【アメリカ・インディアナ州】アーミッシュが送る究極のエコ生活を学んできました

アーミッシュ 現代の技術に頼らず暮らしている人たち

世界最大の経済大国アメリカで、移民当時の生活様式を維持し、電気や自動車などの現代技術に頼らず暮らしている人たちがいます。「アーミッシュ」と呼ばれる、キリスト教プロテスタントの一派です。

私は今回、シカゴから車で約2時間半かけて、彼らが多く住むインディアナ州北部を訪れました。そして、アーミッシュがいかに環境に負担をかけずに生活しているかを学んできました。

目次

今回訪れたアーミッシュをご紹介

アーミッシュは18世紀以降、迫害から逃れるため、ヨーロッパから北米へ渡ってきました。現在はアメリカのペンシルバニア、オハイオ、インディアナ各州のほか、カナダのオンタリオ州に多く住んでおり、宗教上の理由で電気や自動車などの現代技術を拒み、昔ながらの生活を続けています。

まず初めに、今回訪ねた場所を駆け足で紹介したいと思います。

1. Blue Gate Garden Inn(ブルー・ゲート・ガーデン・イン)

ブルー・ゲート・ガーデン・イン

今回の宿泊先です。部屋は広くて清掃が行き届いており、プールやホットタブ、フィットネスセンター、アイスクリーム店までありました。朝食ビュッフェもおいしかったです。ゆっくりと羽を伸ばせるホテルです。

  • 住所:800 S Van Buren St, Shipshewana, IN
  • 公式サイト:Blue Gate Garden

2. Menno-Hof(メノホフ)

メノホフ

アーミッシュが運営するインフォメーションセンター。ガイドツアーや展示を通じて、アーミッシュの歴史や生活、信条を存分に学びました。旅の最初に訪れることをおすすめします。

  • 住所:510 S Van Buren St, Shipshewana, IN
  • 公式サイト:Menno-Hof

3. Blue Gate Restaurant & Bakery(ブルー・ゲート・レストラン&ベーカリー)

ブルー・ゲート・レストラン&ベーカリー

アーミッシュの家庭料理をビュッフェで堪能しました。日本の唐揚げのようなフライドチキンや、アップルクリスプが絶品でした。単品料理もあります。ベーカリーではジャムなどのお土産が探せます。

4. アーミッシュのお宅訪問ツアー

アーミッシュの家庭

アーミッシュの家庭を訪ねるツアー「Evening in an Amish Home Tour」に参加しました。フレンドリーなご夫婦が私たち観光客の様々な質問に答えてくれました。一生忘れられない経験になりました。

  • 集合場所:Blue Gate Restaurant & Bakery
  • 公式サイト:Blue Gate
    ※Evening in an Amish Home Tourは、5月〜10月:火・金曜、日時要確認・要予約

5. The Barns at Nappanee, Home of Amish Acres(アーミッシュ・エーカーズ)

アーミッシュ・エーカーズ

米国国家歴史登録財に登録されている、一部復元されたアーミッシュの農場。ガイドツアーや馬車の乗車体験を通じて、アーミッシュの生活を学びました。 売店でのお土産探しや、レストランでの食事も楽しめます。

6. 脇道

アーミッシュの生活

これらの観光施設や大通りから少し離れ、脇道に入ると、日常生活を送るアーミッシュを垣間見ることができました。

すぐにでも実践可能?アーミッシュのエコな暮らし

さてここからは、今回の旅を通じて学んだ、アーミッシュの環境に優しい暮らしぶりについてレポートしたいと思います。

アーミッシュの生活

アーミッシュは原則として、電気や電気製品を使いません。アメリカでは、火力と原子力による発電が大半を占めています。電気を使わなければ、発電過程での化石燃料の消費や大気汚染、放射能漏れのリスクに加え、有害物質を含む家電ごみの発生を抑えられます。
【○は使用するもの、×はしないもの】

  • 照明:○ガス灯/×電球、蛍光灯
  • 通信、情報収集:○本、新聞、会話/×電話、スマホ、テレビ、ラジオ、パソコン、インターネット
  • 掃除:○ほうき/×掃除機
  • 洗濯:○洗濯板、自然乾燥/×洗濯機、乾燥機
  • 食材の保存:○冬の間に集めた氷を入れた箱、瓶・缶詰、燻製(くんせい)/×冷蔵・冷凍庫
  • 調理:○ガスコンロ、薪・石炭ストーブ/×電磁調理器(IH調理器)、電子レンジ
  • 暖房:○薪・石炭ストーブ/×電気ストーブ
  • 冷房:○うちわ、水浴び/×エアコン、扇風機
  • 農作業:○農機具を馬に引かせる/×トラクター(大型の農業機械を使わないことで、土壌の劣化を防ぎ、肥料の使用を抑える)
  • 水道:井戸水を、ガスエンジンやエアー駆動式ポンプでくみ上げる(水の加熱にはガス給湯器や、薪ストーブを使用)

ただし、ガスや太陽光、風力などで自家発電した電気を使用することは認められているそうです。観光業や建設業に従事するアーミッシュは、仕事の都合上、電話やパソコン、インターネットを使わざるを得ないとのこと。急病など緊急時は電話で救急車を呼んだり、最新の医療機器が揃う普通の病院で治療を受けたりします。

新たな技術は、必要だと判断した場合、信仰に反しないかどうかを慎重に見極めた上で受け入れているそうです。

移動手段は馬車と自転車

移動には自動車ではなく、馬車や、自転車を使用します。自動車は再生不可能な燃料(=石油)で動き、大気汚染物質を排出し、役目を終えた後は廃棄され、地球上に残り続けます。一方、馬は再生可能な燃料(=飼料)で動き、肥料に使えるふん尿を排出し、亡くなれば土に還ります。

遠方に出かける時は、アーミッシュでない人が運転する車や、公共交通機関を利用するそうです。

アーミッシュの生活

私たちは、工場で大量の資源やエネルギーを投入して生産されたものを消費し、大量に廃棄しています。アーミッシュは洋服や帽子、寝具、石けん、家具、そして家まで、ありとあらゆる物を自分たちの手で、必要な分だけ作ります。

そしてアーミッシュは、無抵抗(平和)主義者。環境破壊行為である戦争に反対し、兵役を拒否します。

さいごに

電気や自動車などの現代技術は、私たちの日常生活を便利にし、労働生産性を高め、自由に使える時間を増やしてくれました。一方で、資源の浪費や環境問題を引き起こし、多くの人が仕事を失うようにもなりました。

アーミッシュの生活は過酷で不便に見えますが、自然との共生や相互扶助といった、大切なことを思い出させてくれます。幼い頃から職人的技術を学び、よく働いているので、私たちが思うほど大変ではないのかもしれません。1泊2日の短い旅でしたが、人生や社会の在り方を含め、いろいろなことを考えさせられました。

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アメリカ在住の某日系メディア記者。環境保護主義者。趣味は寺社巡り、温泉、グルメ探索。

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