意外なおいしさにびっくり!!上海人に昔から愛される老舗の味に挑戦!

こんにちは!今回みなさんにご紹介するのは、上海で昔から愛されているお菓子。上海人にとっては家にいつもあって、小さい頃から親しんだ味です。今回は上海人と結婚した友人と共にお店を回り、お菓子の紹介、おすすめお菓子を教えてもらいました。今回ご紹介するお菓子は、彼女のお義母さんが来宅する際、いつもお土産に持ってくるお菓子で彼女にはどれもなじみが深いのだそうです。

彼女からすすめられるお菓子はどれも、筆者にとっては初めてのものばかり。最初は「ええっ...本当においしいの?」と半信半疑で食べてみましたが...はてさてそのお味は...??今回の記事をどうぞお楽しみください。

目次

租界時代に栄えた商業エリア「淮海中路」

今回私たちが向かったのは「淮海中路(中国語読みで「フアイファイチョンルー」)」という通りです。淮海路は全長6kmあるのですが、通常上海人が「淮海路」と言うと、ほぼこの淮海中路を指しています。

この道はかつて上海旧租界時代にフランス租界があったエリアに位置し、特に淮海中路沿いは最も栄えた商業エリアでした。今でも老舗のみならず、アディダス、ナイキ、ユニクロなど皆さまにもおなじみの人気ブランドがこの道沿いにこぞって出店しています。

また通り沿いには旧租界時代の面影を残す旧建築が多く残されています。淮海中路最寄りの地下鉄駅「陕西南路」駅3番出口を上がると、真っ先に目に入る建物が国泰電影院(CATHAY THEATRE)。この周りの建築の多くも旧租界時代に建てられたものです。さぁ、お店へ行きましょう!

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「ミニグルメ王国」のほまれ高い「上海市第二食品商店」

最初に向かったのは「上海市第二食品商店」。こちらのお店はとにかく品揃えが豊富。上海老舗の味がこのお店に一挙に集合しています。上海人の間では「ミニグルメ王国」と呼ばれているとか。

第二食品店内.jpg

店内はこのように、商品が所狭しと並べられ、老舗店のテナントが入っています。お客さんも多く、平日昼間の時間帯でもにぎわっています。以前ご紹介した田子坊と異なり、顧客層の年齢が上です。いつまでも変わらぬ味を求めて年配の方が多く来店されているのを感じます。それでは有名どころをピックアップしてご紹介します!

山林熟食

中国語で「熟食」とはおそうざいのことです。ここ、山林熟食の看板メニューは赤くて大きなソーセージ。

赤ソーセージ.jpg

これは上海人の家庭料理と言えば!の「ボルシチ」に入れて使います。筆者が先日お邪魔した上海人のお宅で出されたボルシチもしっかりと赤ソーセージが入っていました。

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また、山林熟食ではポテトサラダも人気。上海のポテトサラダは甘いことが特徴です

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老大房

老大房は清の時代の1850年に上海で創業。同店で有名なのが「月餅」。創業早々から月餅を作り、たちまち人気に。私たちが月餅と言うと、もっぱら甘いあんこ餡、しっとり厚い皮の月餅が真っ先に思い浮かびますが、それは「広東式月餅」なのです。上海で伝統的な月餅は「蘇州式月餅」と言い、ラードを練り込んで皮を作り、焼き上がりはサクホロのパイ生地です。

蘇州式月餅1.jpg

月餅のあんの種類は様々ありますが、今一番人気なものは豚肉。その名も「肉月餅」といいます。月餅だけに、九月の中秋の名月の時にしか食べられないのでは?と思われがちですが、ここでは通年販売しています。人気メニューということで、「上海市第二食品商店」のお店入口で販売されています。

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さっそく買って食べます!保温ケースに入れられているため、ほかほかしています。ポロポロと落ちる皮のため、きれいに食べる難易度が高めではありますが、パイ皮とジューシーな肉あんのコラボは抜群!

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上海では中秋節に大事な人に贈る贈答品月餅の主流は広東式ですが、家庭で食べる月餅は蘇州式が人気です。

老大昌

老大昌は1913年創業。フランス・パリから派遣されたフランス人が創業したそうです。創業初期は輸入酒や軍へ支給する食糧供給事業を行っていましたが、1920年に経営者が変わり、現在本店がある淮海中路に出店。中国では歴史的な事情から昔から残る西洋菓子店は少ないのですが、この店は残りました。

筆者が行ったのは冬だったため挑戦しませんでしたが、老大昌の看板メニューはアイスクリーム(冰糕)です。また、上海人は生クリームをそのままデザートとして食する習慣があり、老大昌では生クリーム(掼奶油)も人気です。中国人は全般に冷えを嫌うものの、人気メニューの為か、初冬のこの日も冷蔵ケースにはアイスクリームと生クリームが販売されていました。

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今回このお店で筆者が挑戦したのは「哈斗」。中国語で哈斗は「ハードウ」と読みます。「斗」は闘争の「闘」の簡体字。ハードウ...この名前、一見してどんなものか分からず、それが筆者の興味をそそりました。ホワイトチョコでコーティングされています。購入して食べてみました。

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食べてみてびっくり。固めのシュー生地にクリームが挟まれ...これはまさに大き目サイズのエクレア...。租界時代に上海に伝わったからか、形状は私たちが知るエクレアと異なりますが、渋めのコーヒーや紅茶によく合いそうな洋菓子です。

調べたところ、哈斗(ハードウ)は英語の「ホットドッグ」が由来の言葉で、それが上海老舗洋菓子店ではエクレアの意味で使われている模様です。しかし、このボリューム。しゃれたカフェに行くよりも老舗店の洋菓子の方がお腹の満足度は高そうです。しかもこの大きさでお値段9元!甘党にはたまりません。

紅房子西点

「紅房子」はこのお店がある淮海中路沿いにある上海老舗洋食レストラン。以前の記事で上海老舗洋食レストランをご紹介したことがありましたが、紅房子も同系統のレストランです。上海老舗洋食レストランは洋菓子製造をしていることも多く、その紅房子が作っている「西点(洋菓子)」とあれば、きっとおいしいはず!と品定めスタート。

西点2.jpg

上記写真ラインナップの中で友人がおすすめしたのは、粉海苔がまぶされたクッキー「苔状餅」。「これは美味しい!サクサクいけるよ!」と。筆者半信半疑...。しかし友人オススメとあればと食べてみることに。

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購入し帰宅後試食しました。食べてびっくり!!海苔のしょっぱさと甘いクッキーのコントラストが実に、実に絶妙なバランス!うなりました。我が家家族全員この味にハマり、またたく間になくなってしまいました...まさに秒殺です。

そのほか、青団(草まんじゅう)で有名な乔家栅の青团、上海郊外の古い街・朱家角の漬物屋さん、検疫の関係で日本への持ち込みは不可ですが、スープや炊き込みご飯で入れると美味しい塩漬け干し肉やくんせい肉のお店なども出店しています。

肉製品12.jpg

まさにこの一店舗に上海人が大好きな味が大集合していますね。

上海市第二食品商店(淮海店)

  • 住所:淮海中路1000号(陕西南路近く)
  • 営業時間:10:00-21:30
  • アクセス:地下鉄1号線・10号線「陕西南路」駅1号出口徒歩3分
  • 電話番号:021-54038356

ハルビン食品廠(食品工場)

続いて行ったお店は上海なのに中国東北部吉林省の都市・ハルビンの名前を冠した「ハルビン食品廠」。でもれっきとした上海老舗店なんですよ。ハルビン食品廠の前身は「福利面包廠(福利パン工場)」。この会社の社長がハルビンでパン屋を創業し、1938年上海・淮海中路に店を開店したことから、現在の店名にハルビンがついています。

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お店に着いてびっくり!行列店なのです。そして店内にはバターの香りでいっぱい。一番人気は蝴蝶酥(パルミエ)。ハートの形をしたサクサク食感のパイです。このお店では店内のオーブンで焼きたての蝴蝶酥が購入できます。それを求める長蛇の列が店外まで続いているのです。

パルミエ列.jpg

このハルビン食品廠の蝴蝶酥にはエピソードがあり、その昔上海を訪れたアメリカ・ニクソン大統領のお気に入りになったとか。ここの蝴蝶酥は特に焼きたて7、8分後の口当たりが一番良いとのことで、みなさんはその味を求めて並ぶのでしょうか?奥に見えるのが焼きたて蝴蝶酥です。今回は人の多さにあきらめてしまいましたが、次回時間の余裕があるときに挑戦したいです。

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哈尔滨食品厂(淮海中路店)

  • 住所:淮海中路601-603号(思南路近く)
  • 営業時間:9:00-21:00
  • アクセス:地下鉄1号線・10号線「陕西南路」駅4号出口徒歩11分
         地下鉄13号線「淮海中路」駅1号出口徒歩5分
  • 電話番号:021-53832451,021-64370832

長春食品商店

このお店も中国東北地方の都市・長春の名前を冠していますが、上海老舗。「ハルビン食品廠」と同様な経緯でこの店名になったと思われます。「上海市第二食品商店」と同じスタイルの店舗で、店内テナントに多くの上海老舗店舗が出店しています。「上海市第二食品商店」と出店しているテナントが重なるところも多いですが、「上海市第二食品商店」の方がテナントと品揃えが多い印象を受けました。また、「長春食品商店」方がお惣菜が充実している感じを受けました。晩秋が旬の上海蟹も売られていましたよ!

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「ハルビン食品廠」と近接しているため、併せて訪問することができます。

長春食品商店

  • 住所:淮海中路615-625号(思南路近く)
  • 営業時間:9:00-21:00
  • アクセス:地下鉄1号線・10号線「陕西南路」駅4号出口徒歩11分
         地下鉄13号線「淮海中路」駅1号出口徒歩5分
  • 電話番号:021-53862926

他にもある!このエリアの人気老舗店

今回、直接訪問はしなかったものの、同じ淮海中路の通り沿いにある人気上海老舗店をご紹介します。

光明邨大酒家

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平日週末問わず、また時間帯も問わず行列が絶えない店舗です。1階部分はお惣菜、2、3階部分は気取らない上海料理のレストランになっています。

一番人気メニューは老大房でもご紹介した「肉月餅」。光明邨の月餅は中秋節になると、徹夜組も出る盛況ぶりです。人気の秘密は新鮮さ。餡から皮に至るまで全て当日手作りで翌日持ち越しはなし。焼く時の日の火加減も長年の経験の蓄積があるのだとか。他の人気メニューは「酱鴨」アヒルのしょう油煮、「酱鴨膀」アヒルの首部分のしょう油煮などだそうです。

光明邨大酒家(淮海中路本店)

  • 住所:淮海中路588号(成都南路近く)
  • 営業時間:7:00-21:00
  • アクセス:地下鉄1号線・10号線「陕西南路」駅4号出口徒歩11分
  • 地下鉄13号線「淮海中路」駅1号出口徒歩5分
  • 電話番号:021-53067878

老人和飯店

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「老人和」、筆者はこの店名からして、塩分控えめメニューや柔らかメニューを提供する老人御用達のレストランと思い込んでいましたが、正しくは「人和」レストランの老舗、という意味での「老人和」でした。清の時代、1800年創業のレストラン。上海最古のレストランの一つです。

店名の由来は、戦後「人和」レストランと同名のレストランが出現し、訴訟の末に和解。新しい店が「新人和」、昔ながらの店を「老人和」と呼ぶようになったのが名前の起こりなんだそうです。その名称の為に、中国人からも老人向けのレストランと勘違いをされるも、お店側はそれを商機と感じて老人向けにお安めのメニューを積極的に開発しました。

このレストランも光明邨同様、一階がお惣菜売り場となっています。こちらもいつも長蛇の列です。一番人気は糟菜糟味と呼ばれる、独特の風味をもつおかず。主に夏に人気のメニューで上海っ子のおつまみに喜ばれています。

老人和饭店(淮海中路店)

  • 住所:淮海中路558号(成都南路近く)
  • 営業時間:11:00-14:00,17:00-21:00
  • アクセス:地下鉄1号線・10号線「陕西南路」駅4号出口徒歩11分
         地下鉄13号線「淮海中路」駅1号出口徒歩5分
  • 電話番号:021-63128617

紅房子西菜館

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「上海市第二食品商店」でご紹介した洋菓子店「紅房子西点」の本家がこちら。紅房子とは赤いレンガ造りの家の意味です。創業1935年。イタリア人が淮海中路で開業したフレンチレストランが前身。戦時中の営業休止、戦後の営業再開、オーナーの変遷を経て、1950年上海人オーナーに。その時に店名を「紅房子」に改名したそうです。

昔ながらの上海人は「洋食を食べるなら紅房子へ行こう!」が決まり文句だったとか。創業当時のメニューとレシピを守っているそうです。ハマグリ焼きが看板メニューですが、これは戦後の物不足の時代にエスカルゴが入手できず、シェフがハマグリで代用したことから編み出されたメニューです。1階には紅房子ブランドの菓子「紅房子西点」も販売されています。

红房子西菜馆(淮海店)

  • 住所:淮海中路845号(茂名南路近く)
  • 営業時間:月~金 11:00-14:00,17:00-20:30,週末 11:00-20:30
  • アクセス:地下鉄1号線・10号線「陕西南路」駅4号出口徒歩6分
  • 電話番号:021-64374902,021-64313293

最後に

これらの老舗店の他、このエリアには旧建築もたくさんあるため、街歩きも楽しめます。ぜひたくさん歩いて色んな表情の上海を楽しんでくださいね。

上海老舗食品店の味は、上海人の知人・友人、上海が好きな友人に買って行くと喜ばれること間違いなし。もっと上海さを感じられる味をお探しの方も、今回の記事を参考に新しい味に目覚めてくれればうれしいです。

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上海在住9年目に突入、奥深い上海の路地を隅々まで探検する「上海ほじくり」にハマった阿信が上海の観光情報をお届けします。どうぞお楽しみに!

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