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スペインのお菓子に欠かせないアーモンドのお話
早くもクリスマスのお菓子が店頭に並ぶ季節になりました。トゥロンやポルボロンなど、クリスマス菓子によく使われているのがアーモンド。今日はそんなアーモンドのお話です。
目次
スペインの気候にあったアーモンド栽培
アーモンドの生産国といえばアメリカがダントツ世界一。18世紀ごろにスペインの宣教師たちによって伝えられ、今では世界の生産量の8割を超えるほどになりました。次いで、オーストラリアとスペインが並びます。アメリカではスイートアーモンドの栽培が主流ですが、スペインではビターアーモンドになります。
直近のデータを見ると、スペイン国内でもっとも栽培が盛んなのはアラゴン州で、次いでアンダルシア州、カスティージャ・ラ・マンチャ州、ムルシア州、バレンシア州と続きます。乾燥して温暖な気候な土地に向いているとのこと。
桜のように美しいアーモンドの花
アーモンドの開花は、早い地域では1月下旬ころから始まります。アーモンドはバラ科サクラ属の植物なので、その花は桜によく似ています。品種によるのは、ピンク色の花もあれば白い花も。アーモンドの花が咲くと、春が近づいていることを感じます。野山に自生しているものもありますが、アーモンド畑だと一面に咲き乱れる花が圧巻!! ただ、日本人は桜の花を愛でますが、スペイン人には特にそういった習慣はないようです(笑)。
4月から5月にかけて青い実をつけますが、皆さんは青いアーモンドの実はご覧になったことがありますか? 私はスペインに来るまでアーモンドがどんな風に実をつけるのか知りませんでした。毛に覆われたこんな実なんです。
アーモンドの果肉の中には種がありますが、この種は殻と仁からできていて、私たちが口にするアーモンドは仁の部分です。果肉が割れて種の部分が顔を出し、9月に入ると収穫がスタートします。
<自生するアーモンドの実を拾って殻を割る子ども>
スペインのお菓子にはアーモンドを使ったものがいろいろ
スペインでは紀元前からアーモンドが栽培されているので、昔からアーモンドを食べる習慣があります。やはりお菓子への使用が多く、スペインの代表的なお菓子にはアーモンドを使ったものが多々あります。クリスマス菓子の代表格のトゥロンやポルボロン。ガリシア地方のアーモンドケーキ、タルタ・デ・サンティアゴ、トレドを中心に全国的に目にするマジパンのなどなど。枚挙にいとまがありません。
<ソフトタイプ(右)とハードタイプ(左)があるトゥロン>
<キャンディのように紙に包まれたポルボロン>
<中に柔らかいトゥロンが入ったお菓子(左)とマジパン(右)>
また、アルメンドラ・フリタとよばれる油で揚げて塩を振ったアーモンドは、ビールのおつまみに最高です。袋入りで売っていますので、日本へのお土産にもオススメ! 特にアリカンテ原産のマルコナ種のアーモンドはおいしいです。健康に気を遣う方には、シンプルにローストしたアルメンドラ・トスタダをどうぞ。
健康によい地中海食に欠かせないナッツ類
アーモンドをメインにした料理もあります。アンダルシア地方のアホ・ブランコはアーモンドとにんにく、牛乳、パンなどを使う冷製スープ。暑い季節にぴったりです。インターネットで検索すると日本語でのレシピも出てくるので、ぜひお試しください。
<野外パーティーで飲んだアホ・ブランコ>
また、メインではないものの、アーモンド必須なのがカタルーニャ地方の冬の名物カルソッツ。丸ごと炭火焼きにしたネギを片手でつまみあげ、もう片方の手で焦げた外側だけつるんと剥き、ロメスコソースをつけてパクリと食べます。ロメスコソースは、アーモンドやにんにく、トマトを使ったソースで、これなしにカルソッツは語れないのです。これからちょうどカルソッツの季節なので、カタルーニャ地方に旅行する方はぜひお試しくださいね。ほかの地方ではなかなか口にできない郷土料理です。
1日に約20粒ほどのアーモンドを摂取することは健康にいいと言われています。最近注目されている地中海食でもナッツ類は毎日食べることが推奨されています。おいしいスペイン産のアーモンドをぜひ食生活にとりこみたいものですね。
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田川敬子(Keiko Tagawa)
- 1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。