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安心?高い?イタリアで夜行列車を3回利用して思ったメリットや注意点
日本では深夜帯の長距離移動といえば、夜行バスが一般的。それはイタリアでも一緒ですが、夜行列車という選択肢もあります。実はイタリアを含むヨーロッパでは、夜行列車は一般的な長距離移動手段。私もローマ留学中に3回ほど利用しました。
小説「深夜特急」を読まれたことがある方にとっては、夜行列車はきっと憧れの存在なのではないでしょうか。
今回は、私が実際に夜行列車を利用した路線について体験談を交えながら、車内の様子や車内での過ごし方、使って気がついたメリットや注意すべきことについてご紹介します。
目次
- 私が乗ったイタリアの夜行列車1. インターシティ ノッテ
- 私が乗ったイタリアの夜行列車2. テッロ
- イタリアの夜行列車に乗るメリットは?
- イタリアの夜行列車に乗る時はここに注意!
- イタリアの夜行列車を予約する方法
- 〇〇な人はイタリアの夜行列車に乗ってみて!
私が乗ったイタリアの夜行列車1. インターシティ ノッテ
<撮影:ゆうさん>
最初に取り上げるのは、「インターシティ ノッテ(Intercity Notte)」です。この列車自体はフランス、ドイツなど西ヨーロッパの多くを走っています。私が利用した区間は、ナポリ~パレルモ間と、カターニア~ローマ間の2つです。
インターシティ ノッテに乗ったときの距離・時間
どちらの列車も約12時間弱の行程でした。ナポリやローマというと、イタリアでも中・南部に位置していますが、それでもシチリアまでの距離は非常に長かったです。
ちなみに、ナポリ発の列車は23時頃、カターニア発の列車は19時頃出発でした。夜行列車といっても、乗車する都市によって時間帯は異なります。
インターシティ ノッテの乗車方法
<撮影:ゆうさん>
普通の列車と同様、夜行列車に乗る前に、駅のホームにある打刻機でチケットを打刻しておきましょう。また、私のようにオンラインで購入した場合はEチケットを持っているだけでいいので、打刻の必要はありません。そのまま列車に乗り込み、チケットに記載されている車両番号・ベッド番号を確認してください。
ベッド番号は少し分かりづらいかもしれませんが、間違えてしまうと後から来る乗客とのトラブルになることもあります。よく確認しておきましょう。
インターシティ ノッテの寝心地・乗り心地
<撮影:ゆうさん>
ベッドの寝心地は思っていたほど悪くありませんでした。もちろんフカフカではありませんが、ホステルのベッドと同じくらいです。ただし、進行方向に対して垂直にベッドが配置されているため、カーブを曲がったりスピードを上げたりすると、列車全体の揺れをかなり感じます。
またどのベッドにも、急ブレーキ等で身体が飛び出してしまわないように、天井からシートベルトが吊るされています。
私は普段から比較的どこでも寝られるタイプなので、列車の揺れもそれほど気にせずに過ごせました。むしろ揺れが心地よい眠気を誘ったくらいです。途中ドアが開いて1、2度起きることはありましたが、共同コンパートメントなのでそのくらいは仕方ないことでしょう。
インターシティ ノッテで利用できるコンパートメントの種類
当時の私は学生で、この旅も貧乏旅行でしたので、利用したのは6人ベッドのコンパートメントでした。ですが他にも、2人部屋や4人部屋などが用意されています。
2人部屋を利用すると防犯面で非常に安心感があります。夜行列車の雰囲気を体感してみたいけれどやっぱりちょっと不安......という方は、2人部屋を利用するのがおすすめです。
※編集部註:コンパートメントについては、最新情報をご確認ください
朝までの過ごし方
<一緒に旅行をした友人と。一番上のベッドは広めです/撮影:ゆうさん>
続いて、目的地に着くまでに私がしたことについて、簡単にご紹介します。
出発時間の遅いナポリ~パレルモ間ではそのまますぐに寝てしまいましたが、少し出発の早かったカターニア~ローマ間の時はバールで買った夕食を食べたり、到着駅で降りたりして、寝るまでの時間を過ごしました。
また、この列車はイタリア半島・シチリア島間のメッシーナ海峡を渡ります!なんと、列車が船の中にすっぽりと収容され、対岸まで運ばれるのです。
途中、必ず一度は乗車券と身分証明書を確認するために車掌がやってきます。チケットとパスポートを準備しておきましょう。
朝7~8時頃になると大抵の乗客は起き始め、身支度をします。到着までの時間は、乗客同士のつかの間のおしゃべりタイム。私はこの時お話ししたイタリア人のおじいちゃんと、今でも時々連絡を取り合っています。 詳しくは別の私の記事をご覧ください。
【関連記事】イタリア旅行で飛行機を逃したトラブルに遭っても、最終的に「逃してよかった」と心から思った話
インターシティ ノッテのアメニティはほとんど無い
アメニティーと呼べるものはほとんどありませんでした。カップの水だけはサービスで提供されますが、非常に少量です。食べ物や飲み物に加えて、アメニティーも必要になりそうなものは用意してから乗るようにしましょう。
私が乗ったイタリアの夜行列車2. テッロ
<赤いボディが目印のテッロ/撮影:ゆうさん 出典:BUONO!ITALIAより。>
「テッロ(Thello)」とは、イタリアとフランスを結ぶ列車のこと。通常の特急ですが、ヴェネツィア~ミラノ~パリ間では夜行列車として運行しています。私は、ミラノ~パリ間で利用しました。
寝心地や車内の様子は、インターシティ ノッテとほとんど同じなので、少し異なっていた箇所だけかいつまんで説明いたします。
テッロは出発時間が遅い
<ミラノ中央駅/撮影:ゆうさん>
テッロは、ミラノを発つのが23時過ぎと非常に遅いのが特徴。それまでの間、一人で時間つぶしをするのが大変でした。さらに列車の到着が30分ほど遅れ、出発できたのは23時40分頃。ミラノ中央駅は広いせいかそれほど警備員があまり見当たらず、少しだけ不安を感じました。
ミラノからテッロに乗る場合、既に寝ている人がいる
テッロはヴェネツィアが始発駅なので、ミラノから乗り込んだ時には既に乗客が結構いました。中には寝ている人もいて、コンパートメント内では物音を立てないように気を遣いました。寝支度などは、なるべく駅で済ませておいた方が良いかもしれません。
かなりの遅延が発生した
出発時間が遅れたせいもありますが、翌日パリに着いたのは朝10時半。予定の8時半と比べて約2時間も遅れてしまいました。車掌さんによると、途中のルートで事故が発生してしまったとのこと。
私はパリへお昼に着けば良かったので、遅れてもそれほど困りませんでしたが、時間に余裕がない人はかなりイライラしたのではないかと思います。
イタリアの夜行列車に乗るメリットは?
こうして夜行列車を利用してみて思ったのは、夜行バスと違い、しっかり横になって寝られるメリットがあるということです。バスだとどうしても窮屈さを感じてしまう私は、とても快適だと感じました。また、コンパートメントは内側から鍵をかけられるため、防犯面でも思ったより安心できたかなと思います。
また、費用についてもメリットがありました。私が夜行列車に乗ったときは80ユーロ前後で予約できたため、ホテル代と移動代を合わせた金額として考えると、決して高くありません。さらに起きたら目的地に着いているので、短時間で効率的に観光したい人にとっては、優れた選択肢だと言えるでしょう。
イタリアの夜行列車に乗る時はここに注意!
夜行列車はメリットばかりではありません。やはりホテルとは異なる部分がありますし、いくつか注意しておくべきこともあります。
どの座席・ベッドにするかしっかりと選ぶ
座席・ベッド選びは、夜行列車に乗るにあたって非常に重要です。
二段ベッドのコンパートメントに乗る場合、下段のベッドを選んだ場合は移動が簡単にできてコンセントが使いやすい、というメリットがある一方、荷物を晒すリスクが高いことと、ドアの開閉などで目を覚ましやすいというデメリットがあります。上段のベッドは、この逆のメリットとデメリットがあります。
自分がどちらの方が快適か、荷物を安全に管理できるか、事前によく考えて予約しましょう。
<上の棚には荷物も置けます/撮影:ゆうさん>
ちなみに私は、上段の方がスペースが広くプライバシーが守られることから、必ず上段のベッドを指定しています。また荷物を置ける場所もあり、小さい鞄などを手元に置くことができて安心です。
なおその場合、コンセントが遠くなりスマホなどが充電できないこともあるため、必ずモバイルバッテリーを用意しています。
運行が遅れる可能性が少なからずある
夜行列車は、普通の列車に比べ非常に多くの距離を、長時間かけて運行します。そのため、途中で事故やトラブルなどが起きた場合、その影響を受けやすいという特性があります。
私が寝台列車を利用した3回のうち、時間通りに着いたのはナポリ~パレルモ間の1度のみでした。時間にあまり余裕のない旅をする場合、夜行列車はおすすめできません。
イタリアの夜行列車を予約する方法
<出典:トレニタリア 公式サイト。「Intercitynotte」と書いてあるものが夜行列車>
では、実際にイタリアで夜行列車を予約するには、どうしたらいいのでしょうか。
イタリア国鉄「トレニタリア」の公式サイト、または「レイルヨーロッパ」の公式サイトを利用するのが良いと思います。
予約手順は、普通の列車を予約するのとほぼ変わりません。ただし席数は普通の列車に比べて少ないため、好きな席を安く確保するためにはなるべく早く日本にいるうちに予約しておくことをおすすめします。
参考
○○な人はイタリアの夜行列車に乗ってみて!
夜行列車には、普通の列車や夜行バスとは一味違った楽しみ方があります。一方で先ほど挙げたようなデメリットがありますので、万人におすすめできるというわけでもありません。
海外でもリスク管理がしっかりとできる人、自分で旅行のプランを立てて自由に行動したい人、夜行列車ならではの雰囲気を楽しんでみたい人は、こちらの記事を参考にしていただき、ぜひ一度、トライしてみてはいかがでしょうか。
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ゆうさん
- イタリア・ローマ大学に1年留学。イタリア各地の魅力を学生ならではの視点から紹介できたらと思っております。南米一人旅を敢行するほど旅が大好きです!