ヴェネチアのドイツ人商館を豪華に改装!「T フォンダコ デイ テデスキ by DFS」とは?

2016年10月、観光都市ヴェネチアに豪華なショッピングモールが誕生しました。その名も「T フォンダコ デイ テデスキ by DFS(以下:フォンダコ デイ テデスキ)」。この耳慣れない名前は、この建物の由来であるヴェネチア共和国期に成立した「ドイツ人商人館」からとられました。歴史的建造物がリノベーションによって再生され、現代の"商人館"として活用されることになったのです。

これからヴェネチアを訪れる方はぜひ立ち寄ってみて欲しい注目のショッピングモール、フォンダコ デイ テデスキについて、概要や見所、おすすめスポットを紹介します。

目次

1. ヴェネチアにあるフォンダコ デイ テデスキとは?

フォンダコ デイ テデスキは「ドイツ人商人館」と訳されますが、ここで言うドイツとは現在のドイツ連邦共和国のみを指しているわけではありません。いわゆるドイツ語を話す地域のことで、かつては北ヨーロッパの国々からやってきた商人たちに利用される施設でした。

ドイツ人商人館は、大運河に面したリアルト橋すぐそばにあります。リアルトは数百年にわたり商業の中心地で、周辺の各国がさまざまな品の取引を行ってきたそうです。

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<リアルト橋のすぐ後ろ、右側の白い建物がフォンダコ デイ テデスキです。>

最初の建物は13世紀頃に建設されましたが、数回の火災による影響から16世紀、新たに建て直されました。当時、外観はジョルジョーネとティツィアーノによるフレスコ画で飾られていたんだとか。

2. 世界的に有名な建築家によってヴェネチアの新スポットに

DFSグループは香港で創業したラグジュアリートラベルリテーラーで、世界各地に免税店や高級ショッピングギャラリーなどを展開していることで知られています。日本でも、沖縄や羽田空港、成田空港そして関西空港に関連店舗を構えていますよね。

DFSグループが展開する路面型免税店は、本拠地の香港、マカオ、シンガポールなどアジア地域、ハワイなど北米地域やオセアニア、中近東にあります。ヴェネチアのフォンダコ デイ テデスキは、ヨーロッパ初出店となる店舗です。

歴史的な建造物のリノベーションは、世界的に有名な建築家、レム・コールハースが担当。彼の建築設計事務所OMAが、往年の活気あふれる交易の場「フォンダコ」を彷彿とさせる場所として再生しました。

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リノベーションにあたっては、長年中央郵便局として利用されてきた歴史や過去の改修を踏まえつつ、商業施設としていかに機能させるか、エレベーター、エスカレーターなどの新しい機能をどのように組み入れるかが入念に計画されました。実際、特徴的な赤いエスカレーターは当初、中庭を横切る形での設置が提案されていたものの、許可が下りなかったということです。

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「ドイツ人商人館」という歴史的背景だけでなく、地元民と旅行者を含めた人の流れ、文化の交流といったことも、設計の重要な要素となっているそうです。ヴェネチアはイタリアの他の都市同様に、歴史地区内の建築物に関する厳しい制限があります。実際、建物の外観は以前とほぼ変わっていません。しかし、内部は高級ショッピングモールの名にふさわしく、豪華な空間が広がっています。

この内部空間を実現するための内装計画を担当したのは、カナダ出身でイギリスを拠点として活動している建築家、ジェイミー・フォバート。フォンダコ デイ テデスキ公式サイトの、オープンに際して公開されたインタビューでは、歴史的建造物の特性を活かしつつ、現代の商業施設に合うかたちで新しいデザインを提案したことが語られています。

彼のインタビューは日本語版も公開されているので、現地を訪れる際に一読しておくと、興味深い発見があるのではないでしょうか。

たとえば、ルネサンスのイタリア絵画やバロック期の彫刻からインスピレーションを受けた、カッラーラ石製の什器は地元職人との協力で実現されているとのこと。ぜひ、実物を見て確認したいものです。

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3. フォンダコ デイ テデスキにはどんなお店がある?

さて、フォンダコ デイ テデスキで一番の楽しみはショッピング。ヴェネチア観光をより一層盛り上げてくれるようなお店が並んでいますよ。

高級ショッピングモールとして散策しても楽しい

フォンダコ デイ テデスキは、吹き抜けになっている中庭を中心に4フロアで構成されています。1階ではワインなどのアルコール類、食品、そしてイタリアやヴェネチアの工芸品や高級食材などを扱うほか、カフェを利用することも可能。伝統的なものだけではなく、新しい切り口のイタリア土産を探すことも楽しみの一つです。

また、各階では世界中から集まったハイブランドのファッション、アクセサリー、時計、宝飾品や化粧品を取り扱っています。ディスプレイもかなり凝っているので、眺めるだけでも楽しめますよ。

そして最上階には、展覧会やコンサート、トークショーなどのイベントが行われるイベントスペースが設置されています。2019年5月8日から11月24日までは、インテリアデザインで有名なフォルナセッティ(Fornasetti)による展示が行われています。

独特のお土産を探すなら、ラ・コルテ・アル・フォンダコがおすすめ!

イタリアといえば"食"というイメージを持つ方は多いことでしょう。1階のラ・コルテ・アル・フォンダコ(La Corte al Fondaco)では、一味違った食品を見つけることができます。たとえば、レモンと胡椒、サフラン、オリーブの葉、トリュフなどが練り込まれたMORELLI社のパスタ(4.90~6.50ユーロ)は、ややお値段は張りますが、他ではなかなか見ないものです。

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<MORELLI社のパスタ。>

フォンダコ デイ テデスキのリニューアルオープンに際して、取り扱っているメーカーがトークショーを行う「味覚の経験(Esperienze di Sapore)」と題したイベントも行われているそうです。
※編集部註:ライター取材時の情報です。

カフェや軽食はある?

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1階にはカフェ・レストランのAMOがあり、ランチやディナーはオンライン予約も可能です。このカフェ&レストランのデザインを手掛けているのは、建築からインタリア、食器まで手掛けている総合デザイナーのフィリップ・スタルク。歴史的な場所で遊び心あふれるデザインを楽しむことができます。

4. ヴェネチアの絶景が楽しめる!屋上テラスはぜひ立ち寄って

フォンダコ デイ テデスキの屋上テラスは、ヴェネチアの新しい名所といっても過言ではないかもしれません。このテラスからは、サンマルコ広場やサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会の鐘楼から見る景色とはまた違う、リアルト周辺の眺めを楽しむことができます。

各方向には目印となる建物を示した案内板も設置されているので、旅行中に訪れる予定のスポット、既に訪れた場所を探してみるのも楽しいですね。

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屋上テラスは混んでいなければ予約なしで入場することもできますが、フォンダコ デイ テデスキで直接予約を取るか、WEBサイトから予約しておくことをおすすめします。

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<フォンダコ デイ テデスキ内でも予約ができます。>

屋上テラスの営業時間は、10時15分〜20時15分(6月~8月)、10時15分~19時30分(4、5、9、10月)、10時15分~19時15分(11月~3月)となっており、見学時間は約15分。また、天候によっては安全上の理由から公開中止になることもあります。

古くからヴェネチアの交易を支えてきた建物が、数百年のときを経て最先端のショッピングモールに。フォンダコ デイ テデスキは上質なショッピングを楽しみたい方から一味違うヴェネチア観光をされたい方まで、ぜひチェックしておきたいスポットです。

撮影:arissa

基本情報

Tギャラリア ヴェネチア by DFS フォンダコ デイ テデスキ店(T Fondaco Dei Tedeschi by DFS)

  • 住所:Calle del Fontego dei Tedeschi, Rialto Bridge, 30124 Venezia, Italia
  • 営業時間:10:00〜20:00
  • HP(イタリア語):https://www.dfs.com/it/venice

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arissa

イタリア在住の建築学生です。ほんの少しのつもりが長くなり、北部ヴェネト州、ラグーナ近辺に生息しています。趣味はベランダ菜園に、カメラを手に街歩き。そしておいしいものを求めて西へ東へ。

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