2018年5月にリニューアル!ハワイのライオンコーヒー工場を見学取材

ハワイのコーヒーといえば、あの赤に凛々しいライオンの絵が描かれたパッケージでおなじみの「ライオンコーヒー」。ハワイ土産の定番とも言われ、プレゼントするとかなりの人に喜ばれるものですね。

そのライオンコーヒーが2018年5月にリニューアルをし、なんとトレードマークのライオンのデザインも新しくなったのです!

そこで今回(2018年7月時点)は、カリヒにあるライオンコーヒーの工場兼直営店におじゃまして、カスタマーサービス担当の江尻美佳さんにお話を伺いながら、ライオンコーヒーがなぜこんなに愛されるのか徹底取材しました。

目次

ライオンコーヒーの歴史

最初に、ライオンコーヒーの成り立ちから波乱に満ちた出来事、そして現在はハワイを代表する商品であり、人気のお土産として定着した歴史からご紹介しましょう。

1864年、オハイオ州で創業

今でこそハワイを代表するコーヒーですが、実はライオンコーヒーは、アメリカ本土のオハイオ州で1864年に産声をあげました。つまり日本はまだ江戸時代の時に、アメリカではすでにコーヒーを飲んでいたということ。ちょっと驚きますね。

ただ、当時は一般的なコーヒーは生豆を購入し家庭のフライパンで煎ってから飲んでいたので、味に均一性がありませんでした。そこでライオンコーヒーは革新的な焙煎方法を初めて取り入れたのです。

そして、世界から最高の豆だけを取り寄せ、念入りにブレンドした豆「ファンシーロースト」を缶に入れて販売。このおかげで均等に焙煎された豆が手に入り、簡単に美味しいコーヒーが飲めるようになったことから人気に火がつきました。

1870年からパッケージ導入~ 世界第2位のコーヒー会社に飛躍

1870年代に入り、"新鮮な味と香りをお届けする"ことを次のモットーとしたライオンコーヒーは、煎りたての豆を密封する1ポンド煎りのパッケージを導入。ライオンのトレードマークが大きく描かれたデザインで一気に注目を集めました。

さらに画期的なマーケティング方法によってアメリカ中でライオンコーヒーが知れ渡るようになり、1890年代中頃には週450トンもの豆をローストしていたといいます。

こうして、1900年初頭には世界で第2位の成長率を誇るコーヒー会社にまでのぼりつめたのです。

1929年以降、ライオンコーヒーの名が消える

ところが、その後1929年に世界大恐慌が起こり、ライオンコーヒーも大打撃を受けました。さらには、社員が他社とつながりスパイ活動なども発生したことで、ライオンは長い冬眠生活に入ってしまったのです。

1979年、ライオンが再び覚醒

ライオンコーヒーが再び眠りから覚めたのは、なんと約50年後の1979年。

ミズーリー州に住むジェームズ・デラノ氏は大のコーヒー好きで、コーヒーの会社を持つのが夢でした。そしてアメリカの歴史を語るアンティークを集めるのが趣味でもあり、ある日そのアンティークを整理していた時に、ライオンコーヒーの景品をもらうために送ったハガキを見つけました。

「このコーヒーは今一体どうなっているのだろう?」と疑問にもち、オハイオ州に探しに行ったのです。すると、まだ会社の権利とライオンのマークの商品登録が残っていることを知り、即それを買い取りました。

そこからデラノ氏は、「コーヒー会社をやるなら、アメリカで唯一コーヒー豆を栽培しているハワイでやりたい!」と思い、ハワイでライオンコーヒーを目覚めさせたのです。

2018年、デザインを一新! 新たな挑戦

目を覚ましたライオンの快進撃は勢い止まらず、現在もハワイ島コナ産の豆取扱量世界一を誇る会社となりました。

そして、創業155年とハワイでオープンしてから40周年という大きな節目を目前に控え、店内をリニューアル。またトレードマークのライオンのデザインを一新し、新たな歴史の幕開けとなったのです。

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リニューアルした店内 写真:Miki Cabatbat

ライオンコーヒーは知っていたけれども、工場にカフェを併設した直営店があるなんて知らなかった、という人も多いかもしれませんね。

ワイキキから車で30分の工場兼直営店に行けば全種類のライオンコーヒーがあり、サイズもバラマキ土産用の一袋50gから家庭用サイズ、最大の一袋650gまで揃います。値段は全て正規価格での販売ですが、隣の工場から卸す豆ですから、常に新鮮なものが手に入ります。また、ここに来ないと買えないオリジナルグッズも揃っていますよ。

今回の改装では、カフェエリアを拡大しました。それによって、以前より一層ゆっくりくつろぎながらここでコーヒーが飲めるようになったのです。ここは、周辺で働く人たちや学生が大勢利用しています。

また、ローカルのアーティストを応援しようと、ハワイ在住のアーティストによる作品が飾られており、定期的にアートも替えていく予定だそう。もし気に入った作品に出会ったら、購入することも可能です。

こうして、ライオンコーヒーは、地元の人たちとより絆を深めていこうという決意でリニューアルしました。

ライオンコーヒーの新しい顔! 新トレードマーク

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写真:Miki Cabatbat

象徴的なライオンのトレードマークですが、これは創業オーナーが「百獣の王ライオンのようになりたい」という想いでつけたもの。初代のライオンは何も見にまとっていない普通のライオンの絵でした。

それが新たなオーナーになったとき、米本土からハワイへ海を渡ってやってきたということで、セーラー帽子を被った凛々しいライオン(写真左)へと変わりました。皆様もきっとそのライオンの絵に馴染みがあるでしょう。

それから40年近く経ち、やっとハワイに腰を落ち着け馴染んできたところで、今回はハワイらしくティーリーフ(※)のハクレイ(花冠)をまとったライオンへと新しくなりました(写真右)。穏やかな表情にもなり、ますます親しみやすくなったと思いませんか?

今後は、旧オリジナルロゴの商品を期間限定販売する予定もあるそうで、それもまた楽しみですね。

※註:ティーリーフは、ハワイでレイやハクレイに用いられる植物のこと。ハワイの人々にはとても馴染み深い植物です。

ライオンコーヒーの種類と特徴

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写真提供: Hawaii Coffee Company

クラシック・ロースト(ブレンド)

その歴史からもわかるように、ライオンコーヒーは世界中から厳選されたコーヒー豆をブレンドし念入りに焙煎した「ファンシーロースト」から始まりました。今もそれは「ORGINAL」として残っています。

他にも、ハワイでオープンした当初から店専属の焙煎マイスターが、ライオンコーヒーの基準にあわせてブレンドコーヒーを展開。浅煎りのライオンゴールドや、中煎りのゴールドロースト、深煎りのライオンフレンチなど全6種類あります。

フレーバーコーヒー

ライオンコーヒーといえばフレーバーコーヒーとしても有名ですが、実はハワイでオープンしたときの初代社長(故人)と焙煎マイスターが「ハワイで始めたからにはハワイらしいフレーバーのコーヒーを出したい」と試行錯誤し誕生したのが、「バニラマカデミア」味のコーヒーです。こちらは、コーヒー業界初のフレーバーとして話題となりました。

現在は、ヘーゼルナッツやココナッツ、チョコレートマカデミアなど全5種類ありますが、その中でもダントツ人気NO.1なのは、やはりバニラマカデミア味だそうです。

抗酸化物質配合のコーヒー

2010年より販売されているこちらのラインアップも、すっかりライオンコーヒーを代表するものとなっています。

従来の商品よりも抗酸化物質を多く含んだ4種類のフレーバー(オリジナル、フレンチトースト、ココナッツ、バニラマカデミア)で、アメリカ農務省が推奨する1日の摂取量の2倍の抗酸化物質が含まれています。こちらはヘルシー志向の方におすすめでしょう。緑色のパッケージが目印です。

ディカフェ(カフェインレス)コーヒー

黒のパッケージに入っているのがディカフェのコーヒー豆です。ブレンドの中から2種類と、フレーバーコーヒーの中で一番人気のバニラマカデミアと全3種類あります。カフェインが苦手な人でも、これでライオンコーヒーの味が楽しめますね。

100%ハワイ産コーヒー

ゴールドのパッケージに入っているのが100%ハワイ産コーヒーの豆です。ハワイ島コナでとれるコナコーヒーの中煎りと深煎り、さらに最近コーヒー愛飲家のたちで人気のハワイ島・カウで栽培された豆「カウコーヒー」もあり、ライオンコーヒーも今イチオシだそうです。

最近の世界的トレンドは、グルメコーヒーでもシングルオリジン(※)のコーヒーが主流となっています。しかしそんな中でも、ライオンコーヒーは154年の伝統もきちんと受け継ぎながら、新しいことに挑戦しているのです。

つまり、今グルメコーヒーといえば特定のコーヒー豆が出す独特な味を楽しむ傾向ですが、ライオンコーヒーは昔から多くの人に愛されているクラシックな味と言えるかと思います。

※註:シングルオリジンとは、生産国と農場、生産過程が明確であり、ブレンドしていないコーヒー銘柄のこと。

ロコに根強い人気の証拠! 4年連続でベスト・コーヒー賞受賞

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写真提供: Hawaii Coffee Company

ハワイ州で最大の日刊新聞「ホノルル・スター・アドバタイザー」は毎年読者によるローカルビジネスの人気投票「ハワイズ・ベスト」を開催しています。

多い時には5万人もの人が参加すると言われているこの読者投票で、今年ベスト・コーヒー部門でライオンコーヒーが見事選ばれました! しかも、2014から4年連続で選ばれています。それだけロコたちにも根強い人気の証拠ですね。

これ知ってた!? 1. ライオンコーヒーだけじゃない

ライオンコーヒーの会社の正式名称は、Hawaii Coffee Company(ハワイコーヒーカンパニー)で、実は他のブランドも傘下にあり、同じ工場で製造されています。

ロイヤル・コナコーヒー

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写真:Miki Cabatbat

1966年にハワイ島コナで生まれた小さな会社が、69年にシカゴの大手会社スプリームコーヒ会社に買収されました。そして新たな戦略として、パッケージに生産地であるKONAをわざとブランド名に入れて販売。

見事にその狙いが当たり、世界中でハワイのコナコーヒーが知れ渡るようになったのです。そのロイヤル・コナコーヒーも、2000年からライオンコーヒーと一緒になりました。

ハワイ・アイランド・ティーカンパニー

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写真:Miki Cabatbat

8種類のフレーバーが楽しめるハワイ最大のティーブランドも2004年からライオンコーヒーと同じ工場内で作られています。直営店でも販売していますので、ティー派の人もここに来る価値ありですよ!

これ知ってた!? 2. 無料の工場見学日本語ツアーもあり

また意外と知られていないのが、この工場では毎日多言語による工場見学ツアーが行われていること。日本語ももちろんあり、無料で参加できます。

見学可能日は月~金の10時半からと12時半からの2回で、店に直接行って申し込みます。10名以上の団体の場合は事前予約が必要です。

それでは、工場見学の模様を少しだけご紹介しましょう!

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写真:Miki Cabatbat

最初にライオンコーヒーの歴史など概要を丁寧に教えてくれ、それから実際に店から繋がっている隣の工場の中に入っていきます。

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写真:Miki Cabatbat

まずここはコーヒー豆のブレンドが行われているエリア。焙煎マスターが研究を重ねて決めた配合に合わせて、ここで毎日豆がブレンドされています。

compressionハワイ-ライオンコーヒー-10-LION COFFEE BLEND 機械.jpg
写真:Miki Cabatbat

これがブレンドする機械で、こちらもライオンコーヒーが独自で開発した機械だそう。

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写真:Miki Cabatbat

ブレンドされた豆は、パイプを通って焙煎機へと流れていき、ローストします。味を損なわず均一に焙煎されるよう温度と時間設定がされています。写真は、ローストされた豆が袋に流れていっている様子です。

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写真:Miki Cabatbat

こちらは、フレーバーコーヒー用の機械で、右上にある小さな銀色の容器に各フレーバーの液体を入れて、左のV字のマシーンに入っている豆に吹き込むそうです。

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写真:Miki Cabatbat

こちらはパッケージを作る機械です。これは提携しているホテルに配られるパッケージを作っています。 これを見て、「(ホテルで泊まったとき)私の部屋にもあったやつだ!」というお客様も多いとのこと。

compressionハワイ-ライオンコーヒー-14-LION COFFEE市販用パッケージ.jpg
写真:Miki Cabatbat

こちらは、市販用のパッケージを作る機械ですね。

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写真:Miki Cabatbat

ライオンコーヒーだけでなく、ロイヤル・コナコーヒーの製造過程も見学できます。また、ハワイ・アイランドティーが作られている部屋も同じ工場内にあり、そちらも覗かせてもらえますよ。

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写真:Miki Cabatbat

工場内での製造過程を一通り見学したら、最後に創業当時から現在に至るまでに作られた関連品の全てが飾られているショーケースを見て終了です。

ツアー参加者には、なんとサンプル用のコーヒー豆(50g)やティーパック1袋、さらにすぐに店で使える割引券をお土産としてもらえますよ♪

ツアー中に教えてもらったトリビア

最後に、ライオンコーヒーの意外なトリビアについてご紹介しましょう。

大口郵便のシステム開始はライオンコーヒーがきっかけ

創業してからすぐにライオンコーヒーが人気となったのは、ライオンコーヒーのパッケージのライオンを切り取って送ると、カードと交換するという企画がきっかけでした。

すると、そのカード欲しさにあまりにもたくさんの応募があり、郵便局の作業が間に合わないということで、大口郵便のシステムを導入したのだそう。アメリカで大口郵便のシステムがあるのは、ライオンコーヒーの企画があったからだそうです。

現在のコナコーヒーは日本人が作った!?

ハワイに最初に日本人移民がやってきたのが1868年の明治元年で、その移民の人たちのことを「元年者」と呼んでいます。

もともとはサトウキビ畑に働くためにやってきたわけですが、そのサトウキビ産業が衰退するにつれ、大地主たちは「次は何をする?」と考えたところ、その頃放置されていたコーヒー豆農園に目をつけました。そして、5ヘクターずつに農園を分けて売りに出したときに、購入したのが元年者の人たちだったのです。

最終的に、ハワイ島コナのサトウキビ畑がコーヒー豆の農園に全て変わった頃には、所有者は全員日本人(元年者)だったそうです。それを考えると、今私たちが飲んでいるコナコーヒーは、日本人が作り上げたといっても過言ではないようです。

このようなトリビアもごく一部。知識豊富で歯切れの良いトークが魅力的な美佳さんの日本語ツアーは、とても楽しくあっという間です。

ライオンコーヒーはハワイに来ればいろんな店で販売されているため手に入りやすいですが、次にハワイを訪ねるときは、ぜひカリヒの工場兼直営店に行き日本語ツアーも参加されてみてはいかがでしょうか? ますますライオンコーヒー愛が高まる旅になるはずですよ♪

Lion Cafe and General Store 基本情報

住所:1555 Kalani St, Honolulu, HI 96817
電話番号: (808)841-7521
営業時間:[月-金] 6:00~17:00 [土] 9:00~15:00
定休日: 日曜
Website: https://www.lioncoffee.com
Facebook Page: https://www.facebook.com/lioncoffeehi/
Instagram: https://www.instagram.com/lioncoffeehi/

バスで行く場合:ワイキキから19番か20番のバスを利用。工場に最寄りのバス停は、ニミッツ・ハイウェイ(Nimitz Hwy)沿いです。リビー・ストリート(Libby St) かカリヒ・ストリート(Kalihi St)のバス停で降り、そこから徒歩で約10分。片道1時間くらいです。

※情報は取材時のものです。最新情報は公式サイト等をご覧ください。

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カバットバットみき

ハワイ在住ライター。大学在学中から東京のラジオ局で働き始め、毎年特別番組を放送するためにハワイへ来たのがきっかけでハワイ好きに。2004年からはライター業も開始し、雑誌/ Web/書籍と数多くのメディアに執筆している。2010年に意を決して、ハワイへ移住。ちょっと違った切り口からハワイの魅力を紹介。

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