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【ラオス】謎の石壺が新たな世界遺産に!
<© Duang Ngeunthepphada | dreamstime.com>
ラオスには、昨年までにユネスコの世界遺産に登録されている場所が、2カ所ありました。
そして、2019年にもう一つ、「ジャール平原巨大石壺群(Megalithic Jar Sites in Xiengkhuang-Plain of Jars)」が新たに加わりました。
今回はそのラオスの新しい世界遺産をご紹介します。
目次
新たな世界遺産
<© Olga Khoroshunova | Dreamstime.com>
「ジャール平原巨大石壺群」は、ラオス北東部のシェンクアン県にあります。シェンクアンは、ラオス人にとっても国内観光地として人気。草原に牛やヤギがのんびりと歩くのどかな風景が広がっています。そして、そこに突如として姿を現す巨大な石壺が有名で、石壺が点在するサイトには、散策を楽しみながら写真撮影を楽しむラオス人の姿が見られます。
また、シェンクアンにはモン族が多く暮らしていて、私がジャール平原を訪れた時は、民族衣装を来たモン族の女性たちを見ることができました。
世界遺産までの長い道のり
<© Matyas Rehak | dreamstime.com>
ラオス政府は、この新たな世界遺産の登録に、20年以上もの年月を費やしてきました。
なぜ、こんなに長い間世界遺産登録に至らなかったのかというと、理由の一つとしてインドシナ戦争時代の不発弾があげられるようです。
今ののどかな風景からは想像し難いのですが、シェンクアンは、インドシナ戦争時代にアメリカ軍とベトナム軍が戦う戦場となり、多く人を巻き込んだ場所でもありました。その時に、200万トン以上に及ぶ大量の爆弾が落とされました。その中には、1つの爆弾に小型爆弾を大量に含む「クライスター爆弾」が、大量に落とされ、投下された爆弾の約30%が、着爆の際に爆発せずに残ってしまったため、今もなおその処理が続いおり、世界遺産登録までの道のりを長くする大きな要因となったようです。
今も、登録された11サイトのうち、4〜11サイトはラオス人ガイドがいないと入ることができないのは、そういった理由もあるからだそうです。
石壺の謎
<© Kamonrat Chayamarit>
「巨大石壺」は、一番大きいもので3.16mになります。そんな大きな石壺は、いったい何のために作られたのでしょうか?
実は、日本をはじめ、様々な国の調査団が何度も調査を行なっていますが、未だにはっきりとした答えは見つかっていません。調査結果から分かったことは、紀元前500年〜西暦500年の鉄器時代に作られたもので、その数は、2,100個以上に及びます。おそらく、埋葬の際に使われていたものではないかと考えられています。
今回、世界遺産に登録されたのは、巨大石壺のほか、石の円板、採石場、埋葬品などです。
ジャール平原の回り方
<© John Rodgers | Dreamstime.com>
全てのサイトに行くには、たっぷり時間がないと回れませんが、できればどこか1カ所だけではなく、いくつかのサイトを回ることをオススメします。もちろん、石壺はほぼ同じなのですが、そのまわりの風景がそれぞれ違うので、少し時間に余裕がある方は、ぜひサイト1〜3までは回っていただきたいです。
石壺だけでなく、その背景にあるシェンクアンの美しい風景も、世界遺産の一部。山をバックに広がる草原や、畦道を抜けた先に突然石壺が現れたり、のんびりとしたラオスらしい風景が、いくつかのサイトを回ることで楽しめます。
もし、時間がゆっくり取れないという方には、サイト1がオススメです。街の中心地からも近く行きやすい場所にあるので、時間がなくても大丈夫。石壺の数も多いので見応えもありますよ。
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Hyma
- 三重県出身。2013年より現在までラオス在住。ラオス各地の昔ながらの手仕事に魅せられて、ラオスの手工芸品を日本へ紹介・販売している。「毛糸だま特別編集 世界手芸紀行」に、タイ・ルー族の手仕事について寄稿。「ゆったり流れる旅時間 ラオスへ」(イカロス出版)著作。