団 天満教会
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市北区天神西町
- 建造:昭和4年(1929年)
- 解説:天満宮近傍に位置する中村式鉄筋コンクリート造4階建。正面は略対称形で、階段室前面を矩形意匠で構成する。内部1階を集会室とし、2・3階分の礼拝堂に架ける楕円アーチの梁に連続アーチを刳抜く。構造及び意匠に昭和初期の建築思潮の一端を示す教会堂
- 公式サイト:日本キリスト教団 天満教会
大阪天満宮
- 公式サイト:大阪天満宮
【1】建物:大阪天満宮 神楽所
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市北区天神橋2丁目
- 建造:明治37年(1904年)
- 解説:弘化2年(1845年)造替の本殿・拝殿の東に建つ南北棟、銅板葺入母屋屋根の単層建物で、拝殿とは二階廊で連絡する。柱上には舟肘木を置き、軒は二軒疎角垂木とし、周囲に高く縁を回し、擬宝珠高欄を付ける。西面は、格子蔀戸を釣るなど古式を残す
【2】建物:大阪天満宮 参集所
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市北区天神橋2丁目
- 建造:明治44年(1911年)
- 解説:本殿と梅花殿の間に建つ東西棟、銅板葺入母屋屋根、木造単層の建物で、神楽所とは軒を一段落として変化をつけ、梅花殿とは廊下で繋がれる。身舎・庇構成をとり、身舎桁行を3分して計5室を設ける。通称「広間」で、現在は梅花殿の控室として利用されている
【3】建物:大阪天満宮 梅花殿
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市北区天神橋2丁目
- 建造:昭和3年(1928年)
- 解説:「天満の天神さん」として知られる大阪天満宮の境内東端中央寄りに南面して建つ。木造単層、銅板葺入母屋屋根の客殿(現在は結婚式場)で、身舎・庇構成をとり、東端の部屋の天井を支輪付二重折上小組格天井とした格式高い造りとする点に特徴がある
リバーサイドビルディング
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市北区中之島3丁目
- 建造:昭和40年(1965年)
- 解説:土佐堀川に面して建つ横長平面の事務所建築。設計は岸田日出刀。高速道路の構造を引用したと伝え、構造壁を集約し、正背面に全長分の窓を配する明快な構成とする。妻壁は淡陶タイルでモザイク状に飾る。インターナショナルスタイルの事務所建築の秀作
大江橋及び淀屋橋
- 分類:重要文化財(建築物)
- 住所:大阪市北区堂島浜1丁目・北区中之島2丁目・中央区北浜4丁目
- 建造:昭和10年(1935年)
- 解説:大江橋及び淀屋橋は、大阪市の設計と「大江橋及淀屋橋意匠設計図案懸賞競技」で一等を受賞した大谷龍雄の案に基づき建設され、昭和10年4月に竣工した。鉄筋コンクリート造アーチ橋で、御堂筋が、中之島と交差する交通と景観の要所に建設された、大阪市第一次都市計画事業を代表する橋梁の一つで、近代大阪の都市形成史上、高い価値が認められる。また、周辺景観との調和を意図した意匠設計競技が行われるとともに、地下鉄御堂筋線と一体的に建設されたことにより特殊な基礎構造をもち、橋梁デザイン史及び技術史上の意義も認められる
<堂島川に架かる大江橋>
<大江橋>
<大江橋>
<土佐堀川に架かる淀屋橋>
<淀屋橋>
<淀屋橋>
<淀屋橋>
大阪府立図書館
- 分類:重要文化財
- 住所:大阪市北区中之島1丁目
- 建造:大正11年(1922年)
- 解説:大阪府立図書館は明治37年2月に住友家によってつくられ大阪府へ寄付された建築で、昭和49年5月21日に本館・右翼・左翼の三棟が重要文化財に指定されている。この度、阪神・淡路大震災後の構造診断に際し、小屋裏より棟札が発見されたので、設計者・設計の経緯等を示す貴重な資料としてこれを追加指定する
- 公式サイト:大阪府立図書館
大阪市中央公会堂
- 分類:重要文化財
- 住所:大阪市北区中之島1丁目
- 建造:大正8年(1918年)
- 解説:大阪市中央公会堂は、中之島地区の東端部にある。北浜で株式仲買商を営んでいた岩本栄之助の寄付によって、大正7年10月に竣工した。設計は、指名設計競技に一等当選した岡田信一郎の設計案をもとに、実施設計は辰野金吾、片岡安が中心となって進めた。構造は鉄骨煉瓦造、三階建、地下一階である。一、二階の吹き抜けの大集会室、三階の中集会室、特別室、小集会室などを中心に各室が配されている。大阪市中央公会堂は、ネオ・ルネッサンスを基調にバロック的な躍動感を加味した意匠で、我が国における様式建築の習熟の過程をよく示している。我が国の煉瓦を主体とした建築の到達点をかざる建築のひとつといえ、高い価値がある
- 公式サイト:大阪市中央公会堂
旧造幣寮鋳造所正面玄関
- 分類:重要文化財
- 住所:大阪市北区天神橋1丁目
- 建造:明治4年(1871年)
- 解説:明治4年建築の造幣寮鑄造所の玄関を保存するため、昭和9年に造られた明治天皇記念館(現公会堂)玄関として移したもの
※2020年4月現在、敷地内は閉鎖されていましたので、外周から撮影しました
●2020年6月撮影
緊急事態宣言解除後に開園しましたので撮影しました。旧造幣寮鋳造所と泉布観は桜之宮公園の敷地内にあります。
泉布観
- 分類:重要文化財
- 住所:大阪市北区天神橋1丁目
- 建造:明治4年(1871年)
- 解説:明治4年建築の旧造幣寮応接所、現在は大阪市の所有で、桜宮公会堂敷地内となつている。建築家はウォートルス
※2020年4月現在、敷地内は閉鎖されていましたので、外周から撮影しました
●2020年6月撮影
緊急事態宣言解除後に開園しましたので撮影しました。旧造幣寮鋳造所と泉布観は桜之宮公園の敷地内にあります。
大阪市福島区の歴史的建造物
大阪市福島区の歴史的建造物(国宝・重要文化財・登録有形文化財)を紹介します。
ミナミ株式会社(旧川崎貯蓄銀行福島出張所)
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市福島区福島5丁目
- 建造:昭和9年(1934年)
- 解説:川崎銀行系の建築を数多く手がけた矢部又吉の設計による小品。正面に4本のフルーティング付きイオニア式ジャイアント・オーダーを配し、端部を角型ピラスターで納める。敷地形状に対応してファサードに緩やかな凸曲面状のカーブを付けている点に特徴がある
大阪市中央区の歴史的建造物
大阪市中央区の歴史的建造物(国宝・重要文化財・登録有形文化財)を紹介します。
北浜レトロビルヂング(旧桂隆産業ビル)
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪府大阪市中央区北浜1丁目
- 建造:明治45年(1912年)
- 解説:土佐堀通りに面して建つ小規模な煉瓦造建築。正面開口部は、花崗岩の切石を用いて縁取りし、玄関廻りを変形アーチを4本の柱型で受け、2階は大きく開く窓枠を置いてアクセントとする。近隣の洋風建築とも、金融の町北浜の往事の面影を今に伝えている
- 公式Instagram:北浜レトロビルヂング
ここは『北浜レトロ』という英国風喫茶店です。いつも行列ができる人気店です。
新井ビル
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区今橋2丁目
- 建造:大正11年(1922年)
- 解説:鉄筋コンクリート4階建、1階正面の玄関部分は4本のドリス式オーダーを並べた重厚な外観になる。もと銀行店舗として建設されたもので、内部は中央が吹き抜けとなり2階周囲に個室を稗史階以上は事務室とする構成になる。設計河合浩蔵、施工清水組
新井ビルには『五感(ごかん)』という洋菓子店があります。
旧小西家住宅
【1】建物:旧小西家住宅 主屋
- 建造:明治36年頃(1903年頃)
【2】建物:旧小西家住宅 衣装蔵
- 建造:明治45年(1912年)
【3】建物:旧小西家住宅 二階蔵
- 建造:明治36年頃(1903年頃)
●
- 分類:重要文化財
- 住所:大阪市中央区道修町1丁目
- 解説:小西家は、初代儀助が安政3年(1856)に京都より大阪道修町に出て、小西屋の屋号で薬種業を創業したことに始まる商家である。道修町通に南面して建つ主屋は、店舗の表屋と奥の居室部からなる表屋造の町家である。二代目儀助が明治33年から3年の歳月をかけて建設したと伝える。主屋裏には奥庭を挟んで衣装蔵及び二階蔵がある。衣装蔵は明治45年の上棟で、三階建の土蔵造である。主屋と同時期の建設と考えられる二階蔵も土蔵造である。薬品関連の商家が軒を連ねた大阪道修町でも、ひときわ大規模な商家であり、主屋は良材を用いた上質なつくりで、近代大阪の町家を集大成した和風建築である。主屋のほか土蔵等も残り明治末期の大店の屋敷構全体をよく留めており、奥庭を含む宅地も、併せて保存を図る
旧小西家住宅 全体。
<【1】旧小西家住宅 主屋>
<【2】旧小西家住宅 衣装蔵(右側の建物)>
<【3】旧小西家住宅 二階蔵>
【4】建物:コニシ株式会社(旧小西儀助商店)三階蔵
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区道修町1丁目
- 建造:明治36年(1903年)
- 解説:敷地の背後に建つ3棟の土蔵のうち、東北部に位置する3階建の土蔵で、外観は1階部分を石張りとし、2・3階を白漆喰塗の大壁造とする。軒蛇腹は時代の特色を表す帯状のものになるが、妻側は2段のして変化を付けている
伏見ビル
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区伏見町2丁目
- 建造:大正13年頃(1924年頃)
- 解説:大阪船場の中心部にある鉄筋コンクリート造3階建のビル。設計は辰野片岡事務所出身の長田岩次郎。角地に建ち、外観はコーナーを隅丸とし、3階の窓上に飾り丸窓、交差点に面する北西隅の2、3階に水平リブ状の飾り線を付けるなど変化に富んだ外観を見せる
<手前が伏見ビル、後方が青山ビルです>
青山ビル
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区伏見町2丁目
- 建造:大正14年(1925年)
- 解説:鉄筋コンクリート造、地上5階地下1階建で、当初は1・2階を住宅、3階以上を貸室としていた。中層の都市住宅としては初期の事例のひとつであり、要所に装飾を配した外観や瀟洒な意匠の階段等に時代の特徴がよく表れている。設計は伊東恒治
少彦名神社
- 公式サイト:少彦名神社
【1】建物:少名彦神社 本殿
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区道修町2丁目
- 建造:明治43年(1910年)
- 解説:道修町は江戸時代以来、薬問屋が集中する地で、当社は薬の神である少彦名命を祀る。本殿は桁行一間、梁間二間、切妻造、銅板葺、平入りの小規模な社殿で、妻梁を虹梁形に造るほか装飾のない簡素な造りだが、全体の比例が良く、良材による質の高い建物である
※本殿は拝殿の後方にあり、見ることができないと思います(未確認情報)。また神職様に伺っておきます
【2】建物:少名彦神社 拝殿
- 分類:登録有形文化財(建造物)
- 住所:大阪市中央区道修町2丁目
- 建造:明治43年(1910年)
- 解説:桁行3間、梁間2間、入母屋造、銅板葺で、正面に千鳥破風、軒唐破風を付ける。中央1間通りはもと土間で割拝殿形式であった。全体に簡素な造りだが正面は装飾的な構えとなり、虹梁上に太瓶束を立て菖蒲桁を受ける唐破風の構成など、巧みな処理が見られる
【3】建物:少名彦神社 幣殿
- 分類:登録有形文化財(建造物)
- 住所:大阪市中央区道修町2丁目
- 建造:明治43年(1910年)
- 解説:正面1間、側面2間、両下造、銅板葺で、本殿正面に取り付く。角柱に虹梁形頭貫を通し台輪を載せ、絵様肘木及び中備の蟇股を置いて桁を受け、正面では笈形付太瓶束を立て棟木を支える。本殿と対照的に彫刻を多用した建物で、一体となって特徴ある構成を造る
※幣殿は本殿の側方にあり、見ることができないと思います(未確認情報)。また神職様に伺っておきます
旧緒方洪庵 住宅
- 分類:重要文化財
- 住所:大阪市中央区北浜3丁目
- 建造:江戸末期
- 解説:江戸時代末期の大阪の町屋建築の代表的なもので、天保9年(1838年)緒方洪庵がここで医者を開業し、また塾を開いて人材を養成した。すでに史跡に指定されている
愛珠幼稚園 園舎
- 分類:重要文化財
- 住所:大阪市中央区今橋3丁目
- 建造:明治34年(1901年)
- 解説:愛珠幼稚園は明治13年に創立され、現在の園舎は、元大阪府技手の中村竹松が設計し、明治34年3月に竣工した。園舎は、遊戯室棟、玄関棟、西保育室棟、北保育室棟、便所棟、東棟からなり、敷地周辺に高塀を廻し、また、遊戯室と保育室に面して園庭を設ける。遊戯室棟は、たちの高い木造平屋建で、屋根は入母屋造、桟瓦葺である。玄関棟には、車寄が付き、全体的に、和風で重厚な外観を呈している。愛珠幼稚園園舎は、現存最古の幼稚園建築であり、遊戯室の大空間を洋小屋を用いてつくるなどの特色を有しており、建築史上および幼稚園史上、高い学術的価値が認められる。また、創建以来幼稚園園舎としてありつづけていることも高く評価される
芝川ビルディング
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区伏見町3丁目
- 建造:昭和2年(1927年)
- 解説:御堂筋から東に入ったブロックの北西隅に建つ。鉄筋コンクリート造4建地階付で、腰を竜山石、上部はスクラッチタイル貼とし、3階軒部にスパニッシュ瓦を葺く。設計は渋谷五郎と本間乙彦。古代マヤ・インカの細部装飾を採入れたアールデコ建築
大阪倶楽部
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区今橋4丁目
- 建造:大正13年(1924年)
- 解説:開口部の小さい、壁を意識させる造形が特徴的。細部装飾にはインドやイスラムの影響が見られる。関西に多くの作品を残した安井武雄の片岡事務所時代の作品で、施工は大林組。プロポーションへの意識、装飾の取り扱いなど近代建築の黎明期の作品といえる
旧大阪市中央消防署 今橋出張所(今橋ビルヂング)
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区今橋4丁目
- 建造:大正14年(1925年)
- 解説:街路に北面して建つ間口6mのRC造3階建である。タイル貼の外壁で、1階はもと消防車庫で、正面に上部櫛形の開口部の構えを残す。2階と3階の窓は大きくチューダーアーチ形で枠取り、2階にバルコニーを付ける。小規模ながら意欲的な意匠を見せる
大阪ガスビルディング
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区道修町4丁目
- 建造:昭和8年(1933年)
- 解説:御堂筋に面して建つ本社社屋。設計は安井武雄,施工は大林組。SRC造 地上8階地下2階建で、外壁は1・2階を石材で黒くまとめ、上部は白色のタイル張。水平垂直の要素を取り混ぜた外観や内部にも質の高い意匠を持つ、過渡期的近代建築の好例
北野家住宅 主屋
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区平野町4丁目
- 建造:昭和3年(1928年)
- 解説:近代大阪の中心、御堂筋近くの商業地にある。通りに面して建つ間口3間の木造3階建、切妻造、平入で、各階に庇をつけ、両側にうだつを設ける。正面外壁はタイル張、窓枠や軒の出桁廻りや蛇腹は銅板で覆う。防火性能を高めた近代商家の形式をよく伝えている
小川香料大阪支店 社屋
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区平野町2丁目
- 建造:昭和5年/昭和38年増築(1930年/1963年増築)
- 解説:三休橋筋東側の街区に南面して建つ。建築面積153㎡、鉄筋コンクリート造、地上4階、地下1階建。円弧を用いた窓枠と窓庇を交差させた独特な意匠をみせ、玄関上部には八角形のステンドグラスをあしらうなど、全体をアールデコ様式でまとめた佳品
生駒時計店
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区平野町2丁目
- 建造:昭和5年(1930年)
- 解説:大阪市街地の角地に建つRC造、5階建の時計塔を持つビルで、設計は宗兵蔵である。外壁にスクラッチタイルを用いることや、窓の上下の縁で水平線を強調しつつバルコニーや出窓などに曲線や装飾を有効に配するデザインによく時代の特徴があわらわている
船場ビルディング
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区淡路町2丁目
- 建造:大正14年(1925年)
- 解説:御堂筋近くに建つ鉄筋コンクリート造5階建の住宅兼事務所ビル。外観はタイル張オフィスビルの意匠になるが、内部中央に細長いパティオ風の中庭を設けて吹き抜けとし、その周囲各階に回廊を巡らす特色ある造りとする。設計は村上徹一の建築事務所
綿業会館
- 分類:重要文化財
- 住所:大阪市中央区備後町2丁目
- 建造:昭和6年(1931年)
- 解説:綿業会館は、大阪の中心的な商業地区である船場のほぼ中央にある。紡績繊維関係者の倶楽部建築として、昭和5年3月着工、昭和6年12月に竣工した。設計は渡辺建築事務所の渡辺節で、村野藤吾も参画したとされる。鉄骨鉄筋コンクリート造、地上6階建、地下1階建で、塔屋を設ける。1階の会員食堂、2階の談話室、貴賓室、会議室、6階の大会場などが、倶楽部建築としての主要室である。ルネッサンス風の簡明な外観を基調としながら、内部の各室は様々に異なったスタイルを取り入れる等、我が国の折衷様式建築を代表する建築の一つであり、各部の意匠も秀逸で、様式建築の習熟を示す建築として、高い価値がある。設備に最新の技術を導入し、合理的な平面計画をもつ等、建築家渡辺節の代表作の一つとしても重要である
岸本瓦町邸
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区瓦町1丁目
- 建造:昭和6年(1931年)
- 解説:東横堀川筋大手橋の西詰正面に位置する。住友工作部の笹川慎一の設計によるもので、竜山石による外装など住友ビルとの類似性が認められる。外観意匠は抑制されているが、室内意匠は密度が高く、昭和期大阪財界人の邸宅建築を代表する作品とすることができる
宇野薬局
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区徳井町2丁目
- 建造:昭和8年(1933年)
- 解説:松屋町筋の角地に西面して建つ。木造3階建,タイル張の看板建築で、各階軒の水平線、3階側面の丸窓、パラペットに載せた緑色のスパニッシュ風瓦などに昭和初期の意匠傾向が認められる。設計は坂本建築事務所、施工は西成の長岡栄吉と伝える
山本能楽堂及び能舞台
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区徳井町1丁目
- 建造:昭和25年(1950年)
- 解説:街路に北面して建つ。木造2階一部3階建で、建物中央の能舞台周辺は1、2階を吹抜けとし、見所を設ける。能舞台は切妻造、檜皮葺で、東側に橋掛を設け、鏡の間と繋ぐ。楽屋等の舞台裏手の空間もよく残り、伝統的な能舞台の形式を備えた能楽堂として貴重
- 公式サイト:山本能楽堂
※外観のみの紹介になります
佃家煎茶室 土蔵
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区大手通
- 建造:嘉永元年(1848年)
- 解説:主屋の南西に建つ。土蔵造二階建本瓦葺の土蔵で、昭和16年に煎茶室「独楽」に改修された。一階床は土間で磚を敷き、天井は大引天井とする。西面の壁には縦長の両開きガラス窓を二箇所設け、桟は中国風の意匠とする。大阪市街地に残る希少な近世の土蔵
<※参考画像:佃家煎茶室 土蔵はこの奥にあります。表からは見えません>
大阪城
- 分類:重要文化財
- 住所:大阪市中央区大阪城
- 建造:嘉永元年頃(1848年頃)
- 解説:大阪城は豊臣秀吉の築いた城であるが、大阪冬の陣と夏の陣に破壊された。今回指定されたものはすべてその後德川氏により築造されたものである
- 公式サイト:大阪城天守閣
【1】乾櫓(いぬいやぐら):元和6年(1620年)の建築であるが、桃山時代の手法が見られ大阪城遺構中で最も古い。
【2】焔硝蔵(えんしょうぐら):貞享2年(1685年)。石壁に石屋根を造った珍しいもの。
※焔硝蔵はこの石垣の裏側にあります。
左から【5】千貫櫓、【6】塀・多聞櫓北方塀、【4】多聞櫓、【7】塀・大手門北方塀、【3】大手門、【8】塀・大手門南方塀です。
正面から撮影。左から【5】千貫櫓、【6】塀・多聞櫓北方塀、【4】多聞櫓、【7】塀・大手門北方塀、【3】大手門、【8】塀・大手門南方塀です。
【3】大手門(おおてもん):嘉永元年頃(1848年頃)
【4】多聞櫓(たもんやぐら):嘉永元年(1848年)
【5】千貫櫓(せんがんやぐら):元和6年(1620年)
【6】塀・多聞櫓北方塀(たもんやぐらほっぽうべい)
【10】一番櫓(いちばんやぐら):寛永6年(1629年)
【11】桜門(さくらもん):明治20年(1887年)
【13】金明水井戸屋形(きんめいすいいどやかた):寬永3年(1626年)
※2020年4月現在閉館中
●2020年6月撮影
緊急事態宣言解除後に開園しましたので撮影しました。
大阪城 天守閣
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区大阪城
- 建造:昭和6年(1931年)
- 解説:陸軍用地となっていた旧本丸一帯を公園化する計画に伴い、博物館として建設された。設計は市土木局建築課、施工は大林組による。鉄筋コンクリート造、地上6階地下2階建で、市民の寄付で建設されたこともあり、大阪のシンボルとして親しまれている
- 公式サイト:大阪城 天守閣
三木楽器
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区北久宝寺町3丁目
- 建造:大正13年(1924年)
- 解説:鉄筋コンクリート造、地上4階地下1階建の楽器店。設計は増田建築事務所、施工は鴻池組で、ドイツの楽器店を模したと伝える。大正期の都市部における中層商業ビルの好例で、外壁をタイル張りとして縦の線を強調した外観によく時代の特徴があらわれている
大阪女学院 ヘールチャペル
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区玉造2丁目
- 建造:昭和26年(1951年)
- 解説:大阪城公園の南方に校地を構える。ヴォーリズ建築事務所の設計による鉄骨鉄筋コンクリート造の礼拝堂と講堂を兼ねた施設。オーディトリアムでは天井を高くして広がりのある上質な空間を実現する。外観は装飾要素を抑えたモダニズム意匠となる
大槻能楽堂 能舞台
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区上町
- 建造:昭和10年(1935年)
- 解説:能楽堂内に建つ能舞台。桁行梁間とも5.7m、切妻造妻入、檜皮葺で、右手に地謡座、背面に後座を設け、左手後方に橋掛が続く。舞台四方の頭貫上に中世風意匠の蟇股を置き、虹梁絵様や頭貫木鼻に華やかな渦紋を彫るなど、材工ともに質の高い能舞台
- 公式サイト:大槻能楽堂
※外観のみの紹介になります
西川家 長屋
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区龍造寺町
- 建造:明治43年頃(1910年頃)
- 解説:小路沿いに南面する木造二階建の長屋。切妻造桟瓦葺で、前面に下屋を通し、出格子をたてる。東西に六戸を並べ、西端の住戸のみ広い。各戸は西寄りに土間を通し、東側に3室、背面に裏庭と便所を配する形式とする。大阪市内に多数建てられた長屋の風情を伝える
三ツ山家住宅 旧主屋
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区谷町6丁目
- 建造:大正15年(1926年)
- 解説:長堀通りに南面して建つ。間口5.5m、奥行14m、鉄筋コンクリート造4階建、塔屋付。建物背面も街路に接し、南側は北側より地盤が1階分高く、正面玄関は2階となる。外観は半円柱を巧みに見せ、縦長窓を多用する。装飾性を抑えた落ち着いた意匠とする
小森家 住宅
【1】建物:小森家住宅 表門
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区谷町6丁目
- 建造:大正13年頃(1924年頃)
- 解説:地西辺北寄りで、土蔵に接続する。間口2.4m、一間薬医門、切妻造桟瓦葺で、南北に板塀をのばし、北側に潜戸を開く。軸部は五平の本柱頂部を冠木で固めて梁を架け、軒桁を渡し、本柱に竪板張の板戸を両開きに吊る。端正なつくりの表門
【2】建物:小森家住宅 主屋
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区谷町6丁目
- 建造:大正13年頃(1924年頃)
- 解説:西角地の敷地中央に建つ。寄棟造桟瓦葺で、北面に大振りな車寄を構え、北東に台所を張出す。1階は玄関ホールの四方に部屋を配し、2階は座敷3室を東西に並べ、三方に縁を廻らせてガラス窓をたて、柱上に舟肘木を載せる。開放的で上質なつくりの近代住宅
<建物はこの奥にあると思います>
【3】建物:小森家住宅 土蔵
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区谷町6丁目
- 建造:江戸後期
- 解説:敷地の北西角に東西棟で建ち、桁行12m、梁間4.2m、土蔵造2階建、切妻造本瓦葺である。南面と西面を戸口とし、戦中の改修により窓を広く開ける。外壁は漆喰塗で腰板を高く張る。戦災などにより変容著しい界隈において、希少な江戸期の土蔵
日本キリスト教団 島之内教会
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区東心斎橋1丁目
- 建造:昭和3年(1928年)
- 解説:大阪市内の繁華街に建つ。3階建、陸屋根。正面に大階段を構え、6」本の角柱を並べる玄関を造り、化粧ブロックを使用し、正面性を打ち出す。設計者が開発した「中村式鉄筋コンクリートブロック構造」による建築で、近代における建築構造の発展過程を示す
- 公式サイト:日本キリスト教団 島之内教会
南海ビル
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区難波5丁目
- 建造:昭和7年(1932年)
- 解説:御堂筋南端に位置する南海難波駅のターミナルビル。SRC造八階地下2階建。角を曲線で処理し、飾り壺を戴くコリント式の壁付円柱とアーチの連続で壁面を構成する。エントランス上部や屋上の装飾塔など随所に装飾が配され、華やかで格調高い外観を実現する
日本フリーメソジスト教団 大阪日本橋キリスト教会
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市中央区日本橋1丁目
- 建造:大正14年(1925年)
- 解説:堺筋の南の起点、日本橋1丁目の南西角近くに東面して建つ。玄関部の尖頭アーチの入口、3階の5連の尖頭アーチ窓などゴシックスタイルを基調とするが、堺筋沿いの街路景観に溶け込むように正面ファサードを概ね平板につくっている点に特徴がある
- 公式サイト:大阪日本橋キリスト教会
大阪市西区の歴史的建造物
大阪市西区の歴史的建造物(国宝・重要文化財・登録有形文化財)を紹介します。
山内ビル
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市西区土佐堀1丁目
- 建造:昭和初期
- 解説:法律事務所として建設された事務所建築で外壁は褐色タイル貼り。1階東端の入口を花崗岩で縁取り2階の窓台装飾を垂らしてアーチの中心飾りとする。一階中央及び西にも同様なデザインの窓を設け2・3階の縦長窓の縦枠を一階から連続させて縦の線を強調する
金光教玉水教会 会堂
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市西区江戸堀1丁目
- 建造:昭和10年(1935年)
- 解説:造平屋建、一部2階建とする裳階付きの大型の和風建物。入母屋造の大屋根平側に2つの千鳥破風をつけ賑やかに飾る。細部の意匠は全体的に伝統的な手法に則り構成される。堂々とした外観は、風格がある。設計は池田谷(久吉)建築事務所で、北井工務店が施工
- 公式サイト:金光教玉水教会
江戸堀コダマビル
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市西区江戸堀1丁目
- 建造:昭和10年(1935年)
- 解説:間口7.9mの南北に長い敷地に北面道路から退いて建つ。鉄筋コンクリート造、地上3階地下1階建、塔屋付で、外観はスパニッシュスタイルとする。光庭を中核として、地階から屋上まで立体的なプランニングをなす。都市型住宅の好例である
日本基督教団 大阪教会
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市西区江戸堀1丁目
- 建造:大正11年(1922年)
- 解説:ヴォーリズ設計の鉄骨・煉瓦・コンクリート混合造の教会堂で、背後に塔屋が建つ。ロマネスク様式を基調とする意匠で構成され、数少ない大正期の赤煉瓦建物として親しまれている。正面妻壁のバラ窓や、玄関上部の半円形の飾り窓で構成される外観に特徴がある
- 公式サイト:日本基督教団 大阪教会
旧菅澤眼科病院
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市西区土佐堀2丁目
- 建造:昭和4年(1929年)
- 解説:大阪市中心部の土佐堀地区に所在する病院建築。南東隅を四分一円として玄関ポーチを設けた平面で、外壁はタイル貼でアール・デコを基調とし、柱形を密に並べて縦長窓を配する。最上階ではアーチ窓とし、柱型に柱頭飾を施す。昭和初期の意匠的特徴を良く示す
木村家住宅 主屋
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市西区江之子島2丁目
- 建造:大正初期
- 解説:木津川の左岸に位置し、大阪府の官舎として建設されたと伝える。下見板張の木造2階建の洋館で、東面1階中央に玄関を設け、瓔珞飾りをもつ切妻破風を付ける。内部は玄関北を洋室とするほかは和室で、1、2階西南に座敷を配する。大正期の洋風官舎として貴重
土肥家住宅 主屋
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市西区九条3丁目
- 建造:昭和11年(1936年)
- 解説:安治川の南岸地域の市街地に建つ平入町家。北面する木造2階建で、切妻造桟瓦葺。東端に通用口、中央に本玄関、西に出格子窓を構え、2階は大壁とし、出桁造の軒まで塗り込め、両端にウダツをつくる。内部は土間上部に豪快な梁組を見せる。近代町家の風情を伝える
大阪市天王寺区の歴史的建造物
大阪市天王寺区の歴史的建造物(国宝・重要文化財・登録有形文化財)を紹介します。
念仏寺 本堂
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区上本町4丁目
- 建造:天保13年(1842年)
- 解説:大阪の繁華街に立地する中規模の浄土宗本堂。平面は、内外陣・余間等規格に則って配置する標準的な作品である。細部彫刻等は時代相応の構成になる。旧城下の寺町の北限を示す遺構であり、入母屋造の大屋根を見せる外観は、整った境内とも広く親しまれている
称念寺 山門
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町1丁目
- 建造:江戸中期
- 解説:松屋町筋に西面して建つ一間薬医門。間口2.9m幅に本柱を建て、女梁、冠木、男梁を架し、妻及び中備には蟇股を置く。一軒疎垂木で、屋根を切妻造本瓦葺とする。装飾を抑えるが、木鼻など細部に、江戸中期らしい意匠を示す
- 公式サイト:称念寺
源聖寺
- 公式サイト:源聖寺
【1】建物:源聖寺 山門
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町1丁目
- 建造:江戸末期
- 解説:松屋町筋に西面する一間薬医門。間口3.2mで、潜り付の袖塀を両脇に付ける。男梁上に三斗組を置き、虹梁及び桁を高くし、鏡天井を張る。妻は虹梁蟇股、軒は二軒繁垂木で、屋根は切妻造本瓦葺とする。大型の薬医門で、蟇股や虹梁など彫りの深い絵様になる
【2】建物:源聖寺 庫裏
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町1丁目
- 建造:江戸後期
- 解説:松屋町筋東側に占める境内地の通り寄りに南面して建つ。南面入母屋造北面切妻造の本瓦葺で、大棟南寄りに切妻造の煙出を付ける。正面中央東寄りに庇を掛け、戸口とする。方柱で、柱上に舟肘木を載せ、妻は虹梁大瓶束。簡明ながら重厚な庫裏外観を構成する
萬福寺 山門
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町1丁目
- 建造:江戸中期
- 解説:松屋町筋に西面する一間薬医門。間口2.9m幅に本柱を建て、男梁と女梁間に大斗肘木を入れ、妻には蟇股を置く。二軒半繁垂木で、切妻造本瓦葺。地垂木や男梁、女梁の鼻先に絵様を施し、華やかな印象を与える。蟇股には植物紋様を彫る
光明寺
【1】建物:光明寺 山門
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町1丁目
- 建造:慶応2年(1866年)
- 解説:松屋町筋に西面する一間薬医門で、切妻造本瓦葺とする。間口3.2mで、潜戸付の袖塀を両脇に付ける。女梁を挿し肘木状に作り、男梁上に大斗肘木を組み、虹梁と軒桁を支持。妻は笈形付の虹梁大瓶束とし、軒は一軒繁垂木。鏡天井を張り、中備に龍の彫刻を飾る
【2】建物:光明寺 本堂
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町1丁目
- 建造:宝永3年(1706年)
- 解説:松屋町筋の東に占める境内地の中央に位置する。入母屋造本瓦葺で、正面に一間向拝を付ける。五間堂で中央に双折両開桟唐戸をたてる。外陣及び内陣、脇陣からなる典型的な浄土宗本堂平面をもつ。建具ほかに改変が見られるものの、江戸中期の形態を伝える遺構である
【3】建物:光明寺 庫裏
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町1丁目
- 建造:江戸末期
- 解説:本堂の北側に玄関を介して繋がる。東西棟の切妻造本瓦葺で、大棟に煙出、妻面に下屋を設け、南面西寄りに庇を付け、出入口とする。壁は白漆喰仕上げ。玄関は入母屋造妻入桟瓦葺で、妻は木連格子。本堂と庫裏が並び建ち、重厚な境内景観を呈する
心光寺
- 公式サイト:心光寺
【1】建物:心光寺 山門
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町1丁目
- 建造:江戸中期
- 解説:松屋町筋に西面する一間薬医門で、切妻造本瓦葺とする。間口2.7m幅に本柱を建て、女梁と男梁、冠木を架し、男梁上に大斗を載せ、虹梁と軒桁を支持する。妻は虹梁大瓶束。大瓶束の上方には木鼻を四方に出す。男梁鼻先や虹梁絵様などの細部意匠は秀逸
※2020年4月現在、保存修理工事中です
●2021年2月撮影
山門の保存修理工事が終了していましたので撮影しました。
心光寺の境内では「こころひかる」というカフェを営業されています。
【2】建物:心光寺 本堂
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町1丁目
- 建造:昭和4年(1929年)
- 解説:市内を南北に貫通する松屋町筋東方の寺町に位置する。火災後の再建になる鉄筋コンクリート造寺院で、住職の設計と伝える。ドーム屋根、柱上の相輪風の飾り、パラペットの宝珠柱風手摺子、多弁アーチなどによりインド風の外観を造りだす
超心寺 山門
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町1丁目
- 建造:江戸後期
- 解説:松屋町筋に西面する一間薬医門で、切妻造本瓦葺とする。間口3.1mで、袖塀を両脇に付ける。女梁を挿し肘木状に作り、男梁上、大斗肘木を介して、虹梁と軒桁を支持。妻や中備は流水や雲紋風に彫られた蟇股とする。軒は一軒繁垂木。たちの高い薬医門である
善龍寺 山門
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町2丁目
- 建造:文化7年(1810年)
- 解説:境内南面、天王寺七坂の一つ口縄坂沿いに建つ。間口2.7mの薬医門形式で、切妻造本瓦葺とし、左右に潜付袖塀を付す。架構は冠木上に架けた男梁に三斗をおいて妻虹梁を受け、妻飾には雲紋彫刻化した蟇股を飾る。良材を用い、意匠も優れた山門である
大光寺 山門
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町2丁目
- 建造:寛延2年(1749年)
- 解説:松屋町筋に西面する一間薬医門で、切妻造本瓦葺とする。間口2.8mで、潜戸付の袖塀を両脇に付ける。女梁を挿し肘木状に作り、男梁上、大斗肘木を介し、虹梁と軒桁を支持する。軒は一軒繁垂木。妻と中備は笈形付の虹梁大瓶束で、妻と中備の笈形の意匠を違える
称名寺 山門
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区下寺町2丁目
- 建造:明治期
- 解説:松屋町筋に西面する一間高麗門。間口2.8mで、腰海鼠壁とする袖塀を両脇に付ける。妻蟇股とし、軒は一軒繁垂木。切妻造本瓦葺で、棟には龍の飾り瓦、隅蓋瓦に波紋を飾る。小規模ながら、たちの高い高麗門で、薬医門が並ぶ下寺町において印象的である
愛染堂 勝鬘院(しょうまんいん)塔婆
- 分類:重要文化財
- 住所:大阪市天王寺区夕陽丘町
- 建造:慶長2年(1597年)
- 公式サイト:愛染堂 勝鬘院
<2020年4月現在、保存修理工事中でした>
<保存修理工事前の画像です>
<本堂>
四天王寺
- 分類:重要文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区四天王寺1丁目
- 建造:元和9年(1623年)
- 解説:いずれも德川家康によって元和9年に造営されたもので、江戸初期寺院建築として重要なものである
- 公式サイト:四天王寺
【1】建物:六時堂
【2】建物:石舞台
【3】建物:元三大師堂
【4】建物:本坊西通用門
【5】建物:本坊方丈
【6】建物:五智光院
【7】建物:鳥居
【8】建物:八角亭
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区四天王寺1丁目
- 建造:明治36年(1903年)
- 解説:第5回内国勧業博覧会の小奏楽堂として建築されたものを、後に現在地に移築したと伝える。平面八角で、庇柱は吹き放ちとし、窓には色ガラスをはめる。母屋柱はコリント式の柱頭飾を付け、モールディングの廻り縁を巡らすなど施工技術にも見るべきものがある
大阪市立美術館
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市天王寺区茶臼山町
- 建造:昭和11年(1936年)
- 解説:天王寺公園の高台に建つ。正面に張出す玄関とホール部を一層分高い切妻造とし、左右の翼廊に展示室を配する。装飾を抑えた平滑で三層構成の立面を基調としつつ、壁頂の本瓦葺、蛇腹や窓の洋風装飾などに和洋の意匠を採取する。希少な戦前の大型美術館建築
- 公式サイト:大阪市立美術館
大阪市浪速区の歴史的建造物
大阪市浪速区の歴史的建造物(国宝・重要文化財・登録有形文化財)を紹介します。
通天閣
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市浪速区恵美須東1丁目
- 建造:昭和31年(1956年)
- 解説:難波の東南に位置する。脚部をSRC造とした103m高の鉄塔で、塔の東側には円筒形の補助塔を設ける。四角形から八角形に平面形状が変化する塔身に独特な形状の展望台を戴き、四周に広告用等の施設を付設し、大阪のシンボルとして広く親しまれる
- 公式サイト:通天閣
ギャラリー再会
- 分類:登録有形文化財(建築物)
- 住所:大阪市浪速区恵美須東1丁目
- 建造:昭和28年(1953年)
- 解説:通天閣から放射状にのびる街路沿いに建つ。間口3間、奥行10間で、中庭を介して店舗と住居を通路で繋ぐ伝統的町家形式を踏襲したつくり。独特の幾何学模様の破風飾り、ねじれ柱付のバルコニー、ガス灯風の照明など、舞台美術を思わせるファサードが特徴的
まとめ
今回は大阪市内のJR環状線内の重要文化財と登録有形文化財の建築物を見学しました(JR環状線内には、現在国宝の建造物はありません)。北部から中心部にかけては近代建築物が多く残り、東部の大阪城から南部にかけての上町台地には江戸時代の建築物が多く残っていました。しかし、よく大阪大空襲で残ったなと思いました。
また、下記、文化庁の国指定文化財等データベースに載っている解説を参考にすると見方が変わり、楽しく巡ることができます。
参考資料
※当記事の解説は、国指定文化財等データベースから引用しています
※国指定文化財等データベースに記載の所在地は、旧住所であったり、微妙にずれていたりしますので、ご注意ください。また、建造物の画像は微妙に違っていることもありますので、あわせてご注意ください
※建物は個人所有の自宅の場合があります。マナーを守って静かに見学しましょう
※当記事の画像は、2017年から2020年にかけて撮影したものを使用しています
※2020年5月現在、新型コロナウィルスの影響で閉館・閉門している施設や寺社があります
※2021年4月、一部の画像を追加しました
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中尾勝
- 旅が大好き!国内海外を問わず飛び回っていますが、海外へは2011年に渡航して以来、出国していません。今は原点に戻り国内を旅しながら日本の良さを体感中。