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ハッカーがヒーローになる時代???映画「電気海月のインシデント」試写を観た感想

記事投稿日:2019/04/17最終更新日:2019/05/09

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こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。

映画「電気海月のインシデント」の先行試写会に行ってきました。"海月"って"くらげ"って読むって知ってましたか?(私、知りませんでした。。。)この映画は福岡で起きたハッキング事件を解決するためにホワイトハッカーと探偵チームが活躍する物語です。

目次

ハッカーには善玉と悪玉がいるって?

ハッカーには善玉ハッカーと悪玉ハッカーがいるってご存知でしたか?ハッカーの意味は「コンピューターについての深い専門知識や高い技術を持つ者の総称」で、その知識や技術を悪いことに使うのがブラックハッカー、良い方に使うのがホワイトハッカーというのだそうです。ハッカーと聞くと、勝手に他人のサイトに侵入して悪さや犯罪を行う悪のイメージがありましたがそれだけではないんですね。

私はIT系にはトンと疎く、映画を観てどこまで理解できて楽しめるのか?観る前は正直不安でした。が、映画「電気海月のインシデント」はITに疎い人でも充分に楽しめるドキドキハラハラの探偵ストーリーでした。

あらすじ

2018年、福岡。他人のスマホを覗ける"ピンクのタブレット"が流通していた。調査を依頼されたのは、裏稼業専門探偵のライチとプログラマーの冬吾。二人は僅かな手がかりから真相に近づいていくが、ある日"シロオニ"と名乗るハッカーから身元を特定され、急襲を受けてしまう。
やがてタブレットは日本中を震撼させる事件を引き起こし・・・福岡の暗部で繰り広げられるハッカー×探偵×アウトローの頭脳戦。

(映画「電気海月のインシデント」サイトより)

試写会にはスタッフ、キャストが登壇

試写会には福岡から監督、プロデューサー、キャスト(一部)の方々が来られていました。

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プロデューサーの近藤 悟さんはこの映画を作ろうと思った理由を次のように話しておられました。

「従来のヒーローに比べるとハッカーは地味ですが社会を支えているヒーローです。ハッカーってカッコいい、と感じてもらって、正しいIT技術者が増えるような作品になれたら嬉しいです。」

下の写真が近藤さんで、福岡を代表するロックバンド「Xanadu(ザナドゥ)」の元ギタリストとして活躍され、2013年のバンド解散後は、子供向けプログラミング教室やホワイトハッカー養成所を立ち上げてIT人材の育成に邁進されており、今回初の映画プロデューサーを務められました。

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近藤さん、映画のプロデューサーには見えませんね(失礼!)

下の写真の右側でマイクを握っているのが、主人公のひとり裏稼業探偵ライチ役の愛佳(まなか)さんです。

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<写真:映画「電気海月のインシデント」公式サイトより>

とってもかわいらしい彼女ですが、探偵ライチは頭脳明晰、沈着冷静かつ自然体で、探偵チームのリーダーとして物語を引っ張っていきます。クールな言動が今風の若者を象徴させているかのように感じました。

そしてもう一人の主役がこちら、訳ありホワイトハッカー冬吾(とうご)役の境 啓汰さん

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<写真:映画「電気海月のインシデント」公式サイトより>

冬吾は映画では風貌やしぐさは本当に凄腕のハッカーのように見えましたが、演じる境さんはITには疎い方だそうです。例えばキーボードを打つ演技にしても最初はプログラム言語通りに打つように監督から求められましたが、境さんがキーボードに打ち込むスピードが異常に遅く(笑)結局早く打っているように見せる演技で乗り切ったそうです。そういうのを聞くとITに弱い私なんかは逆に親しみが持てましたね(笑)

映画「電気海月のインシデント」は現役のITエンジニア・プログラマーらによる本格的な技術監修を受け、またハッカーへの独自取材を行い、彼らの生態系やその思考回路にも迫って作られたリアルな作品だそうです。

映画「電気海月のインシデント」を観た感想(一部ネタバレ含みます)

今やすっかり私たちの生活に溶け込んでいるITの世界ですが、ハッカーによる犯罪はどんどん複雑化、難解化し、素人には太刀打ちできない領域に入っているように感じます。法整備や警察の捜査も追いついていないように見えますね。そんな現状でありながら、2020年にはIT人材が37万人、2030年には59万人が不足すると予測しているそうです(経済産業省資料より)。世の中がIT化のスピードに追いついていけてないのですね。

プロデューサーの近藤 悟さん、監督の萱野 孝幸さんは、人々(特に子供たち)にもっとITを身近に感じてもらい、ITに詳しくなって、時代に適した社会を作り、世界を守ってもらいたいという願いを映画に込めているそうです。そういう面からも映画「電気海月のインシデント」は単なる探偵物の娯楽エンタメ映画ではありませんでした。私が観た日本映画の中でもこれまでにはなかった作品のように感じました。
また映画「電気海月のインシデント」は福岡で作られており、キャストも90%が福岡の人たちだそうです。地方発でもこれほどの映画を作ることが出来る。そんな作り手の心意気が感じられるような、清々しさとエネルギーに充ちた作品でした。

大手の映画会社が多額の広告費をかけてバンバン宣伝するようなやり方ではなく、クラウドファンディングなどを利用して熱い思いを発信し、共感者を募り、今回公開に至ったそうです。応援したくなる映画ですね。

私が印象に残ったシーン好きなとしては、次の3つです。

1. ライチと冬吾のやりとり

このふたりの掛け合いが今の若者らしい距離感でとても自然に表現されています。感情の起伏が少なく冷めている。センテンスが短い会話。といって不機嫌なわけではなくごく自然。私たち大人がイメージしているこの会話の雰囲気に代表される言葉は・・・「別に。」かな。そんな空間がスクリーンを覆っています。「ハッカーに向いている人のタイプ」を訊ねたライチに「マルチーズ」の例で返す冬吾。この"間"に流れる空気が絶妙でなんともいえない感じです。また「食事しながら会話する」という場面が頻繁に出てきます。メニューはフレンチだったり、カレーだったり、なんとか定食だったりするのですが、この食事しながら話すシーンが妙に現実味を醸し出します。監督の意図が埋め込まれているのではないでしょうか。

2. クライマックスの戦い

探偵チームとブラックハッカー軍団との対決のシーンは緊迫感溢れた、手に汗握る心拍数高のシーンです。

一瞬「ヤクザ映画か?」と感じさせる迫力と恐怖感があるのですが、血しぶきが飛び交う展開ではなく、ハッカーデータを壊す(消去する)か、守る(証拠を残す)か、が"せめぎあいのキーポイント"になります。この点が所謂ヤクザ映画とは大きく違う点です。ライチや冬吾は力での喧嘩は全然弱い。ほんとにからっきし弱い。でもそれがこれからの時代のヒーローになりうる、そんな可能性を感じさせました。

ちなみに「ライチや冬吾はラストで殺されてしまうのか?」それは映画を1度観ただけでははっきりしません。萱野監督は「映画の中にそれを暗示させるシーンが出てきます。」と仰っていました。萱野監督はあの堤幸彦監督に「天才」と言わしめた人だそうです。最近の映画は誰にでもわかりやすい「説明的映画」が多いように思いますが、萱野監督はそこまで観客を甘やかしていません。「ん?こういうシーンにした意味はなんだろう?」とわかりにくいシーンもありましたし、私が気づいていないけれども深い意図を潜ませたシーンもあったのではないかと思います。そういう意味では映画「電気海月のインシデント」は一度観て「あ~面白かった!」で終わらない、何度観ても発見がある、そんな味わい深い作品でもあるように感じました。

3. 管嶋(くだじま)と妻の関係

ブラックハッカー"シロオニ"を利用して騒ぎを起こす管嶋(くだじま)。彼と妻のやりとりが何度か出てきます。これがごく普通の家庭にありそうなシーンで、逆に不気味です。菅嶋は悪意を持った人間ですが、普段は一見すると普通の人なのでしょう。そういう人が世の中を震撼させる元凶になりうる、そんな怖い時代を暗示しているようなシーンでした。

ハッカーの思考回路

今回キャストはITに詳しい人ばかりではなかったそうで、演じるにあたり、プログラミングの猛勉強をして臨んだそうです。

その中でライチ役の愛佳さんが仰っていたのは、監督に薦められて読んだ本には「孫子の兵法」があったということです。「孫子の兵法」は紀元前に書かれたと言われる兵法書で、それが現代最先端のハッカーの思考につながっているというのはとても興味深いと感じました。IT犯罪やハッカーの思考は最新テクノロジーの駆使という面ももちろんあるでしょうが、根本は"人間の心理を利用する"という人類普遍のものなのかもしれません。また冬吾と仲間の李がコンピュータ数台を並べて部屋でああだこうだやっているシーンがあるのですが、その部屋がなんと純和風の畳の部屋なんです。こういうアンマッチ感もハッカーからすれば違和感はないのかもしれません。外部の人間が見た、ハッカーに対するイメージ、誤った思い込みがあるとしたら気をつけなければなりませんね。

映画「電気海月のインシデント」公開情報

映画「電気海月のインシデント」は2019年5月10日(金)からイオンシネマ大野城(福岡)で、関東では5月24日(金)からイオンシネマ港北ニュータウン(横浜)で公開されます。公開後1週間の動員状況を見て、公開延長や他の映画館でも上映される可能性が広がるそうです。興味の湧いた方は新時代のヒーローに会うために、ぜひ映画館にお出かけください。

横浜では5月25日(土)に劇場(イオンシネマ港北ニュータウン)にて舞台挨拶が行われる予定で、特別対談として『十二人の死にたい子どもたち』などを手がけるあの堤幸彦監督と萱野孝幸監督が登壇するそうです。

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