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体中串刺しの信者が練り歩く奇祭「タイプーサム」
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神々に感謝するお祭り「タイプーサム」
その見た目と内容が過激すぎるせいか、本国インドでは禁止となっているヒンドゥ教の奇祭「タイプーサム」。ヒンズー暦10ヶ月目の満月の日に開催され、信者が苦行を行うことで神々に感謝をする祭りである。しかしマレーシアやシンガポールなどでは今でも毎年開催されているため、国内のインド系マレーシア人のみならず世界各国からその瞬間を祝おうと信者たちが集結することで知られている。
ちなみにこの日はマレーシアの一部の州では祝日となっている。タイはヒンドゥ暦で10番目の月、プーサムは星を意味し、たいプーサムとは「この祭りの間、一番高いところにある星」を表しているのだそうだ。
タイプーサムの信者は歩きながら苦行を行う。スタート地点はマレーシア・クアラルンプールのチャイナ・タウンにあるヒンズー教のスリ・マハ・マリアマン寺院で、ゴールはそこから北へ向かって約15km先の小高い山の頂上にあるバツー洞窟スリ・スブラマニアム寺院だ。ちなみにこの寺院に行くには階段を272段も登らなければならないため、一般の人にとってはそれだけでもじゅうぶんに修行レベルだ。
苦行を行う信者は口や頬、あるいは背中など身体中に針や串を刺し、カヴァディと呼ばれる儀式用の飾り身に付けひたすら神への感謝を示すのだが、だんだんとトランス状態になってくるようで、その表情は恍惚としている。この姿こそが奇祭と呼ばれるゆえんでもある。
時折、苦しそうな声でうなったり、空に向かって叫んだりする者、黙々と歩くだけではなく時折踊りを踊ったりする姿はまさに神がかっているようにも見える。
しかし、正直に言ってしまうと迫力がすごいため、オーディエンス的にはちょっと腰がひける。夜中にクアラルンプールを出発してここまで辿りついた信者たちに敬意を示そうと、あるいはその威光にふれようと次々と近づいてくるヒンドゥ教徒の人々。足元に散乱するココナッツや牛乳は、いわゆるお祓いのようなもので罪を清めるためのものだ。
終わりがみえるにつれてさらに大賑わい!
苦行も終わりに近づくバツー洞窟周辺となると、祭りはさらに佳境に入る。振る舞いの飲み物や軽食を配る信者たちがおり、筆者のような者にも熱心にすすめてくれるため、なんだか申し訳ない気持ちになってくる。
スパイスの香りがあたりに漂い、食べ物や日用品、家具などを売る露店が立ち並ぶ中、修行のラストスパートを励ますかのように太鼓や音楽が爆音で鳴り響き、会話もできないほど。しかも暑さを相まって見ているだけでめまいがしそうなほどだ。
ついつい串刺し針刺しの信者ばかりに目がいってしまうタイプーサムだが、原色のインド民族衣装を着た人々も多く華やかさにも注目してみてほしい。また祭り当日はすごい人なので治安などにもじゅうぶんに注意が必要だ。
タイプーサム 基本情報
・国名:マレーシア
・都市名(地域名):バツー洞窟(クアラルプール郊外)
・イベント名(日本語表記):タイプーサム
・イベント名(現地語表記):Thaipusam
・開催時期:毎年1月末から2月上旬
・初回開催年:不明
・来場者人数(規模感):約100万人
・アクセス:KLセントラル駅(KL Sentral)からKTMセレンバン線で終点バツーケイブ駅(Batu Caves)
・HP: http://www.malaysia.travel/en/nl/places/states-of-malaysia/selangor/batu-caves
・料金:無料
・予約:不要
・知名度:★★★
・おもしろ度:★★★★
・開催場所(主な会場):バツー洞窟
・開催場所(住所) Batu Caves Sri Subramaniam Temple, 68100,Gombak, Selangor, Malaysia
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久里浜あきこ
- マレーシアの暑さに負けじと、日々仰天ネタと格闘している武闘派ライター。ディープな記事を書くために、現在マレー語を勉強中(は、去年まで現在挫折中)。趣味は俺ミシュラン的な日本食レストランチェック。実は取材や現地情報の寄稿なども別名で色々とやっています。