昼なのに誰もいない!?イタリア・シチリア島の溶岩でできた町「ランダッツォ」を散策!

シチリア島を代表するものと言えば、イタリア随一の美しさを誇る海、古代ギリシア時代の遺跡、トマトソースをベースにした美味しい料理、それから毎日でも食べられるグラニータなどがありますが、もう一つ、今も活火山として火山活動が盛んなエトナ山も挙げることができるでしょう。

数千年にもわたるエトナ山の活動が、現在のシチリア島北東部の地形を形成してきたといっても過言ではありません。そんなエトナ山近郊の観光地を探していた私は、ランダッツォ(Randazzo)という小さな町を発見しました。なんでも、ここは「溶岩でできた町」と謳われているとか。そのフレーズに惹かれて「ぜひ行ってみたい!」と思い立ち、真夏の7月(2018年)実際に行ってみました。

「溶岩でできた町」は本当に溶岩でできていたのか?観光スポットは?住民は?まだ日本ではほとんど知られていないランダッツォの謎に迫ります。

目次

1. ランダッツォへのアクセス

ランダッツォへ行くには、シチリア島北東部のジャッレと東部のカターニアという、エトナ山麓の東側を囲むようにして運行する路線である「エトナ山周遊鉄道(Ferrovia Circumetnea)」を利用することによってアクセスできます。

通常は、カターニア駅から乗車して日帰り旅行をするような場所ですが、私はタオルミーナ(シチリア随一のリゾート地)で宿泊した後にランダッツォへ向かったため、ジャッレ駅から乗車しました。以下、行程はこんな感じです。

※ランダッツォまでの交通機関については、トレニタリア(Trenitalia)のホームページとエトナ山周遊鉄道(Ferrovia Circumetnea)のホームページを参考にしてみてください。

1.タオルミーナ・ジャルディーニ(Taormina Giardini)駅でトレニタリア・レジョナーレ線に乗車し、ジャッレ・リポスト(Giarre Riposto)駅で下車(15~30分、2.5ユーロ)

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

ジャッレ・リポスト駅は、あまり下車する人もおらず静かです。もし乗り継ぎ便がなければ、構内のバールで時間を潰すのがよいでしょう。

2.トレニタリアのジャッレ・リポスト駅からエトナ山周遊鉄道のジャッレ(Giarre)駅まで徒歩で移動(3~4分)

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<この看板に沿って進むと......。写真出典:BUONO!ITALIA>

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

周遊鉄道のジャッレ駅に着きます。とっても古く、今は使われていないのかと思うほどでした。

3.ジャッレ駅でエトナ山周遊鉄道に乗車し、ランダッツォ駅で下車(1時間、4.3ユーロ)

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

タオルミーナからジャッレまで、乗り換えや待ち時間を含めて約2時間の行程です。

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

チケットは構内にある券売機もしくは窓口で購入することができます。購入が難しい場合は、駅員さんや近くの人に手伝ってもらうのが良いでしょう。

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

レジョナーレ線と同じく、チケットの打刻はお忘れなく!近づけると「ピッ」という音がするはずです。これで鉄道に乗るための準備は完璧です。

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

エトナ山周遊鉄道がかなり長いのですが、車両はけっこうおんぼろでよく揺れます。この日は友人と朝4時まで飲み会をしていたので、二日酔いにはかなり堪えました(笑)。

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

ちなみに窓からは、遠目にエトナ山を望めますし、サボテン畑やブドウ畑がいっぱい見えました。この日のエトナ山は火山活動をしており、遠くからでも煙が。それでも全体的な景色は茶色で、やはり荒野のような印象を与えます。

4.ランダッツォ駅到着後、徒歩で旧市街へ(10分程度)

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

電車に揺られてランダッツォに着くと、とにかく暑い!海が目の前だったタオルミーナに比べて標高が高く、ギラギラの太陽が強く私たちの身体をさしてきます。

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

赤い屋根と緑の山並みがキレイに映えますね。ランダッツォ自体も標高は高いですが、周囲が山に囲まれているのがよくわかります。ちなみにエトナ山山頂の標高は約3,350mです。

2. ランダッツォの観光スポットは?

日本ではまだまだ知られていないランダッツォですが、見どころはあります。特に教会は、ランダッツォを訪ねたらぜひ見学してみて欲しいと思います。

1.ランダッツォのドゥオモ(サンタ・マリア・アッスンタ聖堂)

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

ランダッツォで最も有名なのが、ドゥオモ、別名・昇天の聖母マリア聖堂(Basilica di Santa Maria Assunta)です。この聖堂は、なんとエトナ山から採れる溶岩によってつくられた教会。この町最大の見どころと言っても過言ではないでしょう。

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

ノルマン・ゴシック様式となるこの教会は、13世紀前半に建てられており、外見がグレー色なのが特徴です。また中に入ると、外の灼熱地獄とは打って変わってとても涼しく、他の観光客が1人もいなかったので、私のグループだけで鑑賞することができました。

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

外見も内装も、やはりローマなどの教会と比べれば質素ですが、教会を支える重要な柱やその他の外壁は今でも溶岩を間近で確認することができます。少しだけ触ってみると非常にひんやりとしていて、この溶岩が教会内の涼しさを生み出しているようでした。

【昇天の聖母マリア聖堂(Basilica di Santa Maria Assunta)】

  • 住所:Via Umberto, 95036 Randazzo, Sicily, Italy

2.サン・ニコロ教会

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

次に訪れたのが、町の少しだけ外れにあるサン・ニコロ教会(Chiesa di San Nicolo)で、こちらはドゥオモよりも壁の色が真っ黒で、溶岩らしさが一層分かりやすいです。しかし!この日は地元で行われる結婚式の準備をしていたようで、中に入りにくい雰囲気だったため建物内の鑑賞は断念......。

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

ただ、町中に鳴り響く教会の鐘の音はとても素敵でしたよ。

【サン・ニコロ教会(Church of St. Nicholas)】

  • 住所:Via Duca degli Abruzzi, 95036 Randazzo Italy

3. ランダッツォには人が全くいなかった!?

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<昼間なのに町にはほとんど人がいません。写真出典:BUONO!ITALIA>

私がランダッツォに来た日は日曜日(イタリアでは日曜日に多くのお店が閉まります)ではなかったのですが、当時は外を歩いていて一人も観光客に出会いませんでした。さらに言えば、住民のような人に会ったのも、4時間程度の滞在で数人程度です。お店もかなり閉まっていて、バールを探すのに苦労しました。

ランダッツォがゴーストタウン並に人がいなかったのは、おそらく知名度の低さやアクセスの難しさ、そして暑い気候などの理由があると思います。現地の人々は、この時間帯お家の中で過ごしていたのではないでしょうか。

また、日本語でランダッツォについて書かれている本やサイトはかなり少なく、英語でも決して多くはありませんでした(※ライター執筆当時)。

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<一面を山に囲まれたランダッツォの町。エトナ山周遊鉄道沿いのアクセスは決して良くない分、誰にも知られていない秘境っぽさも魅力的です。写真出典:BUONO!ITALIA>

しかもランダッツォは、カターニアからもタオルミーナからも2時間程度とまあまあ遠い。さらにはこの日は35度前後の猛暑日で、10分に1回は休まないとくらくらしてしまいそうでした。

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<町中にびっくりするような廃墟があり、思わず写真を撮ってしまいました。写真出典:BUONO!ITALIA>

この記事をお読みの方は、「なんでわざわざこんなところに行ったのか」と思われるのも当然かもしれません(笑)。ですが、それでも私はネットで「溶岩の町」と言われる場所がどんな所なのか、写真や本ではなく、自分の目で確認したいと思ったのです。

ほとんど誰も行ったことがない場所に自分が足を踏み入れると、本や記事などの情報の受け売りではない、自分が見た生の景色やその時抱いた感情をとっておくことができます。

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<人が少なければ写真撮影も自由自在。写真出典:BUONO!ITALIA>

結果的に、世界でも珍しい溶岩でできた聖堂を鑑賞したり、イタリアの小さな町・村特有の雰囲気を肌で感じたりできて、とても楽しい時間を過ごすことができました。

4. 真夏のイタリア観光注意ポイント

さて、どんなに体力がある方でも、イタリアの酷暑の中で一日観光するのは至難の業。私がシチリア旅行をした時は、毎日10~15kmは観光のために歩いていた気がしますが、次のようなポイントに気を付けていました。この項目では、イタリアの暑い夏を乗り切るコツをお教えします。

1.どんどん店に入る!

少しでも休みたいと思ったら、迷わずにバールやスーパーなどに駆け込みましょう。特に小さい町の場合は、お店が少ない上に昼間は店自体を閉めてしまう場合も多々あり、「あとでいいや」と思っていると後悔します!日本にいる時よりもこまめに涼むようにしてください。

2.500mLの水を定期的に買う

私は、旅行中いつも2Lのペットボトルを持ち運ぶようにしていたのですが、外を歩いているうちに水が沸騰したのかというくらい熱くなってしまい、飲めなくなってしまいました。水を多めに持っていても、喉が渇いた時に熱湯しかなかったら身体を冷やすことが出来ませんよね?

そこで、こまめに500mLのペットボトルを購入し、保冷機能のあるボトルケースなどに入れた上でカバンにしまうのがおすすめです。

3.日焼けには特に気を配る

イタリアの夏は湿度が低く、日本にいる時より過ごしやすく感じられるかもしれません。しかし乾燥している分、日差しによる肌へのダメージは深刻で、一日外にいるだけでやけどをしたみたいに肌が真っ赤になってしまうことも。

涼しくとも油断せず、こまめに日焼け止めを塗るようにしましょう。ちなみに私はシチリア島旅行の1~2週間、一切日焼け止めを塗らなかったら、ローマの家(ホームステイ先)に戻ってからも1週間ほど身体が真っ赤になったまま熱くなり、体調を崩してしまいました。男性の皆さんも「焼きたいから」とか言わず、日焼け止めを塗りましょう!

さいごに

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<写真出典:BUONO!ITALIA>

ランダッツォはシチリア島の本当に小さな町で、大都市に肩を並べるような人気観光地ではないかもしれません。しかし、こうして小さな町の独特の雰囲気を味わうことは、パッケージ旅行や有名スポットだけを回るタイプの旅行では、決してできない貴重な経験。今でもたまに友人と「ランダッツォは暑くて疲れたのに、意外とよかったよね」と思い返すほどです。

イタリアは各地の特色に多様性があり、似た町は一つもないと言われるほど。こうした主要な観光地のない町に行ってみるのも、ある意味でイタリアの楽しみ方なのではないでしょうか。

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イタリア・ローマ大学に1年留学。イタリア各地の魅力を学生ならではの視点から紹介できたらと思っております。南米一人旅を敢行するほど旅が大好きです!

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