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魅力の宝庫。ローマ留学中、私が30回もヴァチカン市国へ行った理由
1年間のローマ留学中、私は合計30回以上もヴァチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂および広場に足を運びました。サン・ピエトロ大聖堂は時間帯や天気とともに姿を変え、たとえカトリックではない私に対してでも、心を清め慰め、落ち着かせてくれました。
もちろん、美しい大聖堂や芸術作品だけが私を魅了したのではなく、えも言われぬ不思議な力があったのかなぁなんてことを考えています。
そんな不思議な魅力をもつヴァチカン市国、私がどんなときに訪れたくなったのか、当時の心境を元にご紹介いたします。また、ヴァチカンに行ったらしてみて欲しいことやオススメの時間帯、注目スポットについても合わせてご紹介します!
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○○なとき、私はヴァチカン市国を訪ねました
ヴァチカン市国はカトリックの総本山。敬虔な教徒が足を運ぶ場所ということもありますが、人は何か思うことがあるとき、教会へ向かうのではないでしょうか。私は次の2つの気持ちになったとき、よくヴァチカンを訪ねました。
1. 考え事があるとき
悩みや考え事がある時、よくヴァチカンに足を運んでいた気がします。イタリアへの留学というのはそれほど簡単なものではなく、苦戦することも多かったのです。それは語学といった能力面によるものではなく、日本人としての部分によるものでした。
私は留学中、ずっとローマっ子内のコミュニティでほとんどの時間を過ごしていたため、大学で接してくれる優しいイタリア人たちと比べると、差別的な言動や思考に多く立ち会ってきました。
もちろん自分がその対象になったこともあり、「自分(日本人・人種)って何なんだろうな」などと思い悩むことも、他のイタリアに留学していた友人と比べて多かったのです。
別にヴァチカンを訪れたからといって、誰かが答えを与えてくれるわけではありません。それでもここにいると、なんとなーく自分が澄んだ気持ちで物事を見られるようになる気がしたのです。
2. イライラしたとき
私が通っていたローマ大学の、ある授業でのこと。期末試験のプレゼンを3人グループで発表しなければならなかったのですが、議論が紛糾して全く先に進みません。
激しい主張の後いつも「何言ってるかわかんない。あいつも、もう意味わかんない!全部知らん!」となったときに、ふとヴァチカンを訪れたくなり、授業終了後、バスを乗り継いでそこへ向かいました。
サン・ピエトロ広場に入り、大聖堂を目の当たりにすると、「あー、今日もやっぱりここはすごいな。」という気分になってくるのを感じます。
聖堂のファサードに書いてあるラテン語を読んだり、広場をぐるりと囲む天使の数を数えたりと、たわいもない時間を過ごしているうちに、いつの間にかイライラする気持ちは晴れていました。
その後、「やっぱりヴァチカンに来てよかった」と思いながら、もう一つのイライラの特効薬であるジェラートを友達が働くジェラテリアで食べて、帰路についたのでした。
ヴァチカン市国へ行くたびに、私が見ていたもの
カトリックでもないのにこれだけヴァチカンが好きな私ですが、実はサン・ピエトロ大聖堂の中にはあまり入りません。理由は一つ。いつ来ても混んでいるから。平均3、40分ほど待たなければなりません。そんなに待っていたら気持ちも萎えてしまいます(笑)。
ですので、私がサン・ピエトロ広場で普段何をしていたのかについてもお話しましょう。
1. ヴァチカン市国という「場」を楽しむ
これは最も大きい要素です。自分がヴァチカンにいること自体に思いを馳せる、ここを訪れる観光客に目を向ける。そして自分はなぜここにいるのか、観光客たちはなぜここにいるのか、そんな哲学チックなことをよく考えていた覚えがあります。
特に、人に目を向けるのはとても面白いもので、あくまでも観光地としてヴァチカンをとらえている人、崇高な聖地と見なしている人、そんなことは一切関係なく「ヴァチカンツアーに申し込まないか!列を並ばないで入れるぞ!」などとまくし立てるガイドのおっちゃんなど、ヴァチカンでなければできない人間観察の面白さが、そこにはありました。
2. サン・ピエトロ広場の天使像を眺める
サン・ピエトロ広場を囲むようにして、そびえ立つ天使像。全部で140体あるのですが、それぞれが少しずつ異なっています。これだけ大量の像を視界にとらえる機会はそうないと思います。
特に夕暮れが近づくと非常に綺麗で、ぼやっと空の方を眺めているといつの間にか時間が過ぎているのを感じますね。
サン・ピエトロ広場・大聖堂を観光する時のポイント
私の経験にかなり深く入り込んで、一緒にヴァチカン市国の魅力を追いかけてきました。ここでは、サン・ピエトロ広場・大聖堂を観光する際のポイントもお話いたします。
1. 時間帯...早朝、夕方、夜がオススメ
ヴァチカン、そしてサン・ピエトロ広場は訪れる時間帯によって、その姿をかなり変えます。たとえば日中であれば、真っ青な空の下、目の前にパッと広がるサン・ピエトロ大聖堂が本当に鮮やかに映ります。
特に早朝に訪れた場合、人がポツポツとしかおらず、サン・ピエトロ広場での写真撮影にはもってこいです。ちなみに、ヴァチカン美術館を予約なしで訪れる場合は、必ず早朝(朝9時前など)から並びましょう。すぐに長蛇の列になってしまいます。
夕暮れ時になると、斜陽が天使の銅像たちに刺さり、非常に美しい光景を見ることができます。私が最も訪れていたのは、このだんだん日が沈んでくる時間帯です。
夏だと6~7時、冬だと5~6時くらいなので、それに合わせてサン・ピエトロ大聖堂の観光をするのも、また日中とは違う楽しみ方ができるかもしれません。
最後に、夜。もちろん夜間は聖堂内には入ることができませんが、遠くから見る、ライトアップされた大聖堂を前にすると、もう言葉がありません。
私は家がヴァチカンから遠かったため、普段はあまり訪れませんでしたが、友人と観光する際は必ず夜のサン・ピエトロ大聖堂を見てもらおうと、ディナーの前後にここに来ていました。
2. 注目スポット...大聖堂の彫刻と屋上からの眺めは必見
やはり、ヴァチカン市国はサン・ピエトロ大聖堂の中に入った瞬間が、一番心躍る時かもしれません。晴れた日には天蓋から光が差し、写真などでは表せない何とも幻想的な光が私たちを包みます。全てのカトリック教会の祖であることも納得です。
また、大聖堂内にある特筆すべき作品は、間違いなくミケランジェロ作の「ピエタ」でしょう。ピエタは新約聖書の中にある「磔刑に処された後、十字架から降ろされたキリストと、その亡骸を抱く聖母マリアの様子」をモチーフとする宗教画や彫刻のことを指します。
大聖堂を入ってすぐ右手に現れるこの彫刻は、人の波に押しつぶされそうになっても、何としても立ち止まり、隅々まで見て欲しい傑作です。
さらに天気の良い日は、大聖堂の屋上から見る景色が素晴らしいのです。先ほどまで下から見上げていた天使たちを見下ろし、さらにはローマの街も一望できる......。
私が初めてここに登ったのは、今から6年前の高校1年生の時ですが、その時のことは忘れられません。
最後に:ヴァチカン市国でぼんやり過ごしてみては?
1年間という短い間のローマ滞在でありながら、私が30回以上もヴァチカンに訪れてしまった魅力が、少しでも伝わったでしょうか。
旅行中は、きっと嫌なことも忘れてリラックスできるはず。皆さんもヴァチカンのさまざまな姿を見れば、さらに気持ちも晴れて清々しい思いのまま、日本に帰ることができるのではないでしょうか。
また、留学中であれば、きっと辛いことや逃げたくなることもたくさんあります。そんなときはヴァチカンに一人で逃げて、私みたいにぼんやりする時間を作るのも解決策になるかもしれませんよ。
撮影:ゆうさん(写真出典:BUONO! ITALIA)
ヴァチカン市国基本情報
■イタリア語名:La citta` del Vaticano
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ゆうさん
- イタリア・ローマ大学に1年留学。イタリア各地の魅力を学生ならではの視点から紹介できたらと思っております。南米一人旅を敢行するほど旅が大好きです!