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福島三十景「塔のへつり」~「湯野上温泉」~「大内宿」の散策がおすすめ!
真っ白く染まりゆく冬の東北は日本の原風景そのもの。なかでも南会津には、雪景色がとても似合う名所がそこかしこにあります。東北を代表する観光地、福島県南会津郡下郷町周辺スポット、国の天然記念物「塔のへつり」から湯野上温泉・大内宿までのおすすめの散策路をご紹介します。
目次
- 1. 巨大な岩と景観が連なる「塔のへつり」
- 2. これは怖い!藤見橋の吊り橋
- 3. 鰐口岩や土俵岩などの奇岩群
- 4. さらに上の岩穴には虚空蔵菩薩が
- 5. 「塔のへつり」へのアクセス法と基本情報
- 6. 「大内宿」の最寄り駅・湯野上温泉駅へ
- 7. 「大内宿」へ向かう前に湯野上温泉郷の旅館やホテルでひと休みするのもおすすめ
- 8. いざ、福島の有名観光地・大内宿へ
- 9. 三澤屋の元祖ネギそばで温まろう
- 10.「大内宿」の中にはたくさんのお土産屋や民宿が
- 11.「大内宿」の全景が見える高台へ
- 12.「大内宿」から歩いて数分の場所に鎮座する高倉神社へ
- 13.「塔のへつり」から「大内宿」への散策まとめ
1. 巨大な岩と景観が連なる「塔のへつり」
塔のへつりに到着したのは午前9時頃。入口にいくつかあるほとんどのお店はまだ閉まっているものの、塔のへつりまでの階段は開いていました。実は塔のへつりは入場料不要。24時間、誰でも自由に出入りが可能なのです。
この季節だからか、お客さんや店員さんなど、人の気配はあまり感じられません。傘をさして雪の中、塔のへつりに続く階段を降りていきます。
階段の途中から壮大な景色が。早くもその美しさに目を奪われます。
写真で見た景色そのものではあったものの、岩や崖の巨大さは想像以上で、思わず息をのみました。
下を流れる深緑色の川は大川(阿賀川)。岩にはそれぞれの形の特徴により名前が付けられています。
向かって左から順番に「屏風岩」「鳥帽子(えぼし)塔岩」「護摩(ごま)塔岩」「象(ぞう)塔岩」「尾形(おがた)塔岩」「九輪(くりん)塔岩」「櫓(やぐら)塔岩」「屋形(やかた)塔岩」「獅子(しし)塔岩」「鷹(たか)塔岩」「鷲(わし)塔岩」。
塔のへつりという名前の由来ですが、「へつり」とは、この地方の方言で、断崖や急斜面という意味だそうです。
2. これは怖い!藤見橋の吊り橋
向こう側に渡るための吊り橋(藤見橋)がかかっていますが、これが結構危険!手すりのように見えますが、これは手すりではありません。ガードの高さは女性の私の腰より低く、一歩一歩、踏みしめながらわたります。
自然に近い状態で保存されており、観光地化されていない雰囲気に魅力を感じます。しかし安全面では、十分に注意が必要です。雪の多い地方ですから、冬は足元が滑りやすくなっています。滑りづらい靴を履いてくるなどの準備があるとよいでしょう。
ツアーの人たちは危険を感じられたのか、駐車場の奥の見晴台からの景観を鑑賞するだけで、吊り橋のあるほうへ降りてこられませんでした。
3. 鰐口岩や土俵岩などの奇岩群
吊り橋を渡り、振り返ってみると先ほどいた場所が見えました。吊り橋の上に見えるのがツアーのお客さんたちが景色をながめていた駐車場の奥の見晴台です。
私が降りてきた階段はこの写真の左側にあり、そこの奥にも「鰐(わに)口岩」という奇岩があります。
吊り橋を渡り終えた先の断崖にも手すりがなく、つり橋同様に危険です。小さなお子さんをお連れの方や体の不自由な方、ご年配の方は十分ご注意ください。
このような奇岩群は、2800万年~100万年前に出来た地層の凝灰岩からなっています。水面下にあった地層が隆起して雨風にさらされ、柔らかい部分が流され浸食と風化を繰り返し、このような渓谷が形成されたそうです。
こちらの岩は土俵岩といいます。写真で見ると行けるように感じるかもしれませんが、実際は危険で行くことはできません。塔のへつりには写真では伝えきれない魅力が詰まっていますが、安全には十二分に注意が必要です。
岩穴に積まれたたくさんの石
土俵岩から反対側である岩盤のほうに目を向けるとこちらには岩穴があります。覗いてみると不思議な光景が広がっています。
このように、岩穴の奥にはたくさんの石が積まれていました。それぞれの石には積んだ方の思いが宿っていることでしょう。
4. さらに上の岩穴には虚空蔵菩薩が
岩穴の横には傾斜角度の急な石段があり、そこを上るとさらに深い岩穴が。岩穴の中には知恵を授けてくれると言われる虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)が祀られています。
こちらがその石段です。横幅も踏面も狭く傾斜がきついので気を付けながら上へ進んでいきます。
石段を上り終えたこの岩場には、「舞台岩」という名がついていて、奥には深くえぐられたような大きな空洞があり、その中に虚空蔵菩薩は祀られています。薄暗く静かで、神聖な空気に身が引き締まりました。
見上げるとさらに歩けそうな場所があるのですが、危険な場所なのでしょう。チェーンが張られていました。
塔のへつり近くには、陰石、陽石、夫婦石などもあります。紅葉シーズンには崖まわりの木々が綺麗なオレンジ色に染まり、10月下旬から11月上旬にかけてが最も見頃となるようです。
5. 「塔のへつり」へのアクセスと基本情報
塔のへつりへは車で行くことをお勧めしますが、電車で行くことも可能です。塔のへつりから徒歩約10分の場所に会津鉄道会津線、塔のへつり駅があります。
会津鉄道、塔のへつり駅の隣の駅は湯野上温泉駅です。塔のへつりにきたらぜひ湯野上温泉にも寄っていきましょう。
「塔のへつり」
■住所:福島県南会津郡下郷町弥五島下夕林5316
■駐車場:普通車200円
■車でのアクセス:会津若松市から約50分、東北自動車道白河I.Cより約60分
■電車でのアクセス:会津鉄道、塔のへつり駅から徒歩5分
■HP:http://shimogo.jp/sightseeing/tonohetsuri/
6. 「大内宿」の最寄り駅・湯野上温泉駅へ
湯野上温泉にある湯野上温泉駅は日本でも珍しい茅葺屋根の駅として有名です。冬の駅舎は屋根に雪が積もり、東北らしい景色を見ることができます。
湯野上温泉駅
こちらが湯野上温泉駅、入口です。
駅舎の中には囲炉裏があり、そこには漫画まで完備されていて、温かくのんびり過ごすことができるようになっています。
駅の敷地内には足湯も
駅舎の横には無料で足湯も解放されています。
駅構内からの駅舎
こちらは駅構内からの写真。
茅葺屋根に降り積もる雪を見ていると、まさに日本の原風景を見ているのだと感じます。
大内宿に行く際にはこの駅が最も近い駅になります。それでもここから大内宿までは更に5.9キロもの距離がありますので、湯野上温泉と大内宿を結ぶ「猿游号(さるゆうごう)」という循環バスやタクシーを利用します。
かわいらしい会津鉄道の列車と遭遇
湯野上温泉を歩いていたら会津鉄道の電車に遭遇しました。
カラフルな電車にかわいらしいキャラクターがたくさん描かれていて、ほのぼのとした雰囲気。
7. 「大内宿」へ向かう前に湯野上温泉郷の旅館やホテルでひと休みするのもおすすめ
湯野上温泉郷ではホテルや旅館が多数ありますので、塔のへつりや大内宿にはぜひ泊まりで行きたいとことです。
「湯野上温泉」
■住所:福島県南会津郡下郷町大字湯野上字大島82-2(湯野上温泉観光協会)
■駐車場:湯野上温泉駅敷地内、無料駐車場あり
■車でのアクセス:東北自動車道「白河IC」から約50分
■電車でのアクセス:会津鉄道、湯野上温泉駅から徒歩0分、ホテル群までは徒歩5~10分
■HP:http://www.yunokami.com/
8. いざ、福島の有名観光地「大内宿」へ
湯野上温泉から県道329号線を北上していくと、見えてくるのが大内宿。言わずもがな、福島の名所として知られた場所です。
町の中にレトロな一角があるのかな、という想像をしていましたが、実際には山を何キロも走り、やっとたどり着く場所でした。
塔のへつりや湯野上温泉も山の中にありましたが、大内宿はさらに山深く入り込んでいきます。
おなかがすいてきたので、大内宿の名物「ねぎそば」を食べてみることにしました。
9. 三澤屋の元祖ネギそばで温まろう
私が寄ったの「三澤屋」さんというお食事処は、「元祖ねぎそば」のお店だそう。茅葺屋根のお店の中に入ると、順番を待っているお客さんがたくさんいらっしゃいました。
三澤屋さんは一階が広く、こたつでくつろぎながらおそばを食べることができます。いまでは珍しい囲炉裏があり、炭火でお湯が沸かされていました。
2階席もあり、1階とはまた違った風情を味わえそうです。
吹き抜けから下に玄関が。
念願のねぎそばを注文しますが、「こちらは冷たいおそばですが大丈夫ですか」と確認されました。温かいそばを想像していたため「ねぎそばって冷たいんだ!」と少し驚きました。
ほかのお店では温かいねぎそばもあるそうですが、三澤屋さんでは温かいねぎそばは提供されてないそうです。
「ねぎそばではなくなってしまうけれど、温かいそばもあります」とのことでしたが、「やっぱりねぎそばが食べたい!」と思い、ねぎそばを頼みました。
先に届いたお通しを食べ、お茶をすすりながらわくわくしながら待つこと数分。ねぎそばが運ばれてきました。
正式名称は「高遠(たかとう)そば」といい、ネギでかきまぜ、ネギですくって食べます(箸もありましたがやっぱりここはネギでいきます!)。
歯ごたえのあるおそばと、そばのしっかりとした風味が口いっぱいに広がります。ネギはそばをすくうだけでなく、薬味としてかじって味わうのだとか。ツーンとした新鮮な辛みがおそばとよく合います。蕎麦湯でつゆもおいしくいただきました。
ねぎそばと一緒に、「イワナの塩焼き」も注文。提供される魚の種類は時期によって変わるそうで、この日は鮎でした。
お店の方によると、イワナはなんでも食べるから内臓を処理して調理するのですが、鮎は藻を食べるため、内臓もそのまま食べることができるのだそうです。はらわたの苦みも鮎の味わいなのだそうで、同じような川魚でもこれだけの違いがあるのだということに驚きました。
おそばも鮎も本当に美味しい!お餅も人気メニューのようですので、次回はお餅にもトライしてみたいものです。
10.「大内宿」の中にはたくさんのお土産屋や民宿が
大内宿は道を挟んで両側全て、お土産屋さんやお食事屋さんが連なっています。
民宿は3軒ほどで、左側に見える白い蔵もそのうちの一つです。
お土産屋さんでひときわ目を引いたのはこちらのお店、「本家 叶屋」さん。
ちりめん細工で作られた小物が置かれており、私は子どもへのお土産として「ネギ」を1本いただきました。
こちらのお店ではお惣菜などもたくさん売っていて、試食することができます。会津名物の「じゅうねん味噌」がおすすめとのことでしたが、試食するものすべてがおいしい!何を買おうか迷います。ゴボウ好きな私はゴボウの総菜をお土産に購入しました。
11.「大内宿」の全景が見える高台へ
大内宿の一番奥まで進むと高台へ続く階段があり、そこを登ると大内宿の全景を眺めることができる場所へ行くことができます。ここから見る風景は都会と全く異なり、まるで昔の日本にタイムスリップしたかのよう。絶好の撮影ポイントです。
「大内宿」
■住所:福島県南会津郡下郷町大内
■駐車場:普通車400円
■車でのアクセス:湯野上温泉駅から車で約15分、福島空港から車で約2時間10分、会津若松市から車で約50分、磐越自動車道「会津若松IC」から車で約55分
■電車でのアクセス:会津鉄道「湯野上温泉駅」下車し、車で約15分
■HP:http://ouchi-juku.com/
12.「大内宿」から歩いて数分の場所に鎮座する高倉神社へ
次に向かったのは、大内宿のメイン通りから離れ、徒歩数分の距離にある高倉神社。鳥居を抜けて拝殿に到着します。
高い木々の中にひっそりとたたずむ拝殿へ向かう途中、風でゆられて舞い上がった雪がきらきらと光りながら頭上に降り注いでいました。その光るパウダースノーの中を歩きながら見た景色は美しく、忘れられないものになりました。
林に囲まれ、雪の中に鎮座する拝殿の姿は、まさに「神々しい」という言葉がぴったり。そこでお参りした後は再び来た道を戻り、大内宿の中を歩きます。
13.「塔のへつり」から「大内宿」への散策まとめ
宿場町でのタイムスリップ体験に、ほっとする温泉郷。壮大な崖が連なる圧巻の景勝地。南会津にはたくさんの魅力が詰まっていました。
行楽シーズンになると混雑が起き、アクセス道路の国道118号や121号においては激しい渋滞が発生するようです。特にゴールデンウィークやお盆休み期間、秋の紅葉シーズンの休日には大変な混雑が予想されます。できるだけ混雑が予想される時期や日程をずらして、お出かけされることをおすすめします。
【福島一口メモ】
塔のへつり、湯野上温泉、大内宿がある南会津地方には、今回紹介した場所以外にも、尾瀬や会津駒ケ岳などの名峰や、秘湯、湯ノ花温泉・木賊温泉など、自然豊かな観光名所がたくさんあります。少し足を延ばせば、会津若松市の会津城や、猪苗代湖なども観光することができます。下記に福島県のツアー情報をまとめてありますので、参考までにチェックしてみてください。
<時間と費用>(関東発目安)
●旅行日数:2~4日間
●ツアー費用:約12,000円~約86,000円
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秋空りんご
- これまでたくさんの観光地からマイナースポットまでを旅してきました。その経験を活かして私なりの視点で皆さんに旅の楽しさをお伝えできればと思っています。美味しいものや冒険、自然やレトロな場所などが大好きです。