スペインの歴史を感じる城壁に囲まれた信仰の町アビラ

前回ご紹介したセゴビアに続き、マドリーから日帰りで行ける世界遺産の町をご紹介したいと思います。今回は城壁と聖女の町、アビラ。旧市街と城壁外の教会群は、1985年にユネスコの世界遺産に登録されています。さて、どんな町なのでしょう。

目次

カトリック信仰の拠点だったアビラの町

カスティーリャ・イ・レオンの荒涼とした土地にあるアビラは、グレドス山脈に近く標高はおよそ1,120m。スペインの県都の中ではもっとも高地にあります。そのため、夏でも朝晩は長袖が必要なほど涼しく、冬の寒さが厳しい町です。ローマ属州時代にアベラと呼ばれていた植民地が町の名前の起源になっています。

8世紀はじめにイベリア半島に侵攻したイスラム教徒の支配下におかれた後、1085年にアルフォンソ6世王率いるキリスト教徒が町を奪回しました。16世紀には聖女テレサ(サンタ・テレサ)が修道院改革をおこなったことからカトリック信仰の拠点となり、小さな町には大聖堂をはじめ多くの教会や修道院が残っています。

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保存状態のいい城壁の上を歩いてみよう

町の一番の見どころは、旧市街をぐるりと囲む全長およそ2.5kmの城壁です。イスラム勢力から町を取り戻した後、1090年に建設がはじまり、9年の歳月を費やしたといわれています。高さは平均して12m、幅は3m。9つの城門と87もの塔を持ち、非常に保存状態の良いことで知られています。

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<城壁の外側を練り歩く聖週間の行列>

城壁を眺めながら外側を散策するのもオツですが、やはり城壁の上を歩いてみたいもの。アルカサル門、観光案内所のあるカサ・デ・ラス・カルニセリーアス、カルメン門、アダハ橋門に入り口があります。料金は5ユーロなり。南側の一部は通れないので一周できないことは残念ですが、高いところから見下ろす旧市街やカスティーリャの大地は旅の忘れられない風景になることでしょう。

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裸足の修道女サンタ・テレサ

アビラ出身でもっとも有名なのは、聖女テレサ(1515年~1582年)。子どもの頃からとても信仰深く、19歳の時に自らの意志で修道女になります。キリストの教えから外れた修道院生活を目にしたことから修道院改革に尽力した人生を送るようになり、没後の1622年に列聖されました。テレサ設立した裸足のカルメル会は規律が厳しく、冬は厳寒のアビラにも関わらず年間を通して裸足、もしくは革か木のサンダルを履き、むち打ちの儀式まであったそうです。

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<エンカルナシオン修道院にある聖女テレサの像>

城壁内には生家跡に建てられたサンタ・テレサ修道院、城壁の外には修道女となってからの27年間を過ごしたエンカルナシオン修道院やテレサが最初に設立した聖ホセ修道院(別名ラス・マドレス修道院)と、ゆかりの宗教施設が町の観光スポットになっています。


<生家跡に建てられたサンタ・クララ修道院>

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<聖女テレサが27年間暮らしたエンカルナシオン修道院にはゆかりの品々がおさめられている>

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<サン・ホセ修道院の礼拝堂>

ちなみに卵黄と砂糖でつくる、ジェマス・デ・サンタ・テレサという小さなボール状のアビラ銘菓もありますが、これは聖女テレサの名前を勝手に拝借しているだけだそうです(笑)

スペインではじめてゴシック様式を取り入れた大聖堂

カトリック信仰の拠点だったこともあり、アビラにはほかにも宗教施設が多数点在します。人口6万人と決して大きくない町ながら、大聖堂(カテドラル)もあります。これは12世紀に建築が始まり14世紀に完成したことから、ロマネスク様式とゴシック様式が混在したつくりで、スペイン最初のゴシック様式大聖堂としても知られています。後陣にある塔が城壁の一部となっていることが特徴的です。

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少し離れた場所から城壁に囲まれた旧市街を見てみたい方は、アダハ橋門から場外に出て川を渡り、クアトロ・ポステスまで足を伸ばしてみてください(この記事のTOP画像です)。高台にある16世紀に建てられたギリシャを彷彿させる建造物で、絶好の展望スポットになっています。

アビラへのアクセス

アビラはマドリーから100km近く離れていますが、交通の便がいいので日帰りが可能です。列車だとチャマルティン駅からアビラ駅までの所要時間は約1時間半で、平日はほぼ1時間に1本運行しています。バスはヒメネス・ドラド(Jimenez Dorado)社で、マドリーの南ターミナルから同じようにほぼ1時間おきの出発、1時間半前後で到着します。また、本数は少ないものの、アビラーセゴビア間はバスで1時間なので、マドリーから周遊するのもいいですね。アビラのバスターミナルにはコインロッカーもあります。アビラ駅とバスターミナルは隣接してるので、マドリーから列車に乗ってアビラに着き、荷物を預けて観光した後、バスでセゴビアに向かうことも可能です。

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最後に

城壁に宗教施設とお堅いイメージのアビラですが、町を散策しながら感じられる中世の空気感は歴史好きにはたまらないのでしょう。世界中から訪れる人が絶えません。スペイン旅行の際は、ぜひアビラ訪問をご検討くださいね。なお、アビラはおいしいアビラ牛が有名です。ぜひともアビラ牛のチュレトン(Tボーンステーキ)をご賞味あれ。

取材協力

アビラ観光局:http://www.avilaturismo.com/

Muchas gracias!!

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田川敬子(Keiko Tagawa)

1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。

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