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ドイツにはチップ文化はあるの?基本のマナーや渡す目安を紹介
ドイツではホテルやレストランの料金にサービス料が含まれているため、チップを渡す義務はありません。しかし、気持ちのいい接客やサービスを受けた時には「感謝の気持ち」としてチップを渡すのが一般的。チップはドイツ語で「Trinkgeld(トリンクゲルド)」と呼ばれ、渡し方や金額などはそれぞれのシチュエーションによって微妙に異なります。
とはいえ、チップ文化に馴染みのない日本人にとって、渡すタイミングや金額など分からないことだらけですよね。そこで今回はドイツにおける「チップを渡した方がいい場面」、「渡さなくて良い場面」の線引きから、ホテルやレストランなどでのチップの渡し方、相場について解説していきます。
目次
- 1. ドイツ旅行でチップを渡すときに気になること
- 2. チップを渡さない場合はどんなとき?
- 3. ドイツ旅行でチップを渡す場面:レストラン
- 4. ドイツ旅行でチップを渡す場面:ホテル
- 5. ドイツ旅行でチップを渡す場面:タクシー
- 6. ドイツ旅行でチップを渡す場面:トイレ
- 7. ドイツ在住/長期滞在の場合はこんなチップも
1. ドイツ旅行でチップを渡すときに気になること
チップの慣習があると理解したところで、実際に渡す場合はどのようにすれば良いのでしょうか?この項目では気になるポイントを解説します。
ドイツは現金社会?チップも現金で払いたい
チップは現金で渡してしまえば基本的に問題ありません。お会計の後にチップ分を渡しても良いですし、お会計時にチップ込みの金額を渡して「これで結構です(シュティムト・ゾー)」と言っても良いでしょう。チップ込みで15ユーロを渡したくても細かいお金がないという場合は、20ユーロを渡しながら「15ユーロでお願いします」と言っても大丈夫です。
クレジットカードでチップを払うことはある?
チップを含めた合計金額を、クレジットカードで支払う事も可能です。その場合はまず、お会計の際にチップを含めた金額をスタッフに伝えます。するとスタッフがその金額をカードの機械に入力してくれるので、サインまたは暗証番号の入力をして支払いは完了。
たとえばお会計が55ユーロで5ユーロのチップを渡したい時は、店員さんが機械に入力する際に「60ユーロでお願いします(ゼヒツィヒ・オイロ・ビッテ)」と伝えれば大丈夫です。
ドイツのチップ相場は?
お会計の金額や場所にもよりますが、ドイツで支払うチップの金額は10%前後。27ユーロなど中途半端な金額の場合は、端数を切り上げてその分をチップとして渡すのが一般的です。たとえばお会計が65ユーロの場合、端数分をチップとして切り上げて、70ユーロを渡すのがスマートな渡し方になります。
とはいえこれはあくまでも目安なので、ものすごく良いサービスだと感じたら多めにチップを渡してもいいでしょう。逆にサービスがまあまあだと思ったのであれば、少なめにしても大丈夫です。
2. チップを渡さない場合はどんなとき?
<写真はイメージです。Photo by Pixabay>
ドイツでは一般的なチップ文化ですが、渡さなくていい場合もあります。以下ではチップがいらないケースをご紹介します。
サービスが悪いとき
冒頭でも紹介したように、ドイツでのチップ文化は「感謝の気持ち」の表れ。そのため、サービスが悪い場合は渡さなくても問題にはなりません。悪いサービスの例としては、明らかに態度の悪い店員がいた、全く注文を聞きに来ない、料理が来るまでに時間がかかった、などが挙げられます。
とはいえお店が混んでいる場合は、注文や料理の提供まで時間がかかるのは仕方がないことですし、日本と違いドイツには「お客様は神様」なんて考えがないのも事実。ここで「店員さんも忙しい中頑張ってるな」と思ったのならチップを渡せばいいですし、相当な時間がかかったのに全く謝罪などもなければ渡さなくて良いでしょう。
チップ詐欺
通りに面したレストランのテラス席などで食事をしていると、どこからか突然現れて演奏を始める個人やグループがいます。彼らは演奏しながら各テーブルを回ってチップを要求していますが、この場合は拒否して大丈夫です。
また、困ってもいないのに勝手に荷物を運んでチップを要求する人もいます。運んだ後にチップを拒否するとトラブルになる場合があるので、勝手に荷物を取られないようきっぱりと「結構です」と意思表示をする事が大切です。根本的なこととして、こちらが必要としていないのに何か手伝おうとする人はお金目的であることが多いので、注意するようにしましょう。
チップを渡すときにやると良いこと
気持ちの良いサービスを受けてチップを渡したい時は、ぜひ「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えてみてください。カードでチップ分を一緒に決済してしまう場合も、お会計の際に「美味しかったです」などと伝えれば店員さんも喜んでくれるはずです。
せっかく日本から来たのだから、お札を折り紙のように可愛く折って渡したいという方もいるかもしれませんが、これは止めておいた方が無難でしょう。レストランやお店にもよりますが、ウエイターは忙しくしていることが多く、凝った折り方がされたお札を広げることが煩わしいと感じる人もいるかもしれません。チップを渡すときはひとこと添える程度にするのが無難です。
3. ドイツ旅行でチップを渡す場面:レストラン
ドイツ旅行の際は、外食をする機会も多いと思います。そこで、レストランでチップを渡す際のポイントについて、解説していきたいと思います。
レストランではチップがサービス料として含まれている
ドイツのレストランでは料金にサービス料が含まれています。よくアメリカなどでは「チップを払うのが常識」などと言われますが、ドイツではそこまで厳しくありません。
レストランでチップを渡すのはこんなとき
<写真:Mops>
チップを支払うのは、お店のウエイターがテーブルまで注文を取りにきたり、料理を運んでくれたりといったサービスをしてくれるレストラン。次項で解説するように、カウンターで接客するセルフサービスのお店やインビス(ドイツのファストフード)では、チップを渡しません。
気持ちの良いサービスを受けたとき、ものすごく良いという訳ではないけれど特に不満もないという場合は、お会計の際に10%前後のチップを渡すのが一般的です。55ユーロのお会計プラス5ユーロのチップを渡したい時は、「60ユーロでお願いします(ゼヒツィヒ・オイロ・ビッテ)」と言ったり、60ユーロを渡して「これで結構です(シュティムト・ゾー)」と伝える方法があります。
チップ不要の飲食店はある?
<写真はイメージです。Photo by Pixabay>
飲食店であってもチップが不要な場合があります。たとえば、店員さんが席まで注文に来るのではなく、カウンターで接客をするファストフードチェーンやセルフサービス店。スターバックスやマクドナルド、バーガーキングなどがここに含まれます。
ほかにもドイツの町なかや駅に沢山あるパン屋さん、ケバブやアジア料理、ソーセージなどを販売するインビスでもチップは不要です。 また中世市やクリスマスマーケット、その他フェスティバルに出店している飲食店でもチップを渡す必要はありません。
4. ドイツ旅行でチップを渡す場面:ホテル
続いてはホテルでチップを渡す際のポイントについて。ドイツ旅行の滞在拠点としてホテルを選ぶ方は多いと思われますので、ぜひ確認してください。
ポーターに渡すチップ相場は?
高級ホテルでは入り口やチェックインロビーにポーターがいて、頼めば荷物を部屋まで運んでくれます。ポーターに荷物を運んでもらった際に渡すチップの金額は、1~2ユーロほど。荷物が多い場合、グループで宿泊していて何部屋も運んでもらった場合などは、状況に応じてチップを上乗せするとスマートです。部屋まで荷物を運び終わった際に、「ありがとう」と一言添えながら渡すようにしましょう。
ベッドメイキングに渡すチップ相場は?
<写真はイメージです。Photo by Pixabay>
ベッドメイキングに対するチップについては、ドイツ人の中でも「渡す」人と「渡さない」人に分かれているので、そこまでナーバスになる必要はないでしょう。実際のところ、筆者の周囲にいるドイツ人の知人、友人らはほぼ全員がベッドメイキングへのチップを「渡さない」派。筆者自身も、これまでドイツ国内のホテルでは、ベッドメイキングへのチップを渡したことがありません。
どうしてもチップを渡したい場合は1ユーロ程度、ベッドのサイドテーブルや机の上など、目につきやすい場所に置いておきましょう。ただし、メイドさんからすればお金を置いてあるだけなのかチップなのか、見分けがつかないという事態も想定されます。
紛らわしさを避けるために「ありがとう」と書いた紙を添えるなど、置いてあるお金がチップと分かるように工夫してあげると親切です。
その他(ルームサービスやコンシェルジュなど)
ホテルでルームサービスを頼んだ場合は、1~2ユーロをチップとして渡すのが一般的。沢山注文した場合などは、状況に応じてチップを増やすと感謝の気持ちが伝わります。
またホテル滞在で頼れる存在がコンシェルジュ。高級ホテルにはコンシェルジュが待機していて、ホテルにもよりますがレストランの予約や観劇チケットの購入などを代行してくれます。彼らに何か頼んだ場合も、2~5ユーロほど感謝の気持ちとして渡すのがスマートです。
ただ、何か頼むといっても近くの観光スポットや道順を教えてもらう程度であれば、チップを渡す必要はありません。
5. ドイツ旅行でチップを渡す場面:タクシー
ドイツ旅行中の移動でお世話になると思われるタクシー。ここでも、チップを渡す場合がありますので詳しく見ていきましょう。
運転手にチップを渡すときの相場は?
<写真はイメージです。Photo by Pixabay>
ドイツでタクシーを利用する場合は、駅前や空港、町の指定された場所などにあるタクシー乗り場を利用します。日本のように流しのタクシーは走っていないので、初めて利用する方は少し戸惑ってしまうかもしれません。ホテルからタクシーを利用したいときは、ホテルのフロントに頼んで呼んでもらうことができます。レストランから利用する場合も同様です。
さて、タクシーを利用する際のチップの相場は、レストランと同じく料金の10%前後が一般的です。運賃が22ユーロなら25ユーロ、27ユーロであれば30ユーロといったところでしょうか。渡し方もレストランとほぼ同じで、チップを含む合計金額を伝えても良いですし、チップ込みの料金を渡して「これで結構です(シュティムト・ゾー)」と言っても大丈夫です。荷物をトランクに入れてもらったりした場合は、少し多めに渡しても良いでしょう。
ドイツでタクシーに乗るときの注意点
最近では都市部を中心にカード払いができるタクシーも増えてきましたが、全てのタクシーがカード払いに対応している訳ではありません。もしカードで支払いたい場合は、乗車前にカード払いが可能か確認する事をおすすめします。
またそこまで多くはありませんが、ぼったくりタクシーの被害もチラホラ耳にします。被害に遭わないためにも、乗車前に目的地までおおよその運賃をドライバーに聞いてみると安心です。乗車時もメーターがちゃんと動いているかなど、しっかり確認するようにしましょう。
6. ドイツ旅行でチップを渡す場面:トイレ
ドイツではトイレが有料であることが一般的。いざというときに備えて、チップを渡せるように確認しておきましょう。
公共機関やデパートのトイレはチップ式
<写真はイメージです。Photo by Pixabay>
ドイツでは駅やショッピングセンター、デパートなどにあるトイレはほぼ全て有料です。大きな駅やショッピングセンターにあるトイレはゲート式になっていて、1ユーロを入れるとゲートが開いて入れるようになります。このとき機械から加盟店で使用できる50セント分のバウチャー(クーポン)が出てくるので、受け取るようにしましょう。
場所によっては入り口に清掃員が座っていて、料金を徴収しているところもあります。この場合は20セント~50セントほど渡すのが一般的です。清掃員がいなくてテーブルの上にお皿だけ置かれている場合もありますが、この時も20セント~50セントほど置くようにしましょう。
レストランやカフェ、電車や美術館のトイレは?
レストランやカフェのトイレは、利用者であれば無料で使用できますが、ごくごくまれに入り口で料金を徴収している場合があります。町歩き中どうしてもトイレが周囲に見つからない場合、お店に断ってからトイレを利用させてもらう事もできます。利用する前に50セントを目安にお店の人に渡すのがマナーです。
一方、電車内のトイレは無料で使用できます。駅でのトイレ代を節約したいという場合は、到着駅が近づいたら電車内で用を足してしまうのも良いでしょう。このほか美術館、博物館のトイレも無料で利用できる所が多いです。
美術館、博物館のチップは無料って本当?
<写真はイメージです。Photo by Pixabay
美術館、博物館において、チップが必要になるケースはほぼ無いでしょう。大きな荷物やリュックサックがある場合はロッカーに預けるよう指示されます。ロッカーでは1ユーロまたは2ユーロコインがデポジットとして必要になりますが、ロッカーを再び開けるとコインも戻ってきます。取り忘れのないよう注意しましょう。
7. ドイツ在住/長期滞在の場合はこんなチップも
最後はちょっと特殊なケースとして、ドイツに長期滞在したり在住したりする場合に渡すチップを紹介します。
美容院やサロン
ドイツに長期滞在していると、髪型が気になり美容院に通いたいという方もいるかもしれません。美容院でのチップは義務ではありませんが、担当してくれた美容師に1~2ユーロほど渡すという人は多いです。直接渡すほか、会計をするカウンターの上に美容師の名前が書かれた貯金箱のようなものが置いてあるところもありますので、そちらに支払う場合もあります。
シーンに合わせてスマートにチップを渡そう
日本人にとってはなかなか難しいチップを渡す、という文化。ドイツでも必ず渡さなければいけないという訳ではありませんが、「トリンクゲルド」という言葉で慣習として残っているように、感謝の気持ちを伝える意味でもサービスをしてくれた人に渡すのが一般的です。タイミングや金額などを旅行前にしっかり確認し、現地でスマートにチップを渡せるようにしましょう。
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Mops
- ドイツを拠点にトラベルライター、ドイツ語翻訳者、ドイツ観光の魅力を伝えるインフルエンサーとして活動しています。