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絶景に舞う空飛ぶ団子!岩手県一関市が誇る自然の芸術「厳美渓」へ
岩手県一関市が誇る人気観光スポット「厳美渓(げんびけい)」は、かつての仙台藩主・伊達政宗も絶賛したと伝わる東北地方屈指の景勝地です。
四季折々に変化する河岸の木々、川沿いに広がる美しく雄大な巨石・奇岩が訪れる人々の目を楽しませています。渓谷の周囲には軽装でも散策できるようウォーキングコースも整備されていて、誰でも渓谷美を楽しむことができます。自然の作り出す芸術といわれる天然記念物の甌穴、渓谷を舞う名物・空飛ぶ団子の秘密など、見どころと魅力を探ってきました。
目次
<3. お手軽に大自然を満喫!散策ルートとその見どころを紹介>
- 3.1 厳美渓といえばこれ!「天工橋」からの雄大な眺めは必見
- 3.2 清々しい風が吹き抜ける吊り橋「御覧場橋」を渡ってみよう
- 3.3 地元産のうるち米で作る名物団子をいただく
- 3.4 空駆ける団子は厳美渓の風物詩!
- 3.5 風と緑を間近に感じながらいただくフワフワ団子
- 3.6 地元に愛される懐かしい手切り団子を旅の思い出に
1. 厳美渓ってどんなところ?
名勝「厳美渓」は、栗駒山を源とした磐井川の侵食によって形成された奇岩、怪岩、甌穴(おうけつ)を見ることができる、全長約2kmにわたって続く渓谷です。滝あり急流あり深淵ありの複雑な水流、エメラルドグリーンの水と木々が映し出す美しい色彩のコントラストを年間を通じて楽しめます。
とりわけ緑の木々の中に紅葉が混じり合う晩秋の頃と、両岸に植えられた貞山桜が咲き誇る4月下旬の時期は格別。県内だけでなく近隣の秋田県、宮城県のほか東京都など関東から訪れる人など、多くの観光客でにぎわいをみせます。
2. 自然が生み出した奇跡の渓谷
厳美渓は約900万年前の栗駒山の噴火で生じた「石英安山岩質溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)」が流れる川や湧き水によって、長い年月をかけ侵食されてできました。その豊富で複雑な水流により岩床の岩盤にできたへこみに石が入り、回転しながら周りを削ってできた丸い窪みを甌穴といい大変めずらしいものになります。
かつての仙台藩主の伊達政宗公も「松島と厳美がわが領地の二大景勝地なり」と度々この地を訪れ、東北屈指の渓谷美として昔から親しまれてきました。1927年には国の名勝・天然記念物に指定され名実ともに岩手県を代表する観光地として広く知られるようになります。2011年に起こった東日本大震災の際には流れ、水量ともに少し変化があったそうですが清らかな水はその後も変わることなく今も新しい景観や甌穴を作り続けています。
3. お手軽に大自然を満喫!散策ルートとその見どころを紹介
散策路がしっかりと整えられていて歩きやすい厳美渓は気軽に散歩するのに最適です。天工橋から下流のエリアをおよそ30分で周遊するルートは、短い中でも大自然を間近に感じることができるおすすめのコースになっています。
それでは厳美渓の玄関口とも言える天工橋から散策を始めたいと思います。
3.1 厳美渓といえばこれ!「天工橋」からの雄大な眺めは必見
ゴオゴオという急流の音ととも飛び込んでくる天工橋(てんぐばし)は厳美渓のほぼ中央に位置するランドマーク的な存在。エリアを代表するビュースポットの橋上からの眺めは圧巻で、日中になると多くの観光客でにぎわいをみせます。ここはぜひ午前中に訪れてみてください。大自然を独り占めしているような気分が味わえますよ。
渓谷の淵まで降りていけるよう石階段も整備されていて、間近に渓谷美を楽しめるようになっています。
ゴツゴツした岩と石畳は少し滑りやすいので降りる際はスニーカーなどの歩きやすいやすい靴で向かう事をオススメします。
3.2 清々しい風が吹き抜ける吊り橋「御覧場橋」を渡ってみよう
天工橋から県道を左岸沿いに歩いていくと現れる大きな吊り橋が「御覧場橋(ごらんばばし)」です。こちらも人気のスポットということで、記念写真を撮られている方がたくさんいました。堅牢な造りとはいえ吊り橋なので思っている以上に揺れます。景観に見とれて物を落とさないように気をつけてくださいね。
御覧場橋からは上流の荒々しい岩場と急流の様子、下流の穏やかな川の流れの両方を楽しむことができるのも魅力です。
天工橋と御覧場橋を繋ぐ散策路には伊達政宗公が植えたとされる「貞山桜」があります。400年近く経った現在でも春になると見事な花を咲かせてくれるそうです。桜と渓谷という、かなり珍しい光景も厳美渓ならでは。
晩秋の紅葉と水面の緑が溶け合う時期は、さらに神秘的で美しい景色に。四季折々のさまざまな姿が楽しめる厳美渓ですが、春と秋にはかなりの数の観光客でにぎわいます。
散策路の途中からは天然記念物の甌穴を見下ろせるスポットも。現在進行形で変化を見せる厳美渓の姿がここにあります。
3.3 地元産のうるち米で作る名物団子をいただく
天工橋、御覧場橋と歩いた後は、厳美渓名物のおいしい団子を食べながら少し休憩してみてはどうでしょうか。土産物屋さんやレストランがある「厳美渓レストハウス」の姉妹店「いつくしだんごの館」ではコーヒーや甘いものなどの軽食がいただけます。
この地域では昔から行事と餅の関わりが密接で、神事、仏事、季節の変わり目や農作業の区切りに餅をつき、食べる習慣・文化がありました。団子屋さんが多いのも頷けます。
"いつくし"というのは地名の"五串"から名づけられたそうです。
団子は、もち米でなく地元産のうるち米を使用して作っているため、モチモチに加えてサクッとした食べ応えのある食感が特徴です。
今回は白玉風の団子が入った「アイスだんご」を注文。栗と小豆が乗ったアイスクリームの下には一口サイズの団子が入っています。洒落た陶器でいただく和風スイーツは甘すぎない上品な味で、ほろ苦い抹茶との相性もピッタリでした。
厳美渓にはビジターセンターのような観光案内所はありませんが、「いつくしだんごの館」の隣にある厳美渓レストハウスにはお手洗いやお食事処、お土産屋さんなどがあります。ぜひ立ち寄ってみてください。
いつくしだんごの館・厳美渓レストハウスの基本情報
- 住所:岩手県一関市厳美町鴻ノ巣132
- 営業時間:9:00〜17:30
- 料金:入場無料
- 駐車場:自然休養村管理センター市営駐車場(無料、約70台)、サハラガラスパーク駐車場(無料、約200台)、道の駅厳美渓(無料、大型:13台、普通車:174台 ※身障者用4台)
- 定休日:年中無休
- 車でのアクセス:東北自動車道一関ICより国道342号を秋田方面へ約10分
- 電車のアクセス:JR東北本線「一関駅」下車、バス20分
- HP:http://genbikeiga.com/?page_id=13
3.4 空駆ける団子は厳美渓の風物詩!
テレビなどのメディアでも度々取り上げられる"空飛ぶ団子"こと「かっこうだんご」。見て、食べて、楽しい厳美渓の名物をぜひ体験してみてください。天工橋の淵に建てられた趣ある「東屋(あずまや)」から注文することができます。
ロープに固定されたカゴに代金(400円)を入れ木づちでカンカンと板を鳴らすと、対岸の店「郭公屋(かっこうや)」からご主人が手を上げて答えてくださいます。
スルスルとすごい速さでカゴが引き上げられていきます。
しばらくすると、団子と紙コップのお茶が入ったカゴが勢いよく対岸から飛んできます。着地する直前にピタッと止まる熟練の技に毎度歓声が起こります!
厳美渓でも屈指の人気スポットのため夕方には完売してしまうことが多いとのことで、体験するなら午前中に訪れるのが確実です。
3.5 風と緑を間近に感じながらいただくフワフワ団子
東屋の対岸にある「郭公屋」店内でも団子を食べることができます。創業はなんと明治40年とのことで100年以上の歴史を持つ名店。レトロで味わいのある店内で居心地のよい雰囲気です。
緑に囲まれたテラス席で岩にあたる水の音を聞き、爽やかな風を感じながらいただく団子は美味しさも倍増します。
時折聞こえてくるロープを引き上げる音も、厳美渓の風物詩。
お店の空間を楽しみながらゆったりいただくかっこう団子も最高です。
こしあん、ゴマ、みたらしの3種類の団子のフワッとした食感は、いつくし団子ともまた異なる味わいがありました。同じ一関産でも使用されている米が違う事が関係しています。
今回は二階で四代目社長・千葉晴夫さんの名人芸を間近で見させていただきました!千葉さんいわく、籠をピタリと止めるブレーキがとても難しいのだそうです。
全国から観光客が訪れる厳美渓ですが、近年では外国からのお客さんも多くなってきたそうです。東屋を見つめる千葉さんの優しい眼差しから「楽しい思い出と味を持ち帰ってほしい」という想いが伝わってきました。
郭公屋の基本情報
- 住所:岩手県一関市厳美町字滝ノ上211
- 営業時間:9:00~17:00
- 料金:3色だんご400円〜
- 駐車場:店舗西3台、向かい2台、左斜め向かい3台、自然休養村管理センター市営駐車場(無料、約70台)、サハラガラスパーク駐車場(無料、約200台)、道の駅厳美渓(無料、大型:13台 普通車:174台 ※身障者用4台)
- 定休日:無休(冬季休業あり)
- 車でのアクセス:東北自動車道一関ICより国道342号を秋田方面へ約10分
- 電車のアクセス:JR東北本線「一関駅」下車、バスで20分
- HP:なし
3.6 地元に愛される懐かしい手切り団子を旅の思い出に
最後にご紹介するのが、地元の方々に愛される団子屋「滝見だんご」です。
ガラガラと引き戸を開けると一口サイズに団子をちぎっている女将さんが。目があったので軽く挨拶してお品書きを見ます。
5色のお土産セットを買っていかれる方が多いそうですが、せっかくなので店内でいただくことにしました。
「てぎりだんご(320円)」は、甘いものが続き醤油味が恋しくなっていたので6種類の味の中からしょうゆ味の納豆をチョイス。
つやつやとした団子と納豆の香りがよく絡み、サクサクした歯触りもあってとても食べ応えと満足感がありました。
地元産のさまざまなうるち米で作られた団子が味わえるのも厳美渓の魅力。それぞれのお店の味を食べ比べてみてその違いを楽しんでみてください!
滝見だんごの基本情報
- 住所:岩手県一関市 厳美町滝ノ上291-2
- 営業時間:9:00〜17:00
- 料金:てぎりだんご320円〜
- 駐車場:店舗併設は無し、自然休養村管理センター市営駐車場(無料、約70台)、サハラガラスパーク駐車場(無料、約200台)、道の駅厳美渓(無料、大型:13台 普通車:174台 ※身障者用4台)
- 定休日:年中無休
- 車でのアクセス:東北自動車道一関ICより国道342号を秋田方面へ約10分
- 電車のアクセス:JR東北本線「一関駅」下車、バス20分
- HP:なし
4. 厳美渓へのアクセス方法
厳美渓へのアクセスはJR一ノ関駅からタクシーや岩手県交通バスで向かう方法が一般的です。
約20分で厳美渓の入り口まで行くことのできるバスはとても便利なのですが、本数が1時間に一本程度と少ないので時間を気にせず行動できる車で向かうのがおすすめです。
一ノ関駅近辺にレンタカーショップもありますので利用してみるのも手です。他県から車でお越しの場合は一関ICで降りて約10分の道のりになります。
厳美渓には数多くの駐車場があり、混み合う時期でなければ比較的容易に停めることが可能です。
一番近い「厳美渓レストハウス・駐車場」は300円と非常に良心的な料金で利用可能で、食事やお土産を買うと無料になるサービスもあります。
「自然休養村管理センター市営駐車場」は徒歩5分ほどの場所にある無料駐車場で、収容台数は70台ほど。また、厳美渓から10分くらい離れてしまいますが174台収容可能な無料駐車場がある「道の駅厳美渓の駐車場」もおすすめです。
>岩手県交通バス時刻表「厳美渓線(一関駅前〜渓泉閣前)」の詳細はこちら
5. いつでも新しい発見がみつかる場所(終わりに)
厳美渓の見どころを中心に周遊コースやグルメをご紹介しました。市街地からのアクセスも大変よく、どなたでも手軽に楽しめる大自然と渓谷美、そしておいしい団子をぜひ生で味わってみてください。
ベストシーズンは桜が咲く4月上旬〜5月上旬と紅葉の時期の10月中旬〜11月上旬ですが、緑の美しい新緑の時期、冬の雪と渓谷のコラボレーションなど、いつ訪れても素晴らしい景色に出会えます!
「年々進んでいく侵食によってその姿は少しずつ変わってきている」というお話しを聞きました。現在進行形で変化する厳美渓の風景をこれからも追いかけていきたいですね。
厳美渓の基本情報
- 住所:岩手県一関市厳美町滝ノ上地内
- 電車でのアクセス:
一関市観光協会の駅案内所は一ノ関駅西口改札付近、 一関市観光協会の事務所は一ノ関駅西口から徒歩1分 - HP:http://www.ichitabi.jp(一関市観光協会)
※こちらの記事は2019年6月に取材した情報です。期間限定の情報もありますので、最新情報は公式HPをご確認ください。
【岩手一口メモ】
岩手には厳美渓以外にも、厳美渓から近い猊鼻渓や栗駒山など、さまざまな観光スポットがあります。下記でその観光スポットを効率よくまわれる格安ツアーからちょっとリッチなツアーまで、たくさんのツアーを紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。ひとりや恋人、友人、家族だけで旅行を楽しみたい方はお得かつ手続きがとっても楽なフリープランもおすすめです。
<日数と費用>(関東発目安)
●旅行日数:2~4日間
●ツアー費用:24,000円~110,000円
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Ando
- 東京在住、一児のパパ。ライター業の傍ら、音楽家として演奏仕事で日本全国を飛び回っています。また楽譜編集や校正のデスクワークにも従事。気ままな一人旅のほか、家族で楽しめるような旅をご提案していきます。